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TES(ガス温水システム)とは?リフォームやリノベーション導入時の注意点や導入のメリットとは?

TES(ガス温水システム)の基本解説

TES(ガス温水システム)は、給湯暖房熱源機でガス利用して温水をつくり、給湯や浴室乾燥機、床暖房などで利用するシステムです。リフォームやリノベーションでTESを導入することはできるのでしょうか。
TESを導入するメリットやデメリットを押さえたうえで、リフォームやリノベーションでの導入について解説していきます。

こんな方におすすめの記事です
  • TESとは何か興味がある方
  • TESを設置するメリット・デメリットを知りたい方
  • TESはリフォームやリノベーションで設置できるか知りたい方

■TES(ガス温水システム)の基本解説

TESとは、東京ガスなどが取り扱うガス温水システムのことをいいます。TESは給湯暖房熱源機でつくった湯水を給湯や浴室暖房乾燥、床暖房など、住まい全体で利用するシステムです。TESは戸建てのほか、新築マンションなどでも導入されています。

ガス床暖房を設置する場合は、給湯器と床暖房用専用熱源機を設置するよりも、TESの湯暖房熱源機なら1台で済むため、コンパクトに収まります。また、メンテナンスの上での利点もあります。

・TES(ガス温水システム)とは?

TES(ガス温水システム)は2つの言葉の略称です。1つ目は「Thin and Economical System」の略称で、ガス温水システムを指します。また、TESはもともとは東京ガスが開発しました。2つ目のTESは「TOKYOGAS ECO SYSTEM」の略称。つまり、TESは東京ガスが販売するガス温水システムの商品名でもあるのです。現在では、東京ガス以外のガス会社でもTESを取り扱っているところがあります。

TESは、ガスを熱源とする給湯暖房熱源機でつくった湯水を住まい全体に配管を通じて循環させて、給湯や浴室暖房乾燥、床暖房、温水式ファンヒーターなどに利用するセントラルシステムです。

給湯器とは、水を温めてお湯を沸かして、キッチンや洗面所、浴室などに供給する機器のこと。熱源機は浴室暖房乾燥機や床暖房に温水を供給する機器をいいます。TESに使われているのは給湯器と熱源機が一体になった機器で、給湯暖房熱源機や暖房風呂給湯器などと呼ばれています。

・TESシステムの仕組みと利点

TESは高性能の給湯暖房熱源機一台で、ガスでお湯をつくり、配管を通じて湯水を住まい全体に循環させて、キッチンや洗面所、浴室への給湯、風呂の湯はりと追い炊き、浴室暖房乾燥機、床暖房、温水式ファンヒーターなどで利用する仕組みです。TESは住まいの計画段階で、建築計画に合わせてプランニングできます。

また、TESの給湯暖房熱源機では、暖房用の40℃~60℃の低温水と80℃の高温水を同時につくることが可能で、お風呂の自動湯はりや追い炊きも行えます。

オール電化システムは電気温水器や電気式浴室暖房乾燥機、IHクッキングヒーター、電気式床暖房といった個別の機器を組み合わせたシステムです。そのため、それぞれの機器に不具合が生じた場合には、基本的に別々の業者に修理依頼が必要です。一方、TESはガス製品のトータルシステムのため、給湯暖房熱源機からガス製品まで、一貫してガス会社などにメンテナンスを依頼できるという利点があります。

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■TES導入のメリット

TES導入のメリット

TESを導入すると、1台の熱源機でつくった温水によって、給湯から浴室暖房乾燥機、床暖房までカバーできることがメリットです。TESは設計プランをもとに、家族構成やライフスタイルに合わせたプランニングができます。

また、温水式の床暖房はランニングコストで優位性があります。さらにガス式温水床暖房の利用者などに向けたお得な料金プランが用意されているなど、ランニングコストを抑えられることもメリットに挙げられます。

・エネルギー効率とコスト削減

TESの導入によって、熱源機でつくった温水を活用したエネルギー効率の良いシステムで、快適な暮らしを実現するとともに、ランニングコストを抑えられることもメリットです。

TESの端末として温水式の床暖房やファンヒーターを設置すると、冬場はふく射熱による柔らかな暖かさのある空間で過ごすことができます。

また、床暖房の方式には電気式と温水式があり、TESで設置するのはガスを使った温水式です。一般的に温水式床暖房は電気式床暖房よりも、ランニングコストが安いとされています。

また、ガス会社では、ガス式の温水床暖房や浴室暖房乾燥の利用者に向けたお得な料金プランが用意されているのが一般的です。ガス会社によって、冬場の電気代を割り引くプランや、年間を通じて電気代を割り引くプランが用意されています。ただし、実際にどの料金プランがお得なのかは家族構成やライフスタイルにもよりますので、ガス会社が用意する料金プランの中から、設備や暮らしに合ったものを選択することが大切です。

・環境への配慮と持続可能性

持続可能な社会を目指して、国を挙げて脱炭素社会の実現に向けてCO2排出量の削減の取り組みが進められています。

TESの導入にあたっては、給湯暖房熱源機は廃棄熱を利用する高効率なエコジョーズ(省エネ高効率給湯器)を選択することで、ガスの使用量を抑えられます。さらに熱源機としてエネファーム(家庭用燃料電池)を選択することも可能で、無理なく省エネをして地球環境の保全に貢献できます。

エネファームはガスで電気とお湯をつくるシステム。燃料電池ユニットでガスに含まれる水素を取り出して空気中の酸素との化学反応を起こして、電気を発生させます。そして、貯湯ユニットでは、発電時に発生した熱を利用してお湯を沸かす仕組みです。エネファームが環境にやさしいといわれている理由は2つあり、1つは発電時の廃熱を利用していること。2つ目は発電所から供給される電力は送電時にロスが発生するのに対して、エネファームは使う場所で発電しているため、ロスが少ないという点です。

また、住まいの設計プランに合わせてTESシステムを計画することで、エネルギー効率にも配慮できます。

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■TES導入のデメリットと対処法

TES導入のデメリットと対処法

TES導入にはこれまで挙げたようなメリットがある一方で、初期投資のコストが高いといったデメリットがあります。ただし、前述したようなお得な料金プランが用意されていることや、床暖房の方式によるランニングコストの違いなどを踏まえると、トータルコストではデメリットとまではいえないことも考えられます。

また、ガス会社によっては保証期間の終了から寿命を迎える前の故障に備えて、有償のメンテナンスサービスを設けています。

・初期投資のコスト

TESは初期投資コストが高いのがデメリットですが、理由などについて2つの要素からみていきます。

1つ目は、TESに対応する給湯暖房熱源機の本体と工事費用です。TESに対応する給湯暖房熱源機は一般的なガス給湯器よりも高額です。また、給湯暖房熱源機の設置工事は専門性を必要とするため、請け負う業者はガス会社以外では限られているなど、工事費用も高くなりやすいです。

2つ目は床暖房の方式による初期費用の違いです。TESではガス式の温水床暖房を設置しますが、一般的に床暖房のイニシャルコストは電気式よりも温水式の方が高額です。温水式床暖房は熱源機の湯水を利用するなど、構造が複雑なことが要因です。

ただし、一般的にランニングコストは温水式の方が安いとされているほか、温まるまでのスピードが速く、温度のムラがないとされています。そのため、冬場に頻繁に床暖房を使用する場合にはコストや使い心地の面から温水式向いています。

・システムのメンテナンスと寿命

TESは熱源機でつくったお湯を利用して、1台で給湯から浴室暖房乾燥機、床暖房などにまで利用できることがメリットですが、故障してしまったときに、すべて使えなくなる点がデメリットに挙げられます。

TESに対応する給湯暖房熱源機の寿命は一般的なガス給湯器と同様で、10年~15年程度といわれています。また、浴室暖房乾燥機や温水床暖房などの端末に不具合が生じている場合には、給湯暖房熱源機を交換しても直るとは限りません。給湯暖房熱源機や端末に不具合が生じたときは、業者にすべての機器の気になる症状を伝えることが大切です。

TESはガス会社によっては有償のメンテナンスサービスが用意されています。保証期間終了後からの定期的な保守点検や一定期間までの無償修理、無償修理期間後の修理費用の上限設定といったサービスが受けられるものです。こうしたサービスを利用すると、一般的な寿命となる時期を迎える前に、高額な修理費用の出費を避けられるので安心です。

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■リフォームやリノベーション時にTES導入は可能?

リフォームやリノベーション時にTES導入は可能?

リフォームやリノベーションでTESの導入を検討するのは、オール電化住宅で電気温水器からガス給湯器に変えたいケースや、あるいは電気・ガス併用住宅で通常のガス給湯器が備えられていて、床暖房を設置したいケースなどが考えられます。

しかし、マンションではTESへの変更は難しいケースがほとんどです。戸建て住宅ではTESへの変更も多くのケースで可能ですが、大がかりな工事が必要になるケースもあります。

リフォームやリノベーションでのTESの導入について、マンションと戸建てに分けてみていきます。

・マンションは難しいケースがほとんど

マンションの中でもオール電化マンションは、そもそも都市ガスを引いてないため、TESの導入も、一般的なガス給湯器の設置もほぼ不可能です。給湯器が故障した場合には、従来から設置されている電気温水器への交換となります。そのため、ガス式の温水床暖房を設置することもできません。

電気・ガス併用のマンションでも、TES対応の給湯暖房熱源機のリフォームは交換工事がほとんどです。マンションでは給湯暖房熱源機などの給湯器の設置方法は、ベランダなどへの壁掛設置とPS設置に分かれます。PS設置の場合は、ドレン排水工事の難易度の高さから、給湯暖房熱源機の交換工事に対応できる業者が限られます。

また、一般的な電気・ガス併用マンションでガス給湯器が設置されている場合でも、給湯暖房熱源機への交換は困難なケースがほとんどです。給湯暖房熱源機に変更すると、床暖房用の温水配管などが増えますが、コンクリートの躯体は共用部分のため、穴を開けて通すのが難しいことが理由として挙げられます。

床暖房が設置されていないマンションで、床暖房を新設したい場合には、電気容量に問題がなければ、電気式床暖房であれば設置が可能です。ただし、管理規約で床暖房の設置や床暖房対応のフローリングへの変更に制限がない場合に限られます。

・戸建てならTESの導入は検討可能

戸建ても給湯器が寿命を迎えたときには、同じタイプへの交換が基本です。とはいえ、戸建ては構造上の問題がなければ、躯体に穴を開けることができるため、電気・ガス併用住宅でもオール電化住宅でも、TESの導入を検討することが可能です。ただし、大がかりな工事が必要になることがあります。

比較的小規模な工事となるのは、キッチンや洗面台、浴室などの給湯のためのガス給湯器と、床暖房用の暖房専用熱源機を設置していて、老朽化に伴い、TESの給湯暖房熱源機1つに変更するケースです。既存の配管などを利用できれば、給湯暖房熱源機まわりの配管工事や配線工事を行う程度で済みます。

一般的なガス給湯器からTESの給湯暖房熱源機に変更して床暖房用を設置する場合には、床暖用の配管を通したり、温水パネルを設置したりするための大がかりな工事が必要です。温水パネルと床材が一体になったリフォーム用の製品を活用すると、工事が簡素化できます。また、浴室暖房乾燥機を新たに設置するには配管工事や配線工事などが必要です。

オール電化住宅でTESを導入するには、まず、ガスの引き込み工事や敷地内への配管工事を行います。その後、既存の電気温水器の撤去や、給湯暖房熱源機と各種端末の設置工事と配管工事、配線工事などを行う流れとなり、大がかりな工事となります。

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■リノベーションでの床暖房の設置事例

マンションのリノベーションで床暖房を設置したい場合は、電気容量や管理規約上の問題がなければ、電気式のタイプであれば新設が可能です。ただし、床暖防を設置するには、既存の床材の上に一体型の床暖房システムを設置するか、あるいは既存の床材を剥がしてパネルを設置して新しい床材に張り替えるといった工事が必要です。そのためフルリノベーションなど、大がかりなリフォーム・リノベーションをするときに向いています。

実際にマンションのリノベーションで床暖房を設置した事例を紹介します。

・リノベーションで大空間を実現

リノベーションで大空間を実現
https://www.globalbase.jp/case/detail.php?jid=197

リノベーションでLDKと隣接するほぼ2部屋分を一体化し、大空間を実現した事例です。ダイニングテーブルやカウンター、リビングのベンチやイージーチェアなどで、家族がそのときの気分で好きな場所で過ごせるように空間を目指しました。また、多くの人が集まる住まいでもあります。まるでインテリアショップのようなセンスのよい空間が広がっています。

床暖防を設置したことで、家族やゲストが快適に自由に過ごせる空間となりました。

・開放感のあるLDK

開放感のあるLDK
https://www.globalbase.jp/case/detail.php?jid=197

こちらもリノベーションで隣室と一体化し、開放的なLDKを実現した事例です。LDKは約17.5畳の広々とした空間。0歳のお子さまが遊んでいる様子をキッチンで調理や洗い物をしながら、見守ることができる間取りです。

アクセントのやさしいグリーン系の壁紙やタイルがやさしい印象で、大人にも子どもにも合うカラーやデザインの絶妙なインテリアでまとめられています。家族で心地よく過ごせる空間に、床暖防あたたかさをプラスしています。

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■まとめ:TES導入の際の総合的な検討ポイント

まとめ:TES導入の際の総合的な検討ポイント

物件の種別や既存の給湯器によって、TES導入のハードルは異なります。

・【戸建て】ガス給湯器+ガス暖房熱源機が設置されている場合は、TESの給湯暖房熱源機に変更しやすい。

・【戸建て】ガス給湯器が設置されている場合は、大がかりな工事が必要になる可能性もあるが、比較的導入しやすい。

・【戸建て】オール電化住宅はガスの引き込み工事が必要で、関連する機器をすべて交換し、配管・配線工事を行うため、大がかりな工事となる。

・【マンション】オール電化マンションではTESの導入はほぼ不可能。

・【マンション】電気・ガス併用マンションでも難しいことが多い。

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■TES導入のリノベーションにご興味あればグローバルベイスへ

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編集者: u-room

メーカー勤務のかたわらインテリアスクールに通い、インテリアコーディネーターに転身した経歴を持つ。現在はフリーランスのライターとして、住宅関係のほか、求人広告やインタビュー取材などの執筆を手掛ける。インテリアコーディネーター資格を保有。ワインとビール、インテリアショップ&美術館巡りが好き。夫と2人の息子の4人家族。
監修者:原田 直生之
宅地建物取引士の有資格者。

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