アパートを退去する際には、原状回復費用のほかクリーニング費用を請求されることが多いですが、いくらくらいかかるのでしょうか。敷金で足りるのか、敷金は返却されるのか、不安に思っている方は少なくないのでは。
そこで、アパートの退去費用の相場や借主の費用負担などについて紹介していきます。
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アパートの退去費用は敷金と相殺され、万が一、不足する場合には支払うことになります。アパートの退去費用は実際にいくらかかるのでしょうか。アトムくん編集部(https://mujin-keiyakuki.net/)が2020年に実施した賃貸物件の退去費用に関するアンケート調査をもとにみていきます。
間取り | 請求された退去費用の平均 |
ワンルーム、1K、1DK、1LDK | 49,980円 |
2K、2DK、2LDK | 79,924円 |
3DK、3LDK、4K、4DK、4LDK | 90,139円 |
出典:株式会社プラスワン|アトムくんお金について学ぶ|【引越し予定の方必見】実録!賃貸物件の退去費用を41.6%減額した方法
アパートだけではなく賃貸物件全般に関する調査になりますが、この結果から退去費用はワンルーム~1Kでは5万円程度、2K~2LDKでは8万円程度が相場といえます。当然のことではありますが、広さがある方がハウスクリーニングや修繕のコストが高くなる傾向があります。
居住年数 | 請求された退去費用の平均 |
~3年 | 49,431円 |
4年~6年 | 61,694円 |
7年~ | 87,090円 |
出典:株式会社プラスワン|アトムくんお金について学ぶ|【引越し予定の方必見】実録!賃貸物件の退去費用を41.6%減額した方法
こちらのアンケート調査も同様に賃貸物件全般に関するものですが、居住年数別の退去費用は3年までは5万円程度、4年~6年は6万円程度、7年以上は9万円弱が相場といえます。
ただし、居住年数が長い方が退去費用が高くなる傾向がありますが、通常の使用による自然損耗の原状回復費用は借主が負担する必要はありません。また、請求された退去費用の平均ですので、実際には交渉によって減額されたケースもあります。
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詳しくはこちら>>アパートの退去費用として請求され項目は、主に原状回復費用とハウスクリーニング代です。
賃貸借契約による原状回復の義務については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を示していましたが、2020年4月の民法改正によって、第621条で明文化されました。
(賃借人の原状回復義務)
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
引用:民法第621条|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
原状回復費用とは借りたときの状態に戻すための費用ではありますが、通常の使用によって生じた損耗や経年変化による劣化は対象に含まれていません。借主が負担するのは、故意や過失、善管注意義務違反、あるいは通常の使用を超える使い方によって生じた損耗や毀損などの損傷を修繕するための費用です。善管注意義務とは通常、期待される程度の注意義務をいいます。つまり、うっかりして過失によって壊した、わざと故意に壊したものなどが原状回復費用の対象となります。
ハウスクリーニング代とは、一般的に専門の清掃会社による特殊な道具や洗剤を使用した清掃費用です。床の清掃やワックスがけ、壁紙の清掃、キッチンや洗面台、浴室、トイレといった水回り設備の清掃、玄関まわりの床や下駄箱などの清掃、窓や網戸、ベランダの清掃など、部屋全体のクリーニングが行われるのが一般的です。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主が退去時にハウスクリーニング代を負担するのは、ゴミの撤去や掃き掃除、拭き掃除、水回りの掃除、換気扇やレンジ回りの油汚れの除去といった通常の清掃を実施していない場合に限られます。
ただし、賃貸借契約の特約によって退去時のハウスクリーニング代が借主の負担とされているケースが多いです。判例によると、賃貸借契約で通常の原状回復義務の負担を超えた特約が有効になるには、「特約の必要性があり、暴利的ではない」、「借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕などの義務を負うことを認識している」、「借主が特約による負担をする意思表示をしている」といった要件があります。
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詳しくはこちら>>実際にアパートを退去させるときの原状回復費用はどこまでが借主の負担になるのでしょうか。主に特約による規定がない場合に、オーナーと借主のそれぞれの負担になるものについてみていきます。
借主が通常、期待される程度の注意を払い、通常の使用や経年変化によって生じた損傷の修繕費用はオーナーの費用負担となります。
<オーナーの費用負担となるものの例>
・フローリングやカーペットに家具を設置した跡、凹み
・フローリングの色落ち
・畳の変色
・壁紙の変色
・壁の画鋲の跡
・テレビや冷蔵庫の設置による壁面の電気ヤケによる黒ずみ
・エアコンの設置による壁の跡やビス穴
・経年劣化による設備の故障
・地震などの自然災害によって割れたガラス
・自然に発生した網入りガラスの亀裂
次の入居者のために行う、畳替えやフローリングのワックスがけ、(破損や紛失がない場合の)鍵の交換、エアコンの内部洗浄などの費用はオーナーの負担となります。
借主の費用負担となるのは、故意や過失、通常、期待される程度の注意を怠る善管注意義務違反、あるいは通常の使用を超えた使い方による損傷の修理費用です。
<借主の費用負担となるものの例>
・カーペットに飲みものなどをこぼしたことによってできたシミやカビ
・窓を開けていて雨が吹き込んだことによるフローリングの色落ち
・エアコンの水漏れの放置による壁の腐食やカビ
・結露を放置したことによる壁などのシミやカビ
・引越し作業によるフローリングや壁などの引っかきキズや凹み
・キャスター付きの椅子の使用によるフローリングのキズ
・壁や床、建具などへの落書き
・タバコのヤニによる壁紙の変色や臭い
・壁などのネジ穴やクギ穴
・ペットによる柱などのキズや臭い
・冷蔵庫の下のサビ跡
・手入れを怠ったことによるキッチンの油汚れ
・手入れを怠ったことによる洗面台やトイレ、浴室の水垢やカビ
・鍵の紛失、破損による交換
・日常の手入れが不適切なケースや用法違反による設備の故障
壁紙は一部分に誤ってキズをつけてしまっても、色合わせや模様合わせを行うために、壁一面の壁紙の張り替え費用の負担を求められることがあります。フローリングも損傷のある箇所が複数に及ぶ場合には、部屋全体のフローリングの張り替え費用を負担するケースもある点に注意が必要です。
また、タバコを吸ったことによる壁紙の変色や臭いは、通常の使用を超える使い方となるため、原状回復義務の対象です。クリーニングで落ちない場合は部分補修は困難とされ、天井まで壁紙が変色している場合には、天井部分も含めた張り替え費用の負担も求められることがあります。
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詳しくはこちら>>アパートの退去費用を抑えるには退去のときだけではなく、入居時や入居中に気をつけておきたいポイントがあります。
入居当初からあるキズなどの損傷の修繕費用は支払う必要がありませんが、入居時の状況に対する認識の違いによって請求される恐れがあります。そこで、入居時には管理会社またはオーナーと一緒に、キズや設備の故障、不具合の有無を確認し、現況確認書を作成しておくのが望ましいです。
また、リストだけではなく、平面図にキズや故障個所を記入し、デジカメやスマートフォンで該当箇所を撮影したものを双方が保管しておくことが望ましいです。
設備などの故障や不具合が起きたときは、管理会社にすぐに連絡を入れるようにします。たとえば、エアコンの通常の使用によって水漏れが起きた場合は、修理費用や内装材などの補修費用はオーナーの負担です。しかし、エアコンの水漏れが起きたことを放置したことによって壁が腐食したり、カビが発生したりした場合の修繕費用は借主の負担です。
また、壊れたまま放置すると、経年劣化による故障と判断されず、退去時に原状回復費用として請求され、トラブルに発展する恐れもあります。
壁紙を破いてしまったり、あるいは備え付けの物入れを壊してしまったりするなど、故意や過失による損傷の修繕費用は借主の負担です。また、壁に画鋲ではなく釘を打って下地が損傷したケースや落書きをしたケースも、借主の負担となります。あるいは、換気を怠ったり、結露を拭かずに放置したりしたことで、カビが発生した場合も修繕費用を負担することになります。
また、タバコを吸っていると、壁紙の変色によって張り替え費用を請求されることがあります。
アパートでの暮らしでは部屋の使い方に気をつけることも、退去費用を抑えることにつながります。
定期的に部屋全体を掃除することが大切ですが、特にキッチンや、浴室や洗面所などの水回り設備の清掃を怠らないようにしましょう。
キッチンの掃除を怠ったことによる油汚れは原状回復義務の対象ですが、油汚れが蓄積していくと落としにくくなります。また、洗面台や浴室は換気や清掃を怠ると、カビや水垢が発生して、通常の掃除では取れない状態になることがあります。
「これを置いておいたら次の人が使うかもしれない」として、退去の際に私物を残していると、撤去費用を請求されることがあります。無断でエアコンを残したままにしている場合も同様ですので、エアコンをそのまま残していきたい場合には事前に管理会社やオーナーに相談しましょう。
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詳しくはこちら>>アパートの退去時には退去費用を巡ってトラブルが生じることがあります。よくあるトラブル事例を取り上げていきます。
入居時に既にあったフローリングや壁などのキズの修繕費用を退去時に請求されることがあります。こうしたケースの多くは入居時の状態に対して、管理会社・オーナーの側と借主が共通認識を持っていないことが要因です。
入居時は管理会社やオーナーの立ち会いのもとで、現況を一緒に確認することが望ましいです。難しい場合にはチェックリストや平面図に、キズや故障個所を記入し、デジカメやスマートフォンで該当箇所を撮影したものを添えた資料を2部作成し、管理会社に1部を送るといった対策をとっておきましょう。
壁の一部にキズをつけてしまった場合に、全面の張り替え費用を請求され、トラブルになるケースがみられます。しかし、壁にキズをつけてしまった場合の壁紙の張り替え費用は、原則として平米単位です。しかし、色合わせや柄合わせが必要な場合は壁一面の壁紙の張り替え費用を請求されるケースがあります。
退去費用として高額なハウスクリーニング費用を請求されるケースがあります。原則として通常の清掃を行っている場合には、原状回復義務としてハウスクリーニング費用を負担する必要はありません。
ただし、多くのアパートなどの賃貸物件では賃貸借契約の特約によって、退去時のハウスクリーニング費用を負担することが定められています。特約が認められるケースの要件は判例によって示されています。
要件の1つに「特約の必要性があり、暴利的ではない」というものがあり、明らかに相場を逸脱する高額なハウスクリーニング費用の請求は特約があっても認められていません。
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詳しくはこちら>>アパートなどの賃貸物件は家賃を払い続けても自分のものになることはなく、住み替えのたびに初期費用や退去費用が発生します。そこで、マンションなどのマイホームを購入して、資産形成を図るという選択肢もあります。
ライフスタイルの変化で住み替えをすることがあるかもしれませんが、立地条件のよい物件なら売却がしやすいです。また、リノベーション済み物件なら住宅ローンの月々の支払いは、賃貸物件の家賃と変わらない、あるいは同条件の物件で安くなる可能性もあります。
グローバルベイスでは、これまでにリノベーション済み物件を多数販売してきました。
https://www.globalbase.jp/renocolle/obje/detail_archive.php?pid=3402
一例を挙げると、東京都江東区の東京メトロ東西線東陽町駅周辺エリアで過去に販売していた物件は24時間有人管理で、間取りは2LDK+WIC、専有面積52平米で、販売価格は3000万円台でした。
https://www.globalbase.jp/renocolle/obje/detail_archive.php?pid=3522
こちらは東京都大田区の東急池上線千鳥町駅の周辺エリアに立地する物件。間取りは2LDK+WIC、専有面積は約50平米で4,000万円台での販売でした。
リノベーション済みマンションなら専有部分は真新しい状態で、新築よりも手頃な価格で手に入れることができます。
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詳しくはこちら>>アパートの退去費用は主に原状回復費用とハウスクリーニング代ですが、通常の使用による損耗については、借主が負担する義務はありません。原則として借主の原状回復義務の対象になるのは、故意や過失、善管注意義務違反、あるいは通常の使用を超えた使い方による損傷に関するものです。ただし、ハウスクリーニング代は賃貸借契約で特約で定められていることが多く、判例によって要件が示されています。
退去費用によるトラブルを避けるためには、入居時に現況を管理会社やオーナーと確認し、部屋の使い方に気をつけましょう。