住まい選びを変える 中古マンション×リノベーション

定年後に住宅ローンが残っている場合の完済方法は?老後を見据えた返済計画を立てよう

ゆとりある老後を送るためには、適切な資金計画が欠かせません。定年後も住宅ローンを返済する場合の注意点やポイントを知っておきましょう。また、持ち家を担保に老後資金を借り入れできる「リバースモーゲージ」もご紹介します。

こんな方におすすめの記事です
  • 老後の住宅ローン返済に不安がある方
  • 老後の住宅ローンの返済方法を知りたい方
  • 老後破綻しない住宅ローンの組み方を知りたい方

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■老後の住宅ローン事情はどうなっている ?

日本経済新聞の調査によると、2020年度に住宅ローンを利用された方の完済年齢は平均73歳。この20年間で、完済年齢は5歳も上がっており、老後のローン返済が不安視されています。

しかし上昇しているのは完済年齢だけではありません。同時に定年退職の年齢も上がっており、収入が得られる期間も伸びているという点は押さえておく必要があるでしょう。

昔は定年退職といえば60歳というのが一般的でした。しかし公的年金の支給開始年齢が65歳へと引き上げられたのを受けて、2013年に高年齢者雇用安定法が改正。希望者は原則65歳まで働ける仕組みが整えられました。このとき企業側に義務付けられたのが「65歳まで定年を延長するor65歳まで継続雇用するor定年廃止」という制度です。

さらに2021年4月の改正で出てきたのが、70歳まで働ける機会をつくろうという動き。従来の65歳までの義務は残したまま、努力義務として「70歳までの定年延長・継続雇用」が掲げられています。

仮に住宅ローンの完済年齢が75歳とすると、65歳定年の方は10年間、70歳定年の方は5年間、退職後のローン返済が続くことになります。再雇用という形で働く方は、これまでより給与が下がるケースも多いでしょう。昔よりも長く収入を得られる時代にはなりましたが、老後の住宅ローン返済が苦しくなるケースも未だあるのが現状です。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■住宅ローンは退職金で完済可能?

住宅ローンの完済年齢が定年後でも、退職金があるから大丈夫とお考えの方も多いかと思います。しかし退職金での一括返済は慎重に考えたほうがよいでしょう。なぜなら退職金を住宅ローンの返済に充ててしまうと、その後の老後資金が心許なくなってしまうからです。

総務省の2020年の家計調査報告によると、老後の夫婦二人世帯の平均的な支出は1ヶ月あたり約25.5万円。ちなみに生命保険文化センターの調査によると、趣味やレジャーを楽しむ費用まで含めた「ゆとりある老後の生活費」は1ヶ月あたり36.1万円となっています。

一方、老後の収入はというと、令和2年度の老齢年金の平均受給額は5万6,358円。 厚生年金が上乗せされる場合は14万6,145円となっています。 たとえば「会社員の夫と専業主婦の妻」という世帯であれば、老後に受け取れる年金は1ヶ月あたり約20万円になる計算です。

年金収入と生活費の差額は、平均的な生活費で1ヶ月あたり約5.5万円。ゆとりある生活費で1ヶ月あたり約16.1万円もの差額が生じます。仮に平均的な生活費で考えたとしても、70〜90歳の30年間で約2,000万円が不足する計算に。退職金を住宅ローンの一括返済に充てると、他に十分な貯蓄がなければ生活は苦しくなってしまう可能性が高いでしょう。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■老後の生活を苦しめる住宅ローンの組み方

老後の生活が苦しくなる住宅ローンの組み方には、次のような特徴があります。

・完済年齢が75歳以上

多くの金融機関では、完済年齢80歳くらいを上限に設定されています。たとえば「40歳で35年ローンを組んで75歳完済」のように、ローンを組み始める年齢が遅かったり、返済期間が長かったりすると、老後の生活に響いてくる可能性が高いでしょう。そのような場合は、年金でも無理なく返せる金額を目標に「繰上げ返済」を積極的に行うのも一つの手です。

・定年後の返済額が年収の5割以上

現役世代の住宅ローンの返済額は、年収の3割くらいまでに抑えるとよいと言われています。たとえば年収1000万円の方なら、年間返済額300万円、毎月25万円程度ということです。しかし定年退職後は収入が減るため、自然と返済額の占める割合は大きくなってしまいます。一般的に年金を含めた収入の5割以上の返済額になると注意が必要といわれているので、参考にしてみてください。

・定年後のボーナス併用払い

年2回のボーナス時に増額して返済している方も要注意です。再雇用でボーナスがなくなってしまう方も多く、あったとしても年収は低くなるのが一般的。毎月の返済額に加えて、年2回数十万円プラスして返済していくのは厳しいという方が多いでしょう。定年後は借り換えなどで、ボーナス払いをなくすのがおすすめ。ボーナス分を毎月にならすと当然返済額は増えてしまうので、退職金を使った一部繰り上げ返済なども検討されるとよいでしょう。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■老後の住宅ローン返済を考える

・退職金をあてにしすぎない

住宅ローンを、退職金で完済したいと考える人は少なくないでしょう。しかし、退職金をあてにした楽観的な資金計画は要注意。いざ定年を迎えてみたら、受け取れる金額が想定よりも低かった…という可能性もあるからです。

また、高齢になると、病気や怪我のリスクは上がるもの。入院やリハビリ、それに伴うバリアフリーリフォームなどで数百万円単位の出費になる可能性もあります。不測の事態に備えて、手元にまとまった資金を残しておきたいものです。

・繰り上げ返済のしすぎに注意

繰り上げ返済とは、通常のローン返済とは別に、一部残高をまとめて返済する方法です。繰り上げ返済をしたあと毎月の返済額を下げる「返済額軽減型」と、返済期間を短くする「期間短縮型」があります。繰り上げ返済は元金の支払いに充てられ、当初支払う予定だった利息を軽減することができます。

繰り上げ返済により、総支払額を軽減したり完済時期を早めたりすることができますが、注意したいポイントもあります。特に期間短縮型の場合、毎月の返済額は変わらないため、無理に繰り上げ返済をすると、生活費を圧迫しかねません。金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかる場合もあるため、軽減できる利息の金額と比較してみましょう。もちろん、繰り上げ返済をした上で十分な生活費や貯蓄が確保できるのでれば問題ありません。

・団体信用生命保険に加入している場合

住宅ローンを契約する際、義務あるいは任意で「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められます。団信に加入しておくと、契約者が死亡したり高度障害を負ってローンの返済ができなくなったりした場合、ローン残高が一括返済されます。配偶者や家族に負債のない自宅を残すことができるのです。

あまり縁起の良い話ではありませんが、高齢になるほど団信のお世話になる可能性は上がるといえます。繰り上げ返済により返済期間を短縮すると、団信のメリットが受けられないかもしれません。

・「借りられるか」より「返せるか」

住宅購入の資金計画において重要なポイントは、「借りられる金額」と「返せる金額」は違うということです。毎月無理なく返済できる返済額の目安は手取り月収の2〜3割と言われていますが、退職後は収入が減るため返済割合が上がります。老後資金を蓄えつつ、定年後の仕事の継続を視野に入れても良いでしょう。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■老後破綻を防ぐポイント

・住宅ローンの残債を把握しよう

定年後は収入が減るため、現役時代と同じ感覚でお金を使っていれば、老後破綻を招きかねません。特に、定年後も住宅ローンの返済が続く場合は、どのタイミングでどれだけの残高があるのかをしっかりと把握しておき、資金計画を定期的に見直しましょう。

・金利によっては借り換えも検討する

近年の金利はかつてない低水準で推移しているため、既存の住宅ローンを借り換えることで、総支払額を下げられるケースもあります。ローンの借り換えは、現在のローンを一旦完済したうえで、新たにローン契約を結びます。数十万円〜100万円程度の手数料や諸経費が掛かるため、総合的に負担が軽減できるのか、しっかりと見定めることが大切です。

借り換えで得をする可能性があるおおまかな目安は、下記のとおりです。
・金利差が1%以上ある
・返済期間が残り10年以上ある
・ローン残高が1,000万円以上ある

・仕事をする

健康であれば、老後も働いて収入や貯蓄を増やすのも一つの方法です。実際に2019年の調査 によると、60〜65歳で約7割、65〜69歳で約5割の方が就労しているという結果もでています。働く理由としてはもちろん経済的な事情もありますが、社会参加や生きがいを理由としてあげられる方も多いようです。

昔ならば「定年後は隠居してゆっくり」というイメージもありましたが、最近では60代、70代で働き続けているのは珍しいことではありません。また、年金の受給は原則65歳からですが、受給開始を遅らせて受取額を増やすこともできます。2022年4月に施行される年金制度改正法では、年金の受給開始を75歳まで繰り上げた方は、受け取れる年金が最大84%アップする仕組みに。 元気なうちはなるべく働きつづけて給与だけでまかない、後に受け取れる年金を増やすというのも一つの選択肢になるでしょう。

受取年齢別年金受給金額

参考/厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

■定年後の住宅ローン契約

・住宅ローンを組めるのは何歳まで?

定年後に新規の住宅ローンを組むことは可能なのでしょうか。住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による住宅ローン「フラット35」では、返済期間を最長35年、完済時の年齢を80歳までとしています。一般の金融機関では、同じくらいかやや低い年齢を設定していることが多いです。

年齢が高くなるほど返済期間が短くなるため、融資を受けられる金額は低くなります。定年後に住宅の購入を考えているなら、自己資金を多めに用意しておく必要があります。

・親子リレーローン、ペアローン

高齢で住宅ローンが組みづらいときには、親子リレーローン・ペアローンという選択肢もあります。

◇親子リレーローン

子が親の連帯債務者となり2代にわたって返済していくローンです。当初は親が返済していき、親が亡くなったら子に引き継がれます。返済期間は子の年齢を基に決められるため、親の年齢に関わらずに申し込むことが可能です。購入する住宅で親子が同居する、あるいは将来的に同居する予定であることを条件としている金融機関が多いですが、フラット35のリレーローンでは、親子の同居について特に定めていません。

◇親子ペアローン

ひとつのローンに対して、債務者が2人となるローンです。親子がお互いに連帯保証人となり、それぞれが返済をしていきます。原則的に親子が同居していることが条件となり、住宅の持分割合に応じてそれぞれ別に住宅ローン控除を利用することが可能です。借り入れ金額の割合と持分割合が一致しない場合は、贈与税の課税対象となる可能性があります。

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■高齢者向け融資「リバースモーゲージ」

高齢化が進む昨今、注目を集めるローンが「リバースモーゲージ」です。

・リバースモーゲージの仕組み

リバースモーゲージとは、持ち家を担保として資金を借りられるローンのことです。契約者本人あるいは夫婦が死亡したあと、金融機関が住宅を売却し、貸付金を回収する仕組みです。借入金の元本を返済する義務はなく、利息のみを返済します。また、利息の返済義務がない商品もあり、その場合は残高に組み入れられます。

リバースモーゲージによる借入金の使用目的は、生活資金・レジャー費用・リフォーム費用・老人ホームの入居金といった老後の生活費です。事業資金や投資資金以外であれば、特に用途を定めていない金融機関もあります。住宅ローン返済中であれば、残高を一括返済することも可能です。

・リバースモーゲージの種類

リバースモーゲージの受け取り方にはおもに3タイプあります。

・年金型
定期的に一定の金額を受け取る方式です。
・一括方式
融資額の全額を一括で受け取る方式です。
・都度方式
融資額の範囲内で、いつでも必要な金額を受け取ることができる方式です。

・リバースモーゲージのおもな要件

リバースモーゲージの内容は金融機関によって異なりますが、おおまかな要件を紹介します。

◇対象物件の種類・地域

リバースモーゲージは、一定以上の担保評価額が付く持ち家で利用できます。おもに首都圏や関西の主要都市の一戸建てが対象となっており、条件に合致すればマンションでも利用可能です。

◇対象者の年齢

おもに満60歳以上。満55歳以上から利用可能な金融機関もあります。

◇融資額

担保評価額内で500万円から。使用目的により融資額の上限が異なるケースもあります。

・リバースモーゲージのリスクと注意点

リバースモーゲージは、契約者(あるいは夫婦)死亡後の自宅売却を前提としているため、一人暮らしあるいは夫婦二人暮らしを条件としており、子どもが同居している場合は利用できません。

また、「その家は自分が相続するはずだった」とトラブルに発展する可能性も考えられます。そのため、ローン契約時に推定相続人(亡くなったときに相続権があると推定される人)全員の承諾を得ることを条件としている金融機関もあります。

参考:リバースモーゲージローン「みずほプライムエイジ」 | みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/reverse_mortgage/index.html
リバースモーゲージ : 三井住友銀行
https://www.smbc.co.jp/kojin/reverse-mortgage/
リバースモーゲージ|東京スター銀行
https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/homeloan_jyujitsu/
リバースモーゲージ型住宅ローン「あんしん革命」|りそな銀行・埼玉りそな銀行
https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/anshin_kakumei/?bank=rb_unite
不動産活用ローン(リバースモーゲージ) | 三井住友信託銀行株式会社
https://www.smtb.jp/personal/loan/reverse/mortgage.html
リバースモーゲージ型住宅ローン | アプラス 新生銀行グループ
https://www.aplus.co.jp/loan/house/reverse-mortgage/

理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」

詳しくはこちら>>
お探しの情報が見つかります

■まとめ

老後の住宅ローン返済について解説しました。定年後も住宅ローンの返済が続く場合は、余裕を持った資金計画を立てて老後破綻を防ぎましょう。持ち家が一定の条件を満たしていれば、リバースモーゲージを利用することもできます。

編集者: マイリノジャーナル編集部
お探しの情報が見つかります