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住宅ローン控除とは?住民税控除も受けるにはどうすればいい?

住宅ローン減税(控除)の概要をわかりやすく解説。年収による還付金のシミュレーションも掲載。サラリーマンと自営業の方によって異なる注意点、近年増えている夫婦共有で物件購入をした場合の注意点、ふるさと納税や医療費控除との併用についても解説いたします。

こんな方におすすめの記事です
  • 住宅ローン減税について知りたい方
  • 住宅ローン減税で自分の年収の場合どれくらい還付が受けられるか知りたい方
  • その他、給付金や減税制度について知りたい方

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■住宅ローン控除(減税)とは?どんな制度 ?

・住宅ローン控除は所得税からの控除が原則

住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して住宅の購入や増改築した人の金利負担を減らすために導入された制度です。この制度は「住宅借入金等特別控除」という税金上の控除で、一般には「住宅ローン減税」と呼ばれています。住宅ローン減税の申請は確定申告で行います。

減税の内容は、住宅ローンの年末残高の1%が10年間、所得税から直接控除され、所得税で控除しきれなった分は住民税からも引かれるというものです(住民税からの控除額の上限は「前年の所得税の課税所得の7%」か「136,500円」かのいずれか少ない方)。住宅ローン控除の最大控除額は10年間で400万円(上限40万円×10年)です。

この減税制度は期限付きで、2021年12月31日までに入居した住宅が対象になります。新築住宅だけでなく中古住宅の購入・増改築なども対象です。

2019年10月1日より、消費税率がこれまでの8%から10%へ引き上げられました。これにともない、増税による消費者の負担増をさらに軽減するため、住宅ローン減税制度が拡充されることになりました。

住宅ローン減税による所得税の控除期間はこれまで10年間でしたが、3年延長されて13年間となります。延長された3年分で、消費税増税分の2%を還元するというかたちです。控除額の計算方法については、10年目まではこれまでの制度と同様ですが、11年目以降についてはローン残高によって異なってくる場合があります。

○10年目までの控除額
住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)×1%

○11〜13年目の控除額
下記のいずれか小さい額

・住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)×1%
・建物購入価格(上限4,000万円)×2%÷3

所得税で控除しきれなかった金額は、これまでと同様に住民税から差し引かれます。住民税の控除の上限は「前年の課税所得の7%」か「13万6,500円」のいずれか小さい方です。

・住宅ローン減税を受けるための要件

この住宅ローン減税を受けるためには、一定の要件を満たさなければなりません。住宅を取得したときのケースによりいろいろな細かい条件がありますが、共通していることは、次のポイントです。

・住宅を取得した日から6か月以内に入居し、控除を受ける各年の12月31日まで住み続けていること
・床面積が50平方メートル以上あり、2分の1以上が自己の居住用であること
・金融機関からの住宅ローンの返済期間が10年以上あること(親族・知人からの借入不可。勤務先からの借入は金利が年0.2%以上であればOK)
・増改築などの場合は工事費が100万円以上
・年収が3,000万円以下(合計所得金額が3,000万円を超える年は住宅ローン控除を受けられない)

さらに、中古住宅の場合は次のいずれかの要件を満たしている必要があります。

・築年数が一定の年数以下- 耐火建築物以外(木造など)の場合:築年数20年以内

もしくは

・耐火建築物(鉄筋コンクリート造など)の場合:築年数25年以内
・現行の耐震基準を満たしていることを証明できる「耐震基準適合証明書」「建設住宅性能評価書」などの証明書類が必要

11年目から13年目まで期間の拡充を受けるためには以下の要件も満たす必要があります。

・消費税が10%適用の物件(新築住宅もしくは中古住宅でも売主が課税業者の物件)
・2019年10月1日から2020年12月31日までに入居していること

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■住民税から控除できるケース

住宅ローン控除は、基本的には毎年末のローン残高などの1%を、所得税から控除できるというルールです。しかし所得税から引ききれない場合は、翌年度の住民税からの控除もできます。

では、どのようなケースで住民税からも控除できるのでしょうか?具体的な数字を見ながら解説していきたいと思います 。

【例】
Aさんは、専業主婦の妻と小学生の子1人を扶養している会社員です。マイホームを購入したので、住宅ローン控除を受けようと思っています。年収は700万円で、所得税を計算するうえで控除できる基本的な項目は次のとおりです。

■基本的な控除:合計404万円
・給与所得控除:180万円(700万円×10%+110万円)
・基礎控除:48万円
・配偶者控除:38万円
・扶養控除:38万円
・保険料等控除:100万円

これをもとに、所得税の金額を計算していきましょう。
年収700万円から各種控除(合計404万円)を差し引くと、課税される所得金額は296万円になります。課税所得が195万超300万円以下の場合、所得税の税率は10%、控除額は9万7,500円 です(令和3年10月現在)。よってこの年のAさんは、本来であれば所得税として19万8,500円を納める予定という計算になりました。

■課税所得金額:年収700万円-各種控除404万円=296万円
■所得税額:課税所得296万円×10%-9万7,500円=19万8,500円

ここから住宅ローン減税について考えていきましょう。仮にAさんの年末のローン残高が4,000万円あったとすると、この1%にあたる40万円が住宅ローン控除額となります。

所得税額19万8,500円は還付される計算ですが、住宅ローン控除額のほうが大きいので、次のような金額が引ききれません。

■所得税から引けない金額:住宅ローン控除額40万円-所得税額19万8,500円=20万1,500円

この20万1,500円は所得税から差し引きができないので、住民税からの控除対象となります。ただし全額を住民税から控除できるわけではなく、次のような上限があります 。

マイホームへの居住年平成26年4月~令和3年(※消費税8%または10%)平成21年~平成26年3月
住民税から控除される上限・所得税の課税総所得金額等の7%
・上限13万6,500円
・所得税の課税総所得金額等の5%
・上限9万7,500円

先ほどのケースでは所得税から20万1,500円が引ききれませんでしたが、このうち上限の13万6,500円までしか住民税からは控除できないということです。(平成26年4月~令和3年にマイホームに居住した場合)

つまりAさんの場合は、次のような住宅ローン控除が受けられる計算です。

■住宅ローン控除額
・所得税:19万8,500円を還付される
・住民税:13万6,500円を減額される
この年の住宅ローン控除額は合計33万5,000円

年末の住宅ローン残高から考えると、この年の住宅ローン控除の上限は40万円。所得税からは部分的にしか控除できませんでしたが、残りの一部は住民税が減額されるということで、大きく負担が軽減されました。

所得税は累進課税のため、年収の高い方であれば所得税だけで40万円に届くこともあるかもしれません。しかし扶養控除や保険料控除などさまざまな控除があることを考えると、所得税が40万円に達しないという方も多いでしょう。住民税からも差し引けるというのは、多くの方にとってかなり大きなメリットとなります。

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■シミュレーションをしてみよう

それでは、住宅ローン減税制度によって実際にいくら税金が減税になるのか、年収別に試算してみましょう。

・年収と借入額ごとのローン減税額(概算)

それぞれの詳しい内訳について、まずは借入額4,000万円のケースから解説していきます。

・【借入額4,000万円のケース】

・家族:夫(会社員・38歳)、妻(専業主婦・37歳)、子(5歳)
・住宅ローン借入額:4,000万円 (建物価格1,000万円、土地3,000万円)
・金利:年1.5%(固定)
・返済:元利均等35年(ボーナス払いなし)
・住宅入居時期:2020年7月
・住所:東京都大田区

■住宅ローン年末残高と住宅ローン控除額(単位:万円)

◆年収400万円の場合

会社員の夫の給与収入が400万円の場合、所得税の課税所得は約130万円です。

【計算式】

課税所得=給与収入400万円-給与所得控除(134万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約60万円と仮定)-配偶者控除(38万円)-基礎控除(38万円)=約130万円

ここでは計算を簡単にするために、収入は給与収入のみ、生命保険料控除や医療費控除などプラスアルファの控除は省略し、基本的な最低限の控除だけで試算しています。

課税所得130万円の場合、所得税率は5%なので所得税は65,000円。これに所得税×2.1%の復興特別所得税1,365円が加算され、100円未満を切り捨て、最終的な所得税合計は

65,000円+65,000円×2.1%=66,365円→(100円未満切り捨て)→66,300円

となります。

次に住民税です。住民税は、課税所得に比例してかかる「所得割」(都道府県税・市区町村税)と、住民一人一人にかかる「均等割」(都道府県税・市区町村税)の2つの部分から成り立っています。簡単にまとめると次の表のようになります。

 所得割均等割
都道府県税住民税の課税所得×4%

 

(政令指定都市の場合:住民税の課税所得×2%)

1,500円~(都道府県によって異なる)

 

東京都大田区の場合:1,500円

市区町村税住民税の課税所得×6%

 

(政令指定都市の場合:住民税の課税所得×8%)

3,500円~(市区町村によって異なる)

 

東京都大田区の場合:3,500円

合計住民税の課税所得×10%5,000円~(地方自治体によって異なる)

 

東京都大田区の場合:5,000円

住民税の課税所得は、給与収入が400万円の場合約140万円です。

【計算式】

住民税の課税所得=給与収入400万円-給与所得控除(134万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約60万円と仮定)-配偶者控除(33万円)-基礎控除(33万円)=約140万円

配偶者控除や基礎控除を見ればわかるように、住民税の所得控除額は所得税の所得控除額と違います。しかし、きちんと年末調整や確定申告をしていれば、各自治体は税務署から情報を得て住民税の計算をしてくれるため、特に心配することはありません。

東京都大田区のこのケースでは、所得割が住民税の課税所得の10%、均等割が一人あたり5,000円のため、住民税は

課税所得140万円×10%+5,000円×3人分=155,000円

となります。

2020年末の住宅ローン控除額は395,600円。これを2021年の所得税と住民税から差し引くことができます。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は64,000円(155,000円-①91,000円【課税所得の7%】=64,000円)に減額され、合計157,300円の減税です。

11〜13年目の住宅ローン控除額は66,666円で、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は154,634円(15,500円−366円=154,634円)に減額され、66,666円の控除額を使い切ることになります。

今後も収入が変わらないとすると、2021~2033年の13年間での減税効果は、(157,300円×10年)+(66,666円×3年)=約177.3万円となります。

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◆年収600万円の場合

会社員の夫の給与収入が600万円の場合、所得税の課税所得は約260万円です。

【計算式】

課税所得=給与収入600万円-給与所得控除(174万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約90万円と仮定)-配偶者控除(38万円)-基礎控除(38万円)=約260万円

課税所得260万円の場合、所得税は「課税所得×税率10%-97,500円」なので162,500円。これに所得税×2.1%の復興特別所得税3,412円が加算され、100円未満の端数を切り捨て、最終的に所得税合計は

162,500円+162,500万円×2.1%=165,912円→(100円未満切り捨て)→165,900円

となります。

次に住民税の課税所得は、給与収入が600万円の場合約270万円です。

【計算式】

住民税の課税所得=給与収入600万円-給与所得控除(174万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約90万円と仮定)-配偶者控除(33万円)-基礎控除(33万円)=約270万円

このケースでの住民税は

課税所得270万円×10%+5,000円×3人分=285,000円

になります。

2020年末の住宅ローン控除額は395,600円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の165,900円はゼロに、住民税の285,000円は,148,500円(285,000円-②136,500円=148,500円)に減額され、合計302,400円の減税です。

11〜13年目の住宅ローン控除額は66,666円で、所得税の165,900円は99,234円に、(165,900円−66,666円=99,234円)に減額され、66,666円の控除額を使い切ることになります。

今後も収入が変わらないとすると、2021~2033年の13年間での減税効果は、(302,400円×10年)+(66,666円×3年)=約322.4万円となります。

◆年収800万円の場合

会社員の夫の給与年収が800万円の場合、所得税の課税所得は約404万円です。

【計算式】

課税所得=給与収入800万円-給与所得控除(200万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約120万円と仮定)-配偶者控除(38万円)-基礎控除(38万円)=約404万円

課税所得404万円の場合、所得税は「課税所得×税率20%-427,500円」なので380,500円。これに所得税×2.1%の復興特別所得税7,990円が加算され、100円未満を切り捨て、最終的な所得税は

380,500円+380,500万円×2.1%=388,490円→(100円未満切り捨て)→388,400円

となります。

次に住民税の課税所得は、給与年収が800万円の場合約414万円です。

【計算式】

住民税の課税所得=給与収入800万円-給与所得控除(200万円)-社会保険料控除(年収の約15%:約120万円と仮定)-配偶者控除(33万円)-基礎控除(33万円)=約414万円

このケースでの住民税は

課税所得414万円×10%+5,000円×3人分=429,000円

になります。

2020年末の住宅ローン控除額は395,600円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の388,400円はゼロに、住民税の429,000円は,148,500円(429,000円-7,200円=421,800円)に減額され、合計395,600円の減税です。

年収800万円の場合、住宅ローン控除額の枠を毎年使い切っているため、住宅ローンの返済が進むにつれて控除額が減っていき減税効果も小さくなっていきます。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2030年の10年間は【住宅ローンの年末残高×1%×10年分】の約354.2万円、2031〜2033年の3年間の合計は約19.9万円(66,666円×3年間)となります。13年間の減税額の合計は約374.1万円です。

事例集

・【借入額3,000万円のケース】

・家族:夫(会社員・38歳)、妻(専業主婦・37歳)、子(5歳)
・住宅ローン借入額:3,000万円(建物価格1,000万円、土地2,000万円)
・金利:年1.5%(固定)
・返済:元利均等35年(ボーナス払いなし)
・住宅入居時期:2020年7月
・住所:東京都大田区

■住宅ローン年末残高と住宅ローン控除額(単位:万円)

3000万円の場合1
3000万円の場合2

◆年収400万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は296,700円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は64,000円(155,000円-①91,000円【課税所得の7%】=64,000円)に減額され、合計157,300円の減税になります。

11〜13年目の住宅ローン控除額は66,666円で、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は154,634円(15,500円−366円=154,634円)に減額され、控除枠を使い切ることになります。

今後も収入が変わらないとすると、2021~2033年の13年間での減税効果は、(157,300円×10年)+(66,666円×3年)=約177.3万円となります。

◆年収600万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は296,700円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の165,900円はゼロに、住民税の285,000円は148,500円(285,000円-130,800円=154,200円)に減額され、合計296,700円の減税です。

11〜13年目の住宅ローン控除額は66,666円で、所得税の165,900円は99,234円(165,900円−66,666円=99,234円)に減額されます。住宅ローン控除額の枠を毎年使い切ります。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2030年の10年間は【住宅ローンの年末残高×1%×10年分】の約265.7万円、2031〜2033年の3年間の合計は【建物価格×2%÷3×3年分】の19.99万円となります。13年間の減税額の合計は約285.7万円です。

◆年収800万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は296,700円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の388,400円は91,700円(388,400円−296,700円)になります。住民税の減税はありません。住宅ローン控除額の枠を毎年使い切ります。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2030年の10年間は【住宅ローンの年末残高×1%×10年分】の約265.7万円、2031〜2033年の3年間の合計は【建物価格×2%÷3×3年分】の19.99万円となります。13年間の減税額の合計は約285.7万円です。

・【借入額2,000万円のケース】

・家族:夫(会社員・38歳)、妻(専業主婦・37歳)、子(5歳)
・住宅ローン借入額:2,000万円(建物価格2,000万円、土地は自己所有)
・金利:年1.5%(固定)
・返済:元利均等35年(ボーナス払いなし)
・住宅入居時期:2020年7月
・住所:東京都大田区

住宅ローン年末残高と住宅ローン控除額(単位:万円)

2000万円の場合1
2000万円の場合2

◆年収400万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は197,800円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は64,000円(155,000円-①91,000円【課税所得の7%】=64,000円)に減額され、合計157,300円の減税です。

9年目までは控除枠が余りますが、10年目は控除枠を使い切ります。住民税は(155,000円-89,300円=65,700円)となり、155,600円の減税です。

11〜13年目の住宅ローン控除額は133,333円で、所得税の66,300円はゼロに、住民税の155,000円は51,533円(15,500円−67,033円=51,533円)に減額されます。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2029年の9年間は【157,300円×9年分】の1,415,700円、2030年は155,600円の減税。2031〜2033年の3年間の合計は【建物価格×2%÷3×3年分】の約400,000円となります。13年間の減税額の合計は約197.1万円です。

◆年収600万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は197,800円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の165,900円はゼロに、住民税の285,000円は285,000円(285,000円-31,900円=253,100円)に減額され、合計197,800円の減税です。

11〜13年目の住宅ローン控除額は133,333円で、所得税の165,900円は32,567円(165,900円−133,333円=32,567円)に減額されます。住宅ローン控除額の枠を毎年使い切ります。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2030年の10年間は【住宅ローンの年末残高×1%×10年分】の177.1万円、2031〜2033年の3年間の合計は【建物価格×2%÷3×3年分】の約40万円となります。13年間の減税額の合計は約217.1万円です。

◆年収800万の場合

2020年末の住宅ローン控除額は197,800円。2021年も収入や所得税や住民税が変わらないとすると、所得税の388,400円は190,600円(388,400円−197,800円)になります。住民税の減税はありません。住宅ローン控除額の枠を毎年使い切ります。

今後も収入が変わらないとすると、住宅ローン減税による節税効果は2021~2030年の10年間は【住宅ローンの年末残高×1%×10年分】の177.1万円、2031〜2033年の3年間の合計は【建物価格×2%÷3×3年分】の約40万円となります。13年間の減税額の合計は約217.1万円です。

以上のように、年収が低いと所得税が低く、また住民税の税額控除の上限も低いため、住宅ローン控除枠を余らせてしまいます。一方、年収が高いと所得税が高いために住宅ローン控除枠を使い切ることができ減税効果が高くなります。

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■自営業者の場合はどうなるか

住宅ローン減税は適用要件を満たしていれば職業は関係ないため、自営業の方にも会社員の場合と同様に住宅ローン減税が適用されます。

ただし、自営業の方の場合、気をつけなければならないことは以下のポイントです。

  • 自宅兼事務所、自宅兼店舗にする場合は、居住部分が2分の1以上になるようにする
  • 年収が一定でないため、仕事が好調で合計所得金額が3,000万円を超える年は住宅ローン減税を受けられない
  • 年末調整がないため毎年確定申告が必要(後述しますが、会社員の場合は1年目に住宅ローン減税のための確定申告をすれば、2年目以降は年末調整だけで済みます)

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■夫婦2人で買ったらどうなるの?

働く女性の増加にともなって共働き世帯が増え、夫婦共有名義で住宅を購入し夫婦で住宅ローンを借りるケースが多くなってきました。夫婦共有名義にするメリット・注意点としては以下のような点があげられます。

【メリット】

  • 夫婦両方の収入を合算することができ、住宅ローンの借入可能額が上がる
  • 夫婦ともに住宅ローン減税が受けられる

【注意点】

・夫婦ともに住宅ローン控除を受けるには、「連帯債務型」の住宅ローンか「ペアローン」を選ぶ

・住宅ローンを減税するためには住宅ローンの債務者にならなくてはいけません。そのため、夫婦どちらかが連帯債務者になる連帯債務型住宅ローンか、夫婦がそれぞれ1本ずつ住宅ローンを組む「ペアローン」にする必要があります。夫名義の住宅ローンに妻が連帯保証人になる連帯保証型住宅ローンだと、夫婦の収入合算はできますが、住宅ローン控除は夫しか受けられません。

・不動産の持ち分は、夫婦それぞれの出資金額・住宅ローン借入金額の割合にもとづいて正しく決める実際には妻がローンの返済をしないのに、安易に「夫:2分の1、妻:2分の1」という持ち分にすると、夫から妻への贈与とみなされ妻に贈与税がかかることになります。夫一人では使い切れない住宅ローン控除枠を使うために夫婦共有名義にしたいのであれば、使い切れない住宅ローン控除分に見合った割合まで妻の持ち分を減らしましょう。

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■確定申告は忘れずに!

住宅ローン減税の申請のためには、入居して住宅ローンを借りた翌年の春に確定申告をします。通常の確定申告の時期は翌年の2月16日~3月15日です。ただし、住宅ローン控除や医療費控除のように払い過ぎた税金を返してもらう還付申告だけの場合は、翌年の1月1日から申告可能です。確定申告の提出先はその年の1月1日時点に住んでいる住所を管轄する税務署になります。

・確定申告に必要な書類

住宅ローン控除(税務上の正式名「住宅借入金等特別控除」)の確定申告に必要な書類には、基本的に以下のものがあります。

・土地・建物の売買契約書または建築請負契約書の写し(不動産業者・施工業者などから入手)

・土地・建物の登記事項証明書(法務局から入手)

・住宅ローンの年末残高証明書(金融機関発行)

・源泉徴収票(勤務先発行。会社員の場合)

・本人確認書類(マイナンバーカード要)

さらに、中古住宅で一定の築年数を超えている場合は次の書類も必要です。

・耐震基準を満たす証明書類(耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写しなど)

【税務署に用意してある用紙】

①「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」

②「確定申告書A」(給与・年金専用)または「確定申告書B」(すべての所得に対応)

まず、必要書類をもとに①の計算明細書を作成してから、必要事項を②の確定申告書に転記し、そのほかの項目を記入してから、①②と必要書類を提出することになります。この①②の用紙は税務署で入手する以外に、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。また、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」に必要事項を入力し、ホームページが自動的に作成してくれたファイルを印刷することもできます。

・確定申告書の提出方法

確定申告書や計算明細書、必要書類の提出には次の3種類の方法があります。

  1. 税務署に持参(窓口提出・専用ポストに投函)
  2. 税務署に郵送(3月15日の当日消印有効)
  3. e-Taxでデータ送信(3月15日の23:59まで送信・訂正送信が可能。ただし、マイナンバーカードの取得や電子証明書の取得・登録のために市区町村役所に出かけなければいけない、ICカードリーダーが必要といった事前準備が必要)

・会社員の場合2年目以降は年末調整で簡単に!

前述のように、書類をそろえたり作成したりとめんどうな1年目の確定申告ですが、2年目以降は提出書類がぐっと減りラクになります。さらに、会社員の場合は、2年目以降は年末調整だけで住宅ローン減税の申告を済ませることが可能です。

会社員の方が年末調整の際に勤務先に提出する書類は以下のとおりです。

  • 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(税務署から送付。9年分がまとめて送られてきます)
  • 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から送付)

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■個人住民税の住宅ローン控除の適用は特別な手続き不要

住宅ローン控除で所得税から引ききれなかった分は個人住民税からも控除できますが、この分について特別な手続きは必要ありません。

税務署へ確定申告した内容は、市区町村が把握できる仕組みになっているので、所得税から控除しきれなかった分は住民税から自動的に引かれます。すでに支払った住民税から戻ってくるわけではなく、翌年度の住民税が減額されるしくみです。

たとえば2021年の確定申告を2022年2~3月に行うと、所得税から還付される分は1~2ヶ月ほどで指定した口座に振り込まれます。住民税の通知がくるのは2022年の6月以降となりますが、そのときにはあらかじめ減額された住民税額が通知されるということになります。

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■せっかくならほかの制度も利用してみよう

マイホームの購入や建築・増改築のときはお金も手間もかかります。どうせかかる手間ならば、もう少しがんばって給付金を申し込んだり節税したりしませんか? ここでは住宅取得や確定申告に関連する給付金や節税方法をご紹介します。

・住まい給付金とは?

「すまい給付金」とは、2014年4月に8%へと引き上げられた消費税による住宅取得者の負担増を緩和するために設けられた給付金です。なお、すまい給付金は2021年12月までの期間限定給付金です。

すまい給付金のための主な要件には次のものがあります。

  • 不動産登記上の持ち分があること
  • 取得した住宅に自分で住んでいること
  • 収入が一定以下(消費税8%で住宅を取得した場合は年収510万円以下が目安、消費税10%で住宅を取得した場合は年収775万円以下が目安)
  • 住宅ローンを利用せずに現金で購入した場合は年齢が50歳以上
  • 住宅の床面積が50平方メートル以上
  • 中古住宅の場合は現行の耐震基準を満たすこと

給付額は、消費税が8%の場合は10万円・20万円・30万円の3通り、消費税が10%の場合は10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の5通りです。給付額は収入(都道府県民税の所得割額)によって決まり、収入が低いほど給付額が多くなります。

しかも、すまい給付金は住宅ローン減税と併用可能です。申請は郵送か窓口で行い、申請期限は住宅の引き渡しから1年3か月以内。すまい給付金の必要書類には住宅ローン減税の必要書類と重複するものがあるため、確定申告の際に一緒に用意すると手間が省けます。

・ふるさと納税との併用はできるの?

住宅ローン減税はふるさと納税と併用可能です。一般に「ふるさと納税」と呼ばれていますが、税務上は「寄附金控除」であり、医療費控除などと同様に課税所得を計算する際に引かれる各種控除の一つです。

ふるさと納税をして確定申告をすると、所得税が

「(ふるさと納税額-2,000円)×(所得税率+所得税率×復興特別所得税率)」

の分だけ減額になります。

また、住民税からは

「(ふるさと納税額-2,000円)×所得割税率10%」+

「(ふるさと納税額-2,000円)×{(100%-所得割税率10%)-(所得税率+所得税率×復興特別所得税率)」

分が減額になります。

したがって、所得税があまり高くなく住宅ローン減税だけで所得税がゼロになる人は、ふるさと納税による所得税の減額分だけ所得税の減額効果は減ってしまいます。しかし、住民税は住宅ローン減税では控除額に上限があるため、ふるさと納税による住民税への節税効果はあります。しかもふるさと納税のお礼の品をもらうことができるというおまけつきです。

なお、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を利用すると所得税からの減税はなく、ふるさと納税による減税額は全額住民税から差し引かれます。そのため、住宅ローン減税に影響することなく、ふるさと納税による減税効果をまるまる住民税に反映させることができます。ただし、「ワンストップ特例制度」を利用できるのは、ふるさと納税先の自治体が5つ以内で、かつ確定申告が不要な給与所得者などです。会社員の場合、住宅ローン控除の確定申告が必要な1年目は「ワンストップ特例制度」を使えませんが、確定申告が不要になる2年目以降はこの特例制度を利用できるようになります。

・医療費控除との併用は?

住宅ローン控除と医療費控除の併用も可能です。医療費控除を受けるためには確定申告をすると、所得税が「医療費控除額×(所得税率+所得税率×復興特別所得税率)」の分だけ減額になります。また、住民税からは「「医療費控除額×所得割税率10%」分が減額になります。

したがって、ふるさと納税と同様に、所得税があまり高くなく、住宅ローン減税だけで所得税がゼロになる人は、医療費控除による所得税の減額効果は減ってしまいます。しかし、住民税の方は住宅ローン減税では控除額に上限があるため、医療費控除による住民税の節税効果はあります。

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■まとめ

住宅ローン減税制度は10年間にわたって減税が続く節税効果が高い制度です。適用要件は比較的ゆるく、必要書類も用意するのに手間はかかっても「とても手に入らない!」というものはありません。2021年12月までにマイホームを取得した人は、がんばって住宅ローン減税のための確定申告をしましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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