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介護リフォームのポイントは?工事内容や費用相場、補助金について解説!

介護リフォームとは、要介護者が自宅で安全に暮らせる環境を整えるために、障害となる場所を解消する改修工事をいいます。介護リフォームには介護保険による補助金が利用できることもあります。介護リフォームの主な工事内容や費用相場などについて解説していきます。

介護 リフォーム

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■介護リフォームを行うタイミングは?

介護リフォームは介護が必要になったときに検討されることが多いですが、将来に備えてバリアフリー化などを進めておくと、安全に暮らすことができます。

・介護が必要になったとき

要介護認定を受けたときなど介護が必要になった後も、自宅で暮らしていく場合は介護リフォームをすると、家の中を安全に移動しやすくなります。バリアフリー化され、玄関や廊下、トイレ、浴室などに手すりがついていた方が、できるだけ自立した生活を維持しやすく、介助する側の負担も軽減できます。

・将来に備えて実施するという選択も

2013年に独立行政法人国民生活センターが発表したデータによると、65歳以上の高齢者の事故が発生した場所は住宅が77.1%を占めていました。加齢によって身体機能が衰えると、転倒などの事故が起こりやすくなります。しかし、実際に高齢になったときや介護が必要になってから、リフォームを行うのは負担が大きいです。大がかりなリフォームをする場合には、家を空けて仮住まいをすることもあります。元気なうちからリフォームで段差を解消するなど、安全な環境を整えておくことを考えてみましょう。

出典:独立行政法人国民生活センター|医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_3.pdf

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■介護リフォームプランのポイント

介護リフォームプランは、要介護者の身体の状態に合わせるとともに、介護がしやすいように配慮することもポイントです。また、将来を見据えて必要となるリフォームを行っておきましょう。

・要介護者の身体の状態に合わせる

介護を受ける要介護者ができるだけ自立した生活を送れるように、身体の状態に合わせてできるだけ自力で動きやすいようにリフォームします。たとえば、手すりを設置する場合、要介護者の身体の大きさや身体の状態によって、必要な箇所や取り付ける位置が異なります。また、車椅子で自走する場合は、無理なく車椅子で通行できるように廊下幅を確保することが必要です。

・介護者の負担を軽減する

要介護度が高いほど介助者にかかる負担も大きくなるため、介護リフォームでは介護者の負担を軽減できるように配慮することも大切です。たとえば、車椅子のまま玄関に入れる、トイレの入り口が広く出入りがしやすいといったつくりにすると、要介護者自身だけではなく、介護者の負担も軽減できます。

・将来を見据えて暮らしやすい住まいにする

リフォームの工事費用は一般的に、まとめて依頼した方が何回にも分けて工事を頼むよりも安くなります。介護リフォームをする際には、将来、身体機能が衰えると障害となりやすい箇所を改修して、暮らしやすい住まいにましょう。たとえば、段差の解消や玄関、廊下への手すりの設置、ドアから引き戸への変更といったことが考えられます。

ただし、なんとなく手すりをつけておいても、将来、介護が必要になったときに役に立たない場所であったり、車椅子での通行に邪魔になったりすることもあります。住まいの老朽化などでリフォームをする場合には、将来に備えておおむね手すりが必要となる位置に下地を入れておく方法もあります。介護リフォームのプロに相談して進めるとよいでしょう。

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■主な介護リフォームと費用相場

実際に介護リフォームではどのような場所をリフォームするのでしょうか。介護リフォームの主な工事内容と、単独で施工した場合の費用相場をまとめました。

・手すりの取付

手すりは移動の際の転倒を防止したり、つかまり立ちをしたりするために設置します。手すりを設置する場所は玄関や廊下、階段、トイレや浴室などです。手すりを使用する際には荷重がかるため、下地を入れるなど壁の補強工事が必要になるケースが多く、壁紙の張り替えも生じます。手すりの長さや壁紙を張り替える範囲による違いもありますが、数万円から10万円程度の費用が相場です。

・段差の解消

段差があるとつまずいて転倒する原因になりやすいです。また、車椅子で容易に移動するためにも段差の解消が必要です。玄関から廊下、居室、トイレや浴室などの水回り設備まで、利用頻度の高い場所を優先して、床の段差を解消します。

敷居によって生じている段差の解消は、敷居を取り除いてまわりの床面と同じ高さになるように、木を埋め込みます。このほかに、段差を解消する工事には床のかさ上げのほか、大がかりなリフォームをせずに、段差解消スロープを設置する方法があります。段差の解消のリフォーム費用は段差を解消する箇所や施工方法によりますが、2万円~15万円程度が相場です。

・廊下幅の拡張

車椅子で廊下を通行するためには、廊下幅の拡張工事が必要になることがあります。車椅子で通行するのに必要な廊下幅は85cmが目安。コーナーをスムーズに回るには、廊下幅は90cm必要です。

廊下幅を拡張するには、隣接する居室などとの間の壁を撤去し、新たに設置することになるため、比較的大がかりな工事となります。ただし、耐力壁になっている壁は撤去できないことがあるため、壁式構造のマンションや戸建てでは、廊下幅の拡張を行えないケースもある点に注意が必要です。廊下幅の拡張にかかる費用は30万円~100万円程度が目安になります。

・建具の変更

開き戸は開閉時に身体を大きく動かす必要があるため、車椅子を使用する人や身体が不自由な人には使いにくさがあります。また、開き戸を開けた際に向こう側に人がいると、ぶつかってしまう可能性があるため危険です。開き戸から引き戸への変更は10万円~15万円程度が目安になります。 また、開き戸から引き戸の変更が難しい場合、ドアノブからレバーハンドルに変えると、操作性が向上します。

・玄関スロープの設置

玄関ポーチと地面との段差を解消すると、車椅子や杖を使っての出入りが容易にできるようになります。玄関スロープを設置する方法が挙げられますが、スロープが急こう配では昇り降りがしにくく危険です。車椅子で要介護者が自走するには1/12の勾配、介護者が押す場合でも1/8の勾配は必要とされています。 たとえば、50cmの段差がある場合、1/12の勾配では6m、1/8の勾配でも4mの長さのスロープを設置することになるため、庭に十分な広さがなければ設置は難しいです。また、安全性を確保するため、スロープには手すりの設置が望ましく、杖で通行する場合にも安心できます。

スロープを設置する際には、スロープを設置する場所を確保するため、階段の一部または全部を撤去する工事や土間コンクリートのハツリ工事、門扉の撤去工事などが発生するケースがあります。スロープと手すりの設置工事は20万円程度が目安ですが、こうした付帯工事を合わせると40~50万円程度が相場になります。

・玄関の介護リフォーム

一般的な戸建ては玄関の上がり框と土間との高さに差があります。玄関の上がり框の段差は15cm内に納めるのが望ましいです。段差を解消するためにスロープを設置するのは、スペース上の問題から難しいことが多いため、土間の部分に新たに一段設ける、踏み台を置くといった方法がとられています。ただし、踏み台の幅が狭いと転倒を招く恐れがあるため、安定した姿勢で足や杖を置ける幅があるか、留意することが大切です。また、上り框の部分に手すりをつけると、玄関への昇り降りや靴の脱ぎ履きをする際に安心です。靴の脱ぎ履きをするときにかがんだり、片足で立ったりすることが負担になる場合には、腰かけを設置します。また、玄関が開き戸の場合は引き戸に変更すると、車椅子や杖を使用して出入りがしやすくなります。

玄関の介護リフォーム費用は踏み台の設置は1~3万円、手すりの取付は数万円、ベンチを壁付けで設置する場合は数万円~10万円程度が目安です。

・浴室の介護リフォーム

浴室の介護リフォームでは、脱衣室との間の段差の解消や、浴槽を半埋め込み式のまたぎやすい高さのものへの変更、滑りにくい床材への変更を行います。手すりは出入り口やシャワー水栓、浴槽の付近へ取付けますが、身体の状態などによって利用する際の動作が異なるため、要介護者に合った位置に設置することが大切です。車椅子を利用している場合は、浴室用の車椅子であるシャワーキャリーを設置すると、浴室内で移動しやすくなります。また、浴室が寒いとヒートショックによる事故の要因となるため、温度差を解消するには浴室や脱衣室への暖房機を設置します。

浴室のリフォームでは、ユニットバスの場合、後付けの手すりは部材としてありますが、浴槽の交換や穴開けを伴う工事は推奨されていません。在来浴室は部分的にリフォームすることもできますが、意外と高額になりやすいです。また、築20年を超えている場合は、一部を交換しても浴室全体の老朽化が進んでいくことから、全体を介護に向いたユニットバスに変更することを検討してみましょう。

在来浴室で部分的にリフォームする場合、床材の張り替え工事は10万円~20万円程度、手すりの設置は数万円程度、浴槽の交換は50万円~100万円程度、暖房設備の設置は10万円~20万円程度が目安です。在来浴室からユニットバスへのリフォームは、80万円~110万円位が相場になります。

・トイレの介護リフォーム

トイレの介護リフォームでは、介助するスペースの確保と便器へ移動しやすくすることがポイントになります。扉は開き戸から引き戸に変更すると、出入りがしやすくなり、介助者のスペースも確保しやすいです。便器が和式の場合は洋式に変更し、立ち座りの動作を補助するための手すりを設置します。また、必要に応じてトイレを拡張する、リビングや寝室に近い場所にトイレを移動や増設をすることも検討しましょう。

便器を和式から洋式に変更する費用は20万円〜40万円程度が相場です。トイレのスペースを拡張する場合は10万円~30万円程度、トイレを増設をする場合は40万円~60万円程度が目安になります。

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■介護リフォームの補助金とは?

介護リフォームは介護保険による補助金などの対象になるケースもあります。対象になる条件や補助金の額、申請の流れなどについて解説していきます。

・介護保険による補助金の対象と金額

介護保険による介護リフォームの補助金を利用できるのは、要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている人が対象となる自宅のリフォームを行うケースです。支給限度基準額は20万円で、収入に応じて1~3割が自己負担となるため、最大で18万円が補助されます。支給限度基準額の20万円までは分割して利用することも可能。要介護状態区分が3段階以上上がった場合や住み替えをした場合には、再度、支給限度基準額の20万円が設定されます。

・介護保険で補助金の対象となるリフォーム

介護保険の補助金の対象となる介護リフォームは決められており、6つあります。1つ目は手すりの取付け、2つ目は段差の解消。3つ目は滑りにくい床材や円滑に移動しやすい床材への変更。4つ目は引き戸などへの扉の変更、5つ目は洋式便座などへの変更です。6つ目は、これら5つの工事に関わる付帯工事になります。

・介護保険によるリフォームの補助金の申請の流れ

介護保険による補助金を利用して介護リフォームを行いたい場合は、やむを得ない事情がある場合を除いて、事前申請と事後申請が必要な点に注意が必要です。

介護リフォームを検討したら、まずは担当のケアマネジャーに相談します。リフォーム工事の施工業者を選択して見積もりやプランの作成を依頼した後、自治体に事前申請を行います。事前申請には、支給申請書と住宅改修が必要な理由書、工事費見積書、リフォーム前の住宅の状況がわかる写真、リフォーム後の予定状況を記した図面が必要です。自治体の承認を受けた後に着工し、一旦、工事費の全額を支払います。工事の完了後に、領収書と工事費内訳書、リフォーム後の状態を確認できる写真などを提出して事後申請を行うと、補助金の支給を受けられる流れです。

参考:介護保険における住宅改修
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf
名取市|介護保険住宅改修費の受給には「事前申請」が必要です
https://www.city.natori.miyagi.jp/soshiki/kenkou/node_246/node_8996#Anchortetsuduki

・自治体によっては独自の助成制度も

自治体によっては、介護リフォームに対して独自の助成制度を設けています。要介護認定や要支援認定を受けている人を対象としているケースや介護認定の被該当者を対象としているケース、年齢以外の特別な要件を設けていないケースなど様々です。介護リフォームを考えた際には、居住している自治体に独自の助成制度が設けられていないかチェックしましょう。

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■まとめ

介護リフォームは要介護者の身体の状態に応じて実施することが大切です。一方で、元気なうちからバリアフリー化を進めて家の中の障害を取り除いて将来に備えておくと、転倒などの事故を防ぐことができます。介護リフォームを得意とするリフォーム会社などのプロに相談し、身体の状態に合った介護リフォームを行いましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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