住まい選びを変える 中古マンション×リノベーション

不動産の相続税は新築と中古でどう違う?課税対象になる条件・マンションの節税について

亡くなった家族から財産を引き継ぐ際、相続税が発生する可能性があります。どれくらいの財産があると課税対象になるのでしょうか?また、住宅を相続する場合、新築と中古とではどのような違いがあるのでしょうか?相続税の課税対象となる条件や、不動産の課税評価額の算出方法について確認していきましょう。

不動産の相続税は新築と中古でどう違う?課税対象になる条件・マンションの節税について
こんな方におすすめの記事です
  • 相続税の対象や評価額の算出方法を知りたい方
  • タワーマンション節税とはどういったものか知りたい方
  • 中古マンションを相続した場合の活用方法を知りたい方

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■新築と中古で相続税はどう違う?

まずは相続税の課税対象となる条件を解説します。

・相続税の基礎控除額

財産を相続する権利を持つ人を確認してみましょう。民法で定められた法定相続人は、被相続人(亡くなった人)の配偶者および血族です。もし第1順位の血族がいない場合は第2順位の人全員、第2順位にあたる人がいない場合は第3順位の人全員が相続人になります。

・第1順位:子(死亡している場合はその子【被相続人の孫】)
・第2順位:父母(死亡している場合はその親【被相続人の祖父母】)
・第3順位:兄弟・姉妹(死亡している場合はその子【被相続人の甥・姪】)

相続する財産の評価額の合計が「基礎控除額」に収まる場合は、相続税の支払いは不要です。基礎控除額は法定相続人の数により下記のように求められ、相続財産から差し引いた額が課税対象となります。

・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

参考:
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/souzoku/
https://www.smbc.co.jp/kojin/souzoku/chishiki/chishiki02.html

・不動産における課税対象額の算出方法

相続が発生すると、預貯金や有価証券等のほか、不動産も課税対象となります。不動産の課税額はどのように算出するのでしょうか?

◇土地の相続税評価額

相続税における土地の評価額は、市街地や住宅地の公道に定められた「相続税路線価」により算出されます。相続税路線価は毎年7月に国税庁により発表され、ウェブサイトで確認することも可能です。

土地の評価額は、接する公道の路線価と面積(マンションの場合は持分割合)を掛け合わせることで算出されます。また、変形地やがけ地等の場合は評価額が補正される場合があります。

また、路線価が定められていない土地の場合は、固定資産税評価額に「評価倍率表」にもとづく倍率を掛けて算出します。地域ごとの評価倍率は国税庁のウェブサイトで確認可能です。

→ 路線価(国税庁) http://www.rosenka.nta.go.jp

参考:https://souzoku-satou.com/land-evaluation

◇土地の相続税評価額の目安

少しややこしいかもしれませんが、路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があり、価額も若干異なります。土地の相続税評価額は実勢価格(市場価格)の8割ほど、固定資産税評価額は7割ほどがおおまかな目安です。

・不動産の減価償却と耐用年数

建物(家屋)の相続税評価額は固定資産税評価額と同じです。同等の建物を新築するために必要な金額を「再建築費」として算出し、さらに築年数に応じて価値の減額を付加した評価をします。なお再建築費とは、実際に住宅を購入した費用や建築に掛かった費用ではなく、建物の種類や構造の実地調査から評価基準にもとづいて算定されます。

年度ごとに建物の評価額は下がるため、築年数が古い住宅ほど課税評価額は低くなっていきます。ただし評価額は2割を最終残価率として据え置かれるため、ゼロになることはありません。一般的な木造住宅(一戸建て)の場合は25年、鉄筋コンクリート造等のマンションは60年で下限に達します。

参考:
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_o.html
https://www.keisan.nta.go.jp/h29yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm

・不動産を相続する際の相続税以外の費用

不動産を相続する際に支払う、相続税以外の費用を確認してみましょう。

◇不動産取得税はかからない

不動産取得税とは、購入や贈与で不動産を取得したときに課税される税金です。取得の理由が相続の場合は課税対象になりません。

◇登録免許税、司法書士報酬(登記費用)

不動産を相続して名義を変更する手続きが、管轄の法務局へ出向いて行う「相続登記」です。その際に「登録免許税」の支払いが必要となり、書類に印紙を貼る形で納税します。

登録免許税=不動産の評価額×0.4%

登記手続きは自分で行うことも可能ですが、必要書類の準備や作成が煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士への報酬額は相続する不動産の評価額や司法書士事務所により異なりますが、6〜10万円ほどが目安です。また、遺産分割協議書の作成なども依頼する場合は別途報酬の支払いが必要となります。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

◇未払いの固定資産税

相続した不動産に未払いの固定資産税がある場合は、相続人に納税義務が生じます。なお、このケースで納めた固定資産税は、確定申告の際に必要経費として所得から控除することが可能です。

参考:https://chester-tax.com/encyclopedia/dic09_024.html

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■タワーマンション節税とは

近年、相続税対策として「タワーマンション節税」が注目を集めました。なぜタワーマンションで相続税が節税できるのでしょうか?

・タワーマンションが相続税対策になる理由

以下は、2018年までのタワーマンション節税の仕組みです。タワーマンションは高層階ほど人気が高く、たとえ専有面積や間取りが同等の物件でも、階数が上がるほど市場価格は高額となります。しかし、固定資産税評価上では階数に応じた不動産価値は考慮されないため、低層階も高層階も同等に評価されました。また、タワーマンションは高層のため戸数が多く、建物の敷地に対する1戸あたりの持分割合が低いことも特徴です。

そのため、タワーマンションの高層階では、市場価格と不動産評価額の間に大きなギャップが生じます。例えば市場価格では2億円の物件が、課税評価額は4,000万円程度になることもあったのです。また、都心ではタワーマンションの高層階は人気が高く、購入時と同程度あるいは高い価格で売却できるケースも珍しくありません。そこで相続時に資産を圧縮して、相続後に現金化することが可能になるのです。

・法改正でタワーマンションの節税効果は減少

このようなタワーマンション節税は人気を集めましたが、富裕層を優遇する不公正な税制であると問題視する声も少なくありませんでした。

そこで、2018年の法改正により、高さ60mを超えるマンションにおける固定資産税算出の際、階数による補正率が加算されることになりました。マンション全体の固定資産税額の合計は変わらず、高層階は増税・中層階は増減なし・低層階は減税とすることでバランスを取る内容となっています。1階上がるごとに約0.25%の増税となっており、1階の住戸の固定資産税額を100とすると40階の固定資産税額は110となります。

参考:http://bit.ly/2ZgEsGR

・2017年以前の中古タワマンなら以前のまま

タワーマンションにおける新税制は、2018年以降に引き渡される物件が対象となり、2017年以前の物件には旧基準が適用されます。相続税対策を目的とするなら、新築マンションよりも2017年以前の中古物件のほうが節税効果は高いでしょう。

・あからさまな節税は否認されることも

このように、相続税対策として有効なタワーマンション節税ですが、あまりにあからさまな場合は「節税」の範疇ではなく、悪質な「税金逃れ」であるとして、国税庁に申告が否認される可能性もあります。

◇タワーマンション節税が否認されたケース

相続が生じる直前、すなわち被相続人が死亡する約1ヶ月前にタワーマンションの高層階を約3億円で購入。被相続人の死亡後、登記手続きおよび評価額約6,000万円で相続税申告。実際に利用することなく、4ヶ月後に購入価格とほぼ同額で売却。

上記のケースでは、購入価格の約3億円が相続税の課税対象となりました。このように、相続税対策“だけ”を目的としたタワーマンション購入は、リスクとなる可能性もあることを知っておきましょう。

参考:https://chester-tax.com/column/6708.html

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■新築も中古も対象、相続税の減免措置

被相続人の所有する家に相続人が同居しているケースでは、相続税の減免措置が受けられます。

・「小規模宅地等の特例」で評価額が8割減

被相続人と相続人が同居する家を相続する場合、「小規模宅地等の特例」の適用が受けられます。土地の330平米までは本来の評価の8割減額となり、330平米を超える部分については通常通りの計算です。

この減免措置は、建物の新築・中古にかかわらず適用されますが、土地部分のみが対象となります。同居の親等が亡くなった際に、相続税を捻出するために居住している家を売却しなければならない、といった事態を防ぐための措置です。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■中古マンションを相続した際の活用方法

中古マンションを相続すると、ランニングコストとして管理費と修繕積立金、固定資産税がかかります。中古マンションを相続した際の活用方法には、「売る」「貸す」「住む」という3つの選択肢があります。それぞれの活用方法のポイントをまとめました。

・活用方法1~売る~

相続人がそれぞれ自宅を所有していて住む人がいない場合や、現金化して遺産を分配する場合には、売却するという選択肢があります。相続した中古マンションを複数の相続人の共同名義にしている場合には、売却には相続人全員の同意が必要です。

そのため、相続してから時間が経過して、相続人が亡くなり、相続人の子供や孫が持ち分を相続すると、共有者が多くなるため、売却の合意形成をして売買契約を進めるまでの手続きなどが煩雑になります。

遺産分割協議の段階で売却して売買代金を分配する取り決めをする場合には、相続人のうち代表者が相続登記をする方法もあります。遺産分割協議書に、売却後に他の相続人に売却代金を分配することを記載しておきます。

・活用方法2~貸す~

相続した中古マンションを貸す場合は、手放すことなく家賃収入が得られことがメリットです。ただし、分譲マンションを所有していると、管理費や修繕積立金、固定資産税がかかるほか、賃貸運用にあたっては専有部分のリフォーム費用も必要です。

そのため、相続した中古マンションを貸すなら、収益が見込めるか収支計画を立ててみるべきです。賃貸需要や周辺の類似物件の家賃相場を調べて、収支計画が見合ったものになるのか検討します。

また、貸す場合も、将来的には売却をするのか、相続することを想定するのか、出口戦略を考えておくことが大切です。例えば、「○年賃貸運用した後は売却する」、「資産価値が維持できることが見込めるから、子供に引き継ぐ」といった形で考えておきましょう。

・活用方法3~住む~

中古マンションを相続した場合に、自分で住むという選択肢もあります。住宅ローンを既に完済している場合や、団体信用生命保険の保険金で残債が一括返済された場合には、管理費と修繕積立金、固定資産税の負担のみで暮らすことができます。

ただし、自分で住む場合にも相続したときの状態によっては、専有部分のリフォーム費用が必要です。また、経年劣化によって、給湯器やコンロなどの設備が故障したり、内装材や設備や老朽化したりしていくことも踏まえておきましょう。

また、相続した中古マンションに住むにあたっては、資産価値が維持できる物件なのか、管理体制に問題はないかといった点をチェックすることが大切です。築年数が浅く売りやすいうちに売却をした方がよいケースもあるためです。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■まとめ

相続税において、住宅が新築か中古かという区別はありません。しかし築年数によって建物部分の評価額が変わってくるため、新築に近い住宅のほうが課税評価額は高めになります。相続税評価額は固定資産税評価が目安となるため、相続予定の住まいがあれば固定資産税の納税通知書等を捨てずに保管しておくのがおすすめです。


編集者: マイリノジャーナル編集部
お探しの情報が見つかります