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「アルコーブ」とは?マンションからアルコーブベッドまで意味やおしゃれな活用方法

「アルコーブ」とは何か知っていますか?アルコーブと呼ばれるものには、アルコーブベッドなど室内に設けるものとマンションの玄関前のスペースがあり、使われ方などが異なります。それぞれのアルコーブの意味やメリット、デメリットを踏まえたうえで、室内に設けられるアルコーブの活用方法や施工事例を紹介していきます。

こんな方におすすめの記事です
  • マンションや室内に設けられる「アルコーブ」とは何か知りたい方
  • アルコーブベッドなど、アルコーブの活用方法を知りたい方
  • 室内にアルコーブを設けた施工事例を探している方

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■そもそも「アルコーブ」とは?

「アルコーブ」には、もともとの意味とマンションで用いられている派生した意味があります。それぞれの意味や特徴について解説していきます。

・もともとは廊下や居室の“くぼみ”

アルコーブとは、もともとは廊下や居室の壁の一部を後退させてつくったくぼみのことをいいます。アルコーブはフランスのバロック様式で使われていた技法で、ヨーロッパの建築でよく見られます。バロック様式が全盛であった17世紀フランスでは、アルコーブは客人をもてなすための小部屋としても設けられたとされています。アルコーブはアルコーブベッドのほか、小さなものはニッチと同様に飾り棚のスペースとして用いられ、ソファのスペースや書斎コーナーなどとして活用されています。

日本で和室に設けられる床の間もアルコーブの一種です。また、現代ではアルコーブはクラシカルなインテリアスタイルに限らず、モダンなインテリアの住まいにも設けられています。たとえば、リノベーションでは、押し入れだった部分をアルコーブに変えるといったこともできます。

・マンションの玄関前のスペース

日本ではアルコーブは本来の意味で用いられているほか、マンションではやや異なる意味で使われています。マンションのアルコーブとは、共用廊下から少しくぼんで設けられた玄関前のスペースをいいます。マンションのアルコーブは、所有者全員が共有する共用部分に該当します。

また、マンションで、アルコーブとの違いがわかりにくいとされるのがポーチです。マンションでは玄関前にアルコーブではなく、ポーチが設けられていることもありますが、大きな違いは門扉の有無です。ポーチとは本来は屋根以外の庇(ひさし)が設けられた建物から突き出た部分のことをいい、戸建てではこの意味で使われています。マンションでは門扉が設けられた住戸で、門扉から玄関ドアまでのスペースがポーチと呼ばれています。アルコーブは中住戸、ポーチは角部屋に設けられることが多いです。

さらにマンションでは、アルコーブとサービスバルコニーも混同されることもあります。サービスバルコニーは小さな面積のバルコニーのことで、アルコーブとは全く異なります。サービスバルコニーは、主にエアコンの室外機置場やプランターを置く場所として設置されています。

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■マンションのアルコーブのメリット・デメリット

マンションの共用部分にアルコーブが設けられているメリットやデメリットをまとめました。

・外部からの視線が遮ることが可能

マンションでアルコーブが設けると、共用廊下から少し奥まったところに玄関扉が設置されます。そのため、玄関扉を開閉したときに、共用廊下を通る人から中が見えにくくなるなど、外部からの視線を遮ることができることから、プライバシーを守れることがメリットです。

また、アルコーブがなければ、玄関扉を開けた状態では共用廊下の通行を妨げる恐れがあります。あるいは、玄関扉を勢いよく開けたときや、玄関から慌てて飛び出してしまったときに、共用廊下を通る人にぶつかりにくいという安全上のメリットもあります。

・物を置くのには制約がある

アルコーブがないマンションと比較すると、アルコーブを設けることによるデメリットはほとんどありません。しかし、アルコーブをポーチと比較すると、物を置くことの制約の違いによるデメリットがあります。

アルコーブは共用廊下や階段、エレベーター、エントランスなどと同様に、共用部分です。門扉が設けられたポーチも共用部分ですが、特定の所有者が使用できる専用使用権が設定されるケースがあり、管理規約の範囲内で私物を置くことができます。一方、アルコーブは専用使用権が設定されないことが多く、私物を置くことは制限される点がデメリットといえます。また、ポーチほど独立性のある空間ではありません。

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■室内にアルコーブを設けるメリット・デメリット

もともとの意味のアルコーブは、居室や廊下にリノベーションで設けることが可能です。室内にアルコーブをつくるメリットとデメリットをまとめました。

・隠れ家のような遊び心ある空間をつくれる

室内の一部をアルコーブとして凹ませるとアクセントとなり、独創的でおしゃれな空間をつくることができます。さらに、アルコーブは部屋の一部でありながらも、カーテンやロールスクリーンを取り付けると、独立したスペースできることもメリットです。アルコーブは部屋の一部分として緩やかにつながりながらも、隠れ家のような遊び心ある空間にできます。

・物置きになることがある

アルコーブを設けることに大きなデメリットはありません。ただし、アルコーブを設けても実用性がないと、次第に不要な物を置く場所として物置き化しやすいことがデメリットとして挙げられます。アルコーブを設けるためにはスペースが必要ですが、有効に使われなければ無駄になってしまいます。アルコーブを設けるときは、用途を明確にしておくとともに、実際に使用するか熟慮することが大切です。

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■室内のアルコーブの活用方法と魅力

室内に設けられたアルコーブはアルコーブベッドに限らず、用途は様々です。居室にアルコーブをつくるときの活用方法について、それぞれの魅力に触れながら紹介していきます。

・アルコーブベッドを造りつける

アルコーブベッドとは、居室の一部をくぼませたアルコーブに造りつけたベッドをいいます。3方を壁に囲まれているため、おこもり感があって落ち着いて過ごしやすく、カーテンを取り付けると、隠れ家のような雰囲気も楽しめることも魅力です。

また、華やかな柄の輸入壁紙を用いたり、装飾性の高いカーテンやベッドカバーなどのファブリックを用いたりすると、ヨーロッパのインテリアのようなゴージャスな空間をつくれます。装飾性の高いアルコーブベッドは、海外の邸宅のようなインテリアスタイルを目指したい場合に向いています。

アルコーブベッドを子ども部屋に設ける場合は、子どもにとって秘密基地のようなスペースになります。背面の壁紙の色を変える、入口をアールに切り抜くなど工夫して、遊び心をプラスするのがおすすめです。入口に高さを設けて、ステップや滑り台を設けるといった方法もあります。

寝室や子ども部屋以外では、リビングにアルコーブベッドを設けるケースもみられます。お昼寝スペースとして使えるため、特に小さい子どもがいる家庭では便利です。リビングにアルコーブベッドがあれば、家事などをしながら子どもを見守ることができます。また、リビングのアルコーブベッドは、ソファ代わりにも使えます。

・ソファを置く

3方が壁に囲まれていておこもり感のあるアルコーブは、リラックスして過ごしやすいため、ソファを置くスペースにも向いています。また、大型のソファを置くと圧迫感が生じることがありますが、アルコーブの中に納めることですっきりと見えるというメリットもあります。

・書斎コーナーにする

リビングのアルコーブを設けて、書斎コーナーとして活用することもできます。あるいは、アイロンを掛けたり、ミシンを使ったりするスペースとして、家事コーナーにもできます。

リビングの一角に机を置くのと異なり、アルコーブを設けることでゾーニングがされます。また、3方を壁に囲まれていることから、集中しやすいことが魅力です。一方で完全に独立した空間ではないため、家族の気配を感じながら作業を行うことができます。

ただし、アルコーブを書斎コーナーとして活用する場合、特に下がり壁がある場合や奥行が深い場合は、天井にダウンライトなどの照明器具を設置することを検討する必要があります。

限られた広さの中でリノベーションで書斎を部屋として設けて、プライベートスペースを確保するのは難しいケースは少なくありません。そうしたケースでも、アルコーブをつくって書斎コーナーにすることを検討してみましょう。

・収納スペースにする

背の高い本棚を室内に置くと圧迫感があります。そこで、アルコーブにオープンラックの収納を設けて「見せる収納」にすると、部屋の開放感を保ちながら、おしゃれな空間になります。「見せる収納」にするには、本は高さを揃えて収納し、細々としたものはボックスに入れて、空いたスペースに小物を飾ります。棚にいっぱいいっぱいにしまわず、余白を残すこともポイント。ガラスのアイテムやインテリアグリーンを取り入れると、抜け感が出ます。

また、しまっていた美術品を飾る場所としてもアルコーブは活用できます。

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■室内のアルコーブの施工事例やポイント

アルコーブはインテリアスタイルを問わず、様々なテイストの住宅で設けられています。居室にアルコーブを設けた施工事例をポイントとともに紹介していきます。

・天窓から光が降り注ぐカウンター

https://www.asunaro-studio.com/work/2014/02282018.html

シンプルなデザインで間仕切りを抑えた住宅で、キッチンの近くにアルコーブ設けた事例です。アルコーブは下がり壁があると暗くなりがちですが、天窓を設けることで光を取り込んでいます。

キッチンの背面には、家電を隠すための収納の扉が設けられています。オープンなLDKのミニマムな空間で、アルコーブがアクセントとなっています。

・南仏風のアルコーブベッドのためのスペース

https://id-two.jp/yaizu-s17

南欧プロヴァンス風の住宅で、リビングに設けられたアルコーブベッドのためのスペース。仕上げは塗り壁でアールにくり抜かれていて、南欧プロヴァンス風らしさが感じられます。アルコーブは窓がある明るいスペースで、ソファ代わりにも活用できそうです。

・部屋の中に部屋ができる!?子ども部屋のアルコーブ

https://www.fukuoka-k.jp/report2/fukuokashi-minamiku/minamiku-16-04/46430/

シンプルでスタイリッシュなデザインの住宅。子ども部屋に設けられたアルコーブは背面にアクセントクロスが使われ、おしゃれな雰囲気です。広めのアルコーブにカーテンを取り付けると、部屋の中に部屋ができる状態となり、秘密基地のような空間としても使えます。

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■まとめ

本来の意味のアルコーブは、様々なインテリアスタイルに合う建築技法です。おしゃれな住まいにするには、アルコーブを設けるのも手。ただし、実用性も伴わなければ、使わないスペースになってしまいがちです。リノベーションでアルコーブを設けたい場合は、リノベーション会社に相談するとアイデアを提案してもらえます。

編集者: u-room

メーカー勤務のかたわらインテリアスクールに通い、インテリアコーディネーターに転身した経歴を持つ。現在はフリーランスのライターとして、住宅関係のほか、求人広告やインタビュー取材などの執筆を手掛ける。インテリアコーディネーター資格を保有。ワインとビール、インテリアショップ&美術館巡りが好き。夫と2人の息子の4人家族。

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