ZEH(ゼッチ)住宅とは?補助金の条件やメリット・デメリットをわかりやすく解説【2024年版】

ZEH(ゼッチ)住宅とは?補助金の条件やメリット・デメリットをわかりやすく解説【2024年版】

ZEH住宅は、消費エネルギー量を実質ゼロに抑える省エネ住宅です。ZEH住宅は光熱費が削減できるほか、外気温の影響を受けにくい快適な住まいを実現できるといったメリットがあります。

ZEH住宅について、定義や種類、メリット・デメリットについて紹介したうえで、補助金についても取り上げていきます。

こんな方におすすめの記事です
  • ZEH住宅とはどういった住まいか興味がある方
  • ZEH住宅のメリット・デメリットを知りたい方
  • ZEH住宅の補助金について知りたい方

CONTENTS

■ZEH(ゼッチ)住宅とは?

ZEH(ゼッチ)住宅の「ZEH」とは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語です。ZEH住宅とは、設計一次エネルギー消費量がゼロ以下になる住宅をいいます。設計一次エネルギー消費量とは、設計上の断熱性能や、照明器具やエアコン、給湯器などの設備の仕様にもとづいて算出したエネルギー消費量から、太陽光発電などによって生み出したエネルギー量を引いたものを指します。

つまり、ZEH住宅とは「1年間で使用するエネルギー量≦1年間で創るエネルギー量」の家であり、「1年間の消費エネルギー量-(創エネ+省エネ)≦0」の家という言い方もできます。端的にいえば、エネルギー消費量の収支がゼロ以下になる家を指します。

ただし、ZEHの「H」は「House」のため、「ZEH住宅」という表記は住宅の意味が二重となることから、正しくは「ZEH」と表記します。とはいえ、「ZEH」だけでは何のことかわかりにくいことから、ZEH住宅という呼び方も広まっています。

また、ZEH住宅には、「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素が必要です。ZEH住宅では、「高断熱」「省エネ」によってエネルギー消費量を抑えるとともに、「創エネ」によってエネルギー消費量と同量以上のエネルギーを創ります。

・必要要素①高断熱

ZEH住宅では高断熱仕様によって、室内を外気温の影響を受けにくい環境をつくり、暑さや寒さによる冷暖房などのエネルギー使用量を抑えています。室内が外気温の影響を受けにくくなることで、部屋ごとの温度の違いも小さくなり、快適に健康的に過ごしやすい住まいとなります。

具体的には気密性と断熱性を高めるため、屋根・天井や壁、床に断熱材を使用するほか、窓には高い断熱性能を持つサッシやガラスを用います。

・必要要素②省エネ

ZEH住宅では、空調設備や換気設備、給湯設備、照明器具で使用するエネルギー消費量を削減します。

具体的には「HEMS(ヘムス)」という「Home Energy Management Service(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)」の導入によって、家庭内の電気機器によるエネルギーの使用量と、太陽光発電などによる発電量の見える化を図ります。また、省エネエアコンや高効率の給湯器、LED照明などの導入により、エネルギー消費量を削減します。

・必要要素③創エネ

ZEH住宅には、再生可能エネルギーを創るシステムの導入が必要です。太陽光発電システムを導入するケースが多く、蓄電池を設置するのが一般的です。太陽光発電システムなどによって創るエネルギー量が、消費エネルギー量を上回るように設計します。

太陽光発電システムと併せて、蓄電池を備えることで、曇りの日や夜間には蓄電しておいた電力を活用できます。

■ZEH対象の種類

ZEH対象の種類

ZEHには狭義の意味のZEHに含まれる「ZEH」「ZEH+」のほか、広義の意味では「Nearly ZEH」「Nearly ZEH+」「ZEH Oriented」という種類があります。ZEHの種類は、エネルギー消費量の削減割合の違いや創エネの有無によるものです。

共通した基準として、地域区分により強化外皮基準0.4~0.6以下という基準が設けられています。

参照:資源エネルギー庁 ZEHフォローアップ委員会「ZEH+の「外皮性能の更なる強化」の暫定措置の今後の取扱いについて」

・①ZEH(ゼッチ)

ZEH(ゼッチ)は創エネを含めて、年間の基準エネルギー消費量から一次エネルギー消費量を100%以上削減できる住宅です。

「断熱+省エネ」によって一次エネルギー消費量を20%以上の削減すること。さらに太陽光発電システムなど再生可能エネルギー設備の導入による「創エネ」を含む一次エネルギー消費量の100%以上の削減が基準となります。

・②ZEH+(ゼッチ プラス)

ZEH+(ゼッチ プラス)は、ZEH(ゼッチ)よりも高い基準が設けられています。

ZEH+では、「断熱+省エネ」による一次エネルギー消費量の25%以上の削減が求められます。太陽光発電システムなど再生可能エネルギー設備の導入による「創エネ」を含む一次エネルギー消費量の100%以上の削減は、ZEHと同様です。

さらに「外皮性能の更なる強化」、「(HEMSの活用による)高度エネルギーマネジメント」「電気自動車を活用した自家消費の拡大措置」の3つのうち、2項目以上を満たすことも条件です。

・③Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)

Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)は、創エネを充分に行うことが難しい、寒冷地や低日射地域、多雪地域が対象です。

Nearly ZEHは、「断熱+省エネ」による一次エネルギー消費量の20%以上の削減は、ZEHと同様です。太陽光発電システムなど再生可能エネルギー設備の導入による「創エネ」を含む一次エネルギー消費量の削減量は、創エネを含めて75%以上100%未満と緩和されています。

・④Nearly ZEH+(ニアリー ゼッチ プラス)

Nearly ZEH+(ニアリー ゼッチ プラス)は、Nearly ZEHを高度にした基準が設けられています。

Nearly ZEH+は、ZEH+と同様に「断熱+省エネ」による一次エネルギー消費量の25%以上の削減が基準となっています。太陽光発電システムなど再生可能エネルギーの導入による「創エネ」を含む一次エネルギー消費量の削減量は、創エネを含めて75%以上100%未満と緩和された基準です。

また、ZEH+と同様に「外皮性能の更なる強化」、「(HEMSの活用による)高度エネルギーマネジメント」「電気自動車を活用した自家消費の拡大措置」の3つのうち、2項目以上を満たすという基準も設けられています。

・⑤ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)

ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)は、創エネが難しい都市部の狭小地や多雪地域が対象です。

ZEHと同様に、「断熱+省エネ」による一次エネルギー消費量を20%以上の削減という基準が設けられています。ただし、「創エネ」を含む一次エネルギー消費量の削減量の基準はなく、再生可能エネルギー設備が未導入でも対象に含まれます。

■ZEH住宅のメリットは?

ZEH住宅のメリットは?

ZEH住宅は、光熱費の削減につながるほか、快適な生活を送れ、ヒートショックを起こしにくい、災害時の停電に強いといったメリットがあります。また、売却時に恩恵を受けられる可能性を含め、それぞれについて詳しくみていきます。

・メリット①光熱費の削減が見込める

ZEH住宅では、「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素により、光熱費が削減できるというメリットがあります。

断熱材の使用や、高い断熱性能を持つサッシやガラスの導入により、冷暖房にかかる光熱費の削減につながります。エネルギー効率のよい空調設備や換気設備、給湯設備、照明器具の設置により、光熱費を安く抑えられます。

さらに、太陽光発電システムによる自家発電など、再生可能エネルギーの活用により、電気使用量の削減につながるほか、電力会社への余剰電力の売電によって収益が得られます。

・メリット②快適な生活を送れる

ZEH住宅では、室内の温度変化が抑えられることから、快適な生活を送れることもメリットに挙げられます。

ZEH住宅は屋根・天井や壁、床に断熱材を使用し、窓まわりは高い断熱性能を持つサッシやガラスを使うことで、断熱性と気密性に優れた住まいとなります。外気温の影響を受けにくいことから、夏は涼しく、冬は暖かい環境で過ごせます。また、室内の湿度にもよりますが、冷たい外気の温度が伝わりにくいことから、温度差による結露やカビの発生も抑えられます。

・メリット③災害時の停電に強い

昨今では、大地震や台風、豪雨などの災害による被害が頻発しているため、ZEH住宅の太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備は、非常時の備えとなることもメリットです。

ZEH住宅では太陽光発電システムと併せて、蓄電池を設置するのが基本となっています。蓄電池を設置すると、日中に余った電力を蓄電したり、電気代が安い時間帯に充電したりしておくことが可能。蓄電池に貯めておいた電力は、非常用電源として役立てられます。

・メリット④ヒートショックを起こしにくい

ZEH住宅は断熱性能と気密性能が高いことから、室内が外気温の影響を受けにくいため、部屋同士の温度差が少なく、ヒートショックを起こしにくいというメリットもあります。

ヒートショックは急激な室内の温度差によって、血圧が上下することによって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞などの心臓や血管の疾患を指します。冬場に暖かいリビングから寒い脱衣所へ移動すると、血管が収縮して血圧が上昇し、寒い浴室へ行くとさらに血圧が上がります。その後、温かい浴槽に入ると血管が拡張して血圧が一気に低下してしまうのが要因です。

ZEH住宅では断熱性能が高く、脱衣所や浴室と他の部屋との温度差が少ないため、ヒートショックを起こしにくい環境となります。

・メリット⑤売却時に恩恵を受ける可能性がある

ZEH住宅は省エネ性能への評価から、将来売却するときに、立地条件や築年数、広さなどが同条件の物件と比較して高値で売却できる可能性があることもメリットに挙げられます。

一般社団法人住宅性能評価・表示協会による「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」の認証を取得すると、第三者機関によって省エネ性能が客観的に評価されます。こうした認証の取得により、売却時に資産価値を維持しやすくなります。BELSの取得は、後述する補助金の申請にも、ZEHを示すためにも必要です。

■ZEH住宅のデメリットは?

ZEH住宅のデメリットは?

ZEH住宅にはこれまでに挙げたような様々なメリットがあるものの、初期費用やメンテナンス費用などのコスト面のデメリットや、太陽光発電システムによる発電量の課題があります。ZEH住宅のデメリットについてみていきます。

・デメリット①初期費用やメンテナンス費用が高くなる

ZEH住宅は一般的な住宅よりも初期費用が高く、メンテナンス費用も多発生することがデメリットです。

ZEH住宅は、エネルギー効率のよい省エネ設備を設置するため、設備にかかる費用が高くなります。また、太陽光発電システムや蓄電池、HEMSといった設備を導入することからも、初期費用がかかります。さらに、太陽光発電システムの点検費用などのメンテナンス費用も必要です。

ただし、ZEH住宅は光熱費の削減効果が期待できるほか、売却時には資産価値を維持できる可能性があります。

・デメリット②発電量が安定しない恐れがある

ZEH住宅で主に導入されているのは太陽光発電システムですが、想定していたような発電量が得られない可能性があることもデメリットに挙げられます。

太陽光発電システムは、太陽光パネルに当たる日照量に発電量が左右されます。曇りや雨などの天候の悪い日や冬場などの日照時間の短い日は発電量が少なくなることから、安定した電力を得られないことがあります。また、周辺に高い建物が建ったケースなど、環境の変化によって発電量が下落するリスクも考えられます。

■ZEHの補助金制度について

ZEHの補助金制度について

ZEH住宅には、国による補助金制度が設けられています。ただし、2024年度は、2023年度に実施されていた「次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業」と「次世代HEMS+実証事業」は実施されず、戸建て住宅向けの制度は「ZEH支援事業」のみとなりました。

2024年度の「ZEH支援事業」の補助金区分についてまとめたうえで、現行の「ZEH支援事業」と2023年度に実施された補助事業について取り上げていきます。

・補助金区分と補助額

2024年度に実施される「ZEH支援事業」の補助金区分をまとました。

ZEH

対象ZEH、Nearly ZEH(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)、ZEH Oriented(都市部狭小地等の二階建以上・多雪地域のみ)
補助金額55万円
公募方法先着方式

ZEH+

対象ZEH+、Nearly ZEH+(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)
補助金額100万円
※追加補助額:ハイグレード仕様補助金(選択要件により異なる)
断熱等性能等級6以上の外皮性能を有し、設計一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)が基準一次エネルギー消費量から30%以上削減した住宅が対象。
1:外皮性能の更なる強化
2:高度エネルギーマネジメント
3:電気自動車を活用した自家消費の拡大措置
【1+2+3】:ハイグレード仕様補助金25万円
【1+2】または【1+3】:ハイグレード仕様補助金10万円
公募方法先着方式

ZEH・ZEH+共通 追加設備による加算

蓄電システム:上限20万円
直交集成板(CLT):定額90万円
地中熱ヒートポンプシステム:定額90万円
PVTシステム:65万円・80万円・90万円 ※方式・パネル面積により異なる。
液体集熱式太陽熱利用システム:12万円・15万円 ※パネル面積により異なる。

参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ「2024年の経済産業省と環境省のZEH補助金について」

・補助事業①ZEH支援事業:ZEH(担当省庁:経済産業省・環境省)

ZEH支援事業のうち、「ZEH」の区分はZEHのほか、Nearly ZEH(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)、ZEH Oriented(都市部狭小地等の二階建以上・多雪地域のみ)のいずれかの要件を満たした住宅が対象です。

「ZEH」の区分の補助金は55万円です。これに加えて「ZEH+」と共通の追加設備による加算があり、たとえば、蓄電システムの上限は20万円です。公募方法は、公募スケジュールによる先着方式となっています。

ZEH支援事業による補助金を受けるには、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されているZEHビルダー・ZEHプランナーが建築・設計、または販売する住宅という要件もあり、「ZEH+」の区分も同様です。

・補助事業②ZEH支援事業:ZEH+(担当省庁:経済産業省・環境省)

ZEH支援事業のうち、「ZEH+」の区分はZEH+のほか、Nearly ZEH+(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)が対象です。

「ZEH+」の区分の補助金は100万円で、追加補助額となるハイグレード仕様補助金が設けられています。ハイグレード仕様補助金は断熱等性能等級6以上の外皮性能を有することと、基準一次エネルギー消費量から設計一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)が30%以上削減されていることが条件です。また、選択要件によって追加補助額が異なり、「1:外皮性能の更なる強化」「2:高度エネルギーマネジメント」「3:電気自動車を活用した自家消費の拡大措置」をすべて満たしている場合は25万円、1と2、または1と3を満たしている場合には10万円です。

このほかにも、「ZEH」と共通の追加設備による加算もあります。公募方法も同様に先着方式です。

・過去の補助事業①次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業(担当省庁:経済産業省)

2023年度は次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業が実施されていました。対象となっていたのは、ZEH+とNearly ZEH+(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)です。ZEH+の要件を満たしたうえで、「蓄電システム」「V2H充電設備(充放電設備)」「燃料電池」「太陽熱利用温水システム」「太陽光発電システム10kW以上」のいずれかの設備を導入していることも要件でした。

次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業による補助金は100万円です。このほかに導入した設備に応じた追加補助額が設けられ、「蓄電システム」は2万円/kWhで、補助対象経費の1/3と20万円のいずれか低い額です。V2H充電設備(充放電設備)は補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低い額、「燃料電池」は1台2万円、「太陽熱利用温水システム」は液体式17万円、空気式60万円となっていました。

・過去の補助事業②次世代HEMS+実証事業(担当省庁:経済産業省)

2023年度は次世代HEMS+実証事業も実施されていました。ZEH+とNearly ZEH+(寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ)が対象です。

ZEH+の要件を満たしたうえで、選択要件で高度エネルギーマネジメントを選択。蓄電システム、またはV2H充電設備(充放電設備)を導入することが条件で、さらに燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入するケースも認められています。また、太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量を更に拡大することを目的に、AI・IoT技術などに最適制御を行う仕組みを備えていることも条件です。

次世代HEMS+実証事業の補助金は112万円でした。追加補助額は次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業と同様です。

参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ「2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について」

■ZEH住宅申請の流れ

ZEH住宅申請の流れ

ZEH支援事業による補助金を申請するには、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されているZEHビルダー・プランナーへの設計や建築の依頼が必要です。また、ZEHポータルを利用して、着工前や着工後、引き渡し後に必要な手続きがあります。ただし、ZEH補助金の申請手続きはZEHビルダー・プランナーなどに代行を依頼することも可能です。

ZEH支援事業による補助金を申請するための流れをみていきましょう。

・STEP①ZEHビルダー・ZEHプランナー(工務店・設計事務所)への相談・設計

ZEH住宅を建てて補助金を申請することを考えている場合には、ZEHビルダーである工務店やハウスメーカー、あるいはZEHプランナーの設計事務所に家づくりの相談をして、設計を進めていきます。ZEHビルダーやZEHプランナーが設計や建築に関わった住宅でなければ、ZEH支援事業による補助金の申請ができないためです。

・STEP②金融機関によるローン審査・契約の締結

ZEHビルダー・プランナーに相談して設計プランができたら、工事費用の概算見積が出た段階で、金融機関に住宅ローンの事前審査を申し込みます。運転免許証などの本人確認書類や、収入を証明する書類として、会社員の場合には源泉徴収票が必要です。

事前審査に通ったら、工事請負契約を締結し、住宅ローンの本審査を受けます。そして、本審査に通った後、住宅ローン契約を締結します。

・STEP③交付申請・審査・交付決定

工事に着工する前に、ZEHポータルでアカウント発行依頼を行った後、各種図面を揃えて、交付申請を行います。ZEH補助金の交付申請は、ZEHビルダー・プランナーなどの事業者が代行することが可能です。

その後、学識経験者を含む専門家による審査委員会で申請書の審査が実施されます。予算の範囲内で、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)による交付決定が行われます。

・STEP④着工・中間報告・実績報告

交付決定通知を受領して、交付決定番号が発行された後、「着手前写真用ボード」のデータをダウンロードします。着手前写真撮影を行った後、着工します。

そして、ZEH住宅であることを証明するため、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の評価書を取得し、中間報告を行います。必要に応じて現地調査が実施される可能性があります。

工事が完了し、工事代金の残金を支払って引き渡しが行われた後、ZEHポータルから完了実績報告を行います。

・STEP⑤ZEH補助金の入金

完了実施報告をもとに、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が申請内容の審査を実施します。申請が適正と認められた場合には、補助金額が決定。確定検査においても、必要に応じて実地検査が実施される場合があります。

そして、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に精算払請求書を提出すると、補助金が入金されます。

参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業及び集合住宅の省CO2化促進事業<個人申請編>

■ZEHの補助金を受ける際の注意点は?

ZEHの補助金を受ける際の注意点は?

ZEH補助金は補助金事業ごとにスケジュールが決められています。ZEH住宅の補助金を利用するには、申請や中間報告、完了報告などの期限を確認し、スケジュールに従って手続きを行うことが必要です。また、申請して審査が行われた後、交付が決定した後に着工するなど、手順も決められています。ZEHビルダー・ZEHプランナーに設計や建築を依頼することも条件です。

こうしたZEH補助金に関わる主な注意点を3つ詳しくみていきます。

・最新スケジュール確認をする

国によるZEH支援事業などの補助金は、毎年、スケジュールや予算が決められており、要件を満たしていれば、先着順で採択されます。また、スケジュールに関しては、公募期間や着工して工事を行う事業期間、完了実績報告の提出期限が決められています。最新のスケジュールをチェックして、交付決定後に事業期間内に工事を終えられるように進めていく必要があります。

・ZEHビルダー・ZEHプランナー登録の建築会社を選定する

ZEH住宅を建てて補助金を申請するためには、建築会社の選定に注意が必要です。ZEH住宅を建てて補助金を申請するには、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録のある、ZEHビルダー・ZEHプランナー登録の建築会社が設計や建築に関与することが条件です。そのため、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録があるか確認して、依頼先を決める必要があります。

・ZEH補助金申請後の設計変更ができないことを留意する

ZEH補助金の申請を行うと、交付が決定した後には、間取りや設備などの設計変更は原則として行うことができません。

ZEH住宅の設計では、断熱性能やエネルギー消費量などの計算が行われ、補助金の申請を行った通りに建築することが前提です。そのため、大幅な設計変更に限らず、間取りを少し変えたり、一部の設備を変更したりすることも原則として認められません。

■まとめ

「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素を持ち、エネルギー消費量が実質ゼロとなるZEH住宅が、いずれ当たり前となる時代がやってきます。2030年には新築住宅ではZEH水準の省エネの標準化が予定されています。

ZEH住宅は一般的な住宅よりも建設コストなどがかかるといったデメリットがあります。しかし、国による補助金制度が設けられているほか、光熱費の削減や住環境の快適性、資産価値の維持などの面からのメリットが挙げられます。

戸建て住宅を建てるときには、ZEH住宅という選択肢について考えてみましょう。

■ZEH住宅ならグローバルベイスへ

ZEH住宅は新築物件に限らず、中古物件をZEH住宅にリノベーションするという選択肢もあります。

グローバルベイスでは、ZEH水準リノベーションを取り扱っています。実際に東京都渋谷区の区分所有マンションにおいて、ZEH-Oriented基準の省エネ改修を実施し、BELSで省エネ性能の最高評価となる「★★★★★」を取得しました。

グローバルベイスならZEH水準リノベーションにより、デザイン性と機能性を兼ね備えた住まいを実現できます。

執筆者情報マイリノジャーナル編集部
■ 編集者:村田日菜子

みなさんの豊かな暮らしと住まいづくりをサポートしたい!
建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

■ 監修者:原田 直生之

宅地建物取引士の有資格者

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編集者: u-room

メーカー勤務のかたわらインテリアスクールに通い、インテリアコーディネーターに転身した経歴を持つ。現在はフリーランスのライターとして、住宅関係のほか、求人広告やインタビュー取材などの執筆を手掛ける。インテリアコーディネーター資格を保有。ワインとビール、インテリアショップ&美術館巡りが好き。夫と2人の息子の4人家族。
監修者:原田 直生之
宅地建物取引士の有資格者。

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