リフォームを前提に中古物件を購入して抜けない柱があると、思っていたような間取り変更ができないことがあります。しかし、一方で柱を抜くことができなくても、あえてフォーカルポイントにするなど工夫して活かすこともできます。
今回はリフォームで抜ける柱と抜けない柱について解説したうえで、柱を活かした事例などを紹介していきます。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>CONTENTS
リフォームで間取り変更をしたい場合に、隣室との壁を撤去したいケースなどで、既存の柱が邪魔になることがあります。しかし、リフォームで柱は撤去できるとは限らず、構造上の理由で抜けない柱も存在します。
ここでは日本の戸建てで多く採用されている木造軸組工法(在来工法)で、抜ける柱と抜けない柱の特徴をみていきます。
木造軸組工法の建物の柱には、通し柱、管柱、間柱という種類があります。このうち抜ける柱は管柱の一部と間柱です。
管柱は構造部材の柱のうち、柱や桁で階ごとに分断されている柱です。管柱の一部は直情の柱や桁を補強することによって、抜ける柱があります。
間柱は構造部材ではなく、壁の下地材などを貼るための柱で、多くは抜ける柱です。ただし、木造軸組工法では構造上必要な壁量を確保するために、一部の壁には筋交いや構造用合板などが用いられています。筋交いのある壁は、間柱を抜くことはできても、筋交いは撤去できません。また、構造用合板を貼るには間柱が必要なため、構造用合板が貼られている壁の間柱を撤去するためには筋交いの設置が必要です。壁量のバランスも重要なため、構造用合板から筋交いに変更するのが好ましくないケースもあります。
リフォームで抜けない柱は構造上、建物を支えるために必要な柱です。通し柱と管柱は構造部材であり、通し柱と管柱のほとんどは抜けない柱で切ることはできません。
2階建て以上の木造軸組工法の住宅では、四隅など構造上重要な場所に、土台から軒まで通る通し柱が立っています。建物の形状などによっては、4本よりも多くの通し柱が設けられていることもあります。通し柱は120ミリ角や13.5ミリ角程度の太い柱が使われることが多く、建物の強度を高め耐震性を確保するために重要です。通し柱はリフォームで抜くことはできません。
管柱も構造部材であり、床や壁などを支える役割があるため、基本的には抜けない柱がほとんどです。管柱は105ミリ角から120ミリ角の柱が用いられるのが一般的です。管柱を抜くことができるのは、前述したように梁や桁で補強を行えば、耐震性や強度などの面で問題がない場合に限られます。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>間取り変更を伴うリフォームを前提に中古物件を購入する場合には、抜ける柱と抜けない柱を把握しておかないと、購入後に思ったようなリフォームができないといった事態に陥ることがあります。抜ける柱と抜けない柱を確認するには、基本的に竣工図を見ます。
RC造やSRC造のマンションの図面では、コンクリートの躯体は斜めの三本線が入っています。コンクリートの躯体の柱などは撤去することはできません。RC造の一部の低層マンションで壁式構造の物件では、専有部分内にも躯体が存在することがあるため、注意が必要です。
戸建てなど木造軸組工法の図面では、構造部材の通し柱や管柱には「×」が書かれています。さらに通し柱は管柱と区別をするために「○」で囲まれています。一方で間柱には「/」 が入っています。
ただし、木造軸組工法では、現実的に図面をみて抜ける柱と抜けない柱を見分けるのは難しいものがあります。実際に柱を抜けるか判断するには、壁量計算など構造的検討が必要なことが少なくありません。また、古い物件では、そもそも竣工図などの図面が保管されていないケースや、リフォームがされていて現況とは異なるケースも見られます。
そのため、物件の検討段階で並行してリフォーム会社を探しておき、購入を検討する中古物件について、抜ける柱や抜けない柱など気になる点があるときは、相談するのがおすすめです。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>リフォームで構造上、撤去できないものは柱だけではありません。構造部材のほとんどは撤去できないものです。
木造軸組工法では筋交いは構造上、壁量を確保するために設置されているため、撤去することができません。構造用合板を使った耐力壁も同様で、壁を完全に撤去することはできません。壁量のバランスなどに問題がなければ、筋交いの設置に変えることができるケースもあります。
また、RC造やSRC造ではコンクリートの躯体は原則としてすべて撤去できません。壁式構造では専有部分にも躯体の壁があることがあります。また、ラーメン構造でも、柱型や梁型が出ていて、室内の天井や壁がフラットになっていないことが多いですが、撤去することはできません。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>抜けない柱はあえて装飾を行って「見せる柱」として、フォーカルポイントにすると、おしゃれな空間を演出できます。柱だけ塗装や壁紙で色を変える、あるいはタイルを貼るといった方法があります。たとえば、白系の壁や天井、床で統一した空間で、柱だけを黒にすると、スタイリッシュな雰囲気になります。
柱だけがあると存在が気になりやすいため、柱を利用して造作家具を設置する方法もあります。たとえば、柱と柱の間に棚を設置すると、空間を有効活用できます。棚を設けて、オブジェや観葉植物、本などを飾り、見せる収納にするとおしゃれです。また、室内の中央の柱を利用して棚を設ける場合は、緩やかに空間を仕切れます。
猫を飼っている場合には、柱などを利用してキャットタワーやキャットウォークを設置するのも手。最近は室内飼いが中心ですが、猫はキャットタワーなどを設置して、上下運動ができるようにすると、適切な運動量を確保しやすいとされています。造作のキャットタワーは市販品と比較して、安定性があるといったメリットもあります。
隣接する2室を一体化しようとしても、木造軸組工法の住宅では筋交いが撤去できないことがあります。そうしたケースでは壁をそのまま残すよりも、柱と筋交いのみを残した方が抜け感が出るため、開放感が生まれます。柱と筋交いは周囲の壁や床と色を合わせて一体感を出す方法と、あえて明るいカラーに塗装して空間のアクセントにする方法があります。
また、既存の柱に柱を並行に並べるように追加して、パーティションのような間仕切りにする方法もあります。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>50年代のミッドセンチュリーをテーマにリフォームした部屋は、まるでショップのような雰囲気です。ショップらしさを醸し出している要素の一つが、窓際の隅にあるレンガが貼られた柱。レンガを貼ったことで温もりが感じられるとともに、ユーズド感のある家具とマッチしています。天井の黒い壁紙が空間を引き締める役割を果たしています。
ラーメン構造のマンションでは、柱や梁が出ているのが気になることがありますが、あえて柱にレンガ風のタイルを貼ってフォーカルポイントにした事例です。レンガを貼ったことで、まるで海外の住まいのような雰囲気も醸し出しています。
また、柱はキッチンとリビングダイニングを緩やかにゾーニングする役割も担っています。
天井や壁をコンクリートの躯体現しにして、ブルーのアクセントウォールを設けるなどスタイリッシュな空間にリフォームした事例。柱と一体化した白い棚が設置されています。梁下の柱の手前に棚を設けるにあたり、柱を包むように棚を設置して、柱の存在を隠し、棚とキッチンの奥行と合わせて凹凸を減らしているため、すっきりとして見えます。
ヴィンテージマンションを大きく間取りを変更して広々としたLDKを設けて、インダストリアルスタイルの空間にリフォームした事例です。梁下の柱と柱の間を活用してオープン棚を設けて、スペースを有効活用しています。オープン棚はオブジェや観葉植物、本、ボックス類を置くなど、見せる収納として、おしゃれな雰囲気を高める効果を生んでいます。
海外インテリアのような使いこんだ味わい深い空間にリフォームした事例です。柱と壁の間のスペースを活用して、棚板を設置しました。棚には白いオブジェやインテリアグリーンが配置され、抜け感が感じられます。天井にも木目を使うなど「白×木」のコーディネートで、ユーズド感のある風合いのよさが感じられる住まいです。
LDKや水回り設備の位置を変更するなど、大胆な間取り変更を行って、ホテルライクな上質な空間にリフォームした事例です。木質系の仕上げ材で統一され、奥は物入れですが、ニッチの部分は背面に柱が隠れています。
ベッドを挟んで反対側も、木質系の仕上げ材を統一して柱の前にニッチを設け、シンメトリーなつくりになっています。
「モノトーン×木」の都会的でスタイリッシュな空間にリフォームした事例です。1LDKで夫婦でリモートワークをするための工夫が随所に凝らされています。LDKにはグレーのアクセントウォールが設けられていますが、壁の裏には柱が隠されています。テレビを壁掛け式にして、AV機器は壁の裏に設置していることからも、生活感を感じさせない空間となっています。
メゾネットタイプの物件で、リフォーム前はリビングとダイニングの間の中央に柱がある間取りでした。リフォームで間取りを大幅に変更するとともに、柱は物入れの中に隠す形になりました。物入れのガラス戸の奥に柱があります。物入れがダイニングキッチンとリビングをゾーニングし、それぞれが独立性の高い空間となっています。
理想の住まいをワンストップで実現できるリノベーションサービス「MyRENO マイリノ」
詳しくはこちら>>リフォームで抜けない柱は、構造上必要な柱がほとんどです。図面からある程度は把握できますが、正確な見分け方は難しく、そもそも現況の図面がないケースも見られます。そこで、リフォームを前提に中古物件を購入するときなどで、抜ける柱と抜けない柱を判断するのが難しいときには、リフォーム会社などの専門家に相談するがおすすめです。リフォーム会社に相談すると、抜けない柱を活かすためのアイデアの提案も受けることができます。