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持ち家は資産か負債か?マイホームの価値を決める指標について解説

今は賃貸住宅に住んでいても、いつかはマイホームを購入したいと考えている人は多いはず。持ち家は大きな資産となりますが、住宅ローンを組んで購入する以上、負債であるという人もいるようです。そこで、資産価値を測る指標として、ローン残高や固定資産税評価額について解説。また、持ち家を購入するリスクについても紹介します。

こんな方におすすめの記事です
  • マイホームが資産か負債か知りたい方
  • 資産価値の高い持ち家を購入したい方
  • マイホームが負債と言われる理由を知りたい方

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■「マイホーム」が負債と言われるようになった理由

昔の日本では、マイホームを建てることが一種のステイタスという価値観がありました。しかし最近では「マイホームは資産ではなく負債である」という意見もあります。

この考え方が広まったきっかけの一つが、ロバート・キヨサキ氏のベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」です。この本の中では、資産と負債が次のように定義づけられています。

資産:自分のポケットにお金を入れてくれるもの
負債:自分のポケットからお金を奪っていくもの

つまりマイホームは住宅ローン・固定資産税・維持管理費などでポケットからお金がでていくので負債だというわけです。

しかしこの説は本当に正しいのでしょうか?住居費というのは生きている限りかかるものなので、 住宅ローンを支払う=負債とは一概に言えません。物件の価格や資産価値によっても資産になるか負債になるかが変わってくるので、いまだに「マイホームは資産か負債か?」という議論が続いているのです。

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■持ち家は資産か負債かを決める指標やリスクとは?

まず、資産とは何かを考えてみましょう。一般的に「売却してお金を得ることができる」ものや、「利益を生み出すことができる」ものを資産と呼びます。

バブル景気の頃はローン金利こそ高かったものの、それ以上に土地や建物の価格が著しい上昇を続けました。そのため、投資家ではない一般の人でも、住宅を購入して値上がり後に売却、得た利益でさらに大きな住宅を購入して資産を増やすケースが多くありました。確かにこのような時代であれば、持ち家の購入は資産を形成する手段といえるでしょう。しかし、現代の不動産事情にはあてはまりません。

一方、負債とは、返済の義務がある借り入れのこと。住まいを一括で購入することができれば、持ち家は資産になりますが、ほとんどの人は住宅ローンを利用することになるため、借り入れを完済するまでは完全に自分のものにはなりません。これが「持ち家は資産か負債か」という議論に結びつくわけです。

それでは、住まいの資産価値を判断する指標と、持ち家を購入するリスクを順に解説していきます。

・指標①ローン残高

持ち家を購入すると資産を手に入れたことになりますが、同時に住宅ローンという負債を抱えることにもなります。住宅ローンの契約を結ぶ際、金融機関は購入する住宅に「抵当権」を設定します。抵当権とは、ローンの返済が滞った際に、担保(住宅)を売却して残債(ローン残高)の返済に充当することができる権利です。契約者がローンを完済するまで、住宅の抵当権を抹消することはできません。これが、持ち家が「資産ではなく負債である」といわれる大きな理由ですが、不動産価格からローン残債を差し引いた金額を資産価値と考えることができます。

一例として、価格:4,000万円(土地:2,000万円+建物:2,000万円)でRC造の持ち家を購入したと仮定して、おおまかな試算をしてみましょう。
・毎月の支払い:約12万円、ボーナス返済:なし
・固定金利:1.5%、返済期間:35年

○購入時
持ち家の価格(4,000万円)−ローン残高(4,000万円)=資産(0円)

持ち家の価格とローン残債が同じのため、資産はゼロということになります。

○20年後
・土地:2000万円、建物:1,120万円(880万円償却)
・ローン残債:約2,000万円
持ち家の価格(3,120万円)−ローン残高(約2,000万円) =約1,120万円

20年後は、ローン残高との差額約1,120万円 の資産を得たことになります。ローン残高が低いほど持ち家の資産価値が高く、完済すれば持ち家はまるごと資産になります。

住宅ローン自体は負債ではありますが、融資の審査をクリアした時点で、支払能力があると判断されたことになります。住宅ローンを継続して返済していくことは、社会的信用という資産を積み重ねることにもなるのではないでしょうか。

・指標②資産価値(固定資産税評価額)

持ち家を購入すると、毎年固定資産税を支払っていくことになります。国によって評価が決められる固定資産税額は、客観的な資産価値の指標となるでしょう。固定資産税は、「土地」と「建物」それぞれの固定資産税評価額から算出して合算されます。なお、不動産の相場価格(実際の購入価格)よりも低く評価されるのが一般的です。

◇建物の資産価値

建物部分の固定資産税評価額は、床面積や建物の構造、付帯設備などから自治体により決定されます。簡単にいえば、建築に掛かった費用が高い住宅ほど評価額は高めです。そして固定資産税評価額は一定ではなく、原則的に築年数の経過とともに減価償却に応じて下がっていきます。

減価償却とは、長期にわたり使用される高額な資産の課税額を算出する際に使用される方法です。資産価値は購入時から年々下がっていくものとされており、持ち家の構造により異なる耐用年数が定められています。

○耐用年数の一例(住居用)
・木造:22年
・木造モルタル造:20年
・鉄筋コンクリート造:47年

耐用年数を超えた建物には、資産価値がないと判断されることが多く、一般的に「一戸建て(木造)は20年で価値がなくなる」などと言われるのはこのためです。

ただし、ここでの耐用年数とは、あくまでも税金の算出に使用されるものです。耐用年数が過ぎたからといって、住めなくなってしまったり、住まいとしての価値が完全になくなってしまったりするわけではありません。

また、経年による最終残価率(下限)が20%に定められているため、耐用年数を超えても家屋の評価額および固定資産税がゼロになることもないのです。

◇土地の資産価値

一方、土地の資産価値は一定です。正確には、周囲の開発等による利便性の変化や、景気の動向により変動するのですが、建物部分の築年数には左右されません。

土地の固定資産税評価額は、路線価により算出されます。路線価とは、税金を算出するために公道に定められた指標金額で、毎年7月に国税庁により決定されるものです。持ち家の敷地が接する公道の路線価から、土地の広さによって算出され、土地の形状や立地(角地など)により評価が補正される場合もあります。

・指標③売却までの期間

持ち家を売却する場合、売出しから成約までの期間が価格に影響することがあります。売り出し価格が相場よりも高すぎると成約に結びつきにくく、なかなか売れなければ次第に値を下げることになり、最終的に大幅に値下げすることにもなりかねません。購入を検討している人にとっても、長期間市場に出ている物件は「売れ残り」という印象から迷いが生じる要因にもなります。

誰しも、できるだけ高く売却したいと希望するものですが、適切な売り出し価格の設定により、短期間で売却することも大切です。また、売却前に引越ししている場合は、成約までに時間が掛かるとローン返済と新居の家賃の二重の支払いの期間も長くなってしまいます。

・指標④団体信用生命保険

多くのローンでは、団信(団体信用生命保険)への加入が義務となっており、ローン残高と同額の保険に入ることになります。

具体的には、契約者が亡くなった・身体に高度障害が残ってしまった場合、ローン残債の全額が保険から支払われます。もし一家の大黒柱に万が一のことがあっても、配偶者や子どもに住まいを残すことができる仕組みです。

団信への加入が義務の場合、保険金額は毎月のローンに含まれており、任意加入の場合は、住宅ローンに上乗せする形で支払います。また、特約をつけて保証の範囲を広げる(がんや脳卒中なども保証の対象にする)ことも可能です。特約を付けると保険料は高くなりますが、安心感が増します。

金融機関によっては診断書の提出が必要な場合もあり、契約者の健康状態によっては団信への加入ができないケースもあります。なお、健康状態を偽って団信に加入すると告知義務違反となり、保険金が支払われないので申告は正直に行いましょう。

つぎからは、持ち家を購入するリスクについて確認していきます。

・リスク①育児/教育面での引っ越し障壁の高さ

持ち家のリスクは、身軽に動けなくなることです。賃貸住宅であれば、居住エリアや住まいの規模を変えるために引っ越すことができますが、持ち家の場合そう簡単にはいきません。

持ち家を購入するきっかけとして多いものが、子どもの誕生です。育児のしやすさや教育環境が住まいを決める要素にもなります。しかし、住み始めてから近隣の学校が教育方針に合わないと判明することもあるようです。

住宅ローン返済中でも住宅を売却することは可能ですが、残債を一括で返済するか、新居を担保に新たなローンを組むことになります。しかし必ずしも希望する金額で売れるとは限りませんし、入学や新学期に合わせて売却を急ぐと、相場よりも安い価格での取引となってしまうケースもあります。

そのほか子どもの教育以外にも、離婚・介護・予期せぬ転勤といったライフスタイルの大きな変化によって、住み替えを余儀なくされる可能性も考えておいたほうが良いかもしれません。

・リスク②貯金ができないこと

住居費用を抑えて、子どもの教育費用や貯金に回したいという考えもあるでしょう。持ち家を購入する際に必要なの購入は大きな出費は大きくとなり、貯金がしづらくなる要因になります。

住宅価格だけではなく、初期費用として頭金や諸費用が必要です。そのほか、毎年の固定資産税の支払いも必要になります。また、賃貸住宅であれば大家負担となる住宅設備の修繕費用も、持ち家の場合は自分で支払わなければいけません。

近年、住宅ローン金利は史上空前の低水準で推移しています。それでも数千万円単位の大きな買い物ですから、金利は数百万円単位で掛かりますし、返済期間が長いほど支払い総額は大きくなります。

勤務先によっては社宅の提供や、住宅手当(家賃補助)が支給される会社もあるでしょう。一般的に、持ち家を購入した場合は手当の対象外になる事が多いようです。賃貸住宅に長く住むほど、貯金はしやすくなります。

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■持ち家を資産にするためにできること

以上のことから、持ち家の購入は資産と負債どちらにもなり得るといえます。それでは、資産の要素を大きくするためにはどうすれば良いのでしょうか?

・客観的な資産価値

持ち家のリスクのひとつ「住み替えにくさ」は、資産価値の下がりにくい物件を選ぶことでカバーしやすくなります。一般的に築浅物件ほど売りやすい・貸しやすいですが、築年数が古くても人気が高い物件も存在するものです。

資産価値が下がりにくい物件の特徴
・人気の高いエリアにある
・最寄り駅からの距離が近い
・周囲に商業施設や公共施設が充実している
・建物の耐震性能や耐久性が高い

・リフォームして貸すのも手

マイホームの出口戦略として、売却する以外に賃貸に出すという方法もあります。一般的に建物の価値は築年数とともに下がっていきますが、適切にリフォームすれば市場での価値を上げることも可能です。

リフォームして貸す場合のメリットは、継続的な家賃収入が得られること。売却とは違って、将来的に同じエリアに戻ってくることになれば、賃貸経営をやめて再び自分で住むことも可能です。そもそも居住用として低金利の住宅ローンを利用して購入しているため、最初から投資用として物件を購入するよりも効率よく資産形成できます。

一方デメリットとしては、借り手がつかないときの空室リスクが挙げられます。空室リスクを考慮に入れて、どのくらいの利益がでそうか計算するとよいでしょう。なるべく空室の期間をつくらないよう、需要の高いエリアで住まい選びをしておくことも大切です。また物件の維持管理や入居者募集などにかかる手間やコストも考えておきましょう。

・自分や家族にとっての資産価値

持ち家は、資産評価や市場における価値だけではなく、自分や家族にとって価値の高いものであるかも重要です。マイホームを持つことは、帰る家があるという安心感や、仕事に対するモチベーションの維持にもつながるでしょう。そのような資産価値を実感するためには、ライフスタイルや価値観に合った、満足度の高い住まいを選ぶことが大切です。

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■まとめ

持ち家の資産価値を考える指標と、負債とされる要素を解説しました。マイホームの購入は資産と負債の両方の側面を持ちますが、単純な計算だけでは計れない部分もあります。固定資産税やローン残高から客観的に導き出される資産価値と同時に、自分や家族にとって満足度の高い住まいであるかどうかもしっかりと考えていきましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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