タイルを使ったリフォーム・リノベーションが人気です。タイルは種類がたいへん豊富で、洗練されたデザインにより住まいの印象をランクアップできることが魅力ですが、いくつかのデメリットもあります。この記事では、タイルの特徴や注意点、施工費用の目安のほか、おしゃれで機能的なタイルのリノベーション事例をご紹介します。素敵な家づくりの参考に、ぜひお役立てください。
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住まいづくりに使用されるタイルにはさまざまな種類がありますが、おもな素材はセラミックです。セラミックとは、石・土やガラス等の無機物が原料となっており、平たく成形したのちに高温で焼き固めたものです。セラミックタイルは、吸水性により下記のように分類することができます。
石英や粘土などの原料を1200〜1350℃の高温で焼成したタイルです。吸水率は1%以下と、ほとんど水を吸いません。硬く丈夫で汚れにくいため、おもに屋外の壁や床で使用され、屋内でも耐水性が求められる場所に採用されます。叩くとキンキンという金属質な音がすることも特徴です。
長石や粘土などの原料を、1200℃ほどで焼成したタイルです。吸水率は5%以下で、磁器質タイルに比べるとわずかに水を吸いますが、耐久性・耐候性は高いため屋外での使用にも適しています。「土っぽさ」を感じられる素朴な風合いの物も多いです。
陶土や石灰などの原料を1000〜1200℃で焼成したタイルです。多孔質(非常に小さな穴が多数あること)なため吸水率は22%以下であり、強度がやや低いためおもに室内の壁に使用されます。繊細なデザインが施されたものも多いです。
2008年にJIS規格の改定があり、タイルの吸水率の測定方法が変更され「磁器・せっ器・陶器」の分類から、下記表のように「I類・II類・III類」という分類になりました。タイルメーカーによっては、今も「磁器・せっ器・陶器」という名称が使用されていることがあります。
項目 | 吸水率 |
---|---|
I類 | 3.0%以下 |
II類 | 10.0%以下 |
III類 | 50.0%以下 |
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詳しくはこちら>>タイルのデザインには大変豊富なバリエーションがありますが、代表的な種類をいくつかご紹介します。
サブウェイタイルとは、ニューヨークの地下鉄で開業当時(今から100年以上前)から使用されているタイルを模したものです。ロンドンやパリの地下鉄でも使用されており、「メトロタイル」と呼ばれることもあります。横幅15cmほどの長方形というシンプルな形状が特徴です。これまではカフェやレストランなどで使用されることが多かったのですが、近年は一般住宅でも使われるようになった人気の高いタイルです。代表的なものは白くて表面に艶があるタイプですが、そのほかにもさまざまな色・質感のタイルがあります。
蜂の巣のような、ヘキサゴン(六角形)のタイルです。六角形を敷き詰めたデザインは古くから世界中に存在します。伝統期なデザインでありながら、個性的な印象を演出できることが特徴です。タイルの色や素材・大きさによりレトロなインテリアにも、モダンなインテリアにも合わせることができます。
モザイクタイルとは、表面積50c㎡以下の小型タイルです。定義上は1辺7cm以下(正方形タイルの場合)ということになりますが、1辺1cmに満たない小さな製品もあります。小型のモザイクタイルは柱などの曲面に施工することも可能です。素材は陶磁器のほかガラス・大理石・金属などさまざまで、異なる素材を組み合わせた製品もあります。形状も四角形のほかに円形や三角形、花形やハート型など、多種多様です。
壁や床に施工する際には、ひとつひとつを貼り付けていくのではなく、ネットや紙を貼り付けて1辺30cmほどの大きさにユニット化したものを使用するのが一般的です。
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詳しくはこちら>>タイルが人気を集める理由である、メリットを確認してみましょう。
タイルはセラミック製のため、木材やクロス(壁紙)などに比べて強度が高く、傷がつきにくいです。なかでも磁器タイルは特に耐久性が高いため、ペットがいる住宅にもおすすめです。
タイルには水分が染み込みにくいため、汚れが付着しにくく、日常の汚れであれば簡単に拭き取ることができます。特に表面を釉薬(ガラス質)で仕上げたものは、表面が滑らかなので水拭きしやすいです。掃除や手入れの手間が少なく、いつも清潔に保つことができるため、水まわりへの使用にも適しています。
タイルは傷つきにくいだけでなく、経年による変色や劣化がほとんど起きないため、塗り変えや張り替えの必要性がありません。そのため、長期的なメンテナンス費用を節約することができます。
タイルの種類には素材、形状、色、模様、サイズなど、多種多様な選択肢があり、インテリアの雰囲気に合わせて自由に選ぶことができます。一般的な長方形のタイルでも、辺を揃えて並べる、互い違いにするなど、さまざまな配置パターンが存在し、それにより印象が大きく変わることも特徴です。また、タイルの間に用いる「目地」の色や面積によっても、雰囲気を変えることができます。異なるタイルを組み合わせて独自のデザインにしたり、小粒のモザイクタイルで絵を描くように模様を作成したりすることも可能です。
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詳しくはこちら>>タイルにはさまざまな魅力がありますが、デメリットも確認しておきましょう。
タイルは耐久性が高い素材ですが、強い衝撃を加えたり、尖ったものをぶつけたりすると、割れやひびが入ることがあります。割れたタイルの破片を踏んで怪我をする可能性もあるため、活発な年齢の子どもがいる家庭や、重量のある家具を移動させる際には注意が必要です。割れたタイルを補修する際に同じタイルが入手できない場合は、似たデザインのもので対応することになります。
タイルは一般的なクロスやフローリングに比べて、資材価格も施工費用も高めです。特に高品質なタイルや輸入品の場合、費用はさらに上がります。将来的にはメンテナンス費用が節約できるため、長期的な視点からはコストパフォーマンスが良いとも言えますが、初期費用は高額になります。
住まいの床にタイルを使用する場合、その硬さが問題になることがあります。フローリングやクッションフロア等、ほかの床材に比べて衝撃が分散されにくいため、人によっては足や腰への負担になるかもしれません。それまで健康上の問題がなくても、床材を変えたことで痛みが生じてくるケースもあるため、特に家族のなかにお年寄りや身体に問題を持つ人がいる場合は注意しましょう。
タイルは断熱性が低く、冷たさを強く感じやすい素材です。タイルの床は、夏場はひんやりと気持ちが良いものの、冬場は冷え込むという声もあり、室内の温度を維持するための暖房費が増加する可能性もあります。ただしタイルは熱による膨張が少なく、熱による変質もほとんどない素材のため、床暖房への使用に適した床材です。床をタイルで仕上げる場合は、床暖房の導入を検討してみても良いでしょう。
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詳しくはこちら>>フローリングの床やクロスの壁をタイルにリフォーム・リノベーションする場合、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。費用の目安を確認してみましょう。
施工場所 | リフォーム費用の目安 |
---|---|
壁タイル(内装) | 5,000〜40,000円/㎡ |
床タイル(内装) | 11,000〜19,000円/㎡ |
浴室タイル | 9,000〜23,000円/㎡ |
床や壁をタイルに張り替える費用は、使用する製品の種類により大きく変わります。大手メーカーによる量産型のタイルは、比較的安価になります。職人のハンドメイドによるタイル、手間のかかるモザイクタイル、天然石を使用したタイル、輸入タイルなどは高額です。また、施工場所や施工面積によっても費用が大きく変わるため、上記表はあくまでも参考に留めてください。
リフォーム費用にはタイルそのものの価格と施工費用に加えて、下記の諸費用が加算されます。
●養生費用
施工場所の周囲が汚れたり傷ついたりしないように、養生テープやシートなどで保護します。
●撤去費用
既存のフローリング材やクロスを撤去する作業です。周囲を傷つけないように丁寧に行う必要があります。
●処分費用
撤去した建材の処分費用が掛かります。
そのほか、施工場所の状況によっては下記の追加料金が必要になる場合があります。
●補修費用
壁や床に穴などの破損がある場合、施工前に補修の工程が必要です。床の腐食が進んでいる場合などには、下地からやり直す必要があります。
●荷物移動
施工場所に重量物(家具や大型家電)が設置してある場合、ほかの部屋に移動するための追加費用が掛かることがあります。
●出張料金・駐車場
遠方の業者に工事を依頼する場合、移動距離に応じた出張料金が加算されます。依頼者の敷地内に業者の車両が駐車できない場合は、近隣のコインパーキングなどに駐車する必要があるため、その代金が加算されます。
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詳しくはこちら>>住まいの床や壁にタイルを使用したリフォーム・リノベーション事例をご紹介します。
ホワイトとブラックのタイルを交互に配置した、モノトーンの玄関。海外のインスタグラマーの部屋を参考にした、お施主さまのこだわりポイントです。当初は玄関のみの予定でしたが、廊下から洗面室までつなげて空間の一体感を感じられるようにしました。
こちらは、玄関の壁と床にヘキサゴンタイルを使用した事例です。こちらの物件は戸建てで、1階と2階を意図的に暗くして、3階のLDKを明るい空間にしています。壁のタイルは全体を覆わずに仕上げているため、まるで地面から湧き上がるような印象。訪れる人が「この先はどんな空間なんだろう?」という期待を抱く、ミステリアスな雰囲気を演出しています。
セパレートキッチンの壁に、タイルを張った事例。Y字のラインが入った、珍しいアクセントタイルです。個性的で洗練されたデザインは、北欧インテリアにぴったり。タイルは汚れに強く水拭きできるため、キッチンまわりにおすすめの素材です。淡いブルーグリーンがキャビネットの木目とマッチして、爽やかな空間に仕上げています。
L字型キッチンの壁の全面をタイル張りに仕上げた事例です。グレーのキッチンに、グレージュ色のタイルで上品な色味をプラス。小窓から光が差し込むと、タイルの表面に水面のようなゆらぎが浮かび上がります。このようにタイルをまっすぐに並べる張り方は、「通し目地(いも目地)」という配置。通し目地は、汚れが落としやすいことも特徴です。
リビングの壁一面に、LIXIL社の機能性タイル「エコカラット」を張りました。エコカラットは多孔質の素材で、有害物質やニオイを吸着し、室内を快適な湿度に調整する効果があります。機能性はもちろん、デザインのバリエーションも豊富です。こちらの物件では、大判タイルならではのダイナミックな石目が、モダンで高級感のある空間を演出しています。
こちらは「ブルックリンスタイル」がテーマのお部屋。随所にヴィンテージ感のある素材をセレクトしており、リビングの壁には、アンティークレンガ風のタイルを張りました。レンガのごつごつとしたラフな質感により、まるで古い工場や倉庫をリノベーションしたような、アーティスティックな空間となっています。
トイレおよび洗面室の壁に、小さなモザイクタイルを使用した事例です。
よく見ると沢山の色で構成されているのですが、ベージュ系とホワイトでまとめられているため、華やかでありながらエレガントで落ち着いた印象です。
ひと続きの空間ではありませんが、同じ素材を使用することで、水まわりの統一感が感じられます。
グリッド状に並ぶ正方形のタイルがモダンな、洗面室の事例です。ダークグレーの目地が、整然とした印象を強調しています。水栓、タオルバー、ミラーの枠をブラックで統一し、洗面台はモルタルで仕上げました。モノトーンと直線で構成された、無機質な美しさを感じる空間です。
こちらはユナイテッドアローズ社監修のリノベーション物件です。洗面室の壁に、上質な大判タイルを張りました。鏡の裏側に設置した間接照明で照らすことで、素材感を強調。大理石調のオリジナル洗面台とともに、高級ホテルのような洗練された雰囲気を演出しています。
こちらは岩盤浴スペースを備えた、プライベートスパのような浴室。ふんだんにタイルを使用しています。大きな浴槽内には、お施主さまがタイル屋さんで一目惚れした、ボタニカル柄タイルを張りました。自宅でありながら、リゾートのような非日常を感じられる空間です。
こちらもユナイテッドアローズ社とのコラボ物件です。浴室と洗面室の壁・床にグレーのタイルを使用しました。
水栓やドア枠は美しい光沢のクロム仕上げで統一し、天然石のような石目タイルとともに、高級ホテルのような雰囲気を演出。壁と扉をガラス張りにしたことで空間がひとつながりに見え、一体感がいっそう強調されています。
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詳しくはこちら>>住まいのリフォーム・リノベーションでタイルを使用する際には、いくつかの注意点があります。
タイルにはさまざまな種類があるため、その設置場所や使用目的により適切なタイプの製品を選択しましょう。屋外では耐久性や耐候性が求められるため、室内用のタイルを屋外で使用すると、トラブルの原因になることがあります。同様に壁用のタイルを床に使用するのも好ましくありません。逆に、床用のタイルを壁に張ったり、屋外用のタイルを室内で使用したりする分には問題は起きにくいです。
また、水滴や湿気が多い場所(浴室やキッチンの床等)では、防水性能が高く、滑りにくいタイルを使用するべきです。キッチンの壁など汚れやすい場所では、表面が滑らかで掃除がしやすいものを選びましょう。一方、リビングルームやベッドルームの壁などであれば、高い耐久性は求められず、湿度や水分の影響も少ない場所のため、デザインや質感優先で選ぶことができます。
タイルを使用したリフォーム・リノベーションを成功させるためには、デザインのプランニングを綿密に行いましょう。タイルはほかの建材に比べて費用が高く予算オーバーの原因になりやすいため、施工面積を明確にすることが大切です。タイルの形状・色・模様・大きさといった要素をどのように組み合わせるか、どこにどれだけ使用するかをできるだけ具体的に計画します。
タイルの施工は、特殊な技術と知識を必要とするため、リフォーム・リノベーション業者との緊密なコミュニケーションが必要です。どのようなデザインにしたいのか、予算はいくらか、いつまでに工事を完了したいのかなどを伝え、不明な点や気になる点があれば必ず質問しましょう。理想の住まいのイメージを施工会社としっかり共有することができれば、ベストな提案を受けることができるはずです。
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詳しくはこちら>>住まいのリフォーム・リノベーションにタイルを使用する際は、そのメリットとデメリットをしっかりと知る必要があります。タイルは傷つきにくく、清掃や手入れがしやすいため、長期的なメンテナンス費用の削減につながります。また、デザインの選択肢も広く、個々の生活スタイルや好みに合わせて選ぶことが可能です。一方で、強い衝撃で割れることがあること、初期費用の高さ、足や腰への負担、冬季の冷え込みといったデメリットも考慮したいもの。
様々なデザインや機能の製品があり、使用する場所に適したタイルを選択する必要があります。予算内で理想の住まいを実現するためには、施工会社としっかりとコミュニケーションを取り情報を共有することが大切です。
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