マンション価格の高騰はいつまで続く?高すぎる住宅価格の今後と2030年に向けた市場展望を解説

「マンション価格が高すぎて、今買うべきか迷っている…」「今後、価格はどう動くの?」――そんな不安や疑問を抱えている方は少なくありません。特に都市部ではマンション価格がバブル期並に高騰しており、将来の動向が気になるところです。この記事では、最新の価格推移データや住宅ローン金利の動向をもとに、今後のマンション価格はどう変わるのかを徹底分析。買い時の見極め方や、購入を検討するうえで注意すべきポイントもあわせて解説します。

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結論|住宅価格は二極化が進み、2030年に向けて“選ばれる物件”の条件が変わります

住宅価格の高騰について、今後も短期的には大幅な下落は起きにくい状況が続くと見込まれます。建築コストの高止まりや都心部の用地不足など、価格を押し上げてきた構造的な要因は、すぐには解消されないからです。

一方で、すべてのマンション価格が同じように上がり続けるわけではなく、2030年に向けて都心・駅近エリアや管理状態の良好な物件、人口減少が進む郊外や管理が行き届いていない物件との間で、価格の二極化が進む可能性が高いと考えられます。

これからマンションを購入する場合は、価格の底値を待つよりも、ライフプランと資金計画をベースに、立地・管理状態・修繕計画・省エネ性能を総合的に見極めて選ぶことが大切です。また、新築にこだわらず、中古マンションも含めて検討することで、予算内で納得感のある住まいを実現しやすくなります。

CONTENTS

■住宅価格高騰はなぜ起きている?

(株)不動産経済研究所の調査によると、2025年に首都圏で発売された新築分譲マンションの1戸当たり平均価格は9,182万円。前年比17.4%増となり、初めて9,000万円台に乗せて最高値を更新しました。なぜ、ここまでマンションの価格は上がり続けているのでしょうか。その背景には、複数の要因が重なり合っています。そのおもな要因を5つに分けて見ていきましょう。

出典:全国新築分譲マンション市場動向 2025年(年間のまとめ)│不動産経済研究所

・理由1:建築費・資材費の上昇

マンション価格を押し上げる大きな要因のひとつが、建築コストの上昇です。国土交通省が建設工事にかかる費用の統計「建設工事費デフレーター」を公表しています。それによると、工事種類「住宅総合」における2026年3月時点の指数は134.2を記録しており、2015年度の基準値(100)と比べると、約10年で建設コストが3割以上も上昇していることがわかります。

理由1:建築費・資材費の上昇
国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年基準)」をもとに作成

この背景にあるのは、円安の定着やエネルギー価格の高騰による建築材料(生コンクリートや鋼材・木材等)の価格上昇です。また、2025年4月以降は省エネ基準適合の義務化によって高断熱材や高効率設備の使用が求められるようになり、そのコスト上昇も加わっています。これらの要因が重なった結果、建築費の高止まりは当面続く見込みです。

出典:建設工事費デフレーター│国土交通省

・理由2:人手不足による建設コストの上昇

建築費を押し上げているもうひとつの構造的な問題が、建設業界の深刻な人手不足です。国土交通省の統計によると、建設業界の就業者数は1997年のピーク時には685万人でしたが、2024年には477万人まで落ち込み、実に200万人以上減少しました。マンション建設には、多くの職人や施工管理者が必要不可欠なため、人材確保のために人件費を引き上げています。

理由2:人手不足による建設コストの上昇
日本建設業連合会「建設業就業者数の推移」をもとに作成

建設業界では高齢化が進み、若年層の担い手が不足している状況です。国土交通省の資料では、2024年時点で建設業の55歳以上の就業者割合は全産業より高く、29歳以下の割合は全産業より低いことが示されています。このまま高齢就業者の退職が進むと、就業者数が2030年には400万人、2040年には300万人を下回る見込みです。

出典:
建設業の現状|日本建設業連合会
将来予測される様々な環境変化│国土交通省

・理由3:都心部の住宅用地不足

都心部では、マンションを新たに建てられる土地が限られており、用地の確保がますます難しくなっています。特に東京23区や主要駅周辺の生活利便性の高いエリアは取得競争が激化しており、地価の上昇がそのままマンション価格に反映される状況です。

まとまった土地を確保することが難しいなか、再開発エリアでは利便性や将来性への期待からニーズが集まりやすいです。建築費が高止まりしている状況と重なることで、都心部の新築マンション価格は高水準で推移しやすくなっています。

・理由4:長く続いた低金利環境と住宅ローン利用の拡大

2010年代から続いた超低金利政策も、マンション価格の上昇を支えてきた要因のひとつです。住宅ローン金利が低いと、利息が少ないぶん借入可能額を上げられるため、住宅価格が上昇しても購買力が保たれやすくなります。

しかし、2024年3月に日銀がマイナス金利解除へと方向転換したことで、同年の秋には変動金利の相場は0.15〜0.25%上昇しました。金融政策の正常化を受けて長期金利への上昇圧力が続いており、かつての「低金利が価格を押し上げた」という構図は過去のものとなりつつあります。

・理由5:インフレ・実物資産への需要

物価上昇が続く局面では、現金の価値が目減りするリスクへの意識から、不動産などの実物資産に関心が向きやすくなります。特に都心部や人気エリアのマンションは、居住用だけでなく投資・資産形成目的の需要も大きいです。

ただし、不動産の価格は需要・立地・金利など多くの要因に左右されるため、「インフレ局面だから必ず価格が上がり続ける」とは限りません。あくまで複合的な要因のひとつとして理解しておくことが大切です。

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■住宅価格高騰はいつまで続く?

住宅価格の高騰がいつまで続くのかを断定することはできません。ただし、短期的には建築費や人件費の高止まり、新築マンションの供給不足などにより、人気エリアのマンション価格が大きく下落する可能性は低いと考えられます。

一方で、2030年に向けては、すべての物件が同じように価格を維持するのではなく、立地や管理状態、省エネ性能などによって評価が分かれていく可能性があります。

・短期的には大幅下落しにくい理由

短期的に見れば、マンション価格が大きく下落する可能性は低いと考えられます。地価の高騰などから供給戸数が抑制されたままであることに加え、建築コストの高止まりが続いているためです。

一方で、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の首都圏における新築マンションの初月契約率は62.9%となり、好調の目安とされる70%を3年連続で下回りました。マンション価格の最高値更新が続くなか、購入検討に時間をかける動きが広がっており、売れ行きの鈍化が徐々に進行している可能性があります。

出典:首都圏 新築マンション市場動向│(株)不動産経済研究所

・2030年に向けて価格は二極化する可能性がある

2030年に向けてのマンション価格、エリアによる差がより鮮明になっていくと見られます。

2030年に向けて価格は二極化する可能性がある
国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」をもとに作成

国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の世帯数の将来推計」によると、日本の総世帯数は2030年の5,773万世帯をピークに、2050年には5,261万世帯まで減少する見込みです。

ただし、世帯総数の減少と「単身世帯の増加」は同時に進みます。単身世帯は2020年の2,115万世帯から2036年には2,453万世帯まで増加し、世帯全体に占める割合は2020年の38.0%から2050年には44.3%まで上昇する見通しです。

つまり、人口全体が減少しても、都心部・利便性の高いエリア・コンパクトな住戸への需要は底堅く残る可能性が高い一方、人口の減少が著しい郊外エリアや、利便性の低い地域では需要の縮小が避けられないと考えられます。

出典:
日本の世帯数の将来推計(全国推計) 令和6(2024)年推計│国立社会保障・人口問題研究所

・金利上昇が価格調整のきっかけになる可能性もある

日本銀行は2025年12月の金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.75%に引き上げ、さらに半年後の2026年6月には1.00%への追加利上げに踏み切りました。この利上げは円安を調整する狙いがあったとされ、市場関係者の間では、円安基調が続けば2026年内にもう一段の利上げが行われる可能性があるとの見方も出ています。

日銀の利上げに伴い住宅ローン金利も上昇しており、2025年6月には1.89%だったフラット35の金利は、1年後の2026年6月時点で3.21%となりました。(返済期間21〜35年、融資率9割以下の場合)

金利が上昇すれば、同じ年収でも借入可能額は目減りします。これまで超低金利が押し上げてきた購買力が逆方向に働き始めれば、特に「価格が高すぎる物件」「条件の弱い物件」「ローンの上限まで使って買っている層」では、価格調整が起こる可能性があります。

出典:金利情報│フラット35

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■マンション価格の今後を左右する5つの要因

マンション価格の動きには、さまざまな要因が複雑に関係しますが、おもに以下の5つによって左右されると考えられます。

・住宅ローン金利
・人口動態・世帯数の変化
・新築マンションの供給戸数
・再開発や交通利便性
・住宅の省エネ性能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

・要因1:住宅ローン金利

住宅ローン金利は、借入可能額に直結する大きな要因です。金利が1%上昇すると、月々の返済額は数万円単位で増加し、同じ年収でも買える物件価格の上限が下がるため、購買需要の縮小につながる可能性があります。日銀の追加利上げが今後も段階的に進む見通しが示されているなか、金利動向は今後のマンション価格を考えるうえで欠かせない指標といえるでしょう。

・要因2:人口動態・世帯数の変化

日本全体では人口減少が進んでおり、総世帯数は2030年の5,773万世帯をピークに、2050年には5,261万世帯まで減少する見通しです。一方で、単身世帯は増加傾向にあり、総世帯数に対する割合は2020年の38.0%から2050年には44.3%まで上昇すると見込まれています。そのため、世帯総数が減っても、単身者や夫婦のみ世帯に適したコンパクトな住戸への需要は底堅く残る可能性があります。

出典:日本の世帯数の将来推計(全国推計) 令和6(2024)年推計│国立社会保障・人口問題研究所

・要因3:新築マンションの供給戸数

マンションの供給が絞られた状態が続くと、需要と供給のバランスから価格が下がりにくくなります。(株)不動産経済研究所の調査によると、2025年の首都圏における新築マンションの発売戸数は前年比4.5%減の2万1,962戸となり、1973年の調査開始以来最少となりました。

2026年の供給見込みは2.3万戸と、前年比4.7%増になる見通しが示されていますが、過去の水準と比べると依然として低い供給戸数にとどまっています。建築費の高止まりや用地不足が続く限り、マンションの供給戸数が大きく増加して価格を押し下げる展開は考えにくいでしょう。

出典:全国 新築分譲マンション市場動向 2025年│(株)不動産経済研究所

・要因4:再開発・交通利便性

再開発や交通利便性も、マンション価格を左右する大きな要因です。駅近物件や、複数路線を利用できるエリア、商業施設や医療施設が整ったエリアは、将来も需要が見込まれます。

再開発プロジェクトが進行中のエリアは、周辺マンションの将来的な資産価値も維持されやすいと考えられます。新しい商業施設、オフィス、公共施設、公園などが整備されることで、魅力的な街としてのイメージが向上するためです。物件選びの際は、今現在の利便性だけでなく、「将来も選ばれやすい立地か」にも目を向けるとよいでしょう。

・要因5:省エネ性能・断熱性能

2030年に向けて、住宅の省エネ性能はマンション価格を左右する新たな評価軸になっていく見込みです。法改正により、2025年4月から新築住宅に「省エネ基準」への適合が義務化されました。さらに、2030年以降はZEH水準の省エネ住宅が新築住宅の標準になる方向性も示されています。

つまり、今後新築されるマンションは、現在よりもさらに高い水準の性能が求められるようになり、それが資産価値にも影響を与える可能性があります。「断熱性能が高い」「省エネ設備が整っている」「光熱費を抑えやすい」といった点も、住まい選びの判断材料になっていくでしょう。

出典:建築物の省エネに関する3つのポイント│国土交通省

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■新築マンション価格の今後はどうなる?

新築マンションの価格は、今後も大きく下がりにくいと考えられます。その理由を順に確認していきましょう。

・建築費の高止まりで価格は下がりにくい

新築マンションの価格は、建築費の動向と密接に連動しています。まず、円安基調の長期化やエネルギーコストの高止まりが、建築資材の価格を押し上げ続けています。さらに、建設業界では人手不足が続いており、施工に関わる職人や技術者を確保するための人件費が上昇中です。加えて、都心部では用地取得の競争が依然として激しく、土地の仕入れコストはダイレクトにマンション価格に影響を及ぼします。

資材費・人件費・土地取得費という3つの要素が同時に高止まりしている以上、新築マンション価格は下がりにくい状態がしばらく続くと見るのが妥当でしょう。

・新築供給は大きく増えにくい

新築マンションの供給戸数は、今後も大きく増えにくいと考えられます。特に都心部や主要駅周辺はすでに市街地化が進んでおり、新たに大規模マンションを建てられる土地が限られているためです。

そのなかでデベロッパー各社は、限られた用地・人員・資材を、より採算性が高い高価格帯の物件に絞って供給する傾向を強めています。その結果、供給戸数自体は伸び悩む一方で、物件価格は高止まりしやすいという構図が生まれています。

・高性能住宅・省エネ住宅の比率が高まる

今後の新築マンションでは、省エネ性能や断熱性能の重要性がさらに高まるでしょう。国土交通省は、遅くとも2030年までに新築住宅の標準をZEH・ZEB水準へ引き上げる予定であることを示しています。省エネ性能の向上は、将来的に住まいの価値を高める要素になる一方で、建築コストの上昇要因にもなり、結果として新築マンション価格をさらに押し上げる方向に働く可能性もあります。

■中古マンション価格の今後はどうなる?

新築マンションの価格高騰を受けて、中古物件の需要も高まっています。東日本不動産流通機構によると、2025年の首都圏における中古マンション成約件数は49,114件(前年比+31.9%)と3年連続で前年を上回り、成約㎡単価は82.98万円(前年比+7.9%)で13年連続の上昇となりました。ただし、エリアや管理状態によって今後の見通しは大きく異なります。

出典:首都圏不動産流通市場の動向(2025年)│東日本不動産流通機構

・人気エリアの中古マンションは底堅く推移する可能性が高い

都心部や駅近エリアの中古マンションは、今後も底堅い価格水準を維持する可能性が高いと考えられます。首都圏の中古マンション成約坪単価を都県別に見ると、神奈川県・千葉県・埼玉県では横ばいないしやや下落傾向にある一方、東京都のみが右肩上がりの価格上昇を続けています。

人気エリアの中古マンションは底堅く推移する可能性が高い
東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2015〜2025年)」をもとに作成

東京都の中古マンション価格の上昇の背景にあるのは、新築マンションの価格高騰を受け、中古物件を選択肢に加える層の需要です。中古マンションは、新築に比べて売り出し数が多く、人気の高いエリアでも物件を見つけやすい傾向があります。

出典:不動産市場動向(統計)│公益財団法人東日本不動産流通機構

・築古マンションは管理状態で差が広がる

東日本不動産流通機構によると、成約した中古マンションを築年帯別に見ると、坪単価が高騰している築0〜15年の築浅物件のシェアが徐々に低下し、逆に築31年以上の築古物件の成約割合が増加しています。平均築年数も伸びており、2015年は19.63年でしたが2026年には26.58年となっています。

築古マンションは管理状態で差が広がる
東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」をもとに作成

築古マンションへの需要が広がることで、修繕積立金の水準、大規模修繕の履歴、管理組合の運営状況といった「管理の質」によって、同じ築年数でも評価が大きく分かれる時代になっています。管理状態の良し悪しが、これまで以上に価格を左右する重要な要素になっていくでしょう。

出典:
築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)│東日本不動産流通機構

・中古購入+リノベーション需要は今後も拡大しやすい

新築マンションの高騰が続くなか、立地を優先しつつ、内装や設備は自分たちの希望に合わせてつくり直せる「中古+リノベーション」は、現実的な選択肢として、今後さらに存在感を増していく可能性が高いといえます。築年数の経ったマンションでも、間取りや内装・設備の見直しによって、新築同様の快適な住まいに再生することが可能です。物件探しの段階からリノベーションの可否や費用を確認しておくことで、購入後の後悔を防ぎやすくなります。

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■2030年に向けたマンション市場の展望

ここまで見てきた「価格高騰の背景」「今後を左右する要因」「新築・中古それぞれの動向」を踏まえ、2030年に向けたマンション市場の姿を、人口・世帯・供給・省エネ性能の視点から改めて整理します。

今後は「選ばれる物件」と「選ばれにくい物件」へと評価が分かれていく時代に入ると考えられます。

・展望1:都心部と郊外で価格差が広がる

都心部と郊外の価格差は、さらに拡大していく可能性が高そうです。世帯総数は2030年をピークに減少へ転じる一方、単身世帯や高齢世帯の割合は上昇を続けます。

コンパクトな住戸への需要が見込める都心部・利便性の高いエリアでは底堅い需要が続く一方、人口減少が著しい郊外エリア、特に車がないと暮らしにくい地域や、近隣の商業施設・医療施設が減少しているエリアは需要の縮小がより明確になっていくでしょう。

関連記事:マンションを買うなら都心と郊外どちら?新築と中古の違いも解説

・展望2:築古マンションの選別が進む

築古マンションは、今後さらに選別が進むと考えられます。築年数が古いこと自体が問題になるのではなく、管理状態よって明暗が分かれそうです。「修繕積立金が適切な水準に設定されているか」「大規模修繕が計画通りに実施されているか」「管理組合が機能しているか」こうした要素が、これまで以上に価格に直結するようになっていくでしょう。逆に言えば、適切に管理されてきた築古マンションは、立地さえ良ければ今後も一定の評価を維持しやすいといえます。

関連記事:
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・展望3:中古住宅市場の存在感が高まる

新築マンションの価格高騰を受け、中古マンション市場の存在感はさらに高まっていくと考えられます。新築の供給戸数が絞られるなか、中古住宅は物件数が豊富な点も魅力です。「新築にこだわらず、中古物件を選択肢に加える」という傾向はすでに鮮明になっており、それに伴ってリノベーション需要も拡大していくと見込まれます。立地を優先しながら、住まいの質は自分たちの手でつくり上げるスタイルが、大きな流れのひとつになっていく可能性があります。

■2030年以降の資産価値を左右する省エネ性能・断熱性能

これからのマンション選びにおいて、重要な判断材料になっていきそうなものが省エネ性能・断熱性能です。住宅の省エネ基準は段階的に引き上げられており、2030年以降の資産価値にも影響を与える可能性があります。

・2025年以降、省エネ基準適合が義務化される

2025年4月以降、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。省エネ基準とは、住宅が消費するエネルギー量を抑えるための基準です。それまでは建物の規模によって適合義務の有無が異なっていましたが、改正後はマンションを含む住宅についても、原則としてすべてが対象となりました。外壁や窓などの断熱性能に加え、冷暖房・給湯・照明・換気などの設備機器の効率も評価されます。

・2030年に向けて住宅性能の基準はさらに上がる

省エネ基準の引き上げは、2025年の義務化で終わりではありません。国土交通省は、遅くとも2030年までに省エネ基準を「ZEH(ゼッチ)」「ZEB(ゼブ)」水準へ引き上げる予定であることを示しています。

ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」、ZEBは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、いずれも断熱性能を高め、省エネ設備を導入し、さらに太陽光発電などによる創エネも組み合わせて、年間の一次エネルギー消費量の収支を実質ゼロに近づける住宅・建物です。マンションの場合は、住棟全体または住戸単位で省エネ性能を高める「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」という基準があります。

・断熱性能の高いマンションは将来評価されやすくなる可能性がある

断熱性能に優れたマンションは、今後その価値が認められやすくなると考えられます。住まいの断熱性能は、快適性・経済性・健康面のいずれにも関係するためです。断熱性の高い住戸は冷暖房効率が良く、月々の光熱費を抑えやすいだけでなく、ヒートショック(気温差による健康被害)などのリスク軽減にもつながります。

今後、表示制度などを通じて性能の「見える化」がさらに進めば、マンションの購入検討者が物件の比較をする際にも、断熱性能・省エネ性能が判断材料のひとつとして定着していく可能性があります。

・ZEH-M・GX志向型住宅が今後の差別化要素になる

新築マンションにおいて、「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」や「GX志向型住宅」といった、より高い省エネ性能を持つ住宅が、存在感を増していくと考えられます。GX志向型住宅は現行の省エネ基準を大きく上回る性能水準で、断熱等性能等級6以上かつ一次エネルギー消費量の大幅な削減率が求められる基準です。ZEH-Mは、マンションにおけるZEHの考え方で、高い断熱性と高効率な設備を導入し、住棟全体または住戸単位でエネルギー消費量を抑えることを目指します。国の支援事業でも、一定の基準を満たす新築・リフォームに補助金制度を設けており、住まいの性能向上を後押しする流れが強まっています。

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■マンションを買うなら今?待つべき?

マンション価格の今後を完全に予測することはできません。だからこそ、「価格がいつ下がるか」を待ち続けるのではなく、自分自身のライフプランに照らして総合的に判断することが大切になります。

・今購入した方が良い人

次のような方は、価格動向を過度に気にしすぎず、購入に向けて動き出すことを検討してよいでしょう。

・結婚・子どもの進学・転勤など、入居したい時期が明確
・資金計画にゆとりがあり、無理のない返済計画を立てられる
・希望するエリアや条件が明確に定まっている
・良い物件が出たときにすぐ動ける準備が整っている
・都心部・駅近など、人気エリアでの購入を検討している

住みたい時期が明確に決まっている場合、価格が下がるのを待つことでタイミングを逃すリスクがあります。人気の高いエリア・条件の物件は市場に出てもすぐに成約してしまうことが多く、良い物件に出会えたときに動ける準備ができていることが大切です。

・様子を見ても良い人

一方で、次のような方は、もう少し情報収集や市場観察を続けてもよいかもしれません。

・希望エリアや条件にこだわりがない
・転勤・家族構成の変化など将来の予定が読みにくい
・資金計画に不安がある
・住み替えを急ぐ事情がなく、時間的な余裕がある

エリアや物件タイプにこだわりがない方は、急いで決断する必要性は低いといえます。また、頭金や自己資金の準備が整っていない、収入の見通しが不安定であるといった場合は、まず資金計画を固めることを優先すべきでしょう。

・「価格の底」を待ちすぎるリスク

「もっと価格が下がってから買おう」という考え方には、注意が必要です。不動産価格の底を正確に予測することは難しく、値下がりを待っている間に、希望条件に合う物件が売れてしまう可能性があります。仮に数年後にマンション価格がいくらか下がったとしても、その間に住宅ローン金利が上がれば、毎月の返済額は思ったほど軽くならないかもしれません。また、現在賃貸住宅に住んでいる場合は、購入時期を遅らせることで家賃の支払いが続きます。

もちろん、焦って購入する必要はありません。しかし、「いつか安くなるかも」という理由だけで判断を先送りし続けると、条件の良い物件を逃す可能性があります。

■住宅価格高騰時代に後悔しない物件選びのポイント

価格が高騰している今だからこそ、冷静な判断基準を持っておくことが大切です。ここでは、特に重視したい4つのポイントを整理します。

・ポイント1:無理のない資金計画を立てる

物件価格だけに目を向けるのではなく、購入後にかかる総コストを踏まえた資金計画を立てましょう。ローン返済額・管理費・修繕積立金を合算した実質的な毎月の住居費で資金計画を立てることが、無理のない購入につながります。リノベーションを前提に中古マンションを購入する場合は、工事費用も含めた総予算を確認しましょう。

住宅ローンを変動金利で組む場合は、現在の金利水準だけでなく、将来的な金利上昇によって返済額が増える可能性も織り込んでおく必要があります。固定金利を選ぶ場合も、月々の返済額が家計に対して無理のない範囲に収まっているかを検討しましょう。

・ポイント2:資産価値が落ちにくい立地を選ぶ

将来的な資産価値の維持を考えるなら、立地選びはとても重要です。間取りや内装は後から変更することも可能ですが、立地を変えることは当然できません。資産価値が落ちにくい立地としては、「駅から近い」「複数路線が利用可能」「商業施設や医療施設が近い」「再開発が進んでいる」といった条件が挙げられます。

もちろん、郊外や駅から距離のある物件にも、広さや静かな住環境などの魅力があります。ただし、将来的な売却・賃貸を視野に入れる場合は、10年・20年後にも需要が見込めるエリアかどうかを意識した方がよいでしょう。

関連記事:駅近マンションの資産価値に影響する要素とは?特徴や売却時の注意点なども解説!

・ポイント3:管理状態を確認する

不動産業界では「マンションは管理を買え」と言われることがあります。築年数が古いマンションでも、管理状態が良ければ安心して暮らしやすく、反対に築浅でも管理に不安がある物件は要注意です。

修繕積立金が将来の大規模修繕に見合った水準まで積み立てられているか、長期修繕計画が現実的な内容になっているか、これまでの大規模修繕が計画通りに実施されてきたかを確認しましょう。管理組合の運営状況や、管理規約の内容(リノベーションに関する制約など)も、購入前に必ず確認しておきたいポイントです。

管理状態が良好なマンションは、外観や共用部の美観が保たれやすいだけでなく、将来の資産価値や売却のしやすさにも直結します。また、管理組合の運営に主体的に関わる姿勢を持つことも、良好な管理状態を維持するうえで大切です。

・ポイント4:断熱性能・省エネ性能も確認する

国が推進している新しい評価軸として、断熱性能・省エネ性能も判断材料に加えておくとよいでしょう。新築マンションであれば、ZEH水準・GX志向型住宅への該当状況を確認することで、将来の光熱費負担や快適性をある程度見積もることができます。中古マンションの場合は、建築時期によって断熱性能に大きな差があるため、必要に応じてリノベーションによる断熱改修がおすすめです。

■中古マンション購入+リノベーションという選択肢

マンション価格が高騰しているなか、新築マンションだけにこだわると、希望する条件の物件が、予算内で見つからないことがあります。そこで視野に入れたいのが、「中古マンションを購入してリノベーションする」という選択肢です。

・新築価格高騰への現実的な対策になる

新築価格が高騰するなか「中古マンション+リノベーション」は、住まい選びの現実的な選択肢になるでしょう。物件の購入価格を抑え、その差額をリノベーション費用に充てることで、新築では手の届かなかったエリアや広さの物件に住むことが可能になります。

単に費用を抑えるためだけでなく、希望するエリアで自分たちらしい住まいをつくる手段と考えると、物件探しの幅が広がります。購入後に想定外の費用がかからないよう、物件探しの段階からリノベーションの可否や費用感を確認しておくと安心です。

関連記事:物件購入&リノベーションする場合の費用・ローンはどれぐらい?

・立地を優先した住まい選びがしやすい

中古マンションの大きな利点は、立地選びの自由度の高さです。新築マンションは供給されるエリアが限られますが、中古マンションであれば、選択肢が大きく広がります。

中古住宅の売出しは広範囲に点在しているため、高い利便性と豊かな住環境が整った街に住みたい場合は、新築だけで探すよりも物件を見つけやすくなります。「中古マンション+リノベーション」は、立地を妥協せずに選べるという点で合理的な方法です。

・断熱改修・省エネリノベで住まいの価値を高められる

築年数の古いマンションでも快適性と省エネ性能を大きく向上させることが可能です。内窓の設置、高効率給湯器への交換、LED照明の採用、断熱材の追加、などにより、住み心地の向上と将来的な資産価値の両方にプラスの効果が期待できます。

中古マンションの大きなメリットである「立地・周辺環境の良さ」と、リノベーションによる「住宅性能の向上」を組み合わせることで、満足度の高い住まいづくりが実現できます。

関連記事:断熱リノベーションの費用は?部位ごとの相場や補助金制度について解説

■よくある質問(FAQ)

ここでは、マンション価格の高騰や今後の見通しについて、よくある質問をQ&A形式でまとめます。

・Q1. 住宅価格高騰はいつまで続きますか?

→A. 短期的には大幅な価格下落は起こりにくいと予想されます。

短期的には建築費や人件費の高止まり、新築マンションの供給不足などにより、人気エリアの価格が大きく下がる可能性は低いと考えられます。一方で、住宅ローン金利の上昇が始まっていることから、今後は価格の伸びが鈍化したり、エリアによって調整が生じたりする可能性はあります。

・Q2. マンション価格は今後下がりますか?

→A. 立地・管理状態・築年数によって動向が分かれると予想されます。

一律に下がるとは考えにくく、物件やエリアによって動向が大きく異なりそうです。都心部・駅近・管理状態の良い物件は底堅く推移する可能性が高い一方、人口減少が進む郊外や、修繕積立金が不足している築古物件などは、価格調整が生じる可能性があります。今後は、選ばれる物件と選ばれにくい物件の差が広がっていくでしょう。

・Q3. 2030年には住宅価格はどうなりますか?

→A. エリアにより二極化が進むと予想されます。

今後の住宅価格は二極化が進む可能性があります。日本の世帯数自体は2030年をピークに減少へ転じる一方、単身世帯の増加や都心部への需要の集中は続く見込みのため、都心部や駅近、生活利便性の高いエリアでは価格が底堅く推移すると予想されます。また、新築の供給が抑制された状態が続けば、価格の高止まりは継続しやすいでしょう。

・Q4. 断熱性能はマンション価格に影響しますか?

→A. 断定はできないものの、今後の価格に影響する可能性があります。

直接的に断定することは難しいものの、影響する可能性は十分にあります。断熱性能が高い住まいは冷暖房効率がよく、快適性の向上や光熱費の軽減に効果的です。2025年以降の省エネ基準適合義務化や、2030年に向けたZEH水準の標準化への流れを考えると、断熱性能は将来の資産価値を考えるうえでも無視できない要素になりそうです。

・Q5. 今マンションを買うべきですか?

→A. 価格の予測よりも、ライフプランと資金計画を重視しましょう。

住みたいエリアや入居したい時期が明確で、無理のない資金計画が立てられる方は、購入に向けて動き出してもよいでしょう。一方、資金計画に不安がある方は、急いで買うよりもまず収入や自己資金の見通しを固めることを優先するべきです。新築マンションにこだわらず、中古マンション購入+リノベーションも含めて検討すると、選択肢が広がります。

■まとめ|住宅価格の将来予測より、自分に合った買い時を見極めることが重要

マンション価格の高騰は、建築費・人件費の上昇、都心部の用地不足、長く続いた低金利環境といった複数の要因が重なって起きています。短期的に価格が大幅下落する可能性は低いものの、住宅ローン金利の上昇が始まったことで、エリア・物件ごとに評価が分かれる段階へと移行していくと考えられます。

こうした時代だからこそ、価格の底を待つよりも、ご自身のライフプランや資金計画に照らして、自分にとって納得できる選択かどうかを見極めることが大切です。「中古マンション+リノベーション」という選択肢は、現実的な住まいづくりのひとつの答えといえるでしょう。

「リノベーションを前提に中古マンションを探したい」「資金計画の立て方を知りたい」を相談したい方は、お気軽に無料セミナーや個別相談をご利用ください。

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執筆者情報マイリノジャーナル編集部
■ 編集者:村田日菜子

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建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

■ 監修者:原田 直生之

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編集者: マイリノジャーナル編集部
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