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ビルトインエアコンとは?エアコンを埋め込むメリットやデメリット、費用などをわかりやすく解説

ビルトインエアコンとは?エアコンを埋め込むメリットやデメリット、費用などをわかりやすく解説

快適な空間をつくるために欠かせない、エアコンなどの空調機器。しかし無機質なデザインがインテリアの邪魔をすることも多く、なるべく主張しすぎないエアコンを選びたいという方も多いですよね。

そんなときにおすすめなのが、天井や壁に埋め込まれたビルトインエアコン。オフィスや店舗でよく目にしますが、家庭用ビルトインエアコンも販売されており、一般住宅でも採用することができます。今回は通常の壁掛けエアコンと比べたときのビルトインエアコンのメリットやデメリット、費用、設置のポイントなどをご紹介します。

こんな方におすすめの記事です
  • インテリアにこだわりがある方
  • ビルトインエアコンの導入を検討されている方
  • ビルトインエアコンを導入するときの注意点が知りたい方

■ビルトインエアコンの基本知識

多くの住宅に設置されているのは、壁に取り付けられる「壁掛けエアコン」。それに対して、天井や壁に埋め込まれたものが「ビルトインエアコン」です。まずはそれぞれの特徴と違いを見ていきましょう。

・ビルトインエアコンとは

ビルトインエアコンとは、天井や壁に埋め込まれるタイプのエアコンのこと。室内機は天井裏などに埋め込み、そのまま配管類(※)は見えない部分を通って室外機へと接続します。
※配管類:室内機と室外機の間で熱を交換する「冷媒管」や、エアコンでできた結露水を外へ排出する「ドレン管」。

ビルトインエアコンとは
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・ビルトインエアコンの種類

家庭用ビルトインエアコンは天井埋込型と壁埋込型があり、天井埋込型は吹き出し口が1方向タイプと2方向タイプに分けられます。

埋め込み場所吹き出し口の数設置場所
天井埋込エアコン1方向タイプ部屋の端
天井埋込エアコン2方向タイプ部屋の中央
壁埋込エアコン部屋の端

天井に埋め込むタイプは、壁面スペースがなくても設置できるのがメリットです。窓を大きくとる、壁面に隙間なく造作収納をつくるなど、限られた壁面を有効活用できます。

1方向に風が出るタイプは、天井の隅に設置するのがおすすめ。ただし広い空間では1方向からだと、エアコンから遠い場所に風が行き渡らないこともあります。2方向に風が出るタイプを部屋の中心に設置すると、両サイドに風が吹くため温度ムラができにくくなるでしょう。

壁に埋め込むタイプは、収納などとセットで取り付けることで、インテリアに馴染みやすいのが特徴です。造り付けの壁面収納に組み込んだり、和室の押し入れの上のスペースに設置したりとさまざまな活用方法があります。

・壁掛けエアコンとの違い

通常の家庭でよく使われる壁掛けエアコンとの大きな違いは設置方法です。ビルトインエアコンは室内機を埋め込むのに対し、壁掛けエアコンは室内の壁面に取り付けます。

壁掛けエアコンとの違い
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設置が簡単なのは壁掛けエアコンで、費用も安いのがメリット。修理や交換といったメンテナンスも比較的容易です。ただし壁掛けエアコンは本体が目立つため、インテリアの邪魔になってしまうことがあります。意匠性を重視するならビルトインエアコンを検討するとよいでしょう。

項目壁掛けエアコンビルトインエアコン
設置方法壁面に固定する天井や壁に埋め込む
初期費用約10〜16万円(18畳)約30〜50万円
見た目本体やダクトが目立つ本体やダクトが天井裏や壁裏に隠れてすっきり
工事内容配管用の小さな穴あけ、室内機・室外機の設置室内機用の大きな穴あけ、室内機・室外機の設置、天井裏や壁裏の配管配線工事

また通常の壁掛けエアコンを造作家具にビルトインして、ルーバーなどで覆って隠す方法もあります。内部に冷気や暖気がこもらないようにする、メンテナンスがしやすいようにするなどの配慮が必要なので、リフォーム会社に相談しましょう。

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■ビルトインエアコンのメリット

ビルトインエアコンのメリットは、すっきりした見た目とレイアウトのしやすさです。それぞれ詳しく解説します。

・見た目がすっきりしている

ビルトインエアコンは本体や配管類が天井や壁に埋め込まれて、見えるのは吹き出し口だけになります。すっきりとした見た目で、インテリアの邪魔をしにくいのがメリットです。天井や壁から機器が出っ張らず、圧迫感が少ないことから、部屋を広く見せる効果も期待できます。

見た目がすっきりしている
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また製品によっては、目に見える部分の吹き出し口パネルの色やデザインを選べるものも。例えば木目調のパネルを選ぶと、一見してエアコンがどこにあるかわからないようインテリアに馴染ませることもできるでしょう。インテリアにこだわりたい方、本格的な和室に無機質なエアコンを置きたくない方などにおすすめです。

・室内のレイアウトがしやすい

掛けエアコンの場合、基本的には屋外に面した壁面に設置されます。屋外に設置する室外機までの距離が短いため、エアコン効率がよく、配管もすっきりと収められるからです。

ところが屋外に面した壁面にエアコンを固定すると、大きな窓をつくるのが難しくなることも。また近くにドアやクローゼットがあると扉とエアコンが干渉してしまったり、近くに背の高い家具を置きづらかったりする問題もあります。

ビルトインエアコンなら吹き出し口を理想の位置に配置でき、室内のレイアウトの自由度が高まるのがメリットです。エアコンの設置場所を気にせずに、天井いっぱいの大きな窓をつくることもできます。天井埋込型のビルトインエアコンを部屋の中心に設置すれば、壁沿いの家具の配置も自由です。

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■ビルトインエアコンのデメリット

反対にビルトインエアコンのデメリットは、費用面やメンテナンス面です。

・初期費用が高め

ビルトインエアコンは壁掛けエアコンに比べて本体価格や工事費が高いというデメリットがあります。工事費が高くなるのは、建物に穴をあけたり内部で配管を接続したりと、難易度の高い作業が必要になるからです。

メーカーや製品によっても寸法や仕様は異なるため、対応できる業者の数も壁掛けエアコンに比べると少ないでしょう。壁掛けエアコンは家電量販店などでも依頼できますが、ビルトインエアコンは空調設備の専門業者やリフォーム会社への工事依頼が必要です。

・メンテナンスに手間がかかる

天井内や壁内に埋め込まれたビルトインエアコンは、メンテナンスや修理の際にもアクセスが制限されてしまいます。構造も複雑なので、「エアコンの効きが悪い」「水が漏れる」などの不具合が発生したとき、修理や交換にかかる費用がかさむのもデメリットです。

一方、通常の壁掛けエアコンは、コンセントに接続されているのみ。故障した際も室内機と室外機を買い換えればよく、特別な工事は発生しません。初期費用だけでなく、修理や交換にかかる費用も含めて検討されるとよいでしょう。

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■ビルトインエアコンの設置過程

ビルトインエアコンの設置条件やプロセスは、メーカーや機種によって異なります。ここでは一般的なガイドラインについてご紹介しますが、詳しくは製品の取扱説明書などをご確認ください。

・設置に必要な条件

ビルトインエアコンを設置するには、次のような条件を満たしている必要があります。

① 天井裏・壁裏に十分な空間があること

ビルトインエアコンを設置するには、天井裏や壁裏に本体を埋め込むためのスペースが必要です。
上階の床の裏に天井材を直接張った「直天井」では、天井裏の空間をあまりとることができません。そのため天井埋込型のビルトインエアコンを設置するには不向きです。
上階の床の裏から下地枠を吊り下げて仕上げた「二重天井」のほうが天井裏に広いスペースがとりやすく、ビルトインエアコンを設置するのに向いています。

② 配管が長くなりすぎないこと

ビルトインエアコンは室内機と室外機を比較的遠くに置くことも可能です。しかし配管が長すぎると冷暖房効率が下がるため、メーカーが指定している配管の最長距離を守ってレイアウトしなければなりません。

③ 照明などと干渉しないこと

天井にはビルトインエアコンだけでなく、照明なども設置されます。お互いに干渉しないよう、設置場所については十分に検討する必要があります。

・設置プロセスの概要

ビルトインエアコンはすでに天井が張られた状態で新設することも可能ですが、新築やリノベーションのときに設置されることが多いです。設置場所や設置方法についてプランを立てたあと、見積もりに納得できたら工事という流れになります。

① 現地調査・プランニング
お客様と打ち合わせをしながら、吹き出し口の位置や室外機までの経路、製品の種類などを決めます。天井裏や壁裏に室内機が収まるスペースがあるかどうか確認。強度が足りなければ、下地補強が必要なこともあります。

② 見積もり・契約
現地調査やヒアリングをもとにプランを作成し、実際にかかる費用の見積もりを出してもらいます。問題がなければ契約となり、工事が開始されます。

③ 設置工事
スケルトンリノベーションの場合は、骨組みの段階でエアコンの室内機が収まるスペースをつくります。躯体にアンカーボルトを打ち込んで室内機を固定。そこから配管類をつないで、屋外の室外機に接続します。下地や壁紙が張られたら、室内機のパネルを取り付けて完成です。

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■ビルトインエアコンの費用

ビルトインエアコンの設置を検討するときには、コスト面をシミュレーションすることが大切です。設置費用や光熱費、メンテナンス費用をチェックしてみましょう。

・設置費用

ビルトインエアコンの設置費用は、工事費を含めて30〜50万円程度が目安です。工事費としては次のような項目が発生し、設置条件によっても金額が変わってきます。

【工事費の内訳】
室内機・室外機の搬入と設置工事費、配管・配線工事費、既存エアコンの撤去と処分費、諸経費(養生・運搬費用)など

【工事費が高くなるケースの例】
・室外機を高所に設置する
・エアコン用の電源の確保が必要になる
・室内機と室外機の距離が遠く、配管が長い

・光熱費

毎月かかる光熱費は、部屋の広さや温度設定、製品によってさまざま。ダイキンの18畳のビルトインエアコンと壁掛けエアコンの年間消費電力量を比較したところ、下表のような結果となりました。

項目天井埋込型(1方向タイプ)壁掛けエアコン
広さの目安18畳18畳
年間消費電力量2,303kWh
(ダイキンS56ZCRV)
1,655kWh
(ダイキンAN564AAP-W)
年間光熱費の目安(※)7万1,393円5万1,305円

※公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会による電力料金の目安単価「1kWhあたり31円」で計算した場合。

この場合、光熱費が安いのは壁掛けエアコンです。ただし新しいエアコンの省エネ性能は上がっているため、今お使いのエアコンが古いものであれば、今より光熱費が安くなる可能性は高いでしょう。また製品によっても消費電力量には差があるため、詳しくは商品カタログ等を参考にしてみてください。

・メンテンス費用

ビルトインエアコンの手入れをしないと、「冷暖房の効きが悪い」「カビっぽい臭いがする」などの問題がでてくることも。不具合や故障を予防するためにも、定期的に内部洗浄などのメンテナンスをするとよいでしょう。またフィルターは3年程度で汚れがひどくなってきたら交換します。

家庭用ビルトインエアコンの内部洗浄を業者に依頼すると、1回あたり3〜4万円程度かかります。通常の壁掛けエアコンであれば1〜2万円程度なので、ここもランニングコストに含めて検討しましょう。

・交換費用

ビルトインエアコンを交換する場合、元々使用していたのと互換性があるシリーズに交換すれば、既存の配管などをそのまま再利用できます。室内機と室外機を交換するだけなので、新設時よりも費用を抑えることが可能です。

メーカーによるエアコンの部品の保有期間は10年程度なので、10年を過ぎて故障をすると部品がなく修理ができなくなる場合もあります。そのため使用頻度や環境にもよりますが、10〜15年程度で交換される方が多いようです。

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■ビルトインエアコン選びのポイント

最後にビルトインエアコンを選ぶときのポイントをご紹介します。

・部屋の広さに合わせた性能を選ぶ

一般住宅や集合住宅で使われるのが「家庭用エアコン」、オフィスや店舗などで使われるのは「業務用エアコン」です。家庭用エアコンのラインナップは6〜18畳程度ですが、業務用エアコンはもっと広い畳数に対応できるものもあります。

家庭用エアコンはわかりやすく「〇畳用」と表記されていることが多いので、冷暖房したい部屋の広さに合わせたものを選びましょう。家の構造が木造なのか鉄筋なのかによっても、適応畳数が異なることもあります。

また適応畳数はあくまでも目安で、住まいの立地や状態によってもエアコンの効きやすさは変わってきます。冷暖房の効きにくい住宅では、広めの畳数に対応できる製品も検討されるとよいでしょう。機器選びについては、ビルトインエアコンの設置に詳しい業者に相談するのがおすすめです。

冷房の効きが悪くなる例暖房の効きが悪くなる例
・日当たりがよい、西日があたる
・キッチンのガスコンロがある
・マンションの最上階で屋上から熱が伝わる
・天井が吹き抜けで暖気が上へ逃げる
・家の気密性が低く隙間風がひどい

・機器のサイズで選ぶ

ビルトインエアコンの高さや横幅は、メーカーやシリーズによって異なります。天井裏や壁裏の設置スペースが限られている場合は、エアコンのサイズから製品を選ぶこともあるでしょう。最近はコンパクトなモデルも販売されており、設置スペースが狭い家でもビルトインエアコンを設置しやすくなっています。

・配管の長さで選ぶ

室内機と室外機をつなぐ配管は、製品ごとに最長距離や最大高低差が定められています。そのため室内機と室外機を離して置きたい場合は、長配管に対応できるものを。1階の屋外に室外機を置き、エアコンを3階に置きたい場合などは、高低差が大きくても使えるものを選びます。

・デザインで選ぶ

ビルトインエアコンは製品によって、吹き出し口のパネルのデザインがさまざま。ホワイト、アイボリー、ブラウン、木目などメーカーによってラインナップが異なります。好きなパネルのデザインがあるかという点で、メーカーや製品を絞っていくのもよいでしょう。

・機能性で選ぶ

メーカーやシリーズによって、搭載されている機能はさまざま。ライフスタイルに合わせてほしい機能をピックアップしてみましょう。

【フィルター自動掃除機能】
フィルターのホコリを自動でかき集め、ダストボックスにためる機能。天井埋込型の場合、手が届かない高さにフィルターがあるため、非常に役に立ちます。

【ゾーン運転】
2方向タイプの天井埋込エアコンで、各吹き出し口の風量バランスを切り替えられる機能。例えば「人がたくさんいるリビングは風量多め、人が少ないダイニングは風量少なめ」など、より快適に室温を調整することができます。

【加湿機能】
外気中の水分を取り込んで、室内のうるおいをキープできる機能です。加湿器のように水を注ぐ必要がなく手軽に加湿できるので、冬場のエアコンの乾燥が気になる方にはおすすめです。

【気流制御機能】
自動で窓側に気流を吹き付けて、窓からの冷気や熱気の広がりを防ぐ機能です。大きな窓がある部屋、日当たりがいい部屋、暑さや寒さの厳しい地域などで重宝します。

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■まとめ:ビルトインエアコン導入の検討ポイント

エアコンでインテリアを損ないたくない方にとって、ビルトインエアコンはよい選択肢となります。ただし壁掛けエアコンに比べると初期費用は高く、メンテナンスや交換費用なども意識して導入しなければなりません。見た目や費用などトータルのバランスを考えたうえで、どのように空調をするのがベストなのか設計者とともに話し合いましょう。

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編集者: 村田日菜子

みなさんの豊かな暮らしと住まいづくりをサポートしたい!建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

監修者:原田 直生之
宅地建物取引士の有資格者。

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