新築と比べてお手頃な価格で購入できる中古住宅を、現代のライフスタイルに合わせた住まいにつくりかえるリノベーション。間取りや内装を新しくするだけでなく、水道管やガス管といった生活に必要不可欠なインフラも改修して、快適に暮らせるようにします。
しかしなかには「中古住宅って本当に大丈夫なの?」「住みはじめてから水漏れや故障が起こったら対応してもらえるの?」と不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。そんなリノベーション住宅の性能やアフターサービスへの不安を払拭してくれるのが「R1住宅(適合リノベーションR1住宅)」です。
今回はR1住宅とはいったいどういうものなのか、適合基準やメリットについて詳しく解説します。リノベーション会社や物件を選ぶときに役立つ情報となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
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原状回復のための表面的な修繕は「リフォーム」。それに対して、住まい全体の機能や価値を高める大規模な改修のことを「リノベーション」といいます。
リノベーションする中古住宅は、築年数も工事内容もさまざま。そのため「見えない部分の性能や機能に不安を感じる」という声も少なくありません。
そこで一般社団法人リノベーション協議会 が、優良なリノベーションの統一規格として定めたのが「適合リノベーション」。対象物件によってR1からR5まで区分されており、「R1住宅」は区分マンション専有部分の統一基準をクリアした住宅です。
R1住宅 | 区分マンション専有部分 |
R2住宅 | R1住宅+共用部分 |
R3住宅 | R1住宅+共用部分を含む一棟全体 |
R4住宅 | オフィス→住宅などの用途変更 |
R5住宅 | 一戸建て住宅 |
R1住宅では、マンションの重要なインフラについて決められた検査や工事を行います。また工事履歴の保管や、不具合が起きたときの保証の付帯も義務づけられています。
・適合基準①重要インフラ13項目の設定
まずはリノベーション前に建物の現況検査で、今ある設備をそのまま使う箇所と、リノベーションで新しく更新するべき箇所を判断します。このとき目に見える箇所だけでなく、給排水管やガス配管など、普段は目に見えない箇所まできちんと点検や改修をすることが大切です。
そして現況検査の結果をふまえて、必要なリノベーション工事を実施。その後、適合リノベーションの基準をきちんと満たしているか検査します。R1住宅で検査の対象となるのは、住まいの重要なインフラである次の13項目です。
検査項目 | 適合基準・検査方法 |
---|---|
1.給水管 | 給水管からの水漏れがないか検査。通常の1.5倍の水圧を給水管にかけて、1時間後に漏水による水圧が低下しないかチェックする。 |
2.給湯管 | 給湯器を作動させて、お湯の温度がきちんと上がっているか、手で触るなどして確認。給水管と同様に、通常の1.5倍の水圧を給湯管にかけて、1時間後に水圧低下がないか調査する。追い焚き機能があれば、正常に作動しているかも確認する。 |
3. 排水管 | 浴室やキッチン、洗濯パンなどから同時に排水したときに、逆流したりあふれたりしないかチェック。キッチンシンク下など排水管が露出している部分は、目で見たり触れたりして水が漏れていないか確認する。 |
4. ガス配管 | ガス漏れなどの問題がないか、ガス会社による開栓点検を行う。ガス機器を点火して、正常に燃焼しているかも確認。 |
5. 電気配線 | 照明のスイッチをオンオフして通電状況を確認。コンセントに正しく電流が通っているかを回路計や検電器などで測り、アースが働いているかも調べる。 |
6.分電盤 | 分電盤を開けて、正しく配線や固定がされているか、焼け焦げや損傷がないか、漏電ブレーカーが作動するか確認。 |
7. 情報系配線 | きちんと地デジが受信できるか、電話回線が通っているか調べる。 |
8. 換気設備 | キッチンやトイレなどの換気扇にティッシュペーパーなどをあてて、きちんと空気を吸い込んでいるか調べる。異音や異常がないかもチェック。 |
9. 住宅用火災警報器 | 消防法にのっとって火災警報器が設置されているか、正常に警報音が鳴るか調べる。火災報知器の使用期限は10年間だが、その半分である5年未満を基準とする。 |
10. 床下地 | 実際に歩いてみて、施工不良や腐食による床のたわみがないか確認。躯体直仕上げの場合は検査対象外。 |
11. 壁下地 | 壁のたわみがないか、壁を叩いて確認する。躯体直仕上げの場合は検査対象外。 |
12. 天井下地 | 天井のたわみがないか、目視や打診で確認する。躯体直仕上げの場合は検査対象外。 |
13. 浴室防水 | 在来工法:浴槽に24時間水を張って、漏水による水位低下がないかを調べる。 ユニットバス:水張り試験は不要。排水トラップがゆるんでいないか締め付けを確認する。 |
上記13項目は、工事した部分か工事していない部分かに関わらず、必ずすべての項目を検査します。もし基準をクリアしていない項目が見つかれば、必要な工事を行わなければなりません。
重要インフラ13項目の検査や、必要なリノベーションが終わったら、適合状況や工事内容を「適合状況報告書」にまとめてお客様にお渡しすることも、R1住宅では必須です。適合状況報告書はリノベーション協議会が決めた標準書式に沿って作成されます。
【適合状況報告書の記載項目】
・リノベーションに関わった設計会社、検査会社
・重要インフラの適合状況
・新規なのか、既存なのか
・不具合があったときの相談窓口など
R1住宅では「平面図・仕上げ表」を協議会のサーバーに保管しておくことが義務づけられています。また設備を更新した場合は、その部分の「配管図・配電図・設備位置図」も残しておかなければなりません。IDとパスワードが発行されるので、それらの情報が必要になったときは、いつでも協議会のホームページ上で確認できます。
重要インフラ13項目には、2年以上の保証を付帯することも義務とされています。もし住みはじめてから不具合がでたとしても、修理などの対応をしてもらえるので安心です。また重要インフラは新しく更新されたものだけでなく、リノベーション前の設備をそのまま使ったものであっても、同じ2年の保証を付けることになっています。
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詳しくはこちら>>適合リノベーションR1住宅を手に入れるには、R1住宅のマークがついたリノベーション物件を探すか、R1住宅に対応している協議会会員のリノベーション会社に相談します。R1住宅の基準をクリアした物件を選べば、見えないインフラ部分に問題がなかったことが証明され、万が一あとから不具合が発生したときの保証も受けられます。安心して住宅購入に臨めるだけでなく、売却時に有利に働くのもメリットです。詳しいメリットについて、4つに分けて解説していきます。
中古物件は新築に比べると、購入費用が安いというメリットがあります。リノベーション費用を含めたトータル費用で考えても、安く抑えられることが多いでしょう。
駅から近い物件や人気エリアの新築マンションは予算オーバーという方も、中古物件+リノベーションなら手が届くことも。また希望のエリアにタイミングよく新築マンションがでてくることは少ないため、中古マンションも視野に入れることで物件選びの選択肢がぐんと広がります。
R1住宅で検査される重要インフラ13項目は、マンションで安心して暮らしていくうえで非常に大切な項目です。たとえば電気設備がきちんと施工されていなければ、感電や火災などにつながるリスクも。給排水管から水漏れすると、家の床が水浸しになるだけでなく、下階の居住者に迷惑をかけてしまうかもしれません。R1住宅ならきちんと検査や改修工事がされているので、インフラ面でのトラブルを心配せずに中古物件を購入できます。
中古住宅を購入して、不具合が起こった箇所をこまめにリフォームしていく方法もありますが、その都度手間も費用もかかってしまうもの。「せっかく床材を交換したのに、そのあと排水管から漏水したので床を一回はがして再工事しなければならない」「壁紙を張り替えたばかりなのに、壁のたわみで浮いてきた」など、工事に無駄が生じてしまう可能性もあります。
適合リノベーションR1住宅なら、重要インフラ13項目についてまとめて検査や工事を行うので効率的です。工事部分だけでなく、非工事部分まで含めて最低2年間の保証が受けられるのもうれしいですね。もし住みはじめてからインフラ設備が故障しても、保証期間内であれば修理などの対応をしてもらえます。
協議会サーバーに保存された工事の履歴を、いつでもホームページ上から確認できるのもR1住宅のメリット。過去に実施されたリノベーションの内容や時期がわかれば、住みはじめてからのメンテナンスや点検も効率的に実施できるでしょう。万が一不具合が生じてしまったときも、使われている製品の情報や図面があれば、原因を特定しやすくなります。
・メリット⑤売却時に有利になる
R1住宅なら、重要インフラに関して一定の基準をクリアしているということが、客観的にわかります。自分がそのマンションを購入するときに安心できるだけでなく、将来その物件を売却しようと考えたときに資産価値を証明するのにも役立ちます。他の物件との差別化がはかれるため、買い手がつきやすくなったり、より良い条件で売却できたりする可能性が高まるでしょう。
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詳しくはこちら>>かつて日本には新築信仰があるといわれていました。住宅技術が発展途中で、品質が年々よくなっていた時代は、新築を選ばれるケースが多かったのです。
しかし今や住宅技術は一定レベルに達し、新築だから中古だからといって品質に昔ほど大きな差はありません。中古でも気に入った立地に家を買って、自分の好きな間取りや内装にリノベーションして住みたいと考える方は増えています。
適合リノベーションR1住宅は、リノベーション住宅を選ぶために役立つ規格です。安心してリノベーション住宅を購入できるだけでなく、将来物件を売却するときに資産価値を証明するのにも役立ちます。
適合リノベーションR1住宅をお探しの場合は「①R1住宅のマークが示されたリノベーション済み住宅を購入する、②協議会会員となっているリノベーション会社に相談する」という2つの方法があります。リノベーション会社を決めるときは、協議会に登録されている会社かどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。
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詳しくはこちら>>グローバルベイスはリノベーション協議会の正会員で、R1基準にも対応可能です。それだけでなく当社独自の厳しい品質基準や検査をクリアした住宅をお客様にお届けしています。
スケルトン状態からのリノベーションは、間取りや内装などの見える部分だけでなく、内部構造や配管もしっかり見直すことができるので安心です。住まいが完成してからは、アフターサービス保証書をお渡し。お引き渡し後もしっかりとサポートさせていただきます。