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老後の賃貸暮らし、家賃相場は?老後2,000万円問題と住宅費用を解説

老後も賃貸住宅に住む人は、どれくらいの家賃を払っているのでしょうか?政府による生活費の調査結果から、老後に掛かる住宅費用を考えてみましょう。また、大きな話題となった「老後の2,000万円問題」についても解説します。

こんな方におすすめの記事です
  • 老後の2,000万円問題とは何か知りたい
  • 老後・定年退職後の家賃相場を知りたい
  • 老後に家を購入する場合の費用について知りたい

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■老後、賃貸で暮らすメリット・デメリット

・賃貸のメリット

◇住み替えしやすい

賃貸住宅なら収入やライフスタイル、価値観の変化に合わせて住み替えることができます。持ち家でも住み替えができないわけではありませんが、賃貸住宅に比べるとハードルが高いです。

◇固定資産税の支払いがない

不動産を持つ人は毎年固定資産税や都市計画税を支払う義務がありますが、賃貸住宅に住んでいればそれらの税負担は不要です。

◇修繕費用の負担がない

入居時からあった設備(給湯器やエアコンなど)が通常の使用方法で故障したとき、修理や入れ替えにかかる費用は家主の負担になります。

・賃貸のデメリット

◇資産にならない

賃貸住宅に住む限り、どれだけ家賃を払い続けても自分のモノにはなりません。持ち家であれば、必要に応じて売却したり人に貸し出したりすることができます。

◇自由にリフォームできない

賃貸住宅は原則的に原状回復義務があり、自分の都合でリフォームすることができません。例えば、老後に足腰が弱くなり手すりが必要になったからといって、工事をともなうバリアフリー化は選択できないことになります。

◇入居拒否に遭う可能性がある

賃貸住宅に入居を申し込むと審査を受けることになりますが、近年は高齢者の入居拒否が問題になっています。高齢になるほど認知症や孤独死のリスクが高まると考える大家さんは多いようです。

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■老後、賃貸で暮らす場合の家賃相場

・老後も賃貸住宅に住む人の割合

老後に賃貸住宅で暮らす人の割合はどれくらいなのでしょうか?総務省発表の「家計調査(2018年)」によると、平均年齢60歳以上の世帯のなかで「家賃・地代を支払っている世帯」の割合は下記のとおりでした。

世帯主の年齢が高くなるほど持ち家率も上がる傾向があり、老後に賃貸住宅で暮らす人はおよそ1割となります。

出典:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2018年(世帯人員・世帯主の年齢階級別)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20180&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330019&tclass3=000000330020&result_back=1

・老後の家賃相場

それでは、老後に賃貸住宅に住んでいる人はどれくらいの家賃を支払っているのでしょうか。少し前のデータになりますが、2013年の「住宅・土地統計調査」によると、民間の賃貸住宅に住んでいる夫婦世帯および単身世帯における、年齢層ごとの家賃の価格帯は下記のとおりでした。なお、いずれの表も家賃2万円未満および8万円以上の数値は省略しています。

【夫婦のみ世帯・民間借家】

【単身世帯・民間借家】

この調査内容からは、民間の賃貸住宅に住む世帯における家賃は、夫婦のみ世帯・単身世帯いずれも4〜6万円がもっとも多いことが分かります。

出典:住宅・土地統計調査 平成25年住宅・土地統計調査
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003105160

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■老後の2,000万円問題とは

2019年6月、いわゆる「老後の2,000万円問題」が大きな話題となりました。これは、金融庁が公表した報告書に、年金生活の夫婦世帯では毎月約5万円の不足が生じるため、20年で約1,300万円・30年で約2,000万円を貯蓄から補う必要があると記載されていたためです。

・2,000万円問題における家計の内訳

2,000万円問題の発端となった市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」には、2017年の家計調査のデータを引用した高齢夫婦世帯の収支モデルが記載されています。どのような内容なのか確認してみましょう。

○夫婦世帯の収支(夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯)
・収入:209,198円
主な内訳
└社会保険給付(年金):191,880円

・支出:263,738円
主な内訳
└食料:64,444円
└住居:13,656円
└水道・光熱費:19,267円
└交通・通信:27,576円
└保険・医療:15,512円
└被服および履物:6,497円
└家具・家事用品:9,405円
└教養・娯楽:25,077円

収入(209,198円)−支出(263,738円)=▲54,540

確かに、この収支モデルでは毎月約5万円の生活資金が不足することになります。しかし収支のバランスは各家庭により異なりますから、必ずしも「老後は2,000万円足りなくなる」というわけではないのです。

出典:
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
厚生労働省 提出資料 iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf

・賃貸住宅に住み続ける場合

東京で平均的な賃貸住宅(賃料月額6万円)に30年住むことを想定したシミュレーションです。

○家賃6万円・共益費1万円の2LDK
2年に1度の契約更新時に家賃1ヶ月分の更新料が掛かると想定しています。

・初期費用:家賃の半年分=36万円 …a
・住居費用:(6万円+1万円)×30年=2,520万円 …b
・更新費:家賃1ヶ月分×14回=84万円 …c
30年間の合計:a+b+c=2,640万円

30年間の合計は2,640万円となります。

・住宅費用は持ち家か賃貸かで大きく変わる

2,000万円問題の収支モデルでは住居費が13,656円となっており、高齢世帯における賃貸住宅(民営借家)の家賃のボリュームゾーンである4〜6万円とは差があります。これは、持ち家や賃貸住宅(民間・公営など)などをすべて含めた平均値のためです。住宅費用は持ち家なのか、賃貸住宅なのかで大きく変わってくるといえます。

・どれくらいの年金がもらえる?

厚生労働省が発表した2019年度の年金額改定によると、67歳以下の新規裁定者(新たに年金の受け取りを開始する人)の年金額の例は下記のとおりです。

○国民年金:65,008円(月額)
・老齢基礎年金(満額)1人分
○厚生年金:221,504円(月額)
・夫婦2人分の標準的な額(夫が平均的な収入額で40年間就業、妻はその期間すべて専業主婦と想定)

消費者物価指数の上昇に伴い2019年度は、2018年度に比べて0.1%のアップとなっています。

出典:平成31年度の年金額改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00003.html
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000468259.pdf

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■老後に家を購入する場合の資産計画

・家賃を払うかローンを返済するか

住宅を購入する場合、ローンを完済すれば自分のものになりますが、賃貸住宅では家賃を何年払い続けても当然自分のものにはなりません。また、人生が長くなるほど家賃の総支払額は大きくなっていきます。

日本人の平均寿命は毎年更新を続けており、今後も長寿命化の進行が予想されています。厚生労働省発表の「簡易生命表」によると、2018年時点の平均寿命は男性81.25歳・女性87.32歳で、60歳の人の平均余命は男性23.84歳・女性29.04歳でした。老後の期間が長くなる時代、定年後20年以上にわたる住居費用について考える必要があります。

出典:平成29年簡易生命表の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/index.html
主な年齢の平均余命
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-02.pdf

・住宅ローンは何歳まで組める?

住宅金融支援機構の「フラット35」では、住宅ローンの返済期間を最長35年間、完済時の年齢を80歳までの範囲で設定できます。民間金融機関の場合も、フラット35と同等かやや低い年齢を設定していることが多いようです。定年後にローンを組むことも可能ですが、返済期間が短くなるため融資を受けられる金額が低くなりやすいです。

・退職金をすべて充てるのは高リスク

住宅ローンの返済計画を考える際、退職金で残債を完済するプランはリスクがあります。病気や怪我などによる思わぬ出費が必要になる可能性もあるため、手元にある程度の現金を残しておきたいものです。

・自宅を担保に一括返済「リバースモーゲージ」

リバースモーゲージとは、高齢者を対象とした金融商品で、持ち家を担保に融資を受けることができます。一定以上の資産価値がある住宅を対象としており、契約者(夫婦)が亡くなったあと、金融機関が担保を売却して一括返済に充当する仕組みです。利息のみを返済していき、生存中に元本の返済義務はありません。主に一戸建てが対象でしたが、金融機関によってはマンションでも利用可能になってきています。

お金の受け取り方は、年金型・一括型・随時出金型などがあります。また、リバースモーゲージ型住宅ローンでは、新たに購入する住宅を担保に融資を受けられるため、自己負担額を大幅に軽減することが可能です。

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■老後の住宅購入費用と返済額を試算

60歳からの30年間の住居費用について、それぞれの居住形態でおおまかな試算結果を見てみましょう。住宅ローン返済期間は10年もしくは15年、固定資産税は30年間の平均値で計算。物件価格や家賃は東京都(市部)を想定しています。

・持ち家(戸建て)を建て替える場合

○ 既存の一戸建てを解体したのち、建て替えを想定しています。

・建築費用:1,800万円
・頭金:800万円 …a
・諸費用経費:90万円(物件価格の5%で計算) …b
・住宅ローン借入額:1,000万円 (返済期間15年、固定金利1.6%)

・ローン総返済額:約1,125万円(毎月の返済額:約6.3万円) …c
・固定資産税:10万円×30年=300万円 …d
30年間の合計:a+b+c+d=約2,315万円

・持ち家(マンション)をリノベーションする場合

○既存のマンションをバリアフリー住宅へフルリノベーションした場合を想定 しています。

・フルリノベーション費用:1,200万円
・頭金:600万円  …a
・諸費用:60万円(工事費用の5%で計算) …b
・住宅ローン借入額:600万円 (返済期間10年、固定金利1.6%)

・ローン総返済額:約650万円(毎月の返済額:約5.4万円) …c
・固定資産税:9万円×30年=270万円 …d
・共益費・修繕積立金:1.5万円/月×30年= 540万円 …e
30年間の合計:a+b+c+d+e=約2,120万円

・中古住宅(マンション)を購入してリノベーションする場合

○中古マンションを購入して、住む前にリノベーションすることを想定しています。

・中古マンション:1,800万円
・フルリノベーション費用:800万円
・頭金:1,200万円 …a
・諸経費:144万円(物件価格の8%で計算) …b
・住宅ローン借入額:1,400万円 (返済期間15年、固定金利1.6%)
・ローン総返済額:約1,576万円(毎月の返済額:約8.8万円) …c
・共益費・修繕積立金:1.5万円/月×30年=540万円 … d
・固定資産税:8万円/年×30年=240万円 …e
30年間の合計:a+b+c+d+e=約3,700万円

参考:返済額の試算│住宅保証機構株式会社
https://www.hownes.com/loan/sim/repayment.asp

・新築住宅家(マンション)を新たに購入する場合

○返済期間が短いため、多めの頭金を想定しています。

・物件価格:3,500万円
・頭金:2,000万円 …e
・諸経費:175万円(物件価格の5%で計算)  …e
・住宅ローン借入額:1,500万円(返済期間15年、固定金利1.6%)
・ローン総返済額:約1,688万円(毎月の返済額:約9.4万円) …e
・共益費・修繕積立金:1.5万円/月×30年=540万円 …e
・固定資産税:10万円/年×30年=300万円 …e
合計:a+b+c+d+e=約4,703万円

参考:返済額の試算│住宅保証機構株式会社
https://www.hownes.com/loan/sim/repayment.asp

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■まとめ

老後の住宅費用について解説しました。老後の2,000万円問題を参考に、自分の貯蓄や年金額を想定した資金計画を立てると良いでしょう。老後期間が長くなる現代では、定年後に住宅を購入するという選択肢もあります。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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