マイホームというと新築物件を思い浮かべる人が多いなか、割安で自分好みにリノベーションできる中古物件、特に中古マンションは注目されつつあります。しかし、購入してもいい中古物件はどんなものか、中古物件の寿命はどれくらいあるのか、築年数何年くらいの物件がいいのか、などいろいろ気にかかることがあるでしょう。ここでは中古物件を選ぶ際に役立つ情報をご紹介します。
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地震が多い日本では、これから購入しようとしている住宅や今自分が住んでいる住宅が、地震に対してどれだけ耐えられるかが気になるところです。しかも、日本では法令で建物に最低限求められる耐震基準がしっかり決まっています。法律上、現実上、どんな耐震性能が求められているのでしょうか。
地震大国・日本では大きな地震が起こるたびに、建物の耐震基準が見直され、法令が改訂を重ねてきました。ただし、現行の耐震基準は、耐震基準を大幅に見直した1981年6月1日施行の改正建築基準法(及び施行令)の内容を基本としています。その後も大地震が起きるたびに地震の被害を教訓にして法令が見直されてきましたが、大幅に耐震基準が改正された1981年6月の改正建築基準法が大きなターニングポイントになりました。そのため、1981年6月の建築基準法改正以降の耐震基準は「新耐震基準」、1981年5月以前の耐震基準は「旧耐震基準」と呼ばれ、新耐震基準が現行の標準となっています。
したがって、1981年5月以前の旧耐震基準時代の建物か1981年6月以降の新耐震基準時代の建物かで耐震性能が大きく異なります。そのため、中古住宅を選ぶときは、その物件が新耐震基準にもとづいているか、旧耐震基準にもとづいているかをしっかり確認してください。
さて、ターニングポイントとなった新耐震基準と旧耐震基準の違いは何でしょうか?新耐震基準と旧耐震基準の大きな違いは以下の点です。
新耐震基準(1981年6月1日以降) | 旧耐震基準(1981年5月31日以前) |
中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと (軽いひび割れ程度) | 震度5程度の地震で即座に建物が崩壊しないこと |
大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しないこと | (基準なし) |
旧耐震基準では大規模な地震(震度6強~7程度)については基準がありませんでした。したがって、旧耐震基準時代の建物は震度6以上の地震で倒壊する可能性があります。一方、新耐震基準では、頻繁に起こる震度5クラスの地震では建物にほとんど被害が出ないよう、まれに起こる震度6~7クラスの地震でも建物の倒壊で命を失わないよう、基準が大幅に引き上げられています。
地震が多い日本では、耐震性能の高さは住宅の寿命をのばす要因の一つです。新耐震基準で建てられた中古物件と旧耐震基準で建てられた中古物件を比較した場合、耐震性能が高い新耐震基準の物件を選択する方が安心なことはいうまでもありません。しかし、旧耐震基準時代の中古住宅でも、専門家による耐震診断を受け新耐震基準を満たすことが証明された物件や、十分に耐震補強工事をした物件であれば、新耐震基準の物件と同様に、地震に対する備えはできていると考えてよいでしょう。
ちなみに、中古物件の築年月が建築基準法改正直後の1981年後半~1983年前半くらいの場合は、新耐震基準の建物と旧耐震基準の建物が混じっている可能性が高く注意が必要です。新・旧どちらの耐震基準にもとづいているかを確認するには、該当物件の「着工日」や「完成日」ではなく、「建築確認済証」の日付をチェックしましょう。
「建築確認」とは、これから建てようとする建物が関係する法令や規定を満たしているか、役所や指定確認検査機関の審査を受けることです。この審査に合格しなければ建築工事に着手することができません。審査の結果、関係法令や規定に適合していれば、建築確認済証が交付され無事着工の運びとなります。
しかし、建築確認済証が交付から建物が完成するまでには日にちがかかります。例えば、物件の完成日が1982年1月31日であっても、建築確認済証の日付が1981年5月31日であれば、旧耐震基準での建築確認審査となるため、旧耐震基準の建物ということになります。
そのため、物件の築年月日が1981年後半~1983年前半くらいの場合は、特に注意が必要です。物件の築年月日が1981年後半~1983年前半にあたる場合は、必ず「建築確認済証」の日付を確認し、対象物件が新耐震基準の建物か旧耐震基準の建物かをしっかりチェックしましょう。
新耐震基準に関する詳しい内容や、旧耐震基準時代の新耐震基準を満たす建物について、『今さら聞けない!新耐震基準の建物はどれくらいの地震に耐えられるの?』でも解説しています。
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詳しくはこちら>>ネガティブなイメージの多い旧耐震の中古物件ですが、メリットとデメリットの双方から考えて選ばれるとよいでしょう。
旧耐震のメリットは、何より物件価格が手ごろなことです。大都市や駅近など、新築や築浅だと高価格になりがちな立地でも、驚くような価格で購入できることがあります。
職場へのアクセスを気にされる方や、立地や資産価値を重視して購入したい方にとって、非常に大きなメリットになるでしょう。築浅だとなかなか良い物件が見つからないときにも、旧耐震まで範囲を広げて探すことで、思わぬ割安な物件に出会えることがあります。
意外なデメリットとして、旧耐震の物件では税制上の優遇制度が利用できないケースもあるので注意が必要です。
たとえば住宅ローン控除の適用条件として「マンションなどの耐火建築物の場合は築25年以内」「木造戸建て住宅など非耐火構造の場合は築20年以内」という項目があります。築25年超の中古マンションでも耐震基準適合証明書を取得するなどして控除を受けられることもありますが、旧耐震の物件ではマンション全体での耐震診断・補強工事に多額のコストがかかるため、なかなか難しいでしょう。その他にも、贈与税の非課税制度や不動産取得税・登録免許税の優遇などが使えないケースもあります。
また金融機関によっては築年数制限がかかって、住宅ローンが組みにくくなることもあります。もちろん旧耐震の古い物件で利用できるローンもありますが、どうしても担保評価額が低くなりやすいです。新築や築浅物件を購入するのに比べて、借入額が少なくなる可能性もあるでしょう。
以上のことから、旧耐震の物件が安いからといって、価格だけで判断するのは危険です。
住宅ローンを借りられるか、借入額や金利は問題ないのか、税制優遇は活用できるのかといったことを確認してから購入を検討されるとよいでしょう。なかなかご自身だけで判断するのは難しいと思いますので、物件探しをサポートしてくれる専門家へ相談されることをおすすめします。
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詳しくはこちら>>長方形などのシンプルな整形のマンションは、地震が発生した際に建物全体が同じ揺れ方をします。一方、平面形状や立面形状が不整形のマンションは、特定の箇所に大きな力がかかりやすいため、損傷などが起きやすいです。ただし、複雑な形状であっても、エキスパンションジョイントを用いて、揺れの違いを吸収する仕組みとなっている場合は、一定の安全性が確保されています。
また、ピロティ型や極端なペンシル型のマンションも地震に弱い形状です。
L型やコ型のマンションは、真上から見た平面形状が不整形な建物に該当し、地震に弱い形状です。
セットバック型は、道路斜線などの影響を受けて、建物の一部が低くなっている段形状の建物を指します。セットバック型のマンションは、正面から見た立面形状が不整形で、地震に弱い建物です。
雁行型は前後に少しずらした形状の建物を指します。雁行型も平面形状が不整形な建物に該当します。
ピロティとは、1階の外周部分に壁がなく、ほとんど柱のみの建物をいいます。1階部分は柱のみのため変形しやすく、一方で2階以上は耐力壁が地震の力に抵抗します。そのため、1階の柱に大きな力が加わって壊れやすい構造です。
高さに対する幅の割合が一定以下の極端なペンシル型の建物は、塔状建物と呼ばれています。搭状建物はバランスが悪く、地震の影響を受けやすいです。
このように1階が店舗になっている物件も、地震に弱い可能性があります。理由としては、店舗だと前面がガラス張りになっていたり、広い空間をつくるために壁が少なかったりすることが多いからです。ピロティ型と同様に、1階部分の柱に大きな力が集中すると危険です。
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詳しくはこちら>>国土交通省の資料(※1)に、鉄筋コンクリート造建物の寿命について、有識者たちの研究結果が紹介されています。
寿命 | 根拠 | 発表年 | |
A. | 68年(住宅)
56年(事務所) | 固定資産台帳をもとに家屋の平均寿命を推定 | 2013年 |
B. | 117年 | 鉄筋コンクリート造建物の減耗度調査にもとづいて物理的寿命を推定 | 1979年 |
C. | 50年以上 | 約50年経過した鉄筋コンクリート部材の耐久実態調査より | 1974年 |
D. | 120年(一般建物)
150年(外装仕上にて延命) | 構造体としての鉄筋コンクリートの効用持続年数 | 1951年 |
E. | 【参考】47年(住宅用) | 税務上の減価償却資産の耐用年数 | - |
(※1)国土交通省「平成25年8月「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
国土交通省の資料によると、最短47年~最長150年まで、鉄筋コンクリート造建物の推定寿命にはかなり開きがあります。B・D・Eの数字は、部材や建物の「物理的な耐用年数」や「減価償却費計算上の耐用年数」を表していますが、「物理的な耐用年数」や「減価償却費計算上の耐用年数」が、実際のマンションの寿命と同じとは限りません。
なぜなら、マンションが物理的に居住可能でも「エレベーターがない」「家族構成が変わった」などの理由で人が住まなくなり、十分なメンテナンスができずにマンションの寿命を縮めてしまうケースがあるからです。また、日本ではマンションが普及し始めたのが1960~1970年代と歴史が浅く、メンテナンスをしてマンションの寿命をのばし住み続けた実例がまだほとんどありません。こういった日本の現状がマンションの寿命をわかりにくくしています。
しかし、上の表の有識者の研究結果のうち、AとCについては理論上の数字ではなく、実際の例をもとに算出しています。したがって、鉄筋コンクリート造のマンションには、少なくとも50~60年レベルの寿命があるはずです。
なお、欧米では定期的にマンションの補修をして100年以上住み続けているケースが少なくありません。日本でもマンションに必要なメンテナンスを定期的に行い、劣化が進んだ場合には抜本的にリフォームやリノベーションを実施することによって、マンションの寿命をのばすことは可能なはずです。
実際に、1981年以降の新耐震基準にもとづいて建てられた築20年~築35年クラスのマンションはリノベーション向け物件として需要があり、リノベーション後も人が住み続けています。したがって、マンションの寿命は最低でも50~60年、それから先は個別の物件の状態によると考えていいでしょう。
中古住宅の築年月は和暦で表示されることが多く、複数の元号にまたがると築年数が計算しにくくなります。ここでは、西暦・和暦(令和~昭和)ごとに築年数が一目でわかる早見表を掲載しますのでご参照ください。
【令和版】令和元年(2019年5月1日以降)
西暦 | 和暦 | 築年数 |
2021年 | 令和3年 | 新築 |
2020年 | 令和2年 | 1 |
2019年 | 令和1年(元年) | 2 |
【平成版】平成31年~元年( 2019年4月30日 ~ 1989年1月8日)
西暦 | 和暦 | 築年数 | 西暦 | 和暦 | 築年数 | |
2019年 | 平成31年 | 2 | 2003年 | 平成15年 | 18 | |
2018年 | 平成30年 | 3 | 2002年 | 平成14年 | 19 | |
2017年 | 平成29年 | 4 | 2001年 | 平成13年 | 20 | |
2016年 | 平成28年 | 5 | 2000年 | 平成12年 | 21 | |
2015年 | 平成27年 | 6 | 1999年 | 平成11年 | 22 | |
2014年 | 平成26年 | 7 | 1998年 | 平成10年 | 23 | |
2013年 | 平成25年 | 8 | 1997年 | 平成9年 | 24 | |
2012年 | 平成24年 | 9 | 1996年 | 平成8年 | 25 | |
2011年 | 平成23年 | 10 | 1995年 | 平成7年 | 26 | |
2010年 | 平成22年 | 11 | 1994年 | 平成6年 | 27 | |
2009年 | 平成21年 | 12 | 1993年 | 平成5年 | 28 | |
2008年 | 平成20年 | 13 | 1992年 | 平成4年 | 29 | |
2007年 | 平成19年 | 14 | 1991年 | 平成3年 | 30 | |
2006年 | 平成18年 | 15 | 1990年 | 平成2年 | 31 | |
2005年 | 平成17年 | 16 | 1989年 | 平成1年(元年) | 32 | |
2004年 | 平成16年 | 17 |
【昭和版】昭和64年~昭和元年(1989年1月7日 ~ 1926年12月25日)
西暦 | 和暦 | 築年数 | 西暦 | 和暦 | 築年数 | |
1989年 | 昭和64年 | 32 | 1957年 | 昭和32年 | 64 | |
1988年 | 昭和63年 | 33 | 1956年 | 昭和31年 | 65 | |
1987年 | 昭和62年 | 34 | 1955年 | 昭和30年 | 66 | |
1986年 | 昭和61年 | 35 | 1954年 | 昭和29年 | 67 | |
1985年 | 昭和60年 | 36 | 1953年 | 昭和28年 | 68 | |
1984年 | 昭和59年 | 37 | 1952年 | 昭和27年 | 69 | |
1983年 | 昭和58年 | 38 | 1951年 | 昭和26年 | 70 | |
1982年 | 昭和57年 | 39 | 1950年 | 昭和25年 | 71 | |
1981年 | 昭和56年 | 40 | 1949年 | 昭和24年 | 72 | |
1980年 | 昭和55年 | 41 | 1948年 | 昭和23年 | 73 | |
1979年 | 昭和54年 | 42 | 1947年 | 昭和22年 | 74 | |
1978年 | 昭和53年 | 43 | 1946年 | 昭和21年 | 75 | |
1977年 | 昭和52年 | 44 | 1945年 | 昭和20年 | 76 | |
1976年 | 昭和51年 | 45 | 1944年 | 昭和19年 | 77 | |
1975年 | 昭和50年 | 46 | 1943年 | 昭和18年 | 78 | |
1974年 | 昭和49年 | 47 | 1942年 | 昭和17年 | 79 | |
1973年 | 昭和48年 | 48 | 1941年 | 昭和16年 | 80 | |
1972年 | 昭和47年 | 49 | 1940年 | 昭和15年 | 81 | |
1971年 | 昭和46年 | 50 | 1939年 | 昭和14年 | 82 | |
1970年 | 昭和45年 | 51 | 1938年 | 昭和13年 | 83 | |
1969年 | 昭和44年 | 52 | 1937年 | 昭和12年 | 84 | |
1968年 | 昭和43年 | 53 | 1936年 | 昭和11年 | 85 | |
1967年 | 昭和42年 | 54 | 1935年 | 昭和10年 | 86 | |
1966年 | 昭和41年 | 55 | 1934年 | 昭和9年 | 87 | |
1965年 | 昭和40年 | 56 | 1933年 | 昭和8年 | 88 | |
1964年 | 昭和39年 | 57 | 1932年 | 昭和7年 | 89 | |
1963年 | 昭和38年 | 58 | 1931年 | 昭和6年 | 90 | |
1962年 | 昭和37年 | 59 | 1930年 | 昭和5年 | 91 | |
1961年 | 昭和36年 | 60 | 1929年 | 昭和4年 | 92 | |
1960年 | 昭和35年 | 61 | 1928年 | 昭和3年 | 93 | |
1959年 | 昭和34年 | 62 | 1927年 | 昭和2年 | 94 | |
1958年 | 昭和33年 | 63 | 1926年 | 昭和1年(元年) | 95 |
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詳しくはこちら>>いざ中古物件を購入しようとする際、気になるのは「築何年くらいの物件がおトクなのか」という問題です。ここでは物件の資産価値という観点から、中古物件の買い時をご説明します。
日本のマンションの市場価格は新築時が一番高く、一度でも人が住むと中古物件となってしまい価格が大きく下落します。なぜなら、新築物件の場合広告費用などの初期コストがマンション価格に上乗せされてしまうためにどうしても1~2割ほど割高になってしまうからです。
その後も価格は落ち続け、築20年~築25年を過ぎたあたりから価格の下落が止まり、若干右下がりの横ばい状態になります。したがって、価格の下落率が低くなり価格が横ばい状態になる20年~25年を経過した物件であれば、資産価値が落ちにくくなるため買い時といえるでしょう。
また、資産価値が落ちついた物件であれば、万が一住み替えなどで売却する場合も、買い値と売り値の差がさほど開かないため、「ローン残高が不動産評価額を上回り売ろうにも売れない」という悲劇にはなりにくいです。
次に、資産価値が落ちにくい物件のポイントは立地条件です。「すぐれた立地」は経年劣化しません。「駅近物件」「人気のエリア」はよい立地の定番条件です。「田舎に住んでのんびりしたい」「どうしても古民家に住みたい」という特別な希望がなければ、駅に近くスーパーやコンビニなどの商業施設があり、便利で人気のあるエリアの物件を購入することをおすすめします。
最後のポイントは建物自体です。マンションの資産価値を維持するためには、定期的なメンテナンスや、住宅の状態に応じたリフォームやリノベーションが欠かせません。したがって、①マンションの建物自体の構造がしっかりしているか、②マンションのコンディション・管理体制がよいかは、購入後に変更できないだけに注意すべきポイントです。
「マンションは管理を買え」といわれることがあるほど、中古マンションを購入するときに、管理状態は重要なポイントです。マンションは管理状態によって、建物の寿命や資産価値が左右されることが理由として挙げられます。
大規模修繕工事が適切なタイミングで実施されていないと、建物の老朽化が進むことになります。マンションを適切に維持するためには、長期修繕計画にもとづいて大規模修繕工事を12年程度の周期で定期的に行うことが必要です。外壁のタイルの補修やシーリングの打ち直し、外壁や鉄部の塗装工事、屋上やバルコニー、外廊下の防水工事などを実施することで、建物の機能を保つことができます。
また、管理費や修繕積立金を滞納する所有者が多い物件は、マンションの管理や今後の大規模修繕工事に支障をきたす恐れがあるため、注意が必要です。
それから共用部分の状況からは、管理組合の運営の質や住民のモラルが見てとれます。共用部分の清掃が行き届いているか、集合ポストの付近にチラシなどが散らかっていないか、駐輪場で自転車は整然と並んでいるかといった点もチェックするべきポイントです。
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詳しくはこちら>>実際に中古物件の売買では、どのようにして価格が決まっていくのでしょうか。中古物件の価格の決まり方を解説したうえで、査定方法を紹介していきます。
新築マンションや新築分譲戸建てなど新築物件の販売価格は、原価積み上げ式と呼ばれる方法で決定します。土地の購入費用や建物の建築費用、広告などの販促費用などに売主の利益を加えて、販売価格が決定する方法です。新築マンションの場合、階数や方角によって個々の部屋の価格が調整されます。
一方、中古物件の場合は、建物は築年数の経過によって経年劣化し、土地の価格も新築時とは市場相場が異なっていることが考えられ、適正価格の判断が難しいものがあります。売主はできるだけ高い価格で売りたいと考えるものですが、売主のいい値で決めた価格では市場相場からかけ離れてしまいがちです。市場相場よりも高ければなかなか売れにくく、市場相場よりも安ければ、結果的に売主が損をすることになります。実際のところでは、中古物件の販売価格は不動産会社の査定価格をもとに、売主が決めます。また、最終的な売却価格は、買主と売主の交渉によって決定します。
原価法とは、建物の査定価格の評価方法の一つで、再調達価格をもとに、築年数の経過によって価値が減少した分を差し引いて算出する方法です。再調達価格とは、現在の時点で同じ建物建てたときにかかる費用をいいます。再調達価格には、建物の原材料費だけではなく、人件費や設計費用なども含まれます。
原価法による中古物件の建物の査定価格は以下の計算式で算出できます。
建物の査定価格=再調達価格(㎡単価)×延床面積(㎡)×法定耐用年数の残年数/法定耐用年数
建物の原材料のグレードや工法などによる個別性から、再調達価格には違いがあります。法定耐用年数とは、税法上の減価償却資産の耐用年数のことで、使用に耐えうるとされている年数です。実際の建物の寿命と法定耐用年数は異なります。法定耐用年数は構造や用途によって決められています。
住宅用の用途の場合、法定耐用年数は以下になります。
<法定耐用年数>
出典:国税庁|確定申告書作成コーナー|耐用年数(建物/建物附属設備)https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
※一般的には鉄骨造のうち、鋼材の厚み6mm未満のものを軽量鉄骨造、6mm以上のものを重量鉄骨造と呼ぶ。
金融機関では、中古物件の資産価値を算出するにあたって、再調達価格の基準単価を構造ごとに決めています。金融機関によって異なりますが、以下が目安になります。
<再調達価格の目安:代表的な基準単価と幅>
● 木造…15万円(12万円~15万円)/㎡
● 軽量鉄骨造…15万円(12万円~15万円)/㎡
● 重量鉄骨造…18万円(15万円~18万円)/㎡
● RC造…20万円(18万円~20万円)/㎡
<原価法による建物の査定価格の計算例>
事例1:木造住宅、再調達価格15万円、延床面積100㎡、築10年
15万円×100㎡×12年÷22年=約818万円
事例2:木造住宅、再調達価格15万円、延床面積100㎡、築23年
15万円×100㎡×0年÷22年=0円
築年数が法定耐用年数を超えるケースでは、建物の査定価格は0円になります。
事例3:RC住宅、再調達価格20万円、延床面積100㎡、築23年
20万円×100㎡×24年÷47年=約1,021万円
取引事例比較法は、中古物件の査定で用いられることが多い評価方法です。多用な取引事例の中から、査定の対象となる物件と条件が近い取引事例を収集。事例ごとに事情補正や時点修正を行った後、地域的要因や個別的要因を考慮して比較を行って、査定価格を算出します。
事情補正とは売却価格に影響を与える特別な事情がある場合に価格を補正することをいいます。例えば、売主に借金がある、引越しの予定があるといった事情で売却を急いでいるケースでは、一般的な取引よりも価格が低くなっていることが想定されるため、補正を行います。時点修正とは、取引事例の発生した時点と査定を行う時点で、不動産市場の価格水準に補正することです。
取引事例比較法は近隣地域や、対象物件と代替関係や競争関係にある地域を指す同一需給圏内の類似地域で、対象物件に似た物件の取引事例がある場合に有効です。ただし、不動産鑑定士による感覚的な部分が査定価格に影響する点に留意する必要があります。
収益還元法とは、対象物件が将来生みだす収益をもとに査定価格を算出する方法です。収益還元法は主に、賃貸用物件など事業用不動産の査定価格を算出する際に用いられています。収益還元法には直接還元法とDCF法という種類があります。
直接還元法は、家賃収入から必要経費を引いた純利益を還元利回りで割って査定価格を算出する方法です。還元利回りはキャップレートとも呼ばれ、類似する不動産の取引事例などをもとにした収益の想定による利回りを用います。例えば、類似する物件の利回りが5%であった場合、対象物件の方が最寄り駅から近ければ、利回りを高めに調整します。直接還元法では、還元利回りの設定が大きく査定価格を左右します。
直接還元法による査定価格は以下の計算式で求められます。
査定価格=1年間の純収益÷還元利回り
<直接還元法による査定価格の計算例>
事例:1年間の収益300万円、経費30万円、還元利回り5%
(300万円-30万円)÷5%=5,400万円
5,400万円よりも安く購入できる場合は、収益を上げられると判断できます。
DCF法の「DCF」とは、ディスカウントキャッシュフローの略で、不動産投資の上級者向けの計算方法です。DCF法とは、不動産を所有している間に運用して得られる収益や売却価格を、現在の価値に割り引いて算出する査定方法をいいます。中古物件の資産価値は、通常、経年劣化によって下がるため、例えば1年目よりも5年目に売却した方が価値が下がることを考慮したものです。
DCF法による査定価格を算出する計算式は、以下のようなイメージになります。
毎年得られる純収益の現在価値の合計+将来の売却価格の現在価値
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詳しくはこちら>>もちろん、中古物件(一戸建て・マンション)でも住宅ローンを借りることはできます。例えば、メガバンクの三井住友銀行とみずほ銀行は、新築物件でも中古物件でも申込み可能で、返済期間も新築物件と同様に1年~35年です。ただし、金融機関によっては中古物件の場合、「50年-築年数」以内というように35年より短い返済期間を上限に設定している場合もあります。また、そのために毎月の返済額が増えてしまう可能性はあります。
基本的には中古物件だからといって住宅ローンの申込みを受け付けてもらえないということはありません。しかし、中古物件は担保の評価額が新築物件と比べて低いために借入可能額がどうしても低くなり、「審査に通らなかった」「希望額から減額された」「リフォーム費用までは借りられなかった」という可能性があります。
そういった場合に中古物件で住宅ローンを利用するときは、頭金をしっかり用意することをおすすめします。また、審査に不安があって夫婦共働きの家庭の場合は、配偶者を連帯債務者や連帯保証人にして収入を合算する、夫婦向け「ペアローン」を利用するといった方法も検討してみましょう。
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詳しくはこちら>>住宅ローン減税制度とは、各年の住宅ローン年末残高の1%(上限40万円)を10年間、その年の所得税から直接控除でき、所得税で控除しきれなかった分は住民税(の一部)からも控除できるという制度です。この減税制度の効果は10年という長期にわたるため大きなものとなります。この制度を受けるには、一定の要件を満たし、確定申告をして「住宅借入金等特別控除」(住宅ローン控除)の適用を受ける必要があります。ただし、この制度は2021年12月までの入居までの期限付き制度です。
この住宅ローン減税制度を受けるための条件はゆるく、主な要件は以下のとおりです。
さらに、中古住宅の場合は、次の①②のうちいずれかの要件を満たしている必要があります。
①築年数が一定の年数以下
– 耐火建築物(鉄筋コンクリート造など)の場合:築年数25年以内
– 耐火建築物以外(木造)の場合:築年数20年以内
または
②現行の耐震基準を満たしている
– 「耐震基準適合証明書」「住宅性能評価書」などの証明書類を提出
つまり、鉄筋コンクリート造などの中古マンションの購入の場合、築年数が25年以内であれば、中古住宅でも特に用意するものはありません。25年を超えている物件でも、物件が現行の耐震基準を満たしていて、証明書類が入手できるのであれば問題ありません。
ただし、物件の売り手が耐震基準に関する証明書類を用意していない場合は、建築士や登録住宅性能評価機関などに耐震診断と書類の作成を依頼しなくてはならないため、手数料と手間がかかります。
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詳しくはこちら>>実際に中古マンションを購入する場合、どのような基準で選んでいくと、お得感のある物件が手に入るのでしょうか。中古マンションの購入検討者の重視したいニーズ別に、堅実重視ニーズ、価格重視ニーズ、立地条件重視ニーズという観点から解説していきます。
資産価値のある物件を堅実に選びたい人におすすめなのは、築15年前後の中古マンションです。2000年4月に「住宅と品質確保の促進等に関する法律」、通称「品確法」が施行されました。これにより、住宅性能表示制度の創設や住宅専門の紛争処理体制の整備、新築住宅の瑕疵担保期間10年の義務化が行われ、一定の品質が担保されていることが期待できます。
また、2003年7月の建築基準法の改正によって、換気設備の設置が義務付けられたため、24時間換気が設置されるようになりました。2000年代以降のマンションは、ダブルオートロックや防犯カメラの設置が当たり前となって来ています。また、床スラブ厚の標準が18㎝~20㎝になったことで、遮音性も向上しています。こうした共用部分に関わる躯体や設備は所有者個人で、改修を行うことはできません。最近のマンションでも設置されている設備などが導入されていることも、築15年前後の中古マンションをおすすめする理由です。
また、価格面では、原価法による査定価格にもとづくと、建物部分の評価額が新築時の3分の2程度になるため、購入価格を抑えられます。住宅ローン減税も、耐震基準への適合の証明が不要となる、築25年以内に該当するため、新築マンションと同様の条件をクリアすれば利用できます。
つまり、築15年前後のマンションは、最近できたマンションと同程度の性能がありながら、購入価格を抑えられ、住宅ローン減税の対象になるのです。
ただし、マンションの共用部分の大規模修繕工事は12年~15年に1度実施するのが目安であるため、適切に実施されているか確認することが大切です。まだ、大規模修繕工事が実施されていない場合は、大規模修繕工事が実施される時期や修繕積立金の積立状況を確認しましょう。修繕積立金が十分に積立てられていない場合は、将来的に修繕積立金が値上がりする可能性があります。
価格を重視したい人におすすめなのは、築20年~25年程度の中古マンションです。築20年~25年程度のマンションは建物の価値が下がっているため、築年数の経過による価格の下落率が低くなり、資産価値を維持しやすいというメリットがあります。つまり、比較的安い価格で手に入り、価値が下がりくいお得感のある築年数なのです。
築20年~25年程度の中古マンションは、新耐震にあたるため、耐震性の面でも安心できます。資産価値を維持しやすいため、売却することになっても、立地条件にもよりますが、残債が残るといった事態に陥りにくいです。また、築25年以内であれば、住宅ローン減税の利用に耐震基準の適合証明が必要になりません。
ただし、築20年~25年の中古マンションを購入する場合は、老朽化が進んでいることが考えられるため、リノベーションをすることが前提になります。フローリングや壁紙の張り替え、キッチンやトイレ、ユニットバス、給湯器の交換を行うなど、フルリノベーションする必要がある可能性が高いことを前提に考えることが必要です。一方で、フルリノベーションを前提にしても、新築マンションを購入するよりも費用を抑えられ、間取りやデザインの自由度が高いというメリットもあります。
生活の利便性が高く、災害によるリスクが低い立地条件の良い中古マンションは、資産価値を維持しやすいというメリットもあります。また、新築マンションで検討できるのは、購入を希望する時期に販売されている物件に限られますが、中古マンションであれば多くの選択肢の中から探すことができます。立地条件を重視して選ぶ場合、ポイントになるのは交通利便性と生活利便施設の充実度、住環境、安全性です。
まず、交通利便性の面では、都心へのアクセスのしやすさが重視するべき点です。通勤にかかる時間が短ければ、遅くまで仕事をする、映画を見に行く、お酒や食事を楽しむなど、時間を有効に使えます。交通利便性の面から理想的なのは、複数路線が乗り入れるターミナル駅が最寄り駅の物件で、駅から徒歩10分以内の物件です。また、各駅停車しか停まらない駅よりも、急行が停まる駅の方が利便性が高くなります。エリアによっては、バス停が近くにあることも立地条件の良さにつながります。車での移動が中心のエリアでは、幹線道路にアクセスしやすいこと、敷地内駐車場が確保されていることがポイントです。
次に、生活利便施設の充実度の面では、近くにスーパーやドラッグストア、あるいは商店街、病院、銀行、郵便局といった施設があると暮らしやすいです。ただし、家族構成や生活スタイルによって、近くにあると便利な施設には違いがあります。子育て世代なら、公園や小学校が近くにあると暮らしやすいです。一人暮らしやDINKSの場合は、夜遅くまでやっているスーパーがあると便利です。
そして、住環境の面では、公園や街路樹が整備されている、緑豊かな閑静な住宅地など街並みがきれいに整っているといった点が住み心地の良さにつながります。
それから、安全性の面では、治安が良いことと自然災害に強いことがポイント。夜、暗い道を通って帰宅するのは危ないため、購入を検討する中古マンションが見つかったら、最寄り駅まで通る道に街灯が整備されているか、夜に実際に歩いてみて確認することが大切です。また、子供のいる世帯では、交通量が多く危険な道路が周辺にないかチェックしましょう。
災害に弱い場所は、自治体が公表しているハザードマップで確認することが可能です。川や沼を埋めたてた場所は、水害に弱いことが懸念されますが、図書館などで古い地図を知らべると、把握できます。また、古くから人が住んでいる土地は安全性が高い傾向にあります。
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詳しくはこちら>>中古物件は新築物件より価格的に割安で、きちんと管理されていて建物の状態がよいものであれば、長く住んだり住宅ローンを借りたりするのに問題はありません。また、中古物件は新築物件よりも数が多く、いろいろな選択肢のなかから選ぶことができます。
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