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住宅購入は消費税増税の前後で何が変わる?お得なのはどっち?

消費税の10%への増税を10月に控えた今、増税前に住宅購入をするべきなのでしょうか。増税後の住宅市場の冷え込みを防ぐため、増税後は政府の支援策も用意されています。物件種別による増税による影響の違いや政府による支援策を解説したうえで、いつ買うべきか判断するためのポイントについても触れていきます。

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■不動産購入で消費税増税の影響があるのは?

不動産購入でかかるお金すべてに消費税が課税されるわけではありません。また、増税後の税率が適用されるタイミングについても把握しておきましょう。

・住宅購入で消費税の対象になるもの

不動産取引に関する消費税は、売買代金のうち土地に関する部分は非課税ですが、建物に関する部分は課税対象です。ただし、売主が個人の場合の個人間取引は、基本的に非課税ですが、投資物件の場合は課税対象になる場合もあります。また、不動産会社への仲介手数料が発生する場合、消費税が課税されます。

このほか、住宅購入に付随して発生するものをみていくと、ローンの事務手数料や司法書士への報酬、リフォーム費用などは消費税の課税対象です。火災保険料や地震保険料、ローン保証料は非課税となっています。

・増税後の税率が適用されるタイミング

住宅の売買代金に関する消費税は、2019年10月1日以降に引き渡しが行われた物件から税率が10%になります。仲介手数料にかかる消費税は売買契約を結んだ日が基準で、2019年10月1日以降は税率が10%です。また、注文住宅など請負契約を結んでいる場合は、引き渡しが2019年10月1日以降であっても、2019年3月31日までに請負契約を結んでいた場合は、増税前の税率の8%が適用されます。

■物件種別による消費税増税の影響の違い

住宅を購入する際に発生する費用や消費税の扱いは、物件種別によって異なります。消費税の増税はどのように影響するのか、物件種別ごとに整理してみていきます。

・注文住宅の場合

注文住宅の場合、先に土地を購入しますが、土地の売買代金は消費税が非課税です。土地の売買に関わる仲介手数料は、2019年10月1日以降は消費税が10%になります。

注文住宅の建築工事に関わる請負契約に関しては経過措置が設けられています。引き渡し日が2019年10月1日以降であっても、2019年3月31日までに請負契約を結んだ物件であれば消費税は8%です。また、2019年4月1日以降に請負契約を締結した物件でも、引き合渡しが2019年9月31日までのケースも消費税は8%です。増税後の10%の消費税が課税されるのは、請負契約を2019年4月1日以降に結び、2019年10月1日以降に引き渡しとなったケースが該当します。

・新築マンションや建売住宅の場合

新築マンションや建売住宅は、売主が法人の事業者のため、売買代金のうち、建物の部分に関して消費税が課税されます。消費税の税率は売買契約の時期には影響を受けず、引き渡しが基準となるため、2019年10月1日以降に引き渡しがされる物件は消費税が10%です。

ただし、ドアの形状や壁の色などを特注できるケースなど請負契約を結んでいる場合は、契約全体が経過措置の対象になります。2019年3月31日までに請負契約を締結した場合は、2019年10月1日以降の引き渡しであっても消費税は8%です。

新築マンションは売主が直接販売を行うか、販売代理という売主と代理契約を結んだ不動産会社が販売活動を行う取引形態のため、いずれにしても仲介手数料は発生しません。建売住宅の場合は、売主の直売と販売代理、仲介(媒介)の3種類の取引形態があり、仲介(媒介)の場合は仲介手数料に消費税が課税されます。仲介手数料は2019年10月1日以降に売買契約を締結した場合、消費税は10%になります。

・中古マンションや中古戸建て住宅の場合

中古マンションや中古戸建て住宅は、売主によって消費税の扱いが変わります。売主が個人の場合は、一部の投資物件を除いて消費税は非課税です。個人間で直接取引を行うと仲介手数料も発生しません。不動産会社の仲介によって売買契約を結んだ場合は仲介手数料が発生するため、2019年10月1日以降に売買契約を締結した場合は、消費税は10%です。

売主が不動産会社などの法人の場合は、売買代金のうち建物に関する部分に消費税が課税されます。2019年10月1日以降の引き渡しになると、消費税は10%です。また、仲介手数料に関わる消費税は、2019年10月1日以降に売買契約を結ぶと10%です。

リフォームをする場合は、請負契約を2019年3月31日までに締結している場合は、経過措置の対象となるため、2019年10月1日以降の引き渡しであっても、リフォーム費用にかかる消費税は8%です。2019年4月1日以降に請負契約を結び、2019年10月1日以降の引き渡しになる場合に消費税が10%になります。

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■消費税増税後の住宅購入への政府の支援策

消費税増税後の住宅需要の急速な冷え込みを防ぐため、政府は4つの住宅購入の支援策を打ち出しています。

・住宅ローン控除の期間の3年間延長

住宅ローン控除は、2021年3月31日までにマイホームを購入して居住を開始した場合、年末のローン残高か、住宅の購入価格のいずれか低い金額の1%が所得税から控除される制度です 。所得税から控除しきれない場合には、上限として設定されている金額の範囲内で、住民税からの控除を受けられます。ローン残高等の上限は一般の住宅の場合4,000万円ですので、最大で1年間に40万円の住宅ローン控除を10年間にわたって受けられることになります。住宅ローン控除の適用を受けるには専有面積が50㎡以上、住宅ローンの償還期間が10年以上など一定の要件があります。

消費税増税による支援策は、2019年10月1日から2020年12月31日までに購入して居住を開始した場合、住宅ローン控除を受けられる期間を3年間延長するものです。延長される3年間は、最大控除額の算出方法が異なります。「年末のローン残高または、住宅の購入価格のいずれか低い金額の1%で上限4,000万円 」と「上限を4,000万円とする建物の購入価格×2%÷3」のいずれか低い方の1%が最大控除額となります。

参照:国土交通省 すまい給付金|住宅ローン減税制度の概要
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/

・すまい給付金の給付額と対象者の拡充

住宅ローン控除は、実際に発生する所得税などの税負担を住宅購入者に対して軽減する措置です。消費税が8%に増税になったタイミングで、住宅ローン控除が拡充され、最大控除額がアップしましたが、収入が低いと税負担が軽いため、実際に控除を受けられる税額は変わりません。そこで、収入が一定以下の層が住宅購入をするときに、費用負担を軽減するために設けられたのがすまい給付金です。2021年12月までの制度となっています。

すまい給付金は消費税が10%に増税になると、給付額と対象者の拡充が行われます。すまい給付金の支給を受けるには、購入した住宅の所有者が不動産登記上の持分保有者であり、住民票で居住していることが確認できることが条件であり、収入に関する要件もあります。サラリーマンの夫と専業主婦の妻、中学生以下の子どもが2人というモデル世帯の場合、消費税が8%のときは年収の目安は510万円以下でしたが、消費税が10%に上がると775万円以下が目安になります。また、住宅ローンを利用しない場合も50歳以上の人は対象となっていますが、反対に消費税が10%になると年収の目安で650万円以下の人のみが対象となり、対象者が狭められます。

すまい給付金の給付額は年収などによって変わり、収入が低い人の方が給付額が大きいです。消費税が8%のときは10万円・20万円・30万円の3段階でしたが、消費税が10%に上がると10万円・20万円・30万円・40万円の5段階になります。

すまい給付金には、対象となる住宅に関する要件も設けられています。

参照:国土交通省 すまい給付金|すまい給付金について | すまい給付金とは
http://sumai-kyufu.jp/outline/sumaikyufu/index.html

・次世代住宅ポイント制度の実施

次世代住宅ポイント制度は、消費税の10%への増税の前後の住宅需要を平準化することと、良質な住宅ストックの形成を目的とした制度です。一定の性能を持つ住宅の購入者にポイントが発行され、ポイントは様々な商品と交換することができます。消費税が増税される前の2019年6月3日からポイント発行の申請がスタートし、最大で2020年3月31日までの期間で予算を消化するまでポイントの発行が行われます。

次世代住宅ポイント制度の対象となる物件の条件は、物件種別によって異なる部分もありますが、引き渡しが2019年10月以降というのは共通している点です。注文住宅やリフォームの場合、2019年4月1日~2020年3月31日に請負契約を結んだ物件が対象です。ただし、2018年12月1日~2019年3月31日に請負契約を結んだ場合であっても、着工が2019年10月1日~2020年3月31日の期間であれば、特例で対象となります。新築分譲住宅の場合は、2018年12月21日~2020年3月31日に請負契約を結んで着工し、売買契約を2018年12月21日~2020年3月31日までに締結した物件が対象です。新築分譲住宅の完成済み物件の場合は、2018年12月21日~2019年12月20日に売買契約を結んだ物件が対象になります。

購入する住宅に関する要件は、「一定の性能を持つ住宅」、「耐震性を有しない住宅の建替」、「家事負担軽減に資する設備を設置した住宅」のいずれか、あるいは複数に該当することです。「一定の性能を持つ住宅」は、「高い性能を有する住宅」とされる認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅 、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のほか、「一定の性能を有する住宅」として、エコ住宅や長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅による基準があり、いずれかに該当することが必要です。

発行されるポイントは「一定の性能を持つ住宅」は「高い性能を有する住宅」は35万ポイント、「一定の性能を有する住宅」は30万ポイントです。「耐震性を有しない住宅の建替」は15万ポイントです。「家事負担軽減に資する設備を設置した住宅」は導入する設備によって、9,000~1万8,000 ポイントになります。「一定の性能を有する住宅」と「耐震性を有しない住宅の建替」、「家事負担軽減に資する設備を設置した住宅」のポイントは合算が可能で、発行されるポイントの上限は35万ポイントです。1ポイントは1円相当になります。

次世代住宅ポイントで交換できる商品は多岐にわたります。家電やインテリア、雑貨・日用品、ベビー・キッズ用品、食料品や飲料のほか、スポーツ用品や健康増進グッズ、福祉介護用品や防災グッズなど、実用的なものが揃っています。また、ファッション小物や工芸品といった地場産品から選ぶことも可能です。

参照:
次世代住宅ポイント
https://www.jisedai-points.jp/
次世代住宅ポイント制度の内容について
https://www.jisedai-points.jp/doc/190218_about.pdf
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000170.html)
次世代住宅ポイント制度の概要
https://www.jisedai-points.jp/doc/190104_overview.pdf

・住宅取得等のための贈与税非課税措置の拡大

消費税が8%のときも、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けて住宅を購入した場合の贈与税の非課税枠は儲けられていましたが、消費税が10%になると拡大されます。2019年4月1日~2020年3月31日までに売買契約や請負契約を締結し、2019年10月1日以降に引き渡しとなる新築住宅や中古住宅、リフォームで消費税10%が課税される取引が対象です。断熱性能や耐震性能、バリアフリー性能による「質の高い住宅」は3,000万円、それ以外の住宅は2,500万円が上限になります。2020年4月1日以降は非課税枠が縮小されます。

参照:
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について
http://www.mlit.go.jp/common/001157471.pdf
国土交通省(広報用チラシ)
https://www.mlit.go.jp/common/001284823.pdf

参照:
国土交通省|消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr4_000036.html

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■増税前後の住宅購入のメリットとデメリットの比較ポイント

消費税増税によって、住宅購入による税負担が大きくなることが考えられますが、一方で政府の支援策も用意されています。消費税の増税前後の住宅購入はどちらの方がメリットやデメリットがあるのか、比較するべきポイントをまとめました。

・増税の影響は物件種別によって異なる

初めに触れたように、消費税増税による影響は物件種別などによって異なり、取引価格にもよります。例を挙げて説明していきます。

<中古住宅を個人の売主から購入したケース>
たとえば、中古住宅の個人間取引では消費税が課税されないため、増税による影響はありません。また、不動産会社の仲介で売買契約を締結した場合は、仲介手数料には消費税が課税されますが、売買価格によってはさほど大きな金額の差にはならないです。

◎売買価格:2,000万円、仲介手数料:66万円のケース
→消費税:8%のとき5万2800円、10%のとき6万6,000円、差額1万3,200円

売買価格が2,000万円の場合、仲介手数料が法律の上限の66万円とすると、消費税の差額は1万3,200円のため、消費税の増税を理由に買い急ぐ理由はないといえます。

<新築マンションを購入するケース>
新築マンションを購入する場合、売買代金のうち、建物部分に消費税が課されるため、増税による影響を受けます。

◎売買価格4,500万円(土地部分1,500万円、建物部分3,000万円)のケース
→消費税:8%のとき240万円、10%のとき300万円、差額60万円

消費税の増税前後で60万円の差があると、差額は大きいと感じられるかもしれません。

・増税後の政府の支援策を試算しておく

先に挙げたように、政府は消費税の増税後の住宅購入に4つの支援策を打ち出し、住宅需要の平準化を図ろうとしています。

住宅ローン控除の対象となる物件の場合、増税後に購入した方が、3年間多く控除を受けられます。また、すまい給付金の対象外であった人の中にも、増税後は給付金の対象となる収入水準の人もいます。実際に住宅ローン控除などがいくらになるのか、支払っている税額などをもとに試算してみましょう。

また、次世代住宅ポイント制度の対象となる良質な住宅の取得を考えている場合は、ポイントを現金に換算して考えてみます。さらに、親や祖父母から受け継ぐ大きな資産がある場合は、住宅取得等のための贈与税の非課税枠を活用すると、大きな節税効果があります。

支援策によってお得になるお金と、増税によって増える負担をそれぞれ試算し、比較してみるとよいでしょう。

・物件価格の変動も影響

不動産価格は一定ではなく、消費税の増税前の駆け込み需要が多ければ、増税後には住宅需要が冷え込み、不動産価格が下がることが予想されます。しかし、政府の消費税増税後の住宅購入への支援策が功を奏し、大きな影響はないかもしれません。また、オリンピック特需などによる不動産価格の上昇がいつまで続くのかという問題もあります。オリンピックに関連した建設ラッシュが一段落すれば、高騰していた建設費用が落ち着くため、不動産価格が下がるという見方もされています。不動産価格が大きく変動して、消費税増税の2%分よりも大きな影響を及ぼす可能性もあるのです。さらに、住宅ローンを利用して購入する場合、金利が上昇すると負担が大きくなることからも、消費税が増税されるタイミングだけにとらわれずに、住宅購入のタイミングを考えていくことが大切です。

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■まとめ

消費税増税による影響は購入する物件の種別によって異なり、政府の支援策による恩恵を受けられるケースもあるため、増税前に買うことが必ずしもお得とはいえません。増税による税負担の増加と政府の支援策によって得するお金を把握したうえで、不動産価格の動向も踏まえて購入する時期を考えてみましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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