「瑕疵担保責任」って何?新築住宅と中古住宅の保証内容の違い

新築・中古住宅に、構造上の欠陥や雨漏りが見つかった場合、発見が住宅の引き渡し後でも売り主に補修などを請求できる場合があります。保証してもらえる期間や内容は、新築住宅と中古住宅で異なります。今回は、新築住宅と中古住宅の保証内容の違いを解説します。

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■新築住宅の保証内容

新築住宅の場合、買い主を守るために「10年間の瑕疵担保責任」が法律で義務化されています。これによって、構造上の欠陥が見つかっても、10年間は保証されることになります。瑕疵担保責任とはなかなか普段聞く言葉ではないため、どのような保証なのか詳しく解説します。

・瑕疵担保責任とは

住宅における「瑕疵担保責任」とは、購入時には明らかになっていない、隠れた瑕疵に対する売り主の責任のことをいいます。「瑕疵(かし)」とは、本来備わっているはずの機能や性質がないことです。

通常、住宅を購入する時には、例えば「床に傷はないか?」「設備に故障はないか?」などさまざまなことをチェックするかと思います。もし何か気になる欠陥があれば、買い主に値引きや修繕などを要求する方もいらっしゃるでしょう。「欠陥があるなら購入しない」という方もいるかもしれません。売り主側でも、売却前に欠陥がわかれば、修復や値下げなどの対処をすることが多いです。

しかし住宅は、複雑でデリケートな商品であるため、どれだけ注意を払っていても、欠陥やトラブルが見つかる可能性がゼロにはなりません。特に「雨漏りしないか?」「構造に不備はないか?」などの欠陥は購入前に見つけるのが難しく、「入居して数年経ってから、コンクリートにひび割れを見つけた!」などというケースも見受けられます。

このように、通常レベルの注意を払っていても発見できない「隠れた瑕疵」があとから見つかった場合でも、買い主が損をしないように守ってくれるのが「10年間の瑕疵担保責任」義務化の法律です。

・新築住宅における10年間の瑕疵担保責任

すべての新築住宅では、売り主に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。これが2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」です。この法律では、「新築住宅の売り主は、基本構造部分については引渡した時から10年間瑕疵担保責任を負わなければならない」と定められています。

「基本構造部分」とは、以下のような部分のことです。

瑕疵担保責任の対象となる範囲
1.構造耐力上、主要な部分
基礎・基礎杭・壁・柱・小屋組・土台・斜材・床・屋根・横架材といった、自重や積載荷重、地震動などの震動や衝撃を支える部分。

2.雨水の侵入を防止する部分
屋根・外壁・開口部の建具・排水管など、雨水を排除する部分。

つまり、新築住宅を引き渡してから10年間のうちに、売り主に故意・過失のない基本構造部分の瑕疵が見つかったとしても、買い主は売り主に対して損害賠償・契約解除・補修などを請求できるということです。

・瑕疵担保責任を果たすための資力の確保

新築住宅の買い主は品確法によって手厚く守られることになりましたが、売り主が十分な資力を持たないために、瑕疵担保責任が果たせないケースもでてきました。2005年の「耐震偽装事件」で倒産した業者から補修費用が支払われず、買い主が大きな被害を受けたことを覚えている方も多いことと思います。

そこで、買い主を保護するため、2009年に定められたのが「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(通称:住宅瑕疵担保法)」です。この法律では、新築住宅を供給する事業者に対し、瑕疵の補修を行えるように「保証金の供託」もしくは「保険への加入」が義務付けられています。これによって、もし事業者の倒産などが起こっても、供託金や保険金から瑕疵の補修費用が保証されるようになりました。

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■中古住宅の保証内容

10年間の瑕疵担保責任の義務化は新築住宅のみが対処で、中古住宅の保証期間は新築住宅より短いことが一般的なため、注意が必要です。中古住宅では民法および「宅地建物取引業法(通称:宅建業法)」によって売り主が保護されています。中古住宅における瑕疵担保責任の保証期間は、売り主が個人か不動産業者かによって、大きく変わります。

・売り主が個人の場合

中古住宅の売買における瑕疵担保責任の保証期間は、民法で「買い主が瑕疵を発見した日から1年以内」という規定となっています。この保証期間内であれば、売り主に故意や過失がなくても、損害賠償や契約解除などを請求できる決まりです。

しかし、この規定は売り主と買い主の間で修正・変更ができることになっています。
そのため売り主が個人の場合、瑕疵担保責任の保証期間は「2~3ヶ月」という契約が一般的です。瑕疵担保責任が免除という契約にもできるため、よく確認して話し合うことが大切です。

・売り主が宅建業者の場合

売り主が宅建業者の場合、「宅地建物取引業法(通称:宅建業法)」によって「物件引き渡しより2年間の瑕疵担保責任」が義務つけられています。また、先ほどの民法規定よりも買い主側に不利になる特約をつけることも禁じられています。

これは専門知識を持っていない買い主を保護する法律です。民法の規定とは異なり、保証期間を規定の2年より短縮することはできません。

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■中古住宅の瑕疵保険

中古住宅においても、売り主の瑕疵担保責任をカバーする瑕疵保険が提供されており、売り主が宅建業者と個人の場合の2種類があります。運営している団体は、国交大臣指定の「住宅瑕疵担保責任保険法人」です。

中古住宅の瑕疵保険の適用対象は、構造上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分の隠れた瑕疵です。補修費用や調査費用のほか、転居・仮住まい費用なども保険金の支払対象となります。
瑕疵保険に加入するのは売り主側で、義務化はされていません。もし瑕疵保険の加入を希望する場合は、売り主に相談をしましょう。

・売り主が個人の場合

売り主が個人の場合、個人売買タイプの「既存住宅売買の瑕疵保険」を利用することができます。保証期間は、5年間・1年間の2タイプです。

個人売買タイプの瑕疵保険に加入を希望した場合、保険法人に登録されている検査会社が、対象物件を検査して保険に加入できるか判断します。売り主と買い主以外の第三者が客観的に物件をチェックしてくれるという意味でも、安心といえるでしょう。

検査をクリアすると、売り主側で保険法人に保険加入手続きを行います。保証期間中に瑕疵が発見された場合、買い主が直接保険法人か検査期間に保険金を請求します。

・売り主が宅建業者の場合

売り主が宅建業者の場合、宅建業者販売タイプの「既存住宅売買の瑕疵保険」を利用することができます。保険期間は5年間・2年間の2タイプです。

保険法人が一定の条件を設定しており、この条件を満たした宅建業者のみ登録を認めています。保険加入手続きは売り主側で行い、保険金の支払いも売り主に対して行われます。もし売り主である宅建業者が倒産した場合は、買い主が保険法人に対して、直接保険金の支払いを請求することもできます。

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■まとめ

新築住宅の瑕疵担保責任は10年間、中古住宅で売り主が宅建業者の場合は2年間が法律で義務付けられています。万が一の時に責任を十分に果たしてもらうためには、売り主の瑕疵保険への加入が有効です。新築住宅では保険や供託金が義務付けられていますが、中古住宅では任意になっているため、希望があれば売り主側に相談しましょう。

執筆者情報マイリノジャーナル編集部
■ 編集者:村田日菜子

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建築学科卒業後、住宅ジャンルを専門とするライターに。住宅購入からリフォーム、資金計画まで、難しい情報も分かりやすくお伝えします。

■ 監修者:原田 直生之

宅地建物取引士の有資格者

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編集者: マイリノジャーナル編集部
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