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マンション建て替えのタイミングはいつ?事例が少ない理由とは

一戸建ての建て替え事例はよく聞く話ですが、マンションの建て替えはどれくらい実施されているのでしょうか?建て替え事例が少ないのには、マンションならではの理由があるのです。また、マンションの寿命や建て替えのタイミング、もし建て替えが決まったらどうすれば良いのか、建て替え事業の大まかな流れを解説します。

マンション建て替え
こんな方におすすめの記事です
  • マンションの建て替え事例が少ない理由を知りたい
  • マンションの寿命や実際の建て替え事例の築年数を知りたい
  • マンションを建て替える際の流れを知りたい

■マンション建て替え事例の数は?

国土交通省発表の「マンション建替えの実施状況」によると、令和2年4月時点で建て替えを実施中のマンションは30件、実施準備中は11件で、合わせて41件です。また、これまでに建て替えが実施され、工事が完了しているマンションは254件にとどまっています。

※阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震により被災し、建て替えを実施したマンション(計113件)は上記に含みません。

一方、マンションストックの数は令和元年末時点で約665.5万戸です。分譲マンション1棟あたりの平均戸数は34.7戸となっているため、全国に約19万棟のマンションがあると仮定できます。つまり、建て替えが完了した254件の事例は、全体の約0.13%しかないということになるのです。

なぜこれほどまでに、マンションの建て替え事例が少ないのでしょうか?その理由や問題点を順に確認していきましょう。

参考:
マンション建替えの実施状況│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001351559.pdf
分譲マンションストック戸数│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001351557.pdf
マンションストックの状況│国土交通省
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_kcs/pdf/h30_01/shiryo_30_01_09.pdf

■マンションが建て替えできる条件

・区分所有者の4/5の賛成が必要

マンションの建て替えは、管理組合の一存で決定することはできません。区分所有法により「建て替え決議を成立させるためには、区分所有者の5分の4以上と、“議決権”の5分の4以上の賛成を得る必要がある」と定められているからです。

議決権とは、所有する専有部分の面積の割合によって決まるものです。例えば、あるマンションにおける専有部分の総面積が1,000平米のとき、60平米の住まいを所有している人の議決権は、“1,000分の60”になります。つまり、区分所有の住居が100平米ある人は、50平米の人に比べて議決権が2倍になるのです。

■マンションの建て替えが進まない要因

マンションの建て替えを進めるためには区分所有者の同意形成が不可欠ですが、それを困難にするさまざまな要因があります。

・所有者の経済的負担が大きい

マンションの建て替えには、大まかに下記の費用が必要です。
・調査設計計画費、事務費など
・既存の建物の解体費用
・新しい建物の工事費用
・仮住まいの家賃、往復の引越し費用

建て替えの場合、新築分譲マンションのような宣伝広告費は不要ですが、既存の建物の解体費用と新しい建物の建設費用は掛かります。建材価格や人件費は年々高騰しているため、旧マンションと同じ規模に建て替えるのならば、単純に考えても購入したときと同程度かそれ以上の費用が掛かるはずです。

これまでに住人が支払ってきた修繕積立金の残高を充当するほか、国による支援制度等を活用することもできますが、それらで建設費用のすべてを賄うのは困難です。「マンションを建て替えます。建設費用として1人2,000万円を負担してください。」と言われて「はい、分かりました。」と即答する人はほとんどいないでしょう。

●区分所有者の自己負担を軽減する方法

マンションの敷地面積が広く、建ぺい率や容積率に余裕がある場合には、区分所有者の自己負担を軽減できる可能性があります。建物の高層化や建築面積を広げることで、建て替え後の戸数を増やし、そのぶんの分譲費用を建設費用に充てるのです。増やした住戸の完売が見込めることが条件であり、建て替えを実現したマンションのほとんどで、この手法が採用されています。

建ぺい率や容積率とは、敷地面積に対して建築が認められている建物の大きさを決める比率で、用途や周辺環境に応じて土地ごとに定められています。建ぺい率は建築面積、容積率は延床面積の最大値を決定し、原則的にそれ以上広い・高い建物を建てることはできません。

・建て替えによる還元率の低下

マンション建て替えにおける「還元率」とは、旧マンションで区分所有していた専有部分の面積に対し、建て替え後に無償で取得できる面積の割合です。

建て替え後の新マンションで旧マンションと同じ広さの住戸を無償で取得できるとすると、還元率は100%になります。例えば、自己負担がない代わりに床面積が20%減ってしまう場合や、同じ面積を取得するために20%に相当する費用を負担しなければならない場合には、還元率は80%となるのです。

還元率が高いほど建て替えの同意を集めやすく、建て替え後の再入居率は高いです。還元率が低いケースでは、自己負担が重荷となりマンションを売却して転出する人が多くなります。実際に、入居者全員が建て替えに賛成したものの、全員が転出した事例もあります。

国土交通省の「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」によると、近年のマンション建て替えでは、還元率が大幅な低下傾向にあり、区分所有者の負担額は上昇傾向にあります。1996年までに竣工した建て替えマンションの平均還元率は156.3%、平均負担額は343.5万円でしたが、2012〜2016年の平均還元率は92.6%、平均負担額は1105.9万円でした。

マンションの建替後の平均還元率
区分所有者の平均負担額

出典:マンションの再生手法及び合意形成に係る調査
https://www.mlit.go.jp/common/001180337.pdf

・本人確認や権利確定の困難

マンションの築年数が経過するほど、区分所有者の高齢化率や空き室化が進みやすく、自己居住率が低下(賃貸住宅としての貸し出し)する傾向があります。それにともない、マンションの建て替えにおいて問題となるのが、所在不明者の発生です。マンションの築年数が古くなると、「所有者がどこにいるのか分からない」「所有者と連絡がつかない」といったケースが起こりやすくなります。

また、区分所有者の権利確定(誰が所有しているのかを確認する)にあたり、「区分所有者が亡くなった後に相続手続きが完了していない」「個人売買等により所有者の移転登記がされていない」といった問題が発覚することがあります。そのほか、病気等で所有者本人の意思表示が難しいケースもあるようです。

これらのさまざま問題は「名義変更や相続手続きを行うように説得す」「成年後見人制度を利用する」「裁判所に失踪宣告の申立てをする」といった方法でひとつひとつ解決していく必要があります。

・現在のマンションの既存不適格

建築当時は法律に準じていたものの、のちの法改正により現在の法律に適合しなくなってしまった状態を「既存不適格」といいます。既存不適格は違法建築とは異なるため原則的に是正(修正・やり直し)を求められることはないのですが、マンションを解体して建て直す場合には、現在の法律に合わせて設計・施工をする必要があります。そのため、旧マンションと同じ条件で新しいマンションに建て替えることが難しいケースがあるのです。

ただし老朽化が進むマンションの場合、「マンション建替法」の改正により、容積率の緩和特例を受けられる可能性があります。この法改正は、首都直下地震や南海トラフ地震の発生に備えて、耐震性が不足したマンションの建て替えを目的とし、平成14年に実施されたものです。

耐震性が不足していると認定されたマンションの建て替えにおいて、「一定の敷地面積がある」「市街地環境の整備・改善に必要」といった条件を満たす場合、特定行政庁による許可が降りれば容積率の緩和特例の対象になります。容積率が緩和されれば旧マンションよりも住居の数を増やした建て替えが実現可能になり、区分所有者の自己負担額を軽減することができるのです。

出典:マンションの再生手法及び合意形成に係る調査
https://www.mlit.go.jp/common/001180337.pdf

■マンション建て替えの流れ

マンションの建て替えを実現するためには、入念な準備と煩雑なプロセスを経る必要がありますが、ここでは大まかな流れを紹介します。

(1)マンション建て替えの準備
・建て替え議案の取りまとめ
・勉強会の実施、情報収集

(2)マンション建て替えの検討
・検討組織の設置
・再生方法の検討(大規模修繕か建て替えか)

(3)マンション建て替えの計画
・建て替え計画の検討
・工事事業者等の選定
・近隣住人との協議
・合意形成の準備(個別面談、説明会の実施等)
・建て替え決議の成立

(4)マンション建て替えの実施
・建て替え事業不参加者への売渡し請求
・仮住まいへの引っ越し
・旧マンションの解体、建て替え工事の実施
・新マンションへの再入居、新しい管理組合の設立

参考:
マンション建替えに係る法律上の手続き│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001064906.pdf

■マンションの建て替えが決定したら

マンションの建て替え決議が成立した場合、新しい建物に再入居するか退去するかはどのように決めるのでしょうか。

・再入居する

建て替えに決議に賛成した人は、建て替え事業に参加(建築費用を負担)して、新しいマンションに再入居することになります。なお、建て替え決議に反対した人でも、建て替え事業に参加することは可能です。この場合の参加・不参加の意思は決議後2ヶ月以内に回答する必要があります。

・退去する

建て替え決議に反対し、建て替え事業への不参加を選んだ場合には、マンションを退去することになります。賛成者による売渡し請求が行われ、区分所有権および敷地利用権が買い取られます。

また、決議には賛成したけれど、やむを得ず建て替えには参加できないという人もいるでしょう。この場合、区分所有権および敷地利用権を第三者に譲渡(売却)して建て替え事業から離脱することになります。

参考:
マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/pubcom/02/pubcom142/pubcom142_3.pdf

■マンション建て替えのタイミング

・マンションの寿命はどれくらい?

「マンションの耐用年数は47年」と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。これは鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物に掛かる税金を算出する際の、評価基準として定められたものであり、建物の寿命を示すものではありません。コンクリート造の建物は、適切な点検とメンテナンスが実施されていれば100年以上持つともいわれています。

・建て替えられたマンションの築年数は?

それでは、実際に建て替えが実施されたマンションの築年数はどれくらいだったのでしょうか?少し前のデータとなりますが、不動産データ会社の東京カンテイが2014年に発表した「マンション建替え寿命」によると、全国で建て替えられたマンション202件の平均築年数は33.4年でした。割合としては「築30年以上40年未満」のマンションがもっとも多く、36.5%となっています。

・築40年を超えると「検討中」が増える

内閣府・法務省・国土交通省の共同により、管理組合を対象に実施した「マンションの建替え検討状況等に関するアンケート」のデータがあります。建て替えの検討の有無について訪ねたところ、「建て替え検討中」と回答した管理組合の割合は、築35年未満では3.0%、築35〜39年では6.2%でしたが、築40年を超えると急増し21.7%となりました。

着工から40年以上経過したマンションは、平成30年末時点で全国に81.4万戸あります。令和5年には138.1万戸(うち42.3万戸が築50年超)、令和10年には197.8万戸(うち81.4万戸が築50年超)に達する見込みです。

出典:
マンション政策の現状と課題│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001315032.pdf
マンションの改修・建替え等について│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/000028135.pdf
マンション建替え寿命│東京カンテイ
https://www.kantei.ne.jp/report/80TR_life%20span.pdf

■まとめ

マンションの建て替え事例が少ない理由を解説しました。今後は大規模地震発生の懸念や既存マンションの経年化により、建て替えの検討が増加するのではないでしょうか。敷地に余裕があり、なおかつ新規分譲分の完売が見込めるマンションであれば、建て替えが実現される可能性は上がります。

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