
都心の中でもひときわ高い人気を誇る麻布十番。由緒ある商店街と最新の再開発事業が共存し、都心でありながらどこか温もりを感じられる街として、多くの人々をひきつけてきました。2025年現在、マンション価格は全国的に高止まりの様相を見せる中、麻布十番の相場はどう動いているのでしょうか。また、購入するなら今が「買い時」なのか、それとも様子見が正解なのか。この記事では、最新データをもとに、価格動向・エリア特性・購入タイミングの見極め方を解説します。
CONTENTS
麻布十番は「山手線内側の気軽さ」と「下町の人情味」を同時に味わえる希少なエリアです。大江戸線と南北線が交わり、六本木ヒルズも徒歩圏という利便性に加え、老舗商店街や地域イベントが日常に彩りを添えます。
港区の地下鉄2路線(南北線・大江戸線)が交差する麻布十番駅は、六本木・赤坂・汐留といった都心主要エリアへ10分圏内でアクセス可能です。それでいて、老舗の和菓子店や大正創業の総菜店が軒を連ねる商店街が残り、日常の買い物や外食が徒歩圏で完結します。平日はビジネスパーソン向けの洗練された飲食店、週末は縁日のような人情味、このギャップに麻布十番らしさがあると言えるでしょう。
大使館が点在し、インターナショナルスクールや英語プリスクールも充実しています。住民の約2割が外国籍という統計もあり、多様な文化が日常に溶け込んでいます。都心勤務のDINKSから子育てファミリー、富裕層のセカンドハウスまで、幅広いライフスタイルを受け止める柔軟性が、資産価値の底堅さにもつながっています。
●麻布十番駅周辺(〜仙台坂下):駅徒歩3分圏は坪単価1,000万円超の地点が並ぶ高額エリアです。
●元麻布:高台に低層邸宅が連なる港区屈指の高級住宅地です。
●南麻布:広尾寄りの外交官エリアで、マンション価格は麻布十番を上回る水準です。
●網代公園・永坂町周辺:庶民的な飲食店や古くからの長屋も残り、駅近より割安で“ローカル感”が色濃いエリアです。
公示地価を見ると、麻布十番駅エリアの地価は2020年時点で約784万円/坪、そこから年々上昇し2025年には約1,002万円/坪に達しています 。この5年間で約28%の上昇となり、高級住宅地として価値の上昇が顕著です。一方、不動産情報サイトの分析では、麻布十番の中古マンション坪単価は2025年で約427万円/坪と予想されており、やや緩やかな上昇にとどまるとの見立てもあります。ただしインバウンド需要や低金利環境も相まって地価は加速しており、実際には公示地価のように上昇幅が大きくなっている可能性があります
参考:
麻布十番駅の公示地価・基準地価・土地価格相場・坪単価|東京都港区|2025年[令和7年]│土地価格相場が分かる土地代データ
東京都港区麻布十番の中古マンション価格推移・相場は?│ダイヤモンド不動産研究所

上記グラフは過去4年間の麻布十番エリアにおける、中古マンションの平均成約価格を70㎡に換算したものです。2023年の南麻布エリアのみ一時的に下がっていますが、それを除くとどのエリアも上昇基調が続いている事がわかります。
●新築マンションの価格帯と供給状況
東京23区における新築マンションの平均価格は2024年に1億1,632万円となり2年連続1億円を超えました。また、供給戸数は過去最少の2万2,239戸で希少性がさらに高まっています。なかでも港区は超高額物件の供給が集中するエリアで、2023〜2024年にかけて麻布台ヒルズなどの大規模高級プロジェクトが平均価格を押し上げました。麻布十番では2025年竣工の「三田ガーデンヒルズ」が70㎡台で3億円前後の超高額帯となっています。
●中古マンションのリノベ需要と価格帯
港区中古マンション平均成約価格は2025年3月時点で2億円を超えています。築30年前後のヴィンテージ物件でもフルリノベーションを前提にした買い手が増え、1億3,000万〜1億7,000万円が目安です。立地力が強く、リセールバリューを重視する投資家が相場を押し上げています。
参考:三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移│東京カンテイ
地価が右肩上がりでも「買い時」は存在します。鍵を握るのは金利の動きと再開発スケジュール。利上げ前に固定を確定させるか、再開発の完成後を狙って値上がり益を取るか、また投資・実需で戦略は異なります。
日銀は2025〜26年に追加で年2回の利上げがあるとのIMF見通しを受け、固定金利はじわじわ上昇中です。変動金利も2025年4月時点で基準金利2.625%まで切り上がりました。金利負担は確実に増えるため、金利が低いうちに固定・変動を組み合わせる戦略が有効です。
参考:ローン金利│みずほ銀行
麻布台ヒルズ(2023年竣工)に続き、「三田小山町西地区第一種再開発事業」が2025年着工・2028年竣工予定です。3棟のマンションから構成され、住宅戸数は約1,400戸が予定されています。麻布十番駅徒歩3分圏に医療・商業機能を備えた複合タワーが建つことで、周辺中古の再評価が期待されます。
参考:「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」権利変換計画認可のお知らせ
●投資視点で見た“買い時”
再開発エリア周辺の築20〜30年のファミリータイプが狙い目です。低金利と円安で外国人富裕層の需要が強いうちに取得し、3〜5年で値上り益を狙う短中期投資が有効です。
●実需視点で見た“買い時”
2025年1月に追加利上げされた今が、総支払額を抑えられるラストチャンスの可能性があります。子どもの入園・入学タイミング、テレワーク定着などライフイベントに合わせ、希望間取りが市場に出たときが“最良の買い時”です。
1.エリア別の相場感を把握する
前述の坪単価を基準に、「駅徒歩5分以内は坪1,000万円超」「元麻布は900万円台」「永坂町は200万円台後半」など目安を掴むことが重要です。
2.資産価値と居住性のバランスを取る
将来売却・賃貸を視野に入れ、駅徒歩10分以内・30㎡以上を最低ラインに設定することが望ましいです。
3.リノベーション費用を織り込む
築30年超でも立地が良ければ資産価値は維持されるため、中古+フルリノベーションで新築同等の住み心地に生まれ変わらせる手法が定番です。
4.管理体制と修繕積立金をチェック
長期修繕計画が未整備の築古マンションは将来の追加負担リスクが高いため、事前に入念な確認が必要です。
ひとくちに「麻布十番」といっても、実際には場所によって街の表情も暮らしやすさも大きく異なります。駅直結の利便性重視エリア、高台にたたずむ閑静な住宅地、そしてローカル感の残る下町エリア。どこに住むかによって、生活の質も資産性も変わるでしょう。
駅地下直結のスーパー、商店街、金融機関が集中しています。単身〜DINKS向け30〜60㎡の物件が多く、駅近で生活インフラがすべて揃う利便性が大きな魅力です。また、徒歩圏に保育施設や医療機関、フィットネスジムなども充実しており、共働き世帯にも人気の高いエリアです。
六本木ヒルズまで徒歩圏でありながら、緑道や低層住宅が並ぶ元麻布・南麻布エリアは、都心にありながら落ち着きのある暮らしを実現できる希少な地域です。大規模な低層レジデンスや戸建てが多く、80〜120㎡の広々とした間取りが主流です。敷地にゆとりのある物件が多いため、プライバシーや静かな環境を重視するファミリー層に好まれています。インターナショナルスクールの送迎バスも通るため、教育環境を重視する外国人居住者にも根強い人気があります。
麻布十番の南東側に広がる網代公園周辺や永坂町エリアは、再開発が進む都心部にあって、今なお昭和の風情が色濃く残る地域です。古くから続く個人商店や長屋が残り、地元の人たちに支えられた小さな飲食店などが点在しています。物件価格も比較的手頃で、坪単価300万円台から購入可能なケースもあります。ただし、旧耐震基準のマンションも多いため、建替えや耐震補強の可否、また資産価値の目減りリスクには注意が必要です。
「価格が高い=買うべきではない」とは限りません。麻布十番は資産性・利便性・居住性の3要素が高い水準で揃うため、長期保有のリスクが低いエリアでもあります。“なぜ麻布十番なのか”を改めて整理してみましょう。
駅近で交通・生活利便性ともに申し分なく、物件売却時の流動性も高いことが特徴です。共働き世帯や都心アクセス重視のDINKSにとって、時間と資産の両面で無駄のない暮らしが実現しやすいエリアです。
落ち着いた環境を求めるファミリーやシニア層に人気の元麻布・南麻布。土地の希少性と住環境のバランスが取れており、将来的な資産価値の安定も見込めます。防犯意識の高いエリアとしても知られ、長期保有に向いているのが魅力です。
港区内でありながら比較的リーズナブルな価格で物件取得ができるのが、このエリアの最大の強みです。庶民的で人情味ある街並みは、都心にいながら地元感を大切にした暮らしを求める人にとって理想的です。
立地で選べば失敗しにくいとはいえ、マンション購入には事前に把握しておくべき注意点があります。「想定外の出費」を避けるためのチェックポイントを確認しておきましょう。
1981年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは、現行の新耐震基準を満たしていない場合があります。これにより、住宅ローンの審査において金融機関が融資比率を引き下げることがあったり、地震保険の加入条件が厳しくなったりする可能性があります。購入を検討する際には、「耐震診断が実施されているか」「耐震補強工事の履歴はあるか」「建替えや改修の計画は存在するか」など、建物の構造的な安全性について具体的に確認することが大切です。また、マンション管理組合が長期修繕計画に基づいて積立金をしっかりと運用しているかどうかも、信頼できる物件かを見極める大きな判断材料になります。
都心部のマンションでは、物件価格だけでなく、月々の維持費も決して軽視できません。特に麻布十番エリアに多いタワーマンションや大規模レジデンスでは、共用施設の維持管理にかかる費用が高額になる傾向があります。月極駐車場の場合、ハイルーフ車に対応した区画では月4万〜6万円が相場です。機械式駐車場が採用されている場合は、定期的なメンテナンス費用の負担が大きく、これが管理費に上乗せされることもあります。また、タワー型マンションでは、エレベーターや防災設備などの共用部維持コストが高く、管理費と修繕積立金を合わせて月8万円〜10万円程度になるケースも珍しくありません。
購入時には物件価格のみに目を向けるのではなく、10年後・20年後もランニングコストを支払い続けられるかという視点を持つことが重要です。特に築年数が進んだマンションでは、将来的に大規模修繕や設備交換が必要となる場面も多く、臨時の集金がある可能性も視野に入れて資金計画を立てておくべきでしょう。
麻布十番周辺にはどのような物件があるのでしょうか。実際に中古マンションをリノベーションして実現した事例をご紹介します。

こちらは麻布十番駅より徒歩4分にあるマンション。陽当りの良い角部屋です。周辺にはオーガニックスーパーやこだわりの飲食店がたくさんあります。

北欧風インテリアの爽やかなインテリアにリノベーション。キッチンは家事効率の良いコの字型にレイアウトしました。スッキリと暮らせるように、大容量のシューズクローゼットやウォークインクローゼットを設けています。

麻布十番駅よりすぐの場所にあるマンション。その最上階にあるペントハウス物件です。テラスにあった池は、プールに生まれ変わりました。

天井の高さも、ペントハウスならではの魅力。ワインセラーが4台収まる特注キッチン、テラスの壁画アートなど、リノベーションならではのこだわりが詰まった住まいです。

重厚なタイルが高級感あふれるヴィンテージマンションです。人気が高いエリアですが長く住む方が多く、なかなか空きが出ません。

間取りも内装も一新し、現在のライフスタイルにフィットする住まいにリノベーションしました。もともとは狭い独立型キッチンでしたが、広々としたLDKへ移動して対面式に変更。各部屋に収納も充実させました。
実際に麻布十番でのマンション購入を検討されている方から寄せられる、特にご相談の多い内容について、Q&A形式でお答えしていきます。
A. 再開発プロジェクトや国際的な需要の高まり、そしてインフラ整備の進展により、麻布十番エリアの地価・マンション価格は中長期的に緩やかな上昇が続くと見込まれています。実際、2020年から2025年にかけて麻布十番駅周辺の公示地価は約28%上昇しており、堅調な伸びを示しています。一時的には小休止や横ばいの局面に入る可能性もありますが、利便性とブランド力の高いエリアであることから、急激な値下がりのリスクは低いと考えられます。
A. 7000万円前後の予算だと、築年数が30年以上経過した中古マンションが選択肢の中心となります。専有面積はおおむね40㎡前後で、間取りとしては1LDKまたはコンパクトな2DKタイプが想定されます。立地や建物の管理状況によっては、リノベーションを前提に検討するケースも増えています。こうした物件は賃貸としての需要も高いことから、「自宅兼投資」として選ぶ人も少なくありません。
A. 麻布十番は、子育て世帯にとっても環境が整っているエリアのひとつです。港区では待機児童ゼロを達成しており、0〜2歳児の認可保育園への入所率は東京都内でもトップクラスです。また、都心部でありながらも公園や緑地が点在しており、子どもが遊べる場所にも困りません。さらに、インターナショナルスクールやプリスクールの選択肢が豊富なことから、多様な教育スタイルを求める家庭にも非常に適しています。
麻布十番は、「都心での快適な暮らし」と「歴史ある街並み」「国際的な環境」が融合した魅力的なエリアです。地価とマンション価格は安定した上昇傾向を見せており、特に2020年から2025年にかけては年間10%以上の上昇率を記録する年もありました。これは全国的に見ても非常に高い水準といえます。2025年以降は日銀の政策金利引き上げなどの影響により、住宅ローン金利の上昇が懸念されますが、それでも再開発プロジェクトの進展やインバウンド需要の高まりといった要素が、引き続き麻布十番の地価を下支えすると考えられます。高値圏ではあるものの、「ブランド性のある街に長く住む」という視点に立てば、むしろ堅実な資産形成ができる選択肢といえるでしょう。
マンションを購入するなら物件そのものの状態だけでなく、周辺エリアの将来性や生活利便性を含めて総合的に判断することが重要です。そのすべての要素において高水準でバランスが取れている麻布十番を選択肢に加えてみませんか?グローバルベイスでは、物件探しからリノベーションプランの作成まで、ひとつの窓口でご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。