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業務用キッチンは家庭で使える?メリット・デメリットやおしゃれな施工例を紹介

業務用キッチンは、本来は飲食店の厨房に用いられるものですが、住宅に使用される事例も目立つようになり、注目を集めています。しかし、住宅にプロ仕様のものを設置して使い勝手に問題はないのでしょうか。住宅に業務用キッチンを設置するメリットやデメリット、設置費用や施工事例などを紹介していきます。

シンプルな業務用テイストのキッチンがLDKの主役
こんな方におすすめの記事です
  • 業務用キッチンの特徴を知りたい方
  • 業務用キッチンのメリット・デメリットを知りたい方
  • 業務用キッチンの施工例を見たい方

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■業務用キッチンとは

業務用キッチンとは、飲食店の厨房用のキッチンです。業務用キッチンはステンレス製で、調理台やシンク、ガス台などのユニットを組み合わせて設置します。システムキッチンのワークトップはゴミや水が床に落ちないように縁がついているのに対して、業務用キッチンは水やゴミは床に落とす前提でつくられているため、ワークトップに縁がないという違いがあります。また、業務用キッチン用のガスコンロは、家庭用よりも火力が強いのが特徴です。

最近では、一般の住宅でも業務用キッチンを設置するケースがあるほか、業務用キッチンメーカーに特注するケースや業務用風のキッチンを設置するケースもみられます。

・業務用キッチンは家庭にも取り入れられる?

業務用キッチンを一般的な住宅に設置しようとすると、法規制と使い勝手の問題があります。

後述するように、家庭用のガスコンロには調理油過熱防止装置と立ち消え安全装置の設置が義務付けられていますが、業務用のガスコンロは規制の対象外です。そのため、安全面での問題があります。

また、業務用のガスコンロなどの厨房機器を設置しようとすると、必要換気量に合った排気フードの設置や壁面との距離など防火上の法規制が厳しいです。

あるいは、業務用のガスコンロはユニットを組み合わせるため、継ぎ目が気になることや、深いシンクが人によっては使いにくいことも考えられます。

こうした理由から、業務用のガスコンロの設置には難しさがあるため、ガスコンロは家庭用にすることも選択肢となります。あるいは、業務用キッチンメーカーに特注で製作を依頼する、業務用キッチン風のキッチンを選ぶといった方法もあります。

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■業務用キッチンのメリット

業務用キッチンには、丈夫で火力が強くシンクが使いやすいといった機能面でのメリットと、シンプルでおしゃれというデザイン面でのメリットがあります。

・ステンレス製で丈夫

業務用キッチンは毎日、長時間にわたって、重い調理器具が用いられるなど、酷使されることが前提となっているため、ステンレス製で丈夫で耐久性が高いのが特徴です。家庭用のステンレス製のキッチンもありますが、一般的に業務用キッチンの方がステンレスの厚みがあります。

・ユニットの組み合わせでレイアウトのアレンジがしやすい

業務用キッチンは調理台やシンク、ガス台、壁面に設置する棚などの単品のユニットを組み合わせて使用する形です。そのため、スペースや使い勝手を考慮して、必要なものを組み合わせて設置することができます。特に調理台はサイズ展開が豊富で、下部がオープンのタイプのほか、引き出しや引き戸が設置されたタイプもあります。

・火力が強い

業務用のガスコンロは家庭用のものよりも火力が強いことも特徴です。たとえば、強火で一気に肉を焼きたい、本格的な中華料理をつくりたいといった希望がある人に向いています。

・シンクが深めで洗いやすい

業務用キッチンは、大量の食器や大きな鍋を洗えるように、家庭用のキッチンよりもシンクに深さがあります。水ハネしても身体にかかりにくいため、洗いやすいこともメリットです。

・シンプルでおしゃれなデザイン

業務用キッチンはシンプルで飾り気のないデザインが、スタイリッシュな印象を与えます。業務用キッチンは、武骨なインダストリアルスタイルやカフェ風のインテリアにマッチするほか、シンプルでナチュラルな空間にも映えます。業務用キッチンは、カフェやバーのような雰囲気の空間をつくれることも、人気を集めている理由です。

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■業務用キッチンのデメリット

業務用キッチンは、システムキッチンなどの家庭用キッチンとは異なる特徴があることから、住宅への設置にはデメリットもあります。

・オープン棚の収納に工夫が必要

システムキッチンは調味料や包丁、鍋などがしまいやすいように、収納が工夫されているものが多いです。これに対して業務用キッチンは、下部の扉や背板のないオープン棚になっているものが多く、収納に工夫が必要です。無計画に食器や調味料などの細々したものをしまうと、使い勝手が悪いうえに雑然とした印象になってしまいます。そこで、ボックスやカゴを使って分類して収納すると、見た目がよく機能的です。

・ユニット同士の継ぎ目がある

業務用キッチンはユニットを組み合わせて設置するため、ユニット同士の継ぎ目ができてしまう点がデメリットです。継ぎ目が気になる場合は、業務用キッチンメーカーに特注のキッチンをオーダーする、業務用キッチン風の家庭用キッチンを設置するという選の択肢もあります。

・シンクの位置が低い

シンクは深めで洗いやすい反面、位置は低めになります。人によってはシンクが低くて、洗うときの体勢がきついと感じる可能性があります。

・配管が露出になる

業務用キッチンのシンクの下部はオープンになっているため、排水の配管が露出になります。また、業務用は水栓がシンクにはついていないのが一般的なため、別途、壁付けのタイプのものなどを設置します。

・業務用ガスコンロの設置は法規制が厳しい

業務用のガスコンロの中には、立ち消え安全装置がついていないものが少なくありません。しかし、2008年10月から家庭用のガスコンロには、調理油過熱防止装置と立ち消え安全装置の設置が義務付けられているため、適合している商品を選ぶ必要があります。

また、業務用のガスコンロなどの厨房機器を設置する場合は、必要換気量に合った排気フードの設置が求められ、壁面との距離や下地、仕上げ材などの防火上の法規制も厳しいです。

業務用ガスコンロに関連する法規制をクリアするのが難しい場合は、火力の強い家庭用のステンレスコンロを設置することを検討してみましょう。

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■業務用キッチンを取り入れるときのポイント

メリットがある一方で、使い勝手などの面でデメリットもある業務用キッチン。リノベーションなどで業務用キッチンを設置するときのポイントをまとめました。

・ガスコンロは業務用風のタイプを選ぶ

業務用キッチンで業務用のガスコンロを設置するのはハードルが高く、安全面での心配もあります。そこで、業務用キッチンのシンクや調理台などのユニットを組み合わせて設置し、ガスコンロは業務用風の家庭用のガスコンロを選ぶのがおすすめです。

ステンレス製で業務用のガスコンロに近いデザインで、一般的な家庭用のガスコンロよりも火力の強い商品が市販されています。

・排水管が見えないようにカゴなどで収納を工夫

業務用キッチンのシンクは、背板がなく下部がオープンになっているデザインが、一般的です。排水管が見えてしまうため、インテリア性の面で気になるかもしれません。また、調理台はオープンのタイプと引き戸がついたタイプとがあり、オープンの部分はそのままでは小さなモノがしまいにくいことが難点です。

そこで、引き出しの代わりにカゴなどを用いて、種類別に分けてしまうようなど、排水管を隠しつつ、使いやすくなるような工夫をしましょう。

・木のアイテムでぬくもりをプラス

オールステンレスの業務用キッチンはシンプルで武骨なかっこよさがある反面、無機質で冷たい印象から、LDKの中で浮いてしまうことがあります。そこで、籐のカゴや木箱を用いたり、見えるように木の器を収納したりするとぬくもりがプラスされ、インテリアに溶け込みやすくなりおしゃれに見えます。

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■機能的でおしゃれな業務用キッチンの施工例

業務用キッチンは機能的なおしゃれな空間を実現できることが魅力です。業務用キッチンから業務用厨房機器メーカーの特注キッチン、業務用テイストのシステムキッチンまで、施工例を紹介していきます。

・ナチュラルな空間にマッチする業務用キッチン

ナチュラルな空間にマッチする業務用キッチン

http://earth-architect.sblo.jp/article/183232977.html

ナチュラルでシンプルな空間に業務用キッチンを設置した事例。業務用キッチンに合わせて、ステンレスのレンジフードや照明器具が用いられました。奥の台はIHクッキングヒーターの設置スペースです。中古の業務用キッチンを用いたことで、費用を抑えつつおしゃれなキッチンを実現しています。

・古民家のノスタルジックな空間に映える業務用キッチン

古民家のノスタルジックな空間に映える業務用キッチン

https://blog.goo.ne.jp/saifuusai/e/1a951603245db45419e6d06e2ded14af

古民家の再生で、業務用厨房機器メーカーによる特注キッチンを設置した事例です。天板には継ぎ目がなく、IHクッキングヒーターが組み込まれていて、業務用キッチンのデザインの良さと使いやすさを兼ね備えたキッチンとなっています。古民家のノスタルジックな空間に、飾り気のないシンプルなデザインの業務用キッチンがマッチしています。

・インダストリアルテイストに合う業務用テイストのステンレスキッチン

インダストリアルテイストに合う業務用テイストのステンレスキッチン

https://www.globalbase.jp/case/detail.php?jid=117

インダストリアルテイストの住まいに、システムキッチンメーカーの業務用テイストのフレームキッチンを設置した事例。無駄を省いたスタイリッシュなキッチンに、調理器具が壁面に「見せる収納」として収められ、おしゃれな印象を受けます。

・シンプルな業務用テイストのキッチンがLDKの主役

シンプルな業務用テイストのキッチンがLDKの主役

https://www.globalbase.jp/case/detail.php?jid=120

業務用テイストのキッチンを軸に、リノベーションプランがつくられた事例です。最初にキッチンが決まり、キッチンの配置を決めることからプランニングがスタートしました。白のレンガ調タイルを用いたインダストリアルテイストの内装に、キッチンが映えています。

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■業務用キッチンのリノベーション費用の目安

業務用キッチンの価格はユニットの組み合わせにもよりますが、30万円~100万円程度が目安です。施工費用として、既存のキッチンの撤去費用や業務用キッチンの設置費用、内装の補修費用のほか、電気工事費用やキッチンの位置を移動させるケースでは配管工事費用が必要になるケースもあります。施工費用を含めると、業務用キッチンへの交換工事には、50万円から150万円程度の費用が必要です。

また、システムキッチンから業務用キッチンへ交換すると、キッチンの奥行の違いや壁面が見えるようになることから、内装材を替えないと違和感が生じることが考えられます。キッチンの壁紙やフローリングの張り替え費用は、20万円~25万円程度が相場です。

システムキッチンから業務用キッチンに変えて、キッチンの内装を一新するリノベーション費用は、70万円~200万円弱が目安になります。

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■業務用キッチンのおすすめメーカー4選

業務用キッチンは家庭用のキッチンメーカーでも取り扱っているところもありますが、ここでは業務用キッチンを専門に扱うメーカーから選定しました。

・マルゼン

マルゼンは1961年に設立された業務用厨房機器の総合メーカー。ホテルやレストランの厨房だけではなく、学校や病院、福祉施設の調理室、スーパーのバックヤードにも、業務用キッチンを納入してきました。シンクや調理台、作業台などのバリエーションが豊富です。

・タニコー

1964年に谷口工業として設立され、2000年社にタニコーに社名変更されました。タニコーでは2008年から家庭用オーダーキッチンを展開していましたが、2019年にから新ブランドの「MEISDEL(マイスデル)」に刷新しました。システムキッチンや業務用キッチンのショールームを設けています。

・北沢産業

北沢産業は前身となる会社を経て、1960年に設立されました。北沢産業でも業務用キッチンのほかに、プロシューマーキッチン「ホームシェフ」というブランドで、家庭用のオーダーキッチンを手掛けています。プロの厨房イメージをもとに、家庭用のビルトイン調理機器を組み込んだり、業務用キッチンの部材を取り入れたりすることができます。

・フジマック

1950年に富士厨房設備として設立され、1990年にフジマックに社名変更されました。フジマックでも業務用キッチンをもとに、プロ仕様のオーダーメイドキッチンを取り扱っています。東京の本社にオーダーキッチンの展示があります。

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■まとめ

業務用キッチンは、機能性やデザイン性が魅力です。ただし、業務用キッチンをそのまま設置する以外に、コンロは家庭用にする、あるいは業務用厨房機器メーカーの特注キッチンや業務用テイストのシステムキッチンにするといった選択肢もあります。使い勝手などを踏まえたうえで、自分に合った形で業務用キッチンを取り入れましょう。

編集者: u-room

メーカー勤務のかたわらインテリアスクールに通い、インテリアコーディネーターに転身した経歴を持つ。現在はフリーランスのライターとして、住宅関係のほか、求人広告やインタビュー取材などの執筆を手掛ける。インテリアコーディネーター資格を保有。ワインとビール、インテリアショップ&美術館巡りが好き。夫と2人の息子の4人家族。

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