ドアや窓などの建具は、部屋の印象を決めるのに大切な要素のひとつ。壁や床だけでなく、ドアをリノベーションすることで印象をがらっと変えられるかもしれません。また扉同士が干渉していて使いにくい場合や、バリアフリー対応の住まいづくりをしたい場合は、ドアの開閉方法を変更するリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。今回はリノベーション可能な建具の種類や、おしゃれな建具選びのポイントなどを、施工事例と共にご紹介します。
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建具とは、ドア・障子・ふすま・窓などの開口部の総称。日本の木造住宅では開口部の枠部分を「大工さん」がつくり、開閉する可動部分を「建具店」がつくっていたことから、可動部分のみを指して「建具」と呼ぶこともあります。現在は工場でつくられた枠と可動部分を現場に搬入して、大工さんに設置してもらう方法が一般的です。
建具の役割は「屋外と部屋」や「部屋と部屋」を仕切り、出入り口にすること。また建具を開けて風を通したり、ガラス部分から光を取り入れたりするのも大切な役割です。部屋の間に室内窓を設置して、隣室とのつながり感がある空間づくりに活用されることもあります。
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詳しくはこちら>>建具の主な開閉方法には「開き戸・引き戸・吊り下げ戸・折れ戸」の4種類があります。
建具の種類 | 開閉方法 |
---|---|
開き戸 | 片側を軸にして前後に開く |
引き戸 | 横にスライドさせて開く |
吊り下げ戸 | 上から吊り下げた引き戸 |
折れ戸 | 中心あたりが縦に折れて開く |
「開き戸→開き戸」のように同じ種類で扉だけ変更するリフォームもありますが、「開き戸→引き戸」のように開閉方法を変えることで使い勝手がよくなるケースもあります。
例えば引き戸の下のレールが気になる場合は、上枠にレールを取り付けて吊り下げ戸に変更すれば床がフラットになります。狭いスペースで開き戸が使いづらい場合は、折れ戸や引き戸に変更することで改善されるかもしれません。
建具の開閉方法はとても大切なので、それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく知ったうえでリノベーションしましょう。
蝶番という金具で止められた部分を軸にして、扉が弧を描くように前後に開閉する建具を開き戸といいます。日本の玄関ドアは、大半が外開きの開き戸です。また開き戸は密閉度が高いので、防音性を大切にしたい個室・書斎・寝室などでもよく使われます。
開閉方法はそのままで、扉のデザインを変えてイメージチェンジしたり、防音性の高い扉やペット用ドアに変更したりすることも可能です。また天井まで高さのあるハイドアは、上の枠がないためすっきりとおしゃれな見た目になります。
床面のレールに沿って、横にスライドさせて開閉するのが引き戸です。和室の障子や、押入れのふすまのような開閉方法をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。バルコニーに出る掃き出し窓も、引き戸がほとんどです。バリアフリーや安全面を考えて、水回りや子供部屋などで引き戸を採用することもあります。
新しい引き戸に交換する場合、既存の枠を生かして扉のみ変える方法が手軽です。枠と扉の雰囲気をそろえたいなら、既存の枠の上から新しいドア枠をかぶせるカバー工法もあります。
開口部の上にレールがあって、引き戸をぶら下げたのが吊り下げ戸。アメリカの「納屋(barn)」でよく使われていたことから、バーンドアと呼ばれることもあります。吊り下げ戸は床面にレールが必要ないので、バリアフリーを意識した住宅や大空間の間仕切り戸などによく使われています。
外付けタイプの吊り下げ戸なら、控え壁の工事や床レールも不要。今ある開き戸や引き戸の枠をそのまま残して、上からレールや扉を設置することができます。
扉を折りたたむようにして開く建具のことを折れ戸といいます。よく目にするのはクローゼットの扉や、浴室の出入り口として使われているケースです。
クローゼットなどの収納の扉を新しいものに交換するだけでも、部屋の印象は変わります。ルーバー付きの扉に交換すれば、収納内の通気性がよくなってカビ対策にもなるでしょう。
また狭い廊下などで開き戸が他の扉と干渉するときに、折れ戸に交換することも。開き戸の枠をそのまま使える、上吊り式の折れ戸もあります。上から吊られているので、床面もフラットです。
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詳しくはこちら>>建具リノベーションには、次のような費用がかかります。建具を枠ごと交換する場合や間口を変更する場合は、この他に床や壁の補修工事費用、間口壁撤去費用などがかかることもあります。
既存建具の撤去費用、処分費用 | 約1〜3万円 |
新規建具代 | 約5〜30万円 |
新規建具取り付け費用 | 約1.8万円 |
諸経費(人件費や交通費など) | 約1.5〜3万円 |
新規建具代は、どのような建具を選ぶかによって変わってきます。集成材をシートで仕上げた扉に比べると、無垢材でできた扉は高価です。デザインにこだわった輸入品や、高性能の防音ドア、オーダーによる特注品なども価格が高くなるでしょう。
建具の種類 | 新規建具代 |
---|---|
開き戸 | 約5〜30万円 |
引き戸 | 約5〜30万円 |
吊り下げ戸(バーンドア) | 約5〜16万円 |
折れ戸 | 約5〜12万円 |
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詳しくはこちら>>開き戸の大きなメリットは気密性の高さ。外の音が聞こえにくくプライバシーを守りやすいので、書斎・寝室・個室などの建具に向いています。スタンダードな形の建具なので、コストパフォーマンスが良いのもメリット。豊富なデザインのなかから選んだり、取手を付け替えたりしてインテリアを楽しむこともできます。
開き戸は扉の前に開くスペースが必要です。狭い廊下に面した場所や、建具が密集している場所では、扉が干渉してしまうこともあります。扉を内開きにする方法もありますが、トイレなどの狭い場所で人が倒れてしまったとき内開きだと外から開かなくなるため注意しましょう。
また開き戸は丸い取手をにぎって回すか、レバーを押し下げながら開かなければなりません。引き戸に比べると複雑な動作になるので、力の弱いお子様や高齢の方には使いにくいケースも。手前に開いたときに一歩後ろに下がるので、高齢の方など体勢が不安定になることもあります。開けっぱなしにすると風でバタンと閉まることもあるので気をつけましょう。
リビングの隣に洋室をつくり、開き戸を取り付けたリノベーション事例です。プライバシーを守りやすい開き戸で、リビングと隣接していても書斎や子供部屋として使い勝手のよい部屋になりました。
ダークな色合いの建具は、ホワイト基調にまとめられたリビングから見ても素敵です。リビングに隣接する洋室は2つありますが、それぞれの建具がリビングの端にくるように配置しました。広めの壁面が残っているので、リビング側の家具の配置にも困りにくいでしょう。
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詳しくはこちら>>引き戸は軽い力で左右にスライドするだけで開閉できるので、お子様や高齢者、車椅子利用者にも使いやすい建具のひとつです。扉の手間に開閉スペースがいらず、開くときに一歩下がる必要もありません。扉を開けっぱなしにしても邪魔にならないので、介助や車椅子が必要になったときにも使いやすいでしょう。
また後述する吊り下げ戸に比べると、値段もこなれています。扉を簡単にレールから取り外せるので、扉のみ交換してイメージチェンジすることもあります。
引き戸の隣には、扉の引き込みスペースが必要です。照明のスイッチやコンセントが設置しにくくなったり、家具の配置に支障を来したりしないか確認しましょう。
そして引き戸を設置するには、床面に扉をスライドさせるレールが必要です。見た目が好みでなかったり、レールの掃除を面倒に感じたりする方もいるかもしれません。戸車に髪の毛やホコリを巻き込むと、扉の動きが悪くなることも。扉が動きにくくなったら、戸車を掃除したり新品に交換したりとメンテナンスをしましょう。
リビングダイニングと寝室を引き戸で間仕切りしたリノベーション事例です。ガラス入りの建具から光や視線が抜け、明るく開放感がある空間になっています。
玄関から入ってすぐのところには、トレーニングルームやワークスペースとして使える多目的室。こちらもガラス入りの引き戸で間仕切りをしています。床面積約58平米という限られたスペースですが、ガラス入り建具のおかげで開放感のある住まいになりました。
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詳しくはこちら>>吊り下げ戸のメリットは、床のレールが不要なこと。足元がフラットで、バリアフリー性能が高い建具です。床面がすっきりとした見た目になるので、大空間の仕切りにも適しています。
またレールが上にあることでホコリや髪の毛を巻き込みにくく、スムーズな動きも長続き。レールにほこりがたまるストレスも少ないです。下にレールがある引き戸から、大規模な工事をすることなく吊り下げ戸に変更することもできます。
吊り下げ戸のデメリットは、下にレールがある引き戸に比べてコストが高めなこと。上部で扉を支えるには頑丈なつくりが必要で、どうしてもコストアップしてしまいます。
また上から扉を吊り下げるので、扉の下には少しすきまが空いてしまいます。下からすきま風が入ってきたり、音漏れが気になったりすることもあるでしょう。
リビングと隣室の間に、3枚の吊り下げ戸を設置したリノベーション事例です。普段は一続きの大空間として使い、来客時や自分の時間を楽しみたいときには空間を仕切ることができます。床面にレールがないので見た目も美しく、掃除も楽になりそうです。引き戸とクローゼットの折れ戸の高さがそろっているので、ラインが少なくすっきりとした部屋になりました。
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詳しくはこちら>>折れ戸のメリットは、開き戸よりも開閉時のスペースがコンパクトになること。体の移動も少なく開閉できるので、体勢が安定しにくい方にも使いやすいです。
また引き戸2枚の引き違い戸では片方ずつしか開きませんが、折れ戸2枚なら大きく開口部をとれるという特徴もあります。
そのため狭い廊下や水回りでドア同士がぶつかってしまうような場合や、手前にベッドやソファなどの家具を置きたい場合、大きな開口部をとりたい収納などに折れ戸がよく検討されます。
折れ戸のデメリットは、扉を閉めるときに手をはさみやすいこと。特にお子様のいるご家庭では注意が必要です。扉にすきまができないよう斜めにカットされていたり、指はさみ防止の保護カバーがついていたりする安全性の高い商品を検討されるとよいでしょう。
そして折れ戸を左右に寄せると、扉の厚みの分だけ有効開口は狭くなります。収納内部に引き出しタイプの収納グッズを入れる場合など、扉が干渉しないようにレイアウトをよく考えましょう。開いたときに扉の横幅の半分ほどが手前に出っ張るので、手前にスペースを確保しておく必要もあります。
寝室のクローゼットの扉として、折れ戸を使ったリノベーション事例です。折れ戸は開口部が広くとれるので、壁いっぱいのクローゼットを見渡すことができます。扉3枚分と横幅が広い収納なので、洋服だけでなく布団やスーツケースのような大きな荷物も出し入れしやすいでしょう。また手前には十分なゆとりがあるので、大きなベッドを置くこともできます。
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詳しくはこちら>>建具の種類は、家族構成や部屋の用途などに合わせて選ぶことが大切です。寝室や書斎など隣室からの音漏れ対策をしたい場所では、開き戸のような防音性の高い建具を選ぶと落ち着いて過ごせるでしょう。楽器演奏や映画鑑賞をするなら、遮音性の高い防音ドアを検討してもよいかもしれません。
開き戸は密閉度も高いので、トイレや洗面所など臭いや湿気が気になるところにも向いています。しかし狭い廊下などでは、他の扉と干渉してしまうことも。かといって内開きにすると、万が一トイレの中で人が倒れてしまったときに外から開かなくなる恐れがあります。省スペースで開閉できて外からもスムーズに開けられる、引き戸なども検討するとよいでしょう。
フレキシブルな空間づくりに適しているのが、引き戸や吊り下げ戸。普段は引き戸を開いて広いリビングとして使い、来客時は引き戸を閉めてプライベートな空間を隠すことができます。子供部屋の真ん中に引き戸を設置しておくと、成長してから個室として分割して使うことも可能です。
透明な間仕切り戸を選べば、光や視線の抜ける開放的な空間に。隣室から小さなお子様を見守ることもできるので、子供部屋としてもおすすめです。内側にカーテンをつけておけば、寝るときや着替えるときは目隠しすることもできます。
また視界は遮りつつ、光や風を取り入れることのできるドアもあります。昔から浴室などの間仕切りとしてルーバー付きのドアがよく使われてきましたが、最近はデザイン性の高いルーバー付きの開き戸や引き戸も登場しています。ルーバーが開閉できるタイプなら、冷暖房をつけたときはルーバーを閉じて気密性を高めることも可能です。小さな窓のような「欄間(ランマ)」が上部についた建具は、欄間から光や風を入れることができます。
建具は出入り口としての機能を持つだけでなく、インテリアのアクセントにもなります。
床と建具を同系色でまとめると、統一感のある空間に。白やベージュのような明るい色の組み合わせなら、上品で爽やかな印象になります。すべてを白でまとめると、モダンな印象です。
黒やダークブラウンなど暗い色の建具を使うと、メリハリが効いてかっこいいコーディネートに。モダンテイストやヴィンテージテイストのインテリアによく似合います。
床や壁とはまったく違う色の建具を選んで、部屋のアクセントにすることも。ブルーやグリーンといった個性的な色の建具は、差し色として効果的です。
色だけでなく、素材選びも重要なポイントです。ナチュラルな木の建具が主流で、無垢板でつくられているものは木ならではの風合いや経年変化を楽しむことができます。表面に木目を印刷したシートや、天然木を薄くスライスした突き板を貼ってある建具はコストを抑えることが可能です。
最近はアルミなどでできた、スタイリッシュな建具も人気です。透明のガラスやアクリル板を埋め込んだ格子の建具は、大空間を格好よく仕切るのにぴったりです。アルミフレームは軽量かつ丈夫なので、大型のパネルでもスムーズに開閉できます。
同じくスタイリッシュな空間づくりに役立つのが、床から天井いっぱいまで高さがあるハイドア。下がり壁や枠がないので無駄なラインが減り、すっきりとして見えます。開き戸タイプのハイドアだけでなく、引き戸や吊り下げ戸など代表的な開き方には対応しています。
収納には取手無しの扉を選ぶと、壁に馴染んで目立ちにくくなります。シンプルでモダンな雰囲気を壊したくない方におすすめです。
リフォームで新しい建具に交換するときは、他の建具とのバランスを考えましょう。引き戸と開き戸など違う種類の建具が並んでいても、色やデザインを統一すれば違和感のない部屋になります。
またデザインだけでなく、建具同士が干渉してしまうリスクも頭に入れておかなければなりません。特に出入り口が密集している場所は、すべて開き戸にすると扉同士がぶつかってしまうことがあります。扉が干渉する場所では、どちらかを引き戸に変更したり、内開きの開き戸にしたりすることで解消できるかもしれません。
またリノベーションでは、思い切って建具をなくすのも一つの手。シューズクロークやパントリーの入り口など建具をなくしてオープンな入り口にすることで、緩やかに仕切りながらも行き来がしやすくなります。扉同士が干渉することもなく、スペースを広く使えるのもメリットです。
建具をなくしてオープンにして、目隠しのカーテンやブラインド、ロールスクリーンなどを設置するのもよいでしょう。
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詳しくはこちら>>ドアや窓の建て付けが悪くなってきた。デザインがなんだか気に入らない。そんなときは建具リノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。建具の開閉方法やデザインにこだわって選ぶことで、見た目も使い勝手もぐんとアップするかもしれません。家全体の内装を見直す、部分的に建具を交換してインテリアのアクセントする、建具の取手だけ交換するなど、いろんなリノベーションの方法がありますよ。まずはリノベーション会社に相談して、予算と希望に合わせたリノベーションプランを提案してもらいましょう。
グローバルベイスは首都圏および関西圏で中古マンションのリノベーションをしている会社です。物件購入から設計、施工、アフターサービスまでワンストップで行っています。建具を含めておしゃれなリノベーションをしたいと思っている方は、ぜひお気軽にグローバルベイスまでご相談ください。東京や大阪にはショールームやモデルルームもあり、写真だけではわからない情報をご体感いただけます。