「天候に左右されない、開放的な空間がほしい」と思ったことはありませんか?その希望をかなえる空間が、インナーテラスです。屋内にあるため天候や季節を問わず、それでいて屋外のような開放感を楽しむことができます。この記事では、インナーテラスの特徴やメリット・デメリット、具体的な活用例や設置のポイント、費用相場について解説。また、実際にインナーテラスを設置したリノベーション実例もご紹介します。
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インナーテラスとは、半屋内あるいは屋内に設けるテラスのこと。普通のテラスは屋外に設けられますが、インナーテラスは住まいの中に設けます。大きなガラス窓で屋外に面しつつ、周囲を天井や壁で囲まれているため、雨や寒さなどの天候に左右されることなく、まるで外にいるような開放感を楽しむことができます。隣接する部屋との連続性を保つために、大きな間口のガラスの引き戸で間仕切りするプランが一般的です。
インナーテラスは屋外のテラスと屋内の良いとこ取りができる空間です。窓を空けて風を感じることもできますし、窓を閉めれば完全に室内となり、天気の悪い日も快適。また、花粉が気になる季節や虫が気になる方も、安心して過ごすことができます。
「バルコニー」は2階以上の部屋に設置される、屋外へ張り出した空間です。おもに洗濯物を干したり、ガーデニングを楽しんだりするスペースとして使用されますが、屋根やひさしがないため、雨や雪が直接降り注ぎます。また、バルコニーと似た空間に「ベランダ」があり、こちらには屋根やひさしが設けられています。雨や雪をしのぐことはできますが、風や気温の影響を直接受ける点はバルコニーと同様です。一方、インナーテラスは屋内にあるため、天候に影響を受けにくく、過ごしやすい環境を維持することができます。
「サンルーム」とは、窓だけでなく壁や屋根まで全面ガラスやポリカーボネートで囲まれた屋内空間です。全面が透明なため日中を通して明るく、屋内でありながら屋外と一体になるような開放感があります。その一方、直射日光を浴び続けるため気温が上がりやすく、特に夏場はサウナのような高温になってしまうという側面も。そのため、サンルームは洗濯物を干す場所や植物を育てる場所などに限られることが多く、どうしても使用目的の選択肢が少なくなってしまいます。 一方、インナーテラスは窓や壁材を組み合わせることで、断熱性を重視した設計が可能です。屋内の快適さと屋外の開放感をバランス良く融合させた空間のため夏の暑さや冬の寒さの影響を受けにくく、サンルームよりも使用目的が幅広く実用的といえます。
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詳しくはこちら>>インナーテラスには、暮らしをより豊かにし、住まいの利便性と快適さを高める魅力があります。そのメリットを確認していきましょう。
インナーテラスは屋内に設けられているため、天候に左右されずに快適に過ごすことができます。雨の日や風が強い日はもちろん、エアコンも使用できるため暑さや寒さが気になる季節も安心です。室内の利便性を保ちつつ、窓を開け放つことで風を感じながら屋外のような開放感を味わえることもメリットです。
インナーテラスは窓と壁に囲まれているため、外部からの視線を適度に遮ることができ、プライベートな時間を楽しむのに適した空間です。家族や友人とリラックスしたひとときを過ごしたり、一人で読書や趣味の時間を静かに楽しんだりすることができます。また、必要に応じてカーテンやブラインドを使えば、完全に外からの視線を遮ることも可能です。
バルコニーやベランダは屋外にあるため、断熱性や防音効果はありません。その点、インナーテラスは壁やガラスで囲まれているため、外部の騒音を遮断することができ、静かで心地よい空間づくりが可能です。また、ベランダやバルコニーの代わりにインナーテラスを設ければ、室外と室内の間の温度差を受け止めるクッションとなり、住まい全体が年間を通じて快適な温度を保ちやすくなります。
インナーテラスに大きな窓を設けることで自然光をたっぷり取り入れ、室内を明るくすることができます。部屋の向きや周囲の建物などの条件にもよりますが、日中は照明を使わずに過ごすことができ、省エネルギーにもつながります。自然光が入る空間は明るく爽やかなだけでなく、植物の栽培やペットの日向ぼっこにも役立つでしょう。
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詳しくはこちら>>このようにインナーテラスには多くの魅力がある一方で、設置や利用にあたっての注意点やデメリットもあります。インナーテラスをより快適な空間にするために、注意点を知り対策を考えておきましょう。
インナーテラスを特殊な構造にしたり素材にこだわったりすると、施工費用が高くなる場合があります。予算オーバーを防ぐためには、採用する要素の優先順位をはっきりと決めておき、コストバランスをはかりながらプランニングを考えましょう。インナーテラスはカスタマイズ性が高い分、設備や内装にこだわるとコストが膨らみがちなため、見積もりをとりながらしっかりと計画を立てることが大切です。特に断熱性能や防音性能を高める場合や、タイル・無垢材などの素材を採用すると、コストが上がりやすくなります。
インナーテラスを設置することで、他の部屋の広さに影響することがあります。
例えば、インナーテラスを広くしすぎて、その分リビングが狭くなったり、収納を減らしたりすることになれば、暮らしにくい住まいになってしまう可能性がます。特に住まいの面積が限られている場合は、慎重に間取りを検討することが大切です。インナーテラス単体で考えるのではなく、ほかの部屋の役割や広さとのバランスを考慮しながら総合的に間取りを考えましょう。
窓は熱の出入りがしやすい部位です。そのためインナーテラスに大きな窓を設けると、夏は暑く・冬は冷えやすい傾向があります。現在の窓ガラスはガラス2枚を重ねたペアガラスが一般的ですが、さらに断熱性能の高いトリプルガラス(3枚重ね)や樹脂サッシなどを採用することで、快適性を高めることが可能です。そのほか、断熱カーテンや断熱ブラインドを使用することで、窓からの熱の出入りを防ぐ効果をプラスできます。
インナーテラスは通常の居室に比べてガラスの面積が多いため、条件によっては結露が発生しやすくなります。結露は窓がビショビショになり不快なだけでなく、カビやダニの発生原因になったり、喘息などの健康被害に繋がったりするケースもあるため注意が必要です。結露を防止するためには、おもに窓の断熱性を高めて、定期的な換気を行うことが大切です。
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詳しくはこちら>>住まいにインナーテラスあるとどのような暮らしを送れるのでしょうか。生活シーンの一例をご紹介します。
インナーテラスは壁と屋根で囲まれているため、天候や時間に左右されずに洗濯物を干すことができます。日当たりが良いため乾燥が早く、布団やクッションの日干しにも最適です。窓を閉めておけば外気に触れずに室内干しできるため、洗濯物に花粉や虫が付着する心配もありません。近年は洗濯物の外干しをしない方が増えているため、住まいに室内干しできる空間を設けるプランの人気が高まっています。
インナーテラスはクラフトやDIYなど、趣味に没頭する空間としても活用可能です。自然光がたっぷりと入るため明るく、細かい作業もしやすくなります。汚れやすい作業を行う場合は、床材を水や汚れに強いフロアタイルで仕上げておくと、掃除がしやすく安心です。
インナーテラスをワークスペースや書斎にすることも可能です。自然光の中でリラックスして仕事ができる場所になります。静かな環境が集中力を高め、生産性の向上につながります。なお、直射日光が当たる場所に本棚を設置すると書籍や書類が日焼けしやすいため、光が直接当たらない向きにするか、扉付きの製品を選ぶと安心です。
親の目が届く子どもの遊び場としても、インナーテラスは活用できます。屋外のような開放感を持ちつつ、道路に飛び出したり迷子になったりする心配がないため、子どもを安心して遊ばせることが可能です。小型のテントを建てたり寝袋を敷いたりすれば、屋外気分でキャンプごっこも楽しめます。
インナーテラスは自然光が差し込み明るいため、観葉植物や花を育てるのにも適した環境です。植物を健康に育てるためには明るさのほかに風通しの良さもポイントになるため、定期的に窓を開けて空気を入れ替えたり、扇風機やサーキュレーターで風を当てたりすると良いでしょう。住まいに植物を取り入れることは、お世話すること自体が癒しになるほか、インテリア面でも空間にアクセントを加えることができます。
ペットが快適に過ごせる場所としても、インナーテラスを活用できます。自然光が差し込む暖かい場所のため、心地よい空間づくりが可能です。愛犬が自由に走り回れるよう人工芝を敷いたり、愛猫が自由に過ごせるようにキャットタワーやキャットウォークを設けたり、ペットにとって快適な環境を整えてあげることができます。
インナーテラスをリビングの延長となるセカンドリビングとして活用するのもおすすめです。テーブルやチェアを置いて、普段とは違う雰囲気で食事やカフェタイムを楽しむことができます。家族がゆったりと過ごせるように、リラックス感のあるインテリアにまとめるのがおすすめです。
インナーテラスは、気の置けない仲間たちを招いてホームパーティーを楽しむ空間としてもおすすめです。屋外のような開放的な雰囲気を持ちながら、天候に左右されずに過ごすことができます。季節やイベントに合わせたデコレーションをして、パーティーの雰囲気を演出するのも素敵です。
インナーテラスはヨガやピラティスのスペースにも適しています。静かで落ち着いた空間でリラクゼーション効果を高め、心身をリフレッシュすることができるはず。朝日を浴びながら自分と向き合えば、心地よい一日のスタートが切れそうです。
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詳しくはこちら>>インナーテラスを快適で使い勝手の良い空間にするためには、設計や計画の段階でいくつかのポイントに注意を払うことが大切です。
「なんとなく設置してみたけれど、実際にはあまり活用できていない」といった失敗を防ぐためには、インナーテラスをどのように使用したいのかを考えることが大切です。また、具体的な利用シーンを想定する考えることで、設置する設備やレイアウトも決めやすくなり、使いやすい空間づくりができます。
例えば、隣接する部屋と同じ床材を使用すれば空間の連続性を強調することができますし、違う床材を使用して雰囲気を切り替えることもできます。もちろんインナーテラスの使い道をひとつに絞る必要はないため、複数の活用法を組み合わせるのもおすすめです。
インナーテラスは窓を大きく取ることが多いため、住まいの立地条件によってはプライバシーの確保も意識することが大切です。外からの視線が気になると、せっかくのインナーテラスなのにリラックスして過ごせません。窓が通りや隣家に面している場合は、壁やウッドフェンスを設ける、植栽を設ける、視線が入らないように窓の高さをずらす、といった工夫を施して開放感を保ちつつプライバシーを守りましょう。
インナーテラスは、屋外のような開放感と屋内の快適性を併せ持つ空間。この魅力を最大限に活かすためには、自然光がたっぷり入るようにしつつ、風通しも良くすることがポイントです。断熱性の高い大きな窓を設置し、換気計画をしっかりと行うことで、結露やカビを防ぎ快適な環境を保つことができます。あまり窓を開けたくない場合は、住まいに吸気・排気ともにファンなどの機械で行う第1種換気の採用がおすすめです。効率的に空気を入れ替えることができます。
インナーテラスは窓が大きく陽当りが良いため、他の部屋と比較して紫外線の影響を受けやすいです。そのため耐候性・耐久性が高い床材やクロス(壁紙)を選ぶことで、長く快適に使える空間になります。耐久性が高い素材は費用も高めですが、メンテナンスがしやすく美しい状態を保ちやすいため長期的なコストパフォーマンスは良いことが多いです。
夜間でもインナーテラスを快適に使えるように照明計画を行いましょう。ひとつのシーリングライト(天井付け照明)で空間全体を明るく照らすよりも、複数の照明を組み合わせて行う立体的な空間演出がおすすめです。また、間接照明を取り入れれば、柔らかな光でリラックス感のあるインナーテラスを作れます。昼間は明るく爽やかな空間に、夜間は落ち着いた空間になるように計画することで、住まいの表情にバリエーションが生まれ、多彩な楽しみ方ができるようになるでしょう。
インナーテラスは窓からホコリやチリが入りやすいため、掃除しやすい設計にすることが大切です。床材は汚れにくく掃除しやすい素材を選ぶことで、日頃のメンテンスが楽になります。特に子どもやペットがいる家庭では、掃除のしやすさが重要なポイントです。このようなお宅では、フロアタイルなど水拭き可能な素材の採用をおすすめします。
インナーテラスは窓が大きいため、冬場に結露が起きる場合があります。結露は水蒸気を含んだ暖かい空気が冷たいものに触れ、水になることで発生します。そのため第一の対策は外気に触れる窓の断熱性能を向上することです。また、こまめに換気を行うことで、室内の湿度を逃がすことができます。
住まいに24時間換気システムが設置されている場合は常時運転しておき、メンテンス時以外は停止しないようにしましょう。もし換気による寒さが気になる場合は、熱交換換気システムの導入がおすすめです。熱交換器は空気の熱エネルギーを回収しながら換気するため、室内の温度をほとんど変えずに空気を入れ替えることができます。
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詳しくはこちら>>それでは、インナーテラスの設置にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、既存の住宅をリノベーションして、室内に設ける場合を想定します。工事費用はインナーテラスの広さや使用する素材により異なりますが、大まかな目安は1坪あたり40〜50万円ほどです。
下記は、工事ごとにかかる費用の目安です。あくまで目安ですので、建物の構造や使用する素材、間取りによって大きく異なります。
工事の内容 | 費用目安 |
---|---|
フローリング張り替え (6畳・スタンダード) | 約10〜15万円 |
フローリング張り替え (6畳・遮音タイプ) | 約14〜17万円 |
クロス張替え (6畳・スタンダードクロス) | 約2.6〜4.8万円 |
クロス張替え (6畳・ハイグレードクロス) | 約4.0〜6.8万円 |
間仕切り壁の新設 | 約10〜20万円 |
また、部分リフォームでインナーテラスを追加する場合、間取りによっては隣接する部屋のクロス張替えなどの追加費用が必要になる場合もあります。そのほか既存の設備の撤去費用もかかるため、見積もりの際はインナーテラスの設置費用だけでなく工事の総額を確認すると安心です。
なお、マンションでリフォーム・リノベーションできる範囲は専有部分に限られるため、共有部分にあたる外壁に手を加える工事は不可となっています。そのため、インナーテラスの設置にあたり窓を大きくしたり部屋を増築したりすることはできません。なお、既存の窓に内窓を追加して、断熱性を向上することは可能です。
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詳しくはこちら>>暮らしにゆとりをもたらすインナーテラスのある住まい。それを実際にリノベーションで実現した事例をご紹介します。
こちらは、既存の洋室の一部をインナーテラスにしたリノベーション事例です。さらに、既存のLDKを拡張して、インナーテラスとリビングが隣接するように間取りを変更しました。ガラスの引き戸で間仕切りしているため、空間の連続性がある開放的な空間です。インナーテラスには電子ピアノを置き、奥様が演奏を楽しんでいらっしゃいます。ギターを弾くご主人とともに、セッションを楽しむこともあるそうです。
また、ご夫婦ともに在宅勤務の際には、ご主人はリビングで、奥様はインナーテラスでお仕事をするとのこと。間仕切りされているため、お互いの雰囲気を感じつつ、集中して作業することができます。ほっと一息つきたい時には、窓から東京スカイツリーを眺めることができる、奥様お気に入りの特別な空間です。
こちらは、植物との暮らしに特化したリノベーションプラン「GREENDAYS」の事例です。植物と共生できるオリジナル家具などさまざまな工夫を施していますが、そのひとつがバルコニーとLDKの間に設けたインナーテラスです。日本家屋の縁側のように、屋外と屋内を仲立ちする空間となっています。自然光が差し込む明るいため、観葉植物がすくすくと育ちます。
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詳しくはこちら>>リノベーションで、既存の住まいにインナーテラスを追加することができます。屋内と屋外の良さを併せ持つ、特別な場所を作りたい方におすすめの選択肢です。
インナーテラスづくりで失敗しないための大きなポイントは、設置する理由や使用目的を明確にすること。趣味の時間を楽しむ場所、家族や友人と過ごす場所、集中して作業できるワークスペースなど、活用シーンを具体的にイメージしながら設計することで、快適な空間づくりができます。
インナーテラスは、屋外のような開放感と屋内の快適性を兼ね備えた、魅力的な空間です。天候に左右されることなくのびのびと過ごせるため、セカンドリビングやワークスペースなど、さまざまな活用方法があります。ただし、窓が大きいことから断熱性やプライバシー面の対策が必要なケースもあるため、計画段階できちんと準備することが大切です。
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