配色で空間をゾーニング。限られた空間を広く明るくする工夫が詰まった家

JR山手線『渋谷』駅から徒歩8分、閑静な住宅街に佇むヴィンテージマンションです。

以前は賃貸にお住まいだったN様ご夫妻は「家賃を支払うのが勿体ない」と思ったことをきっかけにお住まい探しをスタート。SNSでグローバルベイスを見つけていただき、無料セミナーにご参加。半年で15件ほど内見されました。

「将来的に住み替える可能性もあるので、そうなったときに売ったり貸したりできるよう、渋谷区や新宿区などの需要が落ちにくそうな都心5区を中心に探していました。

初めは『必要であればリノベーションしよう』くらいの考えだったのですが、せっかく購入するのであれば自分たちにぴったりな部屋を作りたいと思いリノベーションすることにしました。

この物件は、立地が良かったことと、スケルトン状態から自分たちの希望の間取りにできることが購入の決め手になりました。」（ご主人）

間取りでこだわったのは、広々とした空間を作り、寝室の窓からリビングに日の光を取り込む設計にすることでした。

「部屋ごとに壁を作ってしまうと、一部屋あたりの面積が狭くなってしまうため部屋を仕切る壁は取り払いました。寝室とリビングはガラスの引き戸で仕切り、寝室の窓からリビングにも日の光が入るようになっています。

荷物が多くたっぷりの収納が欲しかったので、キッチンとは逆側の壁面にできる限りの範囲で収納スペースを作りたいとお伝えしました。」（奥様）

玄関から寝室の壁一面を収納にすることで、導線が一直線になり採光を取るというご希望も叶えられました。元々のお部屋の形を活かした実用的な間取りとなっています。

内装のテイストや配色、設備にもこだわりが詰まっています。

「リノベーションをする前は、リビングの梁に存在感があり二重天井になっていました。天井高を確保するために躯体現しにしましたが、癖の強いインダストリアル系にしてしまうと将来売り出す時に大きく好みが分かれてしまうと思ったので、素材感を活かしつつも普遍的な感じにしました。」（ご主人）

寝室のクロスを白、リビングダイニングをモルタルのグレー、廊下や玄関のクロスをブルーにすることで、日の光が入る寝室から玄関に向かってだんだんと落ち着いた空間になるよう配色し、寝室・リビングダイニング・廊下の3つの空間を色でゾーニングしています。

廊下の天井は、リビングがより開放的に見えるよう折り下げ天井にし、ご主人のご希望で、折り上げ天井の中に照明を隠して天井の反射で空間を照らすコーブ照明を採用しました。


空間全体を反射の柔らかい明るさで包む
コーブ照明

折り下げ天井と配色の工夫で
玄関からリビングに向かって開放感を演出
また、リビング・ダイニング・寝室にはそれぞれデザインの異なる照明を設置し、色でゾーニングされた空間をより一層引き立てています。


こだわりのリビング照明は
夜になると寝室の窓に光が反射して幻想的
設備面では、浴室換気乾燥機、キッチンの三口コンロ、エアコン2台が必須で欲しかったというN様ご夫妻。

エアコンは、一人はリビングで起きていて一人は寝室で寝ているというシチュエーションになった時に、戸を閉め切った状態でもお互いが快適に過ごせるようにするため、どうしても二台設置したかったといいます。

「前に住んでいた方がエアコンを一台しか使っておらず、構造上増やすことができるか検討が必要でした。なんとか2台設置できるよう考えていただき無事に設置することが出来てありがたかったです。

キッチンは、扉の色の濃さで迷い、メーカーのホームページにあるカラーシミュレーションを活用しました。自分で壁紙の色を加工した画像を６パターンほど作って比較し、二人で話し合って濃い色に決めました。

洗面室は、大きな丸い鏡を設計士さんからご紹介いただいて、その鏡を軸にデザインを考えました。洗面台の天板をモルタルで造作することも考えたのですが、クラックが入ったり水シミになったりする心配があったので、機能性と天秤にかけ、汚れが溜まりにくくお手入れが簡単なメーカー製品を自分で見つけて設計士さんにお伝えしました。」（ご主人）

寝室の窓から見えるのは、桜の木です。

「エアコンの設置業者さんと『あれは桜の木ですかね？』『桜だといいですね』という話をしていました。4月になると本当に桜が咲いて、ラッキーでした。」（奥様）

読書などをして寝室で過ごす時間が多いという奥様は、前にお住まいだった家のセミダブルベッドでは狭く感じたため、引越しを機にダブルベッドに。南東向きの寝室で、朝日が入ってくるところがお気に入りと話してくれました。


春には大きなベッドの上で
満開の桜を楽しめます
これからの暮らしでは、最寄りの渋谷駅周辺で行われている再開発工事によって街がどのように変わっていくのかが楽しみの一つだといいます。

「自分たちの暮らしは毎日大きく変わるものではないですが、周辺がどんどん変わっていて、その過程が面白いですね。
家の中では、リノベーションで床をフローリングシートではなく挽板にしたので、経年変化して味わい深くなっていくのが楽しみです。」（奥様）

最後に、これからお住まい購入をされる方に向けてアドバイスをいただきました。

「とにかく色々な物件の内見へ行くことですね。回数を重ねることで見るポイントが絞られてきて、スーモに長期間掲載されている物件を実際に内見してみると『ここが売れない理由なんだろうな』というのが分かってくると思います。」（ご主人）

「賃貸の場合、あらかじめ用意された設備があり、見たものの中で比較して良さそうな物件を選ぶと思いますが、リノベーションをする場合は多くの選択肢がある中で一から自分たちで選ぶことができます。使い心地が良さそうなものや自分が好きなデザインなど、できるかできないかは置いておいて、設計士さんにいったん希望をお伝えすることが大切かと思います。100％希望通りにすることが難しい場合は、近いものをご提案いただいて、最大限希望に近づけながら作っていくことができます。造作は自由度が高く本当に驚きました。」（奥様）

物件探しの段階では、リノベーションをするかしないかはどちらでも良いと思っていたというご主人ですが、「一回やるともう一回やりたいと思いますね。今度はホテルのような感じにしたいです。」とおっしゃってくれました。