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引き戸はメリットがいっぱい。リフォームのポイントや費用目安を解説

近年、注目を集めている「引き戸」は、どのような特徴があるのでしょうか?「開き戸」や「折れ戸」とともに、引き戸のメリットやデメリット、リフォーム費用の目安を確認してみましょう。また、室内および玄関の扉を、開き戸から引き戸へリフォームした事例をご紹介します。

引き込み戸1
こんな方におすすめの記事です
  • 引き戸のメリット・デメリットを知りたい方
  • 引き戸の種類を知りたい方
  • 引き戸へのリフォーム事例を見たい方

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■開き戸のメリット・デメリット

開き戸(ドア)

まずは、「開き戸」について、特徴を確認してみましょう。開き戸は「ドア」とも呼ばれ、もっとも一般的に使用されているタイプの戸です。扉の左右いずれかを蝶板金具で枠に固定し、レバーやノブを握って前後に開閉します。

・メリット:構造がシンプルで掃除しやすい

開き戸の構造はシンプルなため、金具が故障したときの修理も比較的容易にできます。日頃の掃除もしやすいです。

・メリット:気密性が高い

開き戸を閉めると扉と枠が密着するため、ほかのタイプの戸に比べて気密性・遮音性が高くなります。

・メリット:全開できる

開口部を全開することが可能なので、扉と同じ大きさの間口を確保することができます。

・デメリット:開く向きに空間が必要

開き戸を開く方向に物があると扉がぶつかってしまうため、家具などを置いておくことができません。また、開閉の際に体を前後に移動しなければならないため、体が不自由な人やお年寄りには負担になることもあります。

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■折れ戸のメリット・デメリット

折れ戸

折れ戸とは、天井に設置したハンガーレールと、床に設置したガイドレールに2枚1組の扉を取り付け、手前に折り曲げるように引いて開ける戸です。クローゼットや浴室の扉に多く使用されています。扉の片側がレールの端に固定された「片開きタイプ」と、レール上を自由に移動させられる「フリーオープンタイプ」があります。

・メリット:開口部が省スペース

扉を折りたたむように開くため、開き戸に比べて開閉に必要な空間が少なく済みます。

・デメリット:構造が複雑で故障しやすい

折れ戸はほかのタイプの戸に比べて構造が複雑で、使用されているパーツも多めです。そのため長期間使用するうちに故障しやすくなります。

・デメリット:全開にできない

折れ戸を開くとき、レール上に扉を寄せておくため、扉の厚みで開口部がふさがります。そのため、幅いっぱいにフルオープンすることができません。

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■引き戸のメリット

引き戸

引き戸は、左右にスライドさせて開閉する扉です。古来より日本の建物ではおもに引き戸が使用されてきました。上下にレールや溝のある枠を取り付け、扉をはめ込むように設置します。扉を吊り下げる「ハンガータイプ」は、床部のレールが不要です。戸の下部に「戸車」というタイヤのようなパーツが付くタイプもあります。

・周囲に家具を置くことができる

引き戸は前後に物が置かれていても、扉を開閉することができます。特に、壁の内側に戸を引き込むタイプであれば、壁にピッタリと家具を置いても問題ありません。

・開放しやすい

開き戸は、好きな位置で半開きにしておくことができます。開き戸は強風に煽られてバタンと閉まってしまうことがありますが、引き戸であればそのようなことがありません。そのため、部屋を区切る間仕切り壁としても活用することができます。

・扉同士が干渉しない

廊下など、居室や収納の開口部が多い場所では、開き戸や折れ戸を開けたときに扉同士がぶつかってしまうことがあります。引き戸を採用することで、扉同士の干渉を防ぐことが可能です。

・開閉の際に体の動きが少ない

引き戸は、開閉の際に体を前後に移動する必要がありません。そのため、車椅子に乗った人やお年寄りにも、安全に使いやすいです。

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■引き戸のデメリット

メリットの多い引き戸ですが、デメリットや注意点もあります。確認しておきましょう。

・比較的気密性が低い

引き戸は構造上、扉と壁の間に隙間ができるため、開き戸に比べて気密性・遮音性が低めです。ただし密閉性を高めた引き戸も増えてきているので、製品カタログ等を参考に比較・検討すると良いでしょう。

・広い設置面積が必要

引き戸を設置するには、扉を収めるための引き代(ひきしろ)として「控え壁」を確保するか、壁の内側に扉を引き込む「戸袋」を作ります。つまり、開口部の横に、最低でも扉1枚と同じくらいの大きさの壁が必要です。そのため間取りの都合上引き代の確保が難しい場合には、引き戸を設けることができません。

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■引き戸のバリエーション

引き戸は引き代の配置や扉の枚数によって、さまざまな配置パターンがあります。

・引き込み戸

引込み戸

画像出典:https://sumai.panasonic.jp/interior/door/knowledge/

戸袋引き込みとは、壁の内側に引き戸を格納する「戸袋」を設ける方法です。開放したときに扉が隠れるため、すっきりとした印象になります。引き戸よりも戸袋の幅を少し狭くすることで「引き残し」を設け、把手に手をかけやすくする方法もあります。

・片開き引き戸

片開き戸

画像出典:https://sumai.panasonic.jp/interior/door/knowledge/

片開きとは、左右いずれか片方に控え壁あるいは戸袋を設ける方法です。画像は2枚片開きの引き戸になります。「片引き戸」と呼ばれることもあります。

・両開き引き戸

両開きは、2枚引き戸の左右に控え壁あるいは戸袋を設け、中心から両側に開くタイプの引き戸です。レールや溝はひとつのため、扉が重なることはありません。「両引き戸」や「引き分け戸」と呼ばれることもあります。開口部を広く確保したい場所におすすめです。

・引違い戸

引違い戸1
引違い戸2

引違い戸は、2枚以上の扉で構成される、壁に引き代を設けないタイプの引き戸です。控え壁や戸袋がないため、扉をすべて片側に寄せても開口部を全開することはできません。扉の枚数によって、2枚戸・3枚戸・4枚戸などと呼ばれます。左右どちらにもスライドすることが可能です。画像は、2枚引き違い戸となります。

・L字引き戸

L字引き戸

画像出典:https://sumai.panasonic.jp/interior/door/knowledge/

引き戸を2方向からL字型に配置することもできます。おもに、隣接する居室との間仕切り壁として採用されることが多いです。画像はL字の引き込み戸となります。リビングに隣接する寝室など、状況の変化に応じて、空間をフレキシブルに変化させたい場所におすすめです。

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■部屋ごとにおすすめの引き戸リフォーム

・玄関の引き戸

一般的に玄関の開き戸は引いて開ける「外開き」となっています。そのため、ノブやレバーを引きながら一歩下がらなければなりません。重い荷物を持っているときやベビーカーを利用しているとき、車椅子に乗っている人には、負担になります。その点、引き戸であれば大きく体を動かす必要がありません。また、全開にしなくても扉が自然に閉まらないため、スムーズに出入りできます。

かつて築年数の古い住戸に多く見られた引き戸の玄関ですが、住まいの洋式化に伴い開き戸が一般的になっていきました。しかし近年はバリアフリーの考え方が一般的になったこともあり、引き戸の玄関扉が見直されています。洋風の製品も多く登場しているので、住まいに合う引き戸が見つかるはずです。

車椅子を使用する場合は、一般的な大きさの引き戸ではスムーズに出入りができないことがあります。間口の幅が広い、85cm以上ある製品がおすすめです。バリアフリー化を目的に玄関扉をリフォームするのであれば、庭からのアプローチにある段差を解消する・手すりやスロープを設置するなど、玄関まわり全体の見直しを検討しましょう。

・リビング、居室の引き戸

近年人気の高い間取りの特徴に、「開放的なLDK」と「可変性の高い居室レイアウト」があります。具体的には、リビングに隣接する居室に、複数扉の引き戸を設置して間仕切りとすることで実現可能です。引き戸を開放すればリビングと一体化した開放的な空間に、閉めれば独立した居室として使用することができます。お子さまがまだ小さくライフスタイルの変化が見込まれる世帯や、家族構成が変わる可能性がある住まいにおすすめです。ハンガータイプの引き戸を選ぶと、床にレールがないため、開放したときに空間の一体感がより得やすくなります。レールにホコリが溜まることもないため、掃除もしやすいです。

また、20畳以上あるような広いLDKは、冷暖房の効率が悪くなってしまいがちなもの。リビングを区切るように透明パネルの引き戸を設置すれば、空間の伸びやかさはそのままに、過ごしやすい空間を確保することができます。寝室や子ども部屋の出入り口に引き戸を採用する場合は、必要に応じで密閉性・遮音性を高めた製品を選ぶと良いでしょう。

・トイレ・サニタリーの引き戸

トイレの開き戸は、外開きとなるよう設置するのが一般的です。これは、万が一個室内で人が倒れたときに、扉が開かなくなってしまうのを防止する目的があります。その一方、廊下に置いておいた物がトイレの前に倒れ、中に閉じ込められてしまう事故も起きています。このようなトラブルが起きにくい戸が、引き戸です。特に安全性や使いやすさをより重視するバリアフリーリフォームでは、トイレにも引き戸を採用することが多くなります。お年寄りは掴む力が弱くなるので、把手は握りやすい大きなハンドルを選ぶのがおすすめです。

・開口部が多い場所の引き戸

間取りによっては、居室のドアや収納を同時に開けたとき、扉同士がぶつかってしまうことがあります。特に廊下や玄関ホールなど、居室の出入り口や収納が集中する場所で起きやすい問題です。間取りを考える際には、開き戸や折れ戸のほかに引き戸も組み合わせて、開口部を同時に開いても支障なく使えるようにプラニングをしましょう。

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■開き戸から引き戸にリフォームする費用の目安

開き戸から引き戸へとリフォームする場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。リフォームの手順とともに確認してみましょう。

リフォーム費用は、「既存の開き戸の撤去・処分費用」+「引き戸の製品価格」+「取り付け工事費用」の合計になります。既存のドア枠に重ねる形で部材を取り付ける「カバー工法」や、既存のドア枠の外側にレールを取り付ける「アウトセット工法」であれば、解体・処分費用と工事費用をともに抑えることが可能です。また引き戸のデザイン性・機能性が高いほど製品価格も高めになります。

引き込み戸にする場合は、すっきりとした見た目に仕上げることができますが、戸袋をつくるために既存の壁を解体して作り直す必要があります。そのためカバー工法やアウトセット工法に比べて大掛かりな工事となり、費用も高めです。どの工法で施工するかは、既存の開き戸の状況や、新しく設置する引き戸の大きさ、希望する仕上がりによって異なります。

・室内の引き戸リフォーム

室内の開き戸を引き戸にする場合の費用目安は、片引き戸で10〜40万円ほど。引き込み戸や両開き戸・引き違い戸にする場合は、壁の撤去を伴う工事となるため、25〜50万円ほど掛かることになります。

・玄関の引き戸リフォーム

玄関用の引き戸は室内用に比べて製品価格が高いため、工事費用の総額も高めです。開き戸の玄関ドアを片引き戸にリフォームする場合は最低でも約30万円〜となります。引き込み戸や両開き戸・引き違い戸にする場合は、工事の規模も大きくなりやすいので、60〜100万円ほど掛かると考えておくと良いでしょう。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例1

開き戸(リフォーム前)
引き戸(リフォーム後)

出典:http://www.ito-jiro.jp/case/in/6754/

キッチンにつながる開き戸を、引き戸にリフォームした事例のご紹介です。廊下側に物が置けずにデッドスペースになっていたことや、手前にある開き戸を開けたときにぶつかってしまうことも気になっていたそうです。枠の外側にレールを設置するアウトセット工法のため、1日でリフォーム完成。既存の扉はガラスでしたが、安全性の高い樹脂製パネルの引き戸を採用しています。ぶつかっても割れにくいので、遊び盛りの小さなお子さまがいるお宅も安心ですね。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例2

開き戸から引き戸へのリフォーム事例

出典:https://www.toraiku.com/results_more/exterior.html#anc02

開き戸の玄関を引き戸にリフォームした事例です。結露の予防や冷暖房効率の向上が期待できる、断熱引き戸を採用。専用の網戸が付いているため、虫の侵入を気にせずに換気することもできます。引き戸だけではなく、シューズボックスも新しいものを設置。外のポーチは高さを抑え、滑りにくい安全なタイルに張り替えています。玄関まわりを一新したことで、快適性・安全性を他アップした「住まいの顔」に生まれ変わりました。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例3

開き戸から引き戸へのリフォーム事例3

出典:https://hamaniwell.jp/reform/4904/

こちらも、玄関の開き戸を引き戸にリフォームした事例です。既存の玄関の暗さや、風が強い日の開けづらさが気になっていたとのこと。そのお悩みが、採光部分が多い引き戸に交換することで解消できました。玄関ポーチのタイルも滑りにくいものに交換し、安全性を向上。開き戸はダークカラーでしたが、明るいプラチナステン色を採用したことで玄関まわりが明るい印象となっています。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例4

開き戸から引き戸へのリフォーム事例4

出典:https://www.smilepartner.jp/tategu/00007.html

高齢のお母さまが過ごしやすいように、居室をリフォームした事例です。居間に続く開き戸は、前に物があるときに開けづらいと不便を感じていたこともあり、引き戸へ交換。造上の問題から、アウトセット引き戸を採用しています。左側に照明のスイッチがありましたが、引き戸を開けたときにふさがってしまうため、壁の断熱工事の際に右側に移設。隣の居間との段差を軽減するために、枠の下部に斜めの「沓摺り(くつずり)」を取り付けています。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例5

開き戸から引き戸へのリフォーム事例5
開き戸から引き戸へのリフォーム事例5の2

出典:https://www.ienakama.com/living-madori/tokyo-to-meguro-ku/jirei/page/?jid=8007

階段を昇りきった場所にリビングがあるお住まい。その開口部に引き戸を設置したリフォーム事例です。ロールスクリーンの設置はあったものの、冷暖房効率が悪かったとこのこと。温度の低い空気は下に降りる性質があるため、これではエアコンの冷気が階段へ降りていってしまいますね。お子さまの転落防止に設置していたベビーゲートも、通行に支障をきたしていたそうです。アウトセット工法ですが、扉の高さが天井まであるので、すっきりとした印象です。引き戸によって、過ごしやすく安全なリビングになりました。

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■開き戸から引き戸へのリフォーム事例6

開き戸から引き戸へのリフォーム事例6

出典:https://www.ienakama.com/door/tokyo-to-hachioji-shi/jirei/page/?jid=7361

こちらは、リビングに面した階段に引き戸を設置した事例です。開放感が魅力のリビング階段ですが、階段から冷気が落ちてくることが気になっていたとのこと。引き戸の設置にあたり天井に補強板、両サイドには隙間を調整するための下地を取り付けていますが、周囲と同じホワイトのクロスを貼っているため、空間に溶け込んでいます。クリアの採光窓なので、引き戸を閉めても開放感を損ないません。マットブラックのモダンな枠が、階段とフローリングのナチュラルな印象の空間を引き締めています。

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■まとめ

引き戸は前後に物があっても開閉することができ、間仕切りとしても利用できる戸です。また、体を大きく動かさずに開閉できるため、お年寄りや体の不自由な人にも使いやすくなっています。住まいをバリアフリー化するなら、開き戸から引き戸へのリフォームがおすすめです。

編集者: 美智子山口

ウェブデザイナーを経て2014年よりフリーライターに。おもに住まいに関する記事を執筆しています。猫が大好きで、自宅のDIYリフォームが趣味。

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