住宅の間取り図で「サービスルーム」や「S」という表記を目にすることがありますが、具体的にどのような部屋かご存知ですか?サービスルームを上手に活用すると、住まいの快適性を高めることができます。この記事では、サービスルームの定義やメリット・デメリットを解説。洋室や納戸との違いや、サービスルームを活用するポイント、リノベーション実例をご紹介します。
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「サービスルーム(Service Room)」は、「準備室」という意味を持つ和製英語です。窓が小さい部屋や窓がない部屋など、建築基準法上「居室」にみなされない部屋をサービスルームと呼びます。「居室」の採光と換気に関する基準は下記の通りです。
●採光に関する基準
採光のために、居室の床面積の7分の1以上の窓などを設ける必要があります。(建築基準法第28条第1項)
●換気に関する基準
換気のために、居室の床面積の20分の1以上の開口部を設ける必要があります。(建築基準法第28条第2項)
なお、上記の条件を満たす窓がある部屋でも、隣の建物の影になるなどの理由で採光や換気が十分にできない場合、居室として認められないケースもあります。
不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約」では、建築基準法上「居室」の条件を満たさない部屋は「納戸(なんど)」や「サービスルーム」と表示することが定められています。
間取り図では、サービスルームを「S」と表記することが多いです。例えば、「2LDKS」や「2LDK+S」と記載されます。サービスルーム(S)以外に、「DEN(書斎・小部屋)」や「納戸(N)」と表記されることも。なお、「DEN」や「納戸」についても法律的な区分は特にありません。そのため、物件ごとに異なる表記がされる場合があります。
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詳しくはこちら>>サービスルームは、洋室や納戸とどのような違いがあるのでしょうか?
「洋室」はフローリングやドアを使用した洋風デザインの居室、「和室」は畳や襖(ふすま)を使用した和風デザインの居室です。ここで建築基準法上における「居住」の定義を確認してみると「作業、娯楽などの目的で継続的に使用される部屋」とされていますが、なんだか分かりにくいですね。具体的に挙げると下記の通りとなります。
居室 | 居室ではない |
---|---|
洋室 和室 寝室 子ども部屋 居間(リビング) など | サービスルーム 納戸 玄関 洗面室・脱衣所 浴室 トイレ 廊下 押入れ・クローゼット など |
「納戸」とは、収納部屋の和風の呼び名です。サービスルームと納戸について明確な区別はないため、混同して使用されることも多いです。空間の使用目的としては、サービスルームには多目的スペース、納戸には大型収納というニュアンスが含まれています。また、納戸と同等の目的を持つ収納部屋として「ウォークインクローゼット」や「ファミリークローゼット」等がありますが、クローゼットはおもに衣類の収納を目的としているため、ハンガーポールやオープン棚等が備え付けられていることが一般的です。
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詳しくはこちら>>サービスルームのメリットを活かすことで、住まいの快適性を高めることができます。
サービスルームの大きなメリットのひとつは、窓がない(あっても採光が不十分)ため、日光の影響を受けない点です。部屋に日光が入らないということは一般的にデメリットとなりますが、日焼けさせたくないものの保管場所には最適です。例えば、大切な書籍や美術品・フィギュアなど、紫外線による色褪せや品質劣化を防ぎたいアイテムを安心して置くことができます。また、光を遮断することで外が明るい時間帯も安眠しやすい寝室になります。例えば、夜勤の仕事で朝や昼間に眠りたい人におすすめです。このように、サービスルームは日光の影響を受けない部屋として活用できます。
面積や設備が同じマンションの物件を比較した場合、3LDKよりも2LDK+Sのほうが安いケースがあります。これは、サービスルームが「居室」としての基準を満たしていないため、表示上は部屋数にカウントされないことが理由です。実際にはサービスルームを居室と同等に使用することも可能なため、部屋数を確保しつつ予算を抑えたい場合には、物件探しの際にチェックしておきたいポイントとなります。
サービスルームは、アイデア次第でさまざまな目的に活用することができます。例えば、季節家電やアウトドア用品などを丸ごとしまえる大容量の収納スペースのほか、窓のないこもった空間という特徴を活かし、静かな書斎や集中できるホームオフィスにも最適です。そのほか、隣の部屋や廊下などから光が入るようにリフォームして、明るい空間に生まれ変わらせることもできます。
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詳しくはこちら>>サービスルームのメリットを活かすためには、デメリットや注意点もしっかり理解しておくことが大切です。
サービスルームは居室としての使用を想定されていないため、設備が不十分なことが多いです。例えば、「TVジャック(アンテナ端子)がない」「モジュラージャック(電話線やLANケーブルの接続端子)がない」「コンセントがない(あっても少ない)」「エアコン用のダクト穴がない」といったケースがあります。サービスルームを居室のように使用する場合は、設備を追加するリフォームがおすすめです。ただしマンションの場合、外壁にダクト穴を開ける工事は原則的に禁じられているため、配管を延長するか、室内窓で隣の部屋の空調を利用するなどの工夫が必要になります。
サービスルームは換気が不十分な場合があります。換気が悪い部屋を閉め切って過ごしていると、ニオイがこもったり、空気中の二酸化炭素濃度が上昇することで集中力が低下したりします。また、湿気が溜まることでカビやダニが発生しやすくなる原因にも。特に寝室やホームオフィスなど、人が長時間過ごす場所は呼吸や発汗により湿度が上がりやすいです。そのため、ドアを開けて扇風機やサーキュレーターで空気を送るなど、定期的に空気を入れ替えることが必要です。リフォームで室内窓を設ければ、隣の部屋を通じた換気が可能になります。
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詳しくはこちら>>それでは、実際にサービスルームを活用したリノベーション事例を見てみましょう。
こちらは、ガラスの引き戸でリビングとつながるサービスルーム。在宅でお仕事をする奥さまのワークスペースです。椅子を並べてお子さまと一緒に勉強ができるよう、大きなデスクを設けています。サービスルームの奥はシューズインクローゼットとなっており、その先の引き戸を開けると玄関につながる回遊動線の間取りです。
こちらは、開閉できる室内窓を設けたサービスルーム。在宅勤務が多いご夫婦のワークスペースです。室内窓を通して、LDKのエアコンで空気環境を整えることができます。
こちらは、リビングの一角に設けたサービスルーム。壁の一部と扉をガラス製にすることで、明るく開放的な空間となっています。現在は在宅勤務用のワークスペースですが、いずれはお子さまの勉強部屋として使用することもお考えだそうです。
サービスルームを書斎として活用している事例です。壁一面に設けた本棚にたっぷりと書籍を収納できます。クロス(壁紙)は集中力を高めるブルーをセレクト。おもに息子さんが勉強部屋として使用しているそうです。
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詳しくはこちら>>サービスルームは、窓がない(あるいは小さい)ため法律上「居室」にみなされない部屋のこと。使用目的を限定するものではないため、納戸としての利用のほか、居室と同様に利用することも可能です。窓がないという特徴を逆に活かし、日光をあてたくない書籍やコレクションの保管にも適しています。また、表示上の部屋数が少ないことから、物件価格が安いというメリットも。しかし、注意点として設備面での不足や換気の問題があります。このような特徴を理解して適切な対策を行えば、サービスルームを快適な空間として有効に活用することができます。
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