住まい選びを変える 中古マンション×リノベーション

ペアローンとは?メリットデメリットや住宅ローンの収入合算をわかりやすく説明

ペアローンとは?メリットデメリットや住宅ローンの収入合算をわかりやすく説明

住宅ローンは単独でローンを組む方法のほかに、ペアローンや収入合算といった組み方があります。ペアローンによって、夫婦など2人で住宅ローンを組むと、購入できる物件の選択肢が広がります。

今回はペアローンの概要について紹介し、メリットやデメリットなどを押さえたうえで、収入合算についても触れていきます。

こんな方におすすめの記事です
  • ペアローンとは何か知りたい方
  • ペアローンのメリット・デメリットを知りたい方
  • ペアローンや収入合算を検討されている方

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■住宅ローンにおけるペアローンとは?

住宅ローンにおけるペアローンとは?

住宅ローンのペアローンとは、1つの物件に対して2人がそれぞれ契約者となって住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人になるローンの組み方をいいます。ペアローンを組めるのは、同居する夫婦や親子のほか、同性パートナーなど、金融機関によって決められています。

ペアローンを組むには対象となる物件を共有名義とし、それぞれが金融機関ごとに定められた借入条件を満たしていることが必要です。住宅ローンの借入にあたっては、年齢や健康状態、年収、勤続年数などによる審査があります。

つまり、ペアローンとして組むと、2本の住宅ローン契約を結ぶことになります。それぞれが契約者として返済義務を負うとともに、連帯保証人として相手の債務を保証する形です。固定金利や変動金利といった金利タイプはそれぞれが選択でき、それぞれの講座から返済額が引き落としされます。

さらに民間の金融機関の住宅ローンでは、それぞれが契約者として団体信用生命保険に加入します。亡くなった契約者の残債は団体信用生命保険によって支払われるため、残された契約者は、自分の契約した住宅ローンのみを返済することから、万が一のときも安心です。

また、住宅ローン控除も要件を満たしていれば、2人の契約者のいずれも利用することが可能です。そのため、ペアローンはそれぞれが一定の収入がある共働き夫婦などに用いられています。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■ペアローンのメリット

ペアローンのメリット

住宅ローンをペアローンで組むと、一定の要件を満たしている場合に住宅ローン控除の適用を契約者それぞれが受けられるほか、借入額が増えるという面でもメリットがあります。こうしたメリットについて、共働き夫婦の場合をもとにみていきます。

・住宅ローン控除を夫婦それぞれで受けることができる
ペアローンで組むと、住宅ローン控除を夫婦それぞれが受けることができるのが大きなメリットとして挙げられます。

共働き夫婦は、収入合算によって住宅ローンを借りるという方法もあります。しかし、収入合算の場合は、夫婦の一方が主債務者となる契約者として住宅ローンを契約し、もう一方は連帯保証人になるという形をとります。しかし、住宅ローン控除の対象になるのは契約者に限られていることから、契約者となる夫婦のいずれしか住宅ローン控除を利用できません。

そのため、夫婦それぞれの所得や住宅ローンの借入額にもよりますが、夫婦のいずれも契約者となるペアローンは、住宅ローン控除を利用できる点がメリットといえるのです。

住宅ローン控除はたびたび制度の改正が行われていますが、要件を満たしている場合に借入限度額の範囲内で、年末の住宅ローンの残高の0.7%を所得税から控除を受けられる制度です。所得によっては所得税から引き切れないケースもありますが、一定の範囲内で住民税から控除を受けられます。控除期間は、新築住宅は13年間、中古住宅は10年間です。借入限度額は中古物件を取得して2022年から2025年に入居した場合は、認定長期優良住宅などは3,000万円、一般住宅で2,000万円です。

一般住宅に該当する中古物件のケースで、夫婦それぞれが年間最高で14万円の税金が控除されることになります。

参照:国税庁|No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

参照:国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

・借入額を増やすことができる

住宅ローンはペアローンを利用することで、夫婦のいずれかが単独で借入を行う場合よりも、借入額を増やせることもメリットです。夫婦がともに住宅ローンの契約者となることで借入可能額が大きくなれば、購入する物件の選択肢が広がります。希望する物件の住宅ローンの審査が夫婦のいずれかが単独でローンを組む場合には通らなくても、ペアローンにすることで審査をクリアできる可能性もあります。

住宅ローンの借入可能額の基準は金融機関によって異なり、民間の金融機関からは公表されていません。一般的に契約者の年収や年齢、マイカーローンやカードローンなど他の借入状況のほか、物件の価格も担保となるため影響するとされています。年収は重要な基準となるため、ペアローンにすると住宅ローンを借りられる額が増えるのです。

ただし、住宅ローンの借入可能額は収入合算を行う場合でも増やすことができます。ペアローンの場合は2本の契約の住宅ローンという扱いになるため、それぞれが金利タイプや借入期間を選べるという点もメリットとなります。

しかし、金融機関から住宅ローンを借りられる額と、実際に無理なく返済できる額には違いがあります。また、今後、金利が上昇することが予想されていることからも、ペアローンにすると借入可能額が増えるとはいえ、無理のない範囲内の借入としましょう。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■ペアローンのデメリット

ペアローンのデメリット

住宅ローンをペアローンで借りるとメリットがある一方で、金銭面でもデメリットもあります。共働き夫婦はペアローンを選択すると必ずしもお得になるとは限らないため、デメリットも踏まえたうえで利用を検討しましょう。

・印紙代や事務手数料などの費用が2人分になる
ペアローンは住宅ローンの契約を2本行うことになるため、諸費用が2名分になることから、諸経費が増えることもデメリットです。ただし、諸経費によっては住宅ローンの借入額に対する一定の割合を支払うため、すべてが2倍になるわけではありません。

たとえば、住宅ローンの消費貸借契約書に貼付する収入印紙代は、記載金額が1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円です。4,000万円の借入を行う場合に、単独でローンを組む場合は2万円ですが、ペアローンでは4万円になります。

参照:国税庁|No.7101 不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書

また、住宅ローンの事務手数料の料金体系は、金融機関によって定額型と定率型があります。定率型の場合は借入金額が多ければ多いほど高くなる仕組みのため、単独でローンを組む場合とペアローンの場合でほぼ変わりません。一方、定額型の場合は借入金額に関わらず料金が決まっているため、ペアローンでは2倍の費用を支払うことになります。さらに定額型を中心に保証料が必要になる場合もあります。

・退職した側の住宅ローン控除が受けれなくなる

ペアローンは共働き夫婦など2人の契約者のいずれも住宅ローン控除の適用を受けられことがメリットではあります。しかし、住宅ローン控除は、年末のローン残高をもとに所得税などが税額控除される制度のため、退職してしまうと恩恵を受けることができない点がデメリットに挙げられます。

こうしたケースでは、退職しない側が単独で住宅ローンを借りていた方が借入額がまとまって大きな金額になるため、多くの税額控除を受けられたケースもあります。ペアローンにした結果、税額控除されない所得が残るケースが該当します。

出産や育児、介護などの理由から、将来的に仕事を辞める可能性もあるため、ライフプランを見据えて住宅ローンの組み方を検討しましょう。

・万が一のことがあっても一方の返済義務は残る

ペアローンは団体信用生命保険にそれぞれが加入できることができるため安心ではあるものの、いずれかが亡くなった場合には保険金で残債が返済されるのは亡くなった側の分だけです。そのため、もう一方の返済義務は残るという点がデメリットともいえます。

たとえば、単独で夫が住宅ローンを組み、夫が亡くなった場合には、残債は全額、団体信用生命保険の保険金で支払われます。しかし、ペアローンで夫と妻が住宅ローンを組み、夫が亡くなった場合には妻は自分の分の住宅ローンの返済が続くことになります。

ペアローンを組むことを検討する際には、万が一、いずれかが亡くなった場合に、残された側が無理なく支払いを続けられるか、熟慮することが大切です。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■ペアローンを組むときの注意点やリスクは?

ペアローンを組むときの注意点やリスク

ペアローンは住宅ローンを2つ契約するという形態のため、リスクもあります。特に問題になることがあるのは、夫婦で組む場合には離婚をする際のリスクです。また、贈与税が発生する可能性があるため、持ち分割合にも注意する必要があります。

・離婚時に処理に困る

住宅ローンをペアローンで組むと、万が一、離婚することになったときの財産分与で困るケースがある点に注意が必要です。離婚時には売却するか、いずれかが住むのが主な選択肢となります。

売却を選択して、住宅ローンの残債の合計を売却金額が上回るケースでは、売却代金を財産分与の対象にできるので問題はありません。しかし、住宅ローンの残債の合計を売却価格が下回るケースでは、貯金などで差額を補填できなければ売ることができないのです。

また、いずれかが住み続ける場合に、名義変更を行って住宅ローンを一本化できるかは金融機関の判断次第となります。物件を単独で所有していく側の収入や残債、物件の評価によりますが、ハードルが高いとされています。

・贈与税がかかる場合がある

不動産を共有名義で購入する際には、登記を行う際に出資割合と持ち分比率を合わせるのが基本です。出資割合と持ち分比率が異なる場合には、贈与税が発生する可能性があります。ペアローンを組む際には、頭金と住宅ローンの借入額のそれぞれの金額をもとに、持ち分比率を決めます。たとえば、夫が頭金1,000万円で2,000万円のローンを組み、妻は頭金を負担せずに2,000万円のローンを組んだときの持ち分割合は、夫60%、妻40%とするのが基本です。

また、繰り上げ返済を行う際にも注意するべき点があります。ペアローンで一方の資金でもう一方の繰り上げ返済のための資金を負担すると、贈与とみなされて贈与税が発生する可能性があります。たとえば、共働き夫婦がペアローンを組み、夫の資金で妻の分の繰り上げ返済を行うといったケースです。ただし、贈与税は年間110万円の基礎控除がありますので、贈与税の対象となる可能性があるのは、年間110万円を超えて繰り上げ返済の資金を負担した場合になります。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■収入合算とは?

収入合算とは?

収入合算とは、契約者となる主債務者と夫婦や親子といった親族の収入を合算して、1本の住宅ローンを借りる方法です。民間の金融機関の多くは収入合算者が連帯保証人となり、主債務者のみが団体信用生命保険に加入し、収入合算者は住宅ローン控除の適用を受けられない連帯保証型です。フラット35の「デュエット」などでは、収入合算者は連帯債務者となり、収入合算者も団体信用生命保険に加入し、住宅ローン控除の適用が受けられる連帯債務型です。

・収入合算の計算方法とは?

住宅ローンの借入可能額は、年収に占める返済額による返済負担率で決まります。そのため、返済負担率の上限は金融機関によって異なりますが、収入合算によって借入可能額が増やせる可能性が高いです。

ペアローンでは基本的にそれぞれの収入に応じて借入可能額が決まります。一方、収入合算の場合は、金融機関によっては収入合算者の収入のうち合算できる収入が制限されることがあるとされています。

フラット35では、基本的に収入合算者の収入を全額合算できると規定されています。たとえば、夫の年収が600万円、妻の年収が300万円の場合は、妻を収入合算者とすることで年収900万円として借入可能額が設定されます。フラット35のシミュレーションを利用して借入可能額を算出すると、金利2.4%、借入期間35年間の場合で、年収600万円では借入可能額は5,169万円、年収900万円では7,754万円になります。

参照:住宅金融支援機構|フラット35|年収から借入可能額を計算

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■共働きの住宅ローンのケース別解説

共働きの住宅ローンのケース別解説

共働き夫婦は夫婦のいずれかが単独で住宅ローンを組む以外にも、ペアローンや収入合算という選択肢があります。夫婦の収入の差による向き・不向きがあるため、どの方法が向いているのか、ケース別に解説していきます。

・単独契約推奨の場合:片方が収入の大半を担っている家庭(もう片方が被扶養者)
共働き夫婦のうち、片方が収入の大半を担い、もう片方は被扶養者の場合は単独で住宅ローンの契約をするのが向いています。片方がパートでの勤務などで安定した収入が得られていない場合には、収入の大半を担っている側のみの収入をもとに住宅ローンを組んだ方が安全です。

また、収入合算の場合も、基本的に収入合算者は安定的な収入があることが求められています。金融機関によっては年収200万円以上といった基準があり、扶養の範囲内の収入を得ているケースでは収入合算も選択できないことがあります。

・収入合算推奨の場合:夫婦で収入の差がある家庭

共働き夫婦で夫婦ともに安定した収入があり、収入の差があるケースで、借入可能額を増やすには収入合算が向いています。連帯保証型では収入が多い方が主債務者、もう一方の少ない側が連帯保証人となります。

ただし、連帯保証型では主債務者のみが団体信用生命保険に加入するため、収入合算者が亡くなっても、返済額は変わりません。主債務者のみの収入で生活するのが難しい場合には、主債務者だけではなく、収入合算者も生命保険に加入しておくと安心です。

・ペアローン推奨の場合:夫婦双方にある程度以上の収入がある

夫婦共にある程度収入がある共働き夫婦は、ペアローンが向いています。ペアローンは夫婦ともに団体信用保険に加入し、住宅ローン控除も受けることができます。ただし、いずれかが亡くなったときには、亡くなった側の残債は保険金で返済されますが、もう片方の支払いは残ることを念頭において、生命保険などを検討しましょう。

さらに万が一、離婚した場合に物件の取り扱いに困らないように、資産価値も考慮して物件を選ぶのが望ましいです。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■まとめ

ペアローンを組むことで、単独で住宅ローンを借りるよりも借入可能額を増やせる可能性があります。ペアローンは双方が契約者として2本の住宅ローンを組み、団体信用生命保険に加入し、住宅ローンの適用を受けられるのが特徴です。一方でペアローンは片方が亡くなった場合や、夫婦では離婚したときのリスクがあります。ペアローンの特徴を理解したうえで、利用する際にはライフプランを考慮して無理のない範囲内の借入としましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
お探しの情報が見つかります