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再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?方法や費用・注意点を解説

再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?

不動産広告や不動産情報ポータルサイトなどで、「再建築不可物件」を見たことはありませんか?再建築不可物件は一般的な住宅よりも割安ですが、建て替えなどはできません。

再建築不可物件とは何か概要を押さえたうえで、購入してリフォームをするメリットやデメリット、できるリフォームの範囲や注意点などを紹介していきます。

こんな方におすすめの記事です
  • 再建築不可物件でできるリフォーム・リノベーションを知りたい方
  • 再建築不可物件ではできないリフォームを可能にする方法を知りたい方
  • 再建築不可物件のリフォーム・リノベーションの注意点を知りたい方

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■再建築不可な物件とは?

再建築不可な物件とは?
https://www.photo-ac.com/main/detail/24775636

再建築不可物件とは、現在、建物が建っていても、取り壊して建て替えをすることができない物件や土地のことをいいます。再建築不可物件とされる住宅であっても、あとからできた法律による規制のため、取り壊さずに住むことはできます。しかし、万が一、災害などにより建物が倒壊してしまうような事態が発生しても、建て替えることはできません。

再建築不可物件が生まれた背景にあるのは、1950年(昭和25年)の建築基準法と1968年(昭和43年)の都市計画法の制定による影響です。それ以前に建てられた建物、あるいは相続などによって分筆された土地の中には、建築基準法の要件や都市計画法による都市計画区域などの指定により、建物が新たに建てられない状態になっているケースがあるのです。

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■物件が再建築不可になる理由

再建築不可物件のほとんどは建築基準法の接道義務によるもので、都市計画区域や準都市計画区域に指定された地域に位置しています。また、道路に面した土地であっても道路幅や、土地の接道幅により、再建築不可物件となるケースもあります。

・接道義務を満たしていないから

図1
(図1)
図2
(図2)

建築基準法第43条では、幅4メートル以上の道路に2m以上接していなければならないという接道義務が設けられています。そのため、いわゆる袋地と呼ばれるような道路に接していない土地(図1)や、道路幅が4m未満で建築基準法上の道路に該当していない通路にのみ設置している土地(図2)は、接道義務を満たしていません。

ただし、建築基準法による接道義務が適用されるのは、都市計画区域と準都市計画区域に指定されている地域に限られています。また、接道義務には例外規定も設けられています。

・敷地が2メートル以上道路に接していないから

図3
(図3)

建築基準法による接道義務では、敷地が2m以上道路に接していることが義務付けられています。そのため、建築基準法上の道路に接している土地であっても、接道幅が2mに満たない場合には再建築不可になります。(図3)

敷地が2メートル以上道路に接していないことから、再建築不可物件となるケースで多いのは旗竿地です。かつて相続などで土地を分筆するときに、道路まで通路幅程度にしかとらなかったといった理由などから、再建築不可となる旗竿地ができています。

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■再建築不可物件をリフォーム・リノベーションするメリット

再建築不可物件をリフォーム・リノベーションするメリット
https://www.photo-ac.com/main/detail/23751946

再建築不可物件も後述する範囲内であれば、リフォーム・リノベーションを行うことが可能です。

再建築不可物件を購入してリフォーム・リノベーションするメリットとして大きいのは、価格の安さです。再建築不可物件は建て替えなどができないため、周辺の物件よりも安価で売却される傾向があります。物件の取得に関わる費用を安く抑えられれば、リフォーム・リノベーション費用にお金をまわせます。

また、再建築不可物件は固定資産税の評価額が低くなるため、毎年、支払う固定資産税や都市計画税の負担が軽いこともメリットに挙げられます。

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■再建築不可物件をリフォーム・リノベーションするデメリット

再建築不可物件をリフォーム・リノベーションするデメリット
https://www.photo-ac.com/main/detail/24528433

再建築不可物件を購入してリフォーム・リノベーションをする場合は、後述するように建築確認申請が不要な工事に限られる点がデメリットです。また、再建築不可物件は築年数が経過した物件のため、一戸建てを中心に耐震工事や断熱工事などが必要になることが多く、リフォーム費用が高額になりやすいです。

さらに、火災や台風などの災害で倒壊してしまっても、再建築不可物件は建て替えをすることはできません。購入にあたっては担保価値の低さから住宅ローンを利用することができないことが多く、将来的に売却がしにくいこともデメリットに挙げられます。

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■再建築不可物件のリフォーム・リノベーションはどこまで可能?

再建築不可物件のリフォーム・リノベーションはどこまで可能?
https://www.photo-ac.com/main/detail/24600700

再建築不可物件でもリフォーム・リノベーションは可能ではありますが、なんでもできるわけではありません。再建築不可物件でできる・できないリフォームについてみていきます。

・建築確認申請が不要な工事

再建築不可物件は建築基準法に適合していない状態ですので、建築確認申請が必要な工事はできず、リフォーム・リノベーションできる工事は、建築確認申請が不要な範囲に限られています。

建築確認申請とは、建築物の建築計画が建築基準法に適合しているか、自治体などが審査を行うものです。建築確認申請は新築に限らず、増築や改築、大規模の修繕、大規模の模様替えでも必要になるケースがあります。

増築や改築は防火地域と準防火地域を除くと、10平米以下の増築・改築は建築確認申請が不要です。また、柱や梁、壁、床、階段、屋根といった主要構造部を1/2を超えない修繕や模様替えは建築確認申請が不要です。建築基準法の修繕とは、既存のものと同じ材料や形状、寸法のものを用いた原状回復工事をいいます。模様替えとは建築物の同一性を損なわない範囲で、性能の向上を図る原状回復を目的としない工事のことです。

また、四号建築物に該当する場合には大規模な修繕や模様替えでも、建築確認申請が省略されています。

・再建築不可物件でもフルリフォームできる条件

再建築不可物件でどこまでのフルリフォームができるのか、一戸建てとマンションに分けてみていきます。

●一戸建ての場合

特に木造住宅は経年劣化によって、主要構造部が雨水などによって傷んでいることが考えられます。しかし、柱や梁、壁、床、階段、屋根といった主要構造部を含む大規模の修繕や大規模の模様替は、原則として建築確認申請が必要です。

ただし例外的に四号建築物に該当する場合は大規模な修繕や模様替えでも、建築確認申請が省略されているため、スケルトン状態まで解体して、傷んだ箇所の補強などを伴う大規模な修繕を行うことが可能です。

四号建築物とは、建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物のことです。主な要件を挙げると、木造の場合は2階建て以下で、床面積が500平米以下の建築物です。ただし、共同住宅や店舗などの特殊建築物の用途に使用する部分の床面積200平米以下に限られます。また、木造以外の構造の場合には、平屋で床面積が200平方メートル以下の建築物です。

再建築不可物件の一戸建ての中でも、2階建てや平屋の木造住宅など、四号建築物に該当する場合には、大規模の修繕や大規模の模様替えにあたるスケルトンリフォームによるフルリフォームができます。ただし、実際にどの程度まで主要構造部の改変が可能かは判断が難しいため、設計士に相談しましょう。

●マンションの場合

マンションの場合はそもそも、所有者がリフォームできるのは専有部分のみです。主要構造部(躯体)であるコンクリートの柱や梁、壁は共用部分にあたるため、所有者が個人で勝手にリフォームをすることはできません。共用部分はマンションの所有者で構成される管理組合が、大規模修繕計画にもとづいて修繕積立金を使って修繕を行います。

マンションの場合は表層リフォームも、コンクリートの躯体の状態まで解体するスケルトンリフォームもできます。ただし、物件によっては管理規約で床材の遮音性能が決められていたり、床材の変更が禁止されていたり、あるいは水回りの移動が制限されているケースもあります。また、管理組合への事前の申請や承認が必要ですので、事前に管理規約による規定を確認しておきましょう。

・再建築不可物件でリフォームできないケース

これまで見てきたように再建築物件は建て替えができないだけではなく、建築申請が必要なリフォームはできません。再建築不可物件でできないリフォームについて、改めてまとました。

● 増築

増築とは建築基準法上、既存の建築物の建て増しのほか、建築物がある土地に新たに建築物を建てることも含まれます。再建築不可物件があるエリアが防火地域・準防火地域に該当している場合は、増築は建築確認申請が必要なためできません。防火地域・準防火地域以外に立地している場合には、10平米を超える増築が不可となります。

●改築

建築基準法における改築とは、建築物の全部または一部を撤去したケースや災害で失ったケースで、同様の用途、構造、規模の建築物を建て替えることをいいます。改築の扱いは増築と同様で、再建築不可物件があるエリアが防火地域・準防火地域に該当している場合はできませんが、それ以外の地域では10平米までであれば可能です。

●大規模の修繕

建築基準法の修繕とは経年劣化した部分を同じ材料や形状、寸法のものを用いて原状回復を行うものです。壁や柱、床、梁、屋根、階段などの主要構造部の1/2 を超える修繕が大規模の修繕に該当します。大規模の修繕は建築確認申請が必要ですが、四号建築物に該当する場合は手続きが省略されているため、再建築不可物件でも可能です。

●大規模の模様替え

建築基準法の模様替えとは、構造や規模、機能の同一性を損なわない範囲で、性能の向上を目的とする改造をいいます。壁や柱、床、梁、屋根、階段などの主要構造部の1/2 を超える模様替えが大規模の修繕に該当するものです。大規模の模様替えも建築確認申請が必要ですが、再建築不可物件でも四号建築物に該当する場合は手続きが省略されているためできます。

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■再建築不可物件でリフォームできないケースをリフォームする方法

再建築不可物件でリフォームできないケースをリフォームする方法
https://www.photo-ac.com/main/detail/2310546

再建築不可物件ではリフォームの中でも、建築確認申請を必要とする増築や改築、大規模の修繕や模様替えができないケースがあります。こうしたリフォームを行うには、建て替えをする場合と同様に、建築確認申請が下りるようにするための対策が必要です。

①隣地を買い取る

隣接する土地が建築基準法上の道路に面している場合には、全部または一部を買い取って接道義務を満たせば、建築確認申請を必要とするリフォームができるようになります。たとえば、接道幅が2mに満たない場合には隣地の一部を買い取って間口2mを確保するという方法があります。隣地を購入すると資産価値が上がりますが、所有者との交渉が必要です。

②隣地を一部分借りる

隣地を買い取る以外にも、隣地の一部分または全部を借りるという方法もあります。隣地の所有者の同意が得られた場合には、賃貸借契約を結んで契約書面として残しておくことが大切です。使用貸借は借地借家法の適用を受けないため、トラブルとなる可能性があります。

ただし、隣地を買い取る場合にもいえることですが、隣地の所有者には土地を売ったり貸したりすることにメリットはさほどないことから、所有者との交渉が必要になります。

③セットバックをする

接道義務を満たしていないケースの中でも、法42条2項道路と呼ばれる道路に接している場合は再建築不可ではなく、既存不適格に該当します。既存不適格とは建築をしたときには合法であっても、その後の法改正によって現行法に不適合となっている状態をいいます。

建築基準法第42条2項で規定された道路は建築基準法が施行される以前から、建築物が立ち並んでいて、特定行政官庁に道路として認められた道路です。道路の中心線から2mの位置まで建築物や塀を後退するセットバックを行うことを条件に、建築確認申請を必要とする建て替えやリフォームが可能となります。

ただし、現実的には建て替えにも建ぺい率などの問題が生じますが、リフォームのために塀などの位置だけを後退させてセットバックを行えるかどうかは、現状の建物の位置にもよります。

④43条但し書き許可を得る

原則として接道義務を満たしていない場合には、建築確認申請を必要とする建て替えやリフォームはできません。しかし、こうした建築基準法の制定以前に建てられたケースを救うため、法43条但し書き許可と呼ばれる例外規定が設けられています。

従来「法43条但し書き許可」と呼ばれていた規定は、2018年の建築基準法の改正によって、第43条第2項による規定に変わりました。

これによると、特定行政官庁などが交通上や安全上、防火上、衛生上支障がないと認める場合には、第43条第2項の認定・許可を受けて、建築確認申請が下りる可能性があります。周辺に公園や緑地、広場といった広い空地がある場合や幅4m以上の農道に2m以上接している場合などが該当します。

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■再建築不可な物件をリフォーム・リノベーションする際の注意点

再建築不可な物件をリフォーム・リノベーションする際の注意点
https://www.photo-ac.com/main/detail/24809764

再建築不可物件をリフォーム・リノベーションする際には、老朽化や立地条件、金銭面などの注意点があります。

・築年数などによって費用が高くなる場合がある

再建築不可物件は、建築基準法の制定や都市計画法による都市計画区域の指定などによるもののため、築年数が経過して老朽化が進んだ物件が中心です。そのため、現行の耐震基準を満たしておらず、安心して暮らせる住まいにするには耐震工事が必要になることが多いです。また、築年数の古い物件は床下の断熱が行われていないケースが多く、サッシの気密性も大きく異なるため、快適に暮らしていくためには断熱リフォームも必要です。さらに防火地域や準防火地域では、耐火性能の高い建築資材を使用する必要があるため、コストが高くなります。

再建築不可物件はほぼ築年数の経過した古い物件ですので、リフォーム・リノベーション費用が高くなりやすいことを念頭においておきましょう。

・追加費用がかかる場合がある

再建築不可物件は築年数が経過した物件が中心で、老朽化が進んでいることが考えられるため、追加費用がかかる可能性がある点にも注意が必要です。

一戸建てでスケルトンリフォームは行わずに表層リフォームや水回り設備の交換だけを実施するつもりでいても、実際に工事を始めると追加工事が発生するケースがあります。たとえば、床材の張替えをするときに根太が腐っていて、補強や交換が必要になるといった例が挙げられます。

再建築不可物件でリフォーム・リノベーション費用の見積もりを依頼する際には、どの程度の修繕を見込んでいるのか、いくら程度の追加費用の発生の可能性があるのか、確認しておくと安心です。

再建築不可物件を購入してリフォーム・リノベーションを行う場合には、ゆとりを持って予算を組むようにしましょう。

・工事自体が不可能な場合がある

再建築不可物件は建築基準法上の道路に接していない物件のため、周辺の道路が狭く、隣地の建物が近いことが少なくありません。リフォーム・リノベーションをしようとしても、工事車両が入れない、重機で作業ができない、あるいは足場を設置できないといった事態が起こることも考えらえます。

こうしたケースでは工事費用が割高になり、工期も長くなるのが一般的です。しかし、立地条件から工事の難易度が高い場合には断られてしまうケースもあります。

リフォーム・リノベーションを前提に再建築不可物件を購入する場合には、買ってしまった後で工事ができないという事態に陥らないように、事前にリフォーム会社やリノベーション会社などのプロに相談してみましょう。

・基本的には住宅ローンが組めない

再建築不可物件は流動性が低いため担保価値が低く、万が一、火事や台風、地震などの災害で倒壊しても建て替えができないことから、金融機関の住宅ローンの融資は受けにくい点に注意が必要です。

カードローン会社などノンバンク系金融機関であれば融資を受けられる可能性もありますが、必ずしも借りられるとは限りません。また、ノンバンク系金融機関は金利が高めです。また、希望する額が借りられず、想定よりも頭金を入れなければならないことも考えられます。

一方、一般的な物件であれば、リフォーム・リノベーション費用も含めて住宅ローンで借りられることもあります。

再建築不可物件は購入価格が割安でも、住宅ローンの利用の難しさや金利負担の差があることを踏まえて検討しましょう。

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■まとめ

再建築不可物件は販売価格が割安なことから目を惹くかもしれません。しかし、建築確認申請が不要なリフォームはできますが、建て替えができず、将来、売却がしにくい点が難点です。また、購入にあたっては住宅ローンが利用しにくいという点でも不利です。長い目でみると資産価値を含めてお得とは一概にはいえないのではないでしょうか。再建築不可物件の購入を検討する際には、一般的な物件を購入してリフォーム・リノベーションを行う場合と比較して検討してみましょう。

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編集者: マイリノジャーナル編集部
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