住まい選びを変える 中古マンション×リノベーション

マンションの寿命って何年?耐用年数を過ぎても住める!?

中古マンションは新築マンションに比べると割安で物件が多く、自分好みにリノベーション可能な物件などは近年注目を集めています。しかし、中古マンションで心配なことは、「自分が一生住めるだけ長持ちしてくれるだろうか」ということでしょう。ここではマンションの寿命や、長持ちするマンションのポイントなどについて詳しくご説明します。

中層マンション外観の写真

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■鉄筋コンクリートの寿命は100年超

高層マンションのキャプション

マンションの寿命を考える際には、まず建物の建物構造を確認しましょう。マンションの主流は、鉄筋コンクリート造(RC造)です。”RC”とは“Reinforced Concrete”の略で、直訳すると「補強されたコンクリート」の意味です。鉄筋を組んだ枠型にコンクリートを流し込んで建てられた建物で、耐久性・耐火性・耐震性・防音性にすぐれています。

国土交通省の調べによると、「鉄筋コンクリート造の建物の物理的な寿命は117年」「寿命は120年だがメンテナンスにより150年まで延命可能」という研究結果が出ています。

実際に欧米には「築100年」を超える建築物がめずらしくありません。例えば、アメリカのシカゴには、19世紀末に建てられた高層ビルが今もオフィスビルとして利用されています。また、フランスのパリでは、1903年竣工の鉄筋コンクリート造のマンションが今も住宅として活躍中です。したがって、エレベーターなどの基本的な設備が整ったマンションであれば、メンテナンスを続けながら100年以上使い続けることは可能なのです。

残念ながら、日本ではマンションが建てられ始めたのが1960年代半ば以降と、マンションの歴史が浅いために、築年数の長いマンションはまだありません。しかし、これからは時間の経過とともに、メンテナンスが行き届いた優良マンションが、歴史を競い合うことになるでしょう。

・「35歳男性」が「築35年」のマンションを買った場合

セミオープン型キッチンとリビング

では実際に、35歳の男性が築35年の中古マンションを購入するケースを見てみましょう。2017年の厚生労働省の調査によると、35歳男性の平均余命は46.78年、約47年です。平均余命とは、ある年齢の人々があと何年生きられるかの平均期待値を表しています。

よく「平均寿命」という言葉が使われますが、「平均寿命」は0歳での平均余命のことです。一般に、乳幼児は死亡率は高いので、「平均寿命<“特定の年齢+その平均余命”」となっています。

さて、35歳の男性はあと47年、82歳まで生きると考えられます。鉄筋コンクリート造のマンションの物理的な寿命は100年以上。自分の平均余命よりも20年以上、マンションの方が長生きすることになります。

自分が平均より多少長生きしたとしても、より長いマンションの寿命や、今後のメンテナンス技術の発達を考えると、「自分が一生住めるのか」という問題にあまり神経質になる必要はないでしょう。それよりも重要なことは、寿命の長いマンションを見極めることです。

・マイホームという視点では、耐久年数を意識しましょう

都心部のビル群と空の写真

鉄筋コンクリート造のマンションは、物理的には100年以上長持ちするにもかかわらず、「耐用年数は47年」とよくいわれています。この違いは「耐久年数」と「耐用年数」の用語の使い方の違いが原因になっています。

「耐用年数が47年」というのは会計処理上の取扱いです。マンションなどの建物は、会計上減価償却資産となっています。減価償却とは、「多くの資産は使用されるとともに、買った時点から少しずつ価値が下がっていく」という考え方です。会計上、鉄筋コンクリート造の住居用建物は「耐用年数47年」と一律に扱われて、47年かけて減価償却の会計処理をすることになります。

例えば、木造の一般住宅の場合、会計上「耐用年数22年」と一律に定められています。しかし、木造一戸建てのマイホームの持ち主は、修理やリフォームをしながら、耐用年数の22年を過ぎても住み続けているケースがほとんどです。鉄筋コンクリート造のマンションにも同じことがいえます。

つまり、「耐用年数47年」という話は会計処理上の話であり、実際の建物の物理的な耐久年数とは関係がありません。

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■マンションの寿命を左右する条件とは

スケルトン状態の写真

鉄筋コンクリート造マンションの、素材上の物理的な耐久年数が100年以上あるといっても、個々のマンションの寿命を左右する重要なポイントがあります。それは次の4つの条件です。

  1. 管理状態(適切なメンテナンスが行われているか)
  2. 構造(建物構造はどうなっているか。修繕に適した設計になっているか)
  3. 建材(劣化しにくい建材が使われているか)
  4. 立地(地盤がしっかりしているか。風雨・塩害などの災害に見舞われにくいか)

1 .管理状態

耐久性にすぐれた鉄筋コンクリートも、長く使用しているうちにだんだん劣化してきます。外壁の塗装や屋上の防水、配管のクリーニングなどは定期的に行わなければなりません。

これらの共有部分の大規模補修工事は入居者が支払う「修繕積立金」でまかなわれます。マンションの管理組合は「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を管理し、定期的にメンテナンス工事を行っているはずです。

これらのメンテナンス工事がきちんと行われているマンションは寿命が長くなります。実際の物件を内覧する際には、建物の状態や管理体制(修繕積立金が足りているかなど)をしっかりチェックすることが必要です。

2 .構造

物件広告には「RC造(鉄筋コンクリート造)」「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」「S造(鉄骨造)」というように建物構造が掲載されています。一般的には、S造→RC造→SRC造の順に強度が上がります。ただし、個々の建物の強度は、使用されている建材自体(コンクリートの厚さなど)で決まるため、内覧の際にとなりの物音が聞こえやすいか(聞こえやすい=コンクリート壁がうすい)などをチェックしましょう。

ただし、耐震性については、『建築基準法』の改正により、1981年6月以降は現行の耐震基準が適用されています。そのため、1981年6月よりも前に「建築確認」を受けている物件の場合は、「耐震診断」を受けているか、現行の耐震基準を満たしているかを確認しましょう。

さらに、配管設備が簡単に交換できるかどうかもチェックポイントです。配管設備は20~30年くらいで交換が必要となります。配管がコンクリートの躯体部分を通っている場合は、コンクリートを壊さないと交換できないために費用がかかり、結局「交換不可」となってしまいます。実は、1960年代~1970年代に建てられたRC造マンションの多くが、配管設備がコンクリートの躯体部分を通っており、取り換えができないでいます。

3 .建材

コンクリート自体にも劣化しやすいものと劣化しにくいものがあります。例えば、セメントに対する水の比率が高かったり、鉄筋をおおうコンクリートがうすかったりするとひび割れしやすくなり、中の鉄筋がさびる心配があります。また、給排水管の材料も要注意。給排水管はさびやすいメッキ鋼管よりも、腐食に強い塩化ビニール管の方がすぐれています。

4. 立地

地震列島の日本では地震に強い地盤かどうかは気がかりなポイントです。また、津波や洪水、土砂崩れなどの災害も心配でしょう。国土交通省では以下のサイトで、地盤の強さや、津波・洪水・土砂災害のリスク情報の提供をしています。

・国土地盤情報検索サイト(国土交通省、国立研究開発法人土木研究所および国立研究開発法人港湾空港技術研究所) http://www.kunijiban.pwri.go.jp/

・国土交通省ハザードマップポータルサイト https://disapotal.gsi.go.jp/

そのほかにも、海に近い物件では潮風による塩害、まわりに高い建物のないエリアの高層物件では日光や風雨をまともに受けるためのダメージが想定されます。そのため、外壁塗装などのメンテナンス工事を頻繁に行う必要があります。

5.安心、安全を見極めるには、インスペクションや安心R住宅制度をチェック

長持ちするマンションかどうかを見極めるには、専門家による「インスペクション(住宅診断)」がおすすめです。国土交通省では、柱・梁・壁のひび割れ、雨漏り・水漏れ、給排水など、診断項目や検査方法について、中古住宅用のインスペクションのガイドラインを出しています。

また、2018年4月、国土交通省により「安心R住宅」制度がスタートしました。インスペクションが行われ、現行の耐震基準と一定の品質基準を満たした中古住宅については、広告に「安心R住宅」マークが表示されています。

したがって、「安心R住宅」のロゴマークがついた中古マンションは「インスペクション済み。耐震性などの品質基準はクリア」ということです。したがって、これから中古マンションを購入する場合は、「安心R住宅」や、インスペクション済みで結果報告書を確認できる物件をチェックするとよいでしょう。

なお、インスペクションを受けていない物件については、自分で専門業者にインスペクションを依頼することができます。しかし、自分でインスペクションを依頼する場合はインスペクション費用が自己負担になります。

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■マンションの建て替えは、行われるの?

ところで、万が一、マンションが老朽化し問題が生じた場合、マンションの建て替えは行われているのでしょうか? 先に結論をいうと、マンションの建て替えはほとんど実現していません。その主な理由として次の2点があげられます。

・建て替えには区分所有者や議決権の5分の4以上の賛成が必要

古いマンションの場合、高齢者の住民が多くなり、「このままで十分」「年金生活では建て替え費用を払えない」という人が出てきます。5分の4の賛成を得るのは難しいことなのです。

・建て替えの費用負担が大きい

これまでの建て替え事例の大半は、建て替えによって以前より大きなマンションを建て、増えた戸数を売って建て替え費用をまかなえたというケースです。ここで明暗を分けるのは容積率です。容積率は、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のことで、「建築基準法」により容積率の上限が決められています。容積率に余裕があり、人気エリアのマンションの場合は、建て替えで床面積を増やして増えた分を売って建て替え費用をまかなうことができました。しかし、容積率に余裕がない場合や、希望販売価格では買い手が見つからないエリアの場合は、建て替え費用の負担が大きくなります。

つまり、建て替えによる経済的なメリットがない場合は、建て替えは難しいというのが実状です。

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■まとめ

以上のように、中古マンションを購入する際には、「管理状態」「構造」「材料」「立地」の条件にかなった長持ちする物件を選ぶ必要があります。マンションは一度建ってしまうと、老朽化を理由にした建て替えは難しいのが現状です。そのため、物件をよく調べてから購入の決断をするようにしましょう。

編集者: マイリノジャーナル編集部
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