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空き家リノベーションの事例3選!メリット・デメリットは?

親から受け継いだ実家など、とりあえず空き家のまま放置している方もいらっしゃるでしょう。処分するのもなかなか難しいけれど、所有しているだけで固定資産税はかかるし、空き家のままだと建物の劣化がどんどん進んでしまう…と困っている方も多いですよね。

今回は、空き家をどうしたら良いか悩んでいる方のために、リノベーションしてうまく活用された事例をご紹介します。空き家リノベーションのメリット・デメリットも解説するので、参考にされてくださいね。

リノベーション前
こんな方におすすめの記事です
  • 親から受け継いだ実家を活用したい方
  • 空き家を居住用やビジネス用に活用したい方
  • 空き家のおしゃれなリノベーション事例を知りたい方

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■空き家を放置するリスクとリノベーションの必要性

空き家が年々増加しています。なかでも社会問題化しているのが、長く放置された空き家です。住人のいない家は、倒壊の危険性が生じたり犯罪の温床になったりしやすいためです。

家が建てられている土地は「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税額が本来の6分の1に軽減されています。そのため、空き家を解体せずに放置してしまう人も多いのです。そこで2014年に「空き家対策特別措置法」が成立し、適切な管理がなされず衛生・安全性などが保たれなくなった空き家について、行政が「特定空き家」に指定できることになりました。

特定空き家に指定されると優遇措置の対象から外れるため、固定資産税がそれまでの6倍に跳ね上がることになります。住まない家に多大な税金を払わないためには空き家を放置せず、リノベーションをして住む、あるいは賃貸に出す、更地にして売却するなど、処遇を早めに考えたほうが良いでしょう。なお空き家対策特別措置法では、“1年間”人の出入りがなく水道やガスなどが使用されていない住宅を、「空き家」のおおまかな目安としています。

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■空き家リノベーションのメリット

空き家を放置していると、建物の劣化はどんどん進み、周辺住民とのトラブルにつながることもあります。空き家を解体したり建て替えたりする方法もありますが、リノベーションを行うことでそのまま活用できるケースもあります。

空き家リノベーションのメリットは以下の通りです。

・新築するより費用が安い

空き家を解体して新しく家を建てるとなると、解体費用+新築費用でかなりの金額になります。空き家リノベーションなら建物の骨組みを活用できるので、同じ条件での新築や建て替えよりもコスト削減できるケースが多いです。

・資産価値がアップする

ボロボロになった空き家や築年数の古い物件は、ほとんど資産価値がない状態です。もし売却したいと思っても、よほど立地条件が良くない限りは、なかなか価値がつかないでしょう。もし骨組みがしっかりしている建物であれば、リノベーションで資産価値を上げられる可能性があります。

また、空き家は所有しているだけで、固定資産税がかかります。住宅用地では軽減されている固定資産税も、特定空き家に指定されてしまうと優遇措置が適用されず高額に。こういった経済的負担を軽減できるのも、空き家リノベーションのメリットです。

・倒壊・犯罪リスクを減らす

人が住まなくなった家の劣化は早いです。特に雨漏りや窓の割れにより室内に雨が入り込むようになると、建物の劣化は一気に進み、倒壊リスクが生じ周囲に危険を及ぼします。また、空き家は犯罪の温床にもなりやすいです。犯罪者が隠れたり、不審者が居着いたりしやすく、ゴミの不法投棄や放火のターゲットになることもしばしばあります。そのような景観や治安の悪化を避けるためにも、空き家のリノベーションは有効です。

・貴重な建材が使われている物件も

最近は、古い木材やエイジング加工がされた木材を、お家の内装や家具として使われるのも人気です。ヴィンテージ感がおしゃれで、日本の古民家風スタイルだけでなく、男前なインテリアやアメリカンスタイルなどにも使われます。

築年数の古い住宅のなかには、太くて立派な梁や、しっかり時間をかけて乾燥させて強度を高めた柱など、貴重な建材が使われている物件もあります。リノベーションでは、そういった古材を活かした空間演出も人気です。新しい住宅を建てるときには入手困難な高価な建材が手に入るのも、古い住宅でのリノベーションならではのメリットです。

また、実家を受け継いだ場合は、長年の思い出が詰まっていることもあるでしょう。リノベーションなら思い出の詰まった柱などを残しつつ、劣化した部分のみきれいに直すこともできます。

・国や自治体からのサポートが充実

空き家というのは放置すると、どんどん劣化が進むもの。そのままでは景観を乱したり、犯罪の温床になったりとトラブルの原因にもなります。

そこで国や自治体では空き家問題を解決するために、補助金や助成金などの制度を充実させています。うまく活用できれば、低コストで新生活がはじめられるでしょう。

・住むだけでなくビジネスにも活用できる

自分が住むための空き家リノベーションだけでなく、ビジネスに活用される方もいます。

例えばよくあるのが、古民家カフェや美容室などのお店をオープンさせる方法です。賃貸住宅として活用するのも一般的ですが、他の物件との差別化をはかるためシェアハウスにしたり、田舎暮らしをしたい方向けのセカンドハウスにしたりすることも。地域住民の交流拠点や、旅行者向けの民泊として提供するという選択肢もあるでしょう。

空き家なら物件自体は低価格で入手でき、古き良き外観は残しつつも、おしゃれな空間にリノベーションすることが可能です。地域によっては、空き家活用ビジネスに対して助成金が支給されることもあります。

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■空き家リノベーションのデメリット

さまざまなメリットのある空き家リノベーションですが、注意したいデメリットもあります。

・空き家の状態によっては費用が高くなる

基本的には新築や建て替えより低コストの空き家リノベーションですが、建物の状態によってはかえって費用がかさんでしまうこともあります。

例えば建物の基礎がシロアリの被害を受けていたり、腐食していたりするケース。こういった場合は大がかりな修繕が必要となるため、リノベーションより建て替えたほうが良いこともあります。

一見費用が高くつくようでも、補助金を活用したり不要な工事を省いたりすることで、経済的な負担を減らせるケースもあるので、トータルで考えてみましょう。お風呂やキッチンといった設備のグレード、床や壁の素材など、こだわる部分と節約する部分のバランスをとることも大切です。

・築年数によっては耐震工事が必要

空き家リノベーションで最も心配なのが耐震性です。特に古い物件では、耐震リフォームの費用まで含めた資金計画を立てましょう。

日本では1981年に耐震基準が厳しくなっているため、それ以前に建てられた物件は特に注意が必要。現行の基準を満たしておらず、耐震補強工事が必要となる可能性が高めです。

とはいえ古いからといって耐震性に必ず問題があるというわけではなく、古くてもしっかりと強度をもった建物もあります。
空き家をこれから購入されるという方は、購入前に耐震診断を受けるのもおすすめです。もし耐震リフォームが必要であれば、適切な工事方法や費用を知ったうえで、購入するかどうか決めることができます。

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■空き家リノベーションの費用相場

空き家リノベーションの費用は、工事の規模や内容によってさまざま。柱や壁などをとりのぞいてスケルトン状態にしてから新しくする「フルリノベーション」であれば、1,000万円前後が相場です。

もし間取り変更など必要なく、今あるものをうまく活かしながら部分的な修繕をしたり、トイレやキッチンなど設備の交換を行ったりするリノベーションなら、予算をぐんと抑えることができます。予算300万円程度で設備や内装をきれいにされたケースもあります。

また先ほども触れたとおり、基礎や構造部分に大がかりな修繕が必要だったり、耐震補強が必要だったりすると、費用がかさむことに。内装や設備も、使用する建材やデザインにこだわると、それだけ費用は高くなります。

・工事内容別のリノベーション費用の目安

空き家のリノベーションにかかる費用は、工事の内容や施工面積により異なりますが、大まかな目安は下記表のとおりです。

水回りのリノベーション費用

施工箇所費用相場
キッチン(キッチンのみ交換)約50〜120万円
キッチン(周囲の内装工事を含む)約100〜150万円
トイレ(便器の交換のみ)約10〜25万円
トイレ(個室全体を一新)約25〜50万円
浴室(システムバス→システムバス)約50〜140万円
浴室(在来工法→システムバス)約65〜150万円
洗面室(洗面台のみ交換)〜約30万円
洗面室(内装も含めて一新)約20〜50万円

内装のリノベーション費用

施工箇所費用相場
壁紙張り替え(スタンダードクロス)約2.6〜4.8万円(6畳)
壁紙張り替え(ハイグレードクロス)約4.0〜6.8万円(6畳)
フローリング張り替え(スタンダード)約10〜15万円(6畳)
フローリング張り替え(遮音タイプ)約14〜17万円(6畳)

外壁・屋根のリノベーション費用

施工箇所費用相場
外壁塗装(40坪の戸建て)約80〜140万円
屋根塗装(外壁塗装と同時施工)約30〜40万円

断熱リノベーション

施工箇所費用相場
屋根の断熱塗装約3,000〜6,000円/㎡
外壁の断熱材施工約4,000〜3万円/㎡
足場費用約700〜1,200円/㎡

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■空き家リノベーションにかかる期間は?

空き家リノベーションの期間は、工事の内容や施工面積により異なりますが、1〜4ヶ月ほど掛かることが多いようです。そのほか、大掛かりなリノベーションの場合は、間取り決めの期間として工事に入る前に1〜2ヶ月ほど必要です。また、スケルトンリノベーションなどで、内装材を解体してから想定以上に建物の劣化が進んでいることが判明した場合は、当初の予定よりも工期が長引く可能性があります。進行状況の思わぬ変化に備えて、余裕を持ったスケジュールを立てておくのがおすすめです。

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■空き家リノベーションの事例3選

では空き家をうまく活用して、住居やビジネスの場にリノベーションされた成功事例を3つご紹介します。

・【事例1】空き家を新しい形態のシェアサロンに

最初にご紹介するのが、空き家をリノベーションして、「シェアサロン」としてオープンさせた事例です。

Before

リノベーション前

空き家となっていたのは、こちらの築49年の戸建て物件です。子育て中の美容師・ネイリスト・エステティシャン・ヨガのインストラクターなど、「働きたいけれど、フルタイムは難しい。自宅で開業するには予算がかかりすぎる」という方が働きたい時間だけ働ける「シェア店舗」として改装されました。

After

リノベーション後

リノベーション工事が完了し、まるで新築のようなきれいな外観に。切り妻屋根から片流れに変更し、シャープな印象になっています。外壁はモルタル仕上げの予定でしたが、工期の都合もありサイディングに変更されたそうです。

ステキなサロン

和室やキッチンなど一般的な住宅仕様だった内装も、ステキなサロンに。カットスペースやシャンプー台のほか、ゆっくりできる個室やキッズスペースもあって、お子さん連れも安心して通うことができます。

誰にも使われず、老朽化が進むだけだった空き家。そんな物件を職場が見つからないフリーランスや、お子さん連れで美容室に通いづらい方たちの悩みを解消する場としてうまく活用されました。

シェアサロンRebre
https://iizuka-rebre.co.jp/

株式会社リビングデザイン
http://living-d-f.com/

・【事例2】北軽井沢の空き別荘を再生

次にご紹介するのは、北軽井沢の空き別荘を、1960年代北欧ヴィンテージとして一新させた事例です。

Before

Before

こちらは将来的な定住を視野に入れて、別荘として使われていた木造平屋建てですが、オーナーの事情で手放されることに。10年ほど使われていない期間があったため、外装から内装、水回り設備まで老朽化が進んでいました。

After

After

屋根からバルコニー、床、壁、水回りとまとめてリノベーションで一新。1960年代の北欧ヴィンテージの家具や食器をそろえて、ステキなインテリアに生まれ変わりました。

こちらの物件は活用方法を明確に絞らずリノベーションされたそう。どのように活用するか模索していくのも空き家リノベーションの一つの楽しみです。

北軽井沢・空き家再生リノベーション
空き家ゲートウェイ by YADOKARI
https://akiya-gateway.com/

・【事例3】町屋を趣ある賃貸住宅に

町屋のリノベーション

大正11年に建てられたこちらの物件は、昔は床屋さんや和装屋さんなどが立ち並び、町の交流場所としてにぎわっていたそう。しかし住み手をなくして空き家となり、屋根・壁・床が崩れ落ちてしまうほど老朽化が進んでいました。そんな町屋4軒が趣を残しつつ、賃貸住宅としてリノベーションされました。

共用部分である路地は子供の遊び場を意識してつくられており、住民と地域の方のコミュニケーションの場に。濡れ縁から各居室へアクセスできるので、お隣の家にも気軽に行くことができます。

施工後の町屋1
施工後の町屋2

内装も町屋らしい色彩や趣を残しつつきれいに改装。構造は古いものをうまく活用し、それになじむようなかたちで内装や設備が一新されています。そのままではさらに劣化が進んでしまうはずだった空き家を活用するのはもちろん、リノベーションによって地域の活性化にもつながった事例です。

株式会社八清
さらしや長屋
https://www.hachise.jp/

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■空き家リノベーションに使える補助金や減税制度

先述したように、空き家リノベーションには数百万円単位の費用がかかります。しかし国や自治体としても空き家問題を解消したいということで、さまざまな補助金や減税制度が打ち出されています。うまく活用して、お得に空き家リノベーションを行いましょう。

・自治体からの空き家に対する補助金

空き家に関する補助金事業は、解体工事費用の一部を補助するものが多いですが、リフォーム費用や空き家活用ビジネスを補助している自治体もあります。
例えば東京都八王子市の「八王子市空き家利活用促進整備補助金」では、空き家を地域活性化施設として活用するための改修工事費を最大100万円助成しています。

また、空き家をリノベーションして移住したいという方は、移住者向けの支援制度の活用を検討されるのも良いかもしれません。
例えば佐賀県鹿島市「空き家活用事業助成金」では、3年以上市外に住んでいた方が、市内の空き家に住民票を移して3年以上定住しようとすると、お風呂やトイレなどの改修費の半額(最大50万円)を補助してもらえます。

こういった支援制度は、市区町村単位で実施されていることがほとんど。空き家がある地域の役所の「まちづくり課」「都市建設課」などの担当部署に相談されるとよいでしょう。

・耐震リフォームに対する補助金

築年数が古い空き家の場合、耐震リフォームも併せて実施されることが多いですよね。その場合、国や自治体の耐震リフォームに対する支援制度が使える可能性があります。

国の支援策としては、次項で解説する所得税の軽減がメイン。それに加えて多くの自治体では、耐震リフォームに対する補助金の支給が行われています。

例えば東京都千代田区では「木造住宅の耐震化促進助成」を実施。木造在来軸組工法で旧耐震基準によって建てられた住宅で、居住者が要件を満たせば「耐震診断に対して最大15万円」「耐震改修に対して最大120万円」などの助成を行っています。

耐震リフォームへの補助金は多くの自治体で行われているので、地域の「まちづくり課」などの担当部署に問い合わせてみましょう。

・リフォーム減税

ご自身が住むためにリノベーションされる場合、所得税から工事費の一部を控除する制度も活用できるかもしれません。マイホームを購入するときに所得税の負担を減らせる「住宅ローン控除」は有名ですが、そのリフォーム版と考えるとわかりやすいでしょう。

住宅リフォームの所得税控除は、大きく分けて「住宅ローン減税・ローン型減税・投資型減税」の3つです。次表のように「住宅ローンを組むか?現金で支払うか?」といった条件によって、使える制度が変わります。

住宅ローン減税 ローンの償還期間が10年以上の場合。「50㎡以上・工事費100万円以上」などの要件がある。
ローン型減税 償還期間が5年以上。「バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化」など、一定の要件を満たす工事が対象。
投資型減税 ローンを組まず現金でリノベーションされる方へ向けた制度。「耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化」など一定の要件を満たす必要がある。

所得税を減額する制度のほかに、省エネ化やバリアフリー化、耐震化の改修を行うと、固定資産税が減額される制度もあります。固定資産税は地方税なので、各市区町村の情報を確認しましょう。

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■まとめ

空き家を持て余してお困りの方、なかなか処分が難しいという方は、居住用やビジネス用としてのリノベーションを考えてみてはいかがでしょうか。空き家に関するさまざまな心配がなくなるだけでなく、売却やビジネスで収入につながることもあります。ただしノープランで始めるのはリスクがありますので、ぜひ空き家活用に詳しいリノベーション業者などに相談されてください。

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編集者: 村田日菜子

みなさんの豊かな暮らしと住まいづくりをサポートしたい!建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

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