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同居よりも人気の「近居」とは?自治体によっては補助金も!

家族の住まい方として、親世帯と子世帯がほどよい距離感に住む「近居」が注目されています。自治体によっては近居に補助金を出している地域もあります。なぜ、同居ではなく近居が選ばれるようになってきているのでしょうか。そもそも近居とは何か定義に触れたうえで、近居が支持される理由や近居のコツなどを紹介していきます。

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■近居とは

まずは、そもそも近居とは何か定義をみていくとともに、近居の形態について紹介していきます。また、近居が好まれる昨今の実情について調査結果をもとにまとめました。

・近居の定義 

近居とは国土交通省の調査による定義によると、「住居は異なるものの、日常的な往来ができる範囲に居住することを指すもの」※1とされています。一般的には、いわゆる「スープの冷めない距離」に親世帯と子世帯が居住する形態。徒歩や自転車、自動車、電車などで、1時間以内で行き来できる距離に住むことをいます。

近居は同居よりも、お互いにプライバシーを重視した暮らしができることが魅力。そして、同居と同様に、子世帯は親世帯から子育てのサポートを受けやすく、親世帯に介護が必要になったときにはサポートや見守りをしやすいというメリットがあります。

※1 国土交通省|NPO活動を含む「多業」(マルチワーク)と「近居」の実態等に関する調査結果について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/02/020614_2_.html

・近居の形態

近居には、結婚して親世帯の近くに子世帯が住む「二世帯近居」や、孫のいる子世帯と親世帯が近くで暮らす「三世帯近居」があります。居住形態はさまざまなパターンがあります。よくあるケースは、結婚してアパートに住んでいた子世帯が孫の誕生を機に、妻の実家の近くのマンションを買う、反対に高齢になった親世帯が戸建てを売却し、子世帯の住むマンションの近くの別のマンションを買うといったものです。また、親世帯と子世帯が同じマンションの別の部屋をそれぞれ購入する二世帯マンションも、近居の一つの形です。

・同居よりも近居を望む傾向

実際に公的な調査でも同居よりも近居が好まれる傾向が出ています。内閣府が2013年に実施した「平成25年度 家族と地域における子育てに関する意識調査」によると、もっとも多かったのは「親と子どもの世帯で、祖父母とは離れて住む」の21.7%で、「夫婦のみの二人暮らし」が 18.6%で続きました。しかし、「親と子どもの世帯で、父方の祖父母(夫の親)と近居」の17.3%と「親と子どもの世帯で、母方の祖父母(妻の親)と近居」の14.5%を合わせると31.8%となり、三世代近居を理想とする人の割合が3割を超える結果となっています。※2

また、国土交通省が2013年に行った「平成25 年住生活総合調査結果」で、「高齢期における子との住まい方」を尋ねた調査では、「子と同居する」が5年前の17.1%から13.5%に減少しているのに対して、「子と同じ敷地内の別の住宅や同じ住棟内の別の住戸に住む」と「徒歩5分程度の場所に住む」、「片道15分未満の場所に住む」はそれぞれ割合が上昇。合計で24.6%となり、5年前の18.9%から上昇しています。※3

いずれの調査からも、同居よりも近居を望む人が増えているのです。

※2 内閣府|平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h25/ishiki/pdf/2-1.pdf
※3 国土交通省|「平成25年住生活総合調査結果」
http://www.mlit.go.jp/common/001104812.pdf

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■国や自治体も「近居」を支援

少子高齢化が進む中、国や自治体も近居を支援し、独自の補助金制度を設ける自治体もあります。

・政府は三世代同居・近居の環境の整備を推進

政府が2015年に一億総活躍国民会議で取りまとめた「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策―成長と分配の好循環の形成に向けて―」では、子育てしやすい環境を整備するため、三世代同居・近居しやすい環境の整備が掲げられました。※4具体的な近居への支援策としては、UR賃貸住宅を活用したものがあります。子育て世帯や高齢者世帯との同じ団地、あるいは2km以内の別の団地での近居には「近居割」、決められたエリア内で団地とそれ以外の住居に住む場合は「近居割WIDE」の適用が受けられるものです。※5

※4  官邸|一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策(概要)- 成長と分配の好循環の形成に向けて -
https://www.kantei.go.jp/jp/topics/2016/ichiokusoukatsuyaku/gaiyo20160118.pdf
※5  UR賃貸住宅|近居割
https://www.ur-net.go.jp/chintai/whats/system/kinkyo/

・自治体によっては補助金の対象に

自治体による近居や同居に対する独自の補助金制度のうち、マイホームの購入による近居が対象になる制度の一例を挙げていきます。

<東京都墨田区/三世代同居・近居住宅取得助成金>
https://www.city.sumida.lg.jp/kurashi/zyuutaku/jyutaku_shien/sansedai.html

義務教育を修了する前の子どもがいる世帯が、親世帯と近居や同居をするケースが対象。近居とされるのは直線距離で1㎞以内です。そのほかにも、国の住生活基本計画の最低居住面積水準を満たしているなどの条件があります。助成金は新築住宅の購入は50万円、中古住宅の購入は30万円です。

<神奈川県厚木市/親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金制度>
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/shiminbenri/kurasi/jyuutaku_akiya/seisaku/teijuu/d040941.html

購入するマイホームは戸建てやマンションなどが対象で、中古マンションは耐震基準を満たしていることが条件。住宅取得補助金は取得費500万円以上の物件が対象で、近居は50万円、同居は60万円の支給を受けられます。さらに子世帯に中学生以下の子がいる、世帯主あるいいは配偶者が40歳未満、定住促進地域に住む場合などは、10万円が加算されます。

<千葉県松戸市/三世代同居等住宅取得支援>
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kurashi/sumai/tatemono_jyosei/3_sedaijuutaku.html

中学生以下の子どもがいる世帯が、マイホームとして戸建てやマンションを購入するケースが対象で中古住宅も含まれます。近居は2㎞以内が条件で、専有面積などの基準も受けられています。補助金の支給額は近居は50万円、同居は75万円で、市外から転入する場合は25万円が加算されます。

いずれも申請をする前に、区や市に事前に相談が必要です。マイホームを購入して近居をすることを考えている人は、まずは役所に相談してみましょう。

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■同居ではなく、近居が支持される理由

親世帯と子世帯が近い距離に住むと、子世帯は親から育児のサポートを受けやすく、親世帯の介護や見守りがしやすいといったメリットがあります。高齢の親世帯は、子世帯が近くにいるだけでも安心感が得られるケースが多いです。では、昨今では同居ではなく、近居を望む人が増えているのはなぜなのでしょうか。理由として挙げられることが多いものをまとめました。

・食事や生活リズムの違いによるストレスがない

世代の違う家族が同居をすると、食事や入浴、起床や就寝などの生活リズムの違いから、お互いにストレスを感じがちです。たとえば、現役世代の子世帯は通勤や通学のために平日は朝早く起床、夜は子どもの塾や部活で帰宅が遅く、夕食が20時をまわるケースも珍しくありません。一方、リタイアして時間にゆとりがある親世帯とは、朝食や夕食の時間を合わせにくいものがあります。また、反対に週末は親世帯よりも子世帯の方が、朝はゆっくり寝ていたいケースが多いのではないでしょうか。生活時間帯が違うと入浴するときの音など、生活音も気になることがあります。

一方、近居であれば、お互いに都合のよい時間帯合わせて顔を見せたり、用事があるときに訪れたり、生活リズムを守りながら気軽に会うことができます。

・ペットの飼育を世帯ごとに決められる

動物が苦手な人がペットを飼っている人と同居するのは、かなりのストレスになります。また、ペットを飼うかどうかは 好き嫌いだけではなく、アレルギーの問題もあります。さらに、ペットの世話は日中、家にいることが多い人に負担がかかりがちです。2世代や3世代の同居で、みんなが納得する形で飼育するかどうか決めるのは難しいものがあります。その点、近居ならペットを飼育するかどうか、世帯ごとに決めることができます。

・インテリアなどの嗜好を合わせずに済む

同居をする場合、自分の趣味ではないインテリアに囲まれて生活しなければならなかったり、デザインテイストを統一した住まいにしていたのに、合わないものを置かれてチグハグな印象になったりすることがあります。近居であれば、親世帯と子世帯がそれぞれ、自分たちの好みのインテリアで暮らすことが可能です。

・住み替えがしやすい

二世帯住宅は、子世帯が転勤になったり、遠方の勤務になる転職をしたり、親世帯が施設に入居したり、亡くなったりしたときに、住まいをどうするのか問題になりがちです。特に完全同居型や、水回り設備などの一部を共有する共用型の二世帯住宅は、空いている部屋を活用しにくいです。また、売却をする場合は買い手が限られるため、売りにくさがあります。

一方、近居なら生活に合わせてそれぞれが住み替えをしやすく、世帯ごとに判断することができます。

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■後悔しないための近居のポイント 

近居はよいことづくめのようにも思えますが、実際には近居したことで関係性が悪化して後悔するケースもみられます。親世帯と子世帯が近居を成功させるためのポイントをまとめました。

・距離感を大事にする

近居が上手くいかなくなる原因で多いのは、近い距離に住んで良く顔を合わせた結果、お互いに遠慮がなくなること。たとえば、親が孫の教育に口を出す、子が親の健康を過度に心配してライフスタイルをとがめるなど、口を出し過ぎると関係性が悪くなりがちです。お互いに干渉し過ぎないように一定の距離感を大事にすることが大切です。事前に連絡を入れずに急に行く、留守の家に上がり込むといったことも避けるようにしましょう。

また、親子が近くに住むと何かと頼りにしてしまいがちですが、まずは自分たちで対処できないか考えてから、本当に困っているときにサポートを頼むようにしましょう。

・感謝の気持ちを表す

たとえ親子の間柄であっても、「やってもらって当たり前」になってしまうと、上手くはいきにくくなるもの。日頃から感謝をしていても、言葉に出さなければ伝わらないこともあります。感謝の言葉はきちんと伝えるようにしましょう。

・生活時間帯の違いを尊重する

親子でも別世帯での暮らしですので、ライフスタイルや生活時間帯は異なります。たとえば、週末の朝はゆっくり寝ていたい子世帯の住まいに、午前中から親世帯が訪れたら負担になります。生活時間帯の違いを尊重し、お互いの生活リズムを乱すことはしないように気をつけましょう。

・実の子が調整役になる

親子近居といっても、子世帯の夫婦のいずれかはもともとは他人です。近くに住むことによってストレスを抱えることもあるかもしれません。万が一、トラブルになった際には実の子の側が調整役となるとともに、断りにくいことを頼まれたときも間に入るなど、気遣いを忘れないことが大切です。

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■まとめ

親世帯にも子世帯にとっても、近くに住むことは育児のサポートや介護の面でメリットがあります。近居は同居よりも、生活リズムやライフスタイルを守って暮らしやすいことから支持されていますが、距離感を適度に保つことが大切です。共働き夫婦が増加傾向にあることからも、近居という暮らし方は今後も増えていくでしょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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