マンション購入を考えはじめたものの、大きな買い物なだけに、「失敗したくない」という意識が働いて、なかなか物件を決めて具体的に動いていけない方は少なくないのでは。マンションを購入すると、住宅ローンや管理費、修繕積立金などの支払いが発生します。
そこで、今回はマンション購入の注意点について、4つの視点から解説したうえで、よくある失敗事例についても触れていきます。
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マンション購入にあたって気をつけるべきポイントとして、ここでは「立地」「価格・ローン」「管理・修繕」「間取り・構造」の4つの点を挙げていきます。
マンションを購入する際の希望条件には様々なものがありますが、資産価値が落ちにくい物件を選ぶために、重視するべきなのは立地です。また、マンションの管理状況は資産価値に大きく影響するため、共用部分の状態や管理体制、長期修繕計画や修繕積立金の積立状況などのチェックも必要です。物件価格だけではなく、管理費や修繕積立金などを考慮して、無理のない資金計画を立てることが大切です。
また、マンションの耐震性や防音性、リノベーションのしやすさなども考慮して、物件を検討しましょう。

マンションの購入を検討する際に、最も重要な要素は立地条件です。間取りや内装、設備などはリノベーションで変えることができますが、立地は変更できません。また、立地は将来の資産価値を大きく左右するためです。
資産価値に重点を置くためにも、立地条件を重視して物件を検討するべきなのは、終の棲家のつもりで購入したマンションでも、住み替えをせざるを得ない可能性が大なり小なりあることが理由です。結婚や子どもの誕生や進学、転職、介護などの事情によって、売却したり、あるいは賃貸に出したりすることがあるかもしれません。将来の生活の変化に備えるためには立地条件を重視し、「売りやすい」「貸しやすい」物件を選ぶことが大切です。
マンションの購入を検討する際に、立地条件の面では交通アクセスや周辺環境をチェックすることがポイント。周辺環境に関しては、スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストア、銀行や郵便局、医療機関などの生活利便施設が揃っているか確認します。子育て世帯は幼稚園・保育園、学校、公園、図書館などもチェックするポイントになります。そのうえで、将来にわたって資産価値を維持しやすい物件か、熟慮することが重要です。
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交通アクセスの面では、最寄り駅からの徒歩分数のほか、都心部や自分や家族の勤務先、学校への交通アクセスのしやすさなど、最寄り駅の利便性をチェックします。最寄り駅からの徒歩分数は10分以内が目安。また、単純に乗車時間だけで比較するのではなく、最寄り駅の急行や快速の停車の有無、乗り換え回数をもとにした駅の使いやすさも重要です。
また、都心部からの電車の乗車時間が短くても、最寄り駅からバス便となる物件よりも、都心部から少し離れても、最寄り駅から徒歩数分圏内の物件の方が、ニーズが高いとされています。
マンションを検討する際には、周辺環境が変化する可能性について留意することが大切です。今は静かな住環境のエリアでも、再開発によって騒音に悩まされるなど、環境が一変することもあるためです。
都市計画による都市計画区域のうち、市街化区域は必ず用途地域が決められており、建てられる建物の種類や高さが制限されています。裏を返せば、用途地域を調べると、将来建つ可能性がある建物が把握できます。
また、大きな公園に面したマンションは、目の前に建物が立つ可能性が低いです。一方、駐車場として使われている土地は、建物が立つ可能性を踏まえておきましょう。
参照/国土交通省|みんなで進めるまちづくりの話|③建物を建てられるところと、建てられないところの話
参照/国土交通省|みんなで進めるまちづくりの話|④土地の使い方と建物の建て方のルールの話
参照/国土交通省|みらいに向けたまちづくりのために
中古マンションの価格は購入価格を問わず、市場動向によって決まるため、資産価値の維持に重点を置くのであれば、将来にわたってニーズのある物件かという点が重要です。
一般的に資産価値が下がりにくいのは、人気エリアに立つ物件やターミナル駅にアクセスしやすく最寄り駅から徒歩10分圏内の物件です。あるいは周辺環境の面からは、再開発によって複合施設が隣接する物件や、大きな公園に隣接して開けた眺望が維持されやすい物件は人気があります。

マンション購入における予算は、自己資金から現金で用意する頭金と、住宅ローンの借入額、諸費用の合計から考えます。リノベーション前提で中古マンションを購入するケースでは、物件の購入費用とリノベーション費用を足したトータル予算を決めておきましょう。
住宅ローンの金利タイプは変動金利と固定金利に分けられ、金融機関によっても異なります。変動金利の方が固定金利よりも、金融機関のリスクが低いことから、金利が低く抑えられています。ただし、2025年3月現在、日銀の利上げによる影響から金利が上昇しており、今後もさらなる上昇が見込まれている点に注意が必要です。
「住宅ローンの借入可能額=無理なく返済できる額」ではありません。さらに金利上昇が予想されていることから、住宅ローンの借入額から購入できる物件価格を考える際に、現在の金利水準のみで判断するのは禁物です。金利が上昇すると支払額がどの程度増えるのかシミュレーションを行い、無理なく支払える額をもとに予算を組むことが大切です。
賃貸物件では、共用部分も専有部分も、故意や過失がある場合を除くと、原則として修繕費用はオーナーの負担ですが、分譲マンションでは異なります。共用部分はマンションの区分所有者で構成される管理組合により、修繕積立金から支払われます。専有部分の修繕費用は区分所有者の自己負担です。マンションの購入によってこうした維持費が発生することも、踏まえておきましょう。
関連記事/マンション購入時の費用や予算、ローンの目安
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マンション購入の際に物件価格以外に発生する諸費用には、住宅ローンの事務手数料や保証料、登記費用、火災保険料などのほか、新築物件は繕積立金基金、中古物件は仲介手数料があります。諸費用の目安は物件価格に対して、新築マンションは3%~5%程度、中古マンションは6%~8%程度が目安です。
購入後は毎月のローン返済額のほか、管理費や修繕積立金の支払いが発生します。
マンションを購入する際に予算オーバーにならないようにするには、物件価格以外に必要となる費用を把握しておくことが大切です。
住宅ローンの金利タイプには、変動金利と固定金利という種類があります。変動金利は、金利情勢の変化に応じて、金利が変動します。固定金利は金利が変わらないタイプを指します。全期間固定金利型は、借入期間の全期間にわたって金利が変わらないタイプ。固定金利期間選択型は、2年や3年、5年、10年といった選択した期間は金利が変わらず、その後は固定金利と変動金利を選べるタイプをいいます。
金利の低さから人気があるのは変動金利ですが、将来的に金利が上昇するリスクがあることを踏まえておく必要があります。
マンションの購入後には、毎月、管理費や修繕積立金のほか、駐車場を利用している場合には駐車場代の支払いが発生します。また、マンションなどの不動産を所有している間は、毎年、1月1日の所有者に対して、固定資産税と都市計画区域のうち市街化区域内に立地している場合には都市計画税が課税されます。
このほかには専有部分内の修繕費用は自己負担となるため、築年数の経過に伴って負担が発生することを踏まえておく必要があります。
参照/総務省|固定資産税の概要
参照/総務省|都市計画税

「マンションは管理を買え」とよくいわれるように、管理体制は資産価値を大きく左右します。
分譲マンションでは、区分所有者で構成された管理組合が共用部分の運営・管理を行います。管理組合では、理事会を執行機関として置き、役員は輪番や立候補などによって選出されます。予算の承認や役員の選出、管理規約の改定などは、総会の決議によって決定します。
ただし、管理組合の業務の多くを管理会社に委託しているケースが一般的です。中には、管理会社に委託せずに、管理組合が事務管理や管理員の雇用などを行う、自主管理の形態をとるマンションもあり、特に管理体制に注意が必要です。
また、管理員の配置形態は日中のみ常駐、日中のみ常駐+夜間は警備員が常駐、週3~4日常駐など様々です。一般的に管理員が常駐しているマンションの方が、管理が行き届きやすい面があります。
中古マンションの購入を検討している場合は、内見の際に共用部分の劣化状態や管理状態をチェックすることが大切です。さらに不動産会社を通じて、管理規約や使用細則、長期修繕計画やこれまでの修繕履歴、修繕積立金の積み立て状況、総会の議事録などを確認します。新築マンションの購入を検討している場合も、デベロッパーが作成した長期修繕計画を確認しましょう。
管理組合が管理業務を管理会社に委託するケースが一般的ですが、区分所有者が丸投げすることなく、マンションの管理に関心を持って積極的に関わっていくことが大切です。
中古マンションの購入を検討する場合には、管理組合の運営状況も確認しておきたいポイントです。管理組合の運営状況などをチェックする際に参考になるのは、総会の議事録です。マンションで課題になっている事柄や運営状況などから、区分所有者の意識や管理会社の対応などが見えてきます。
修繕積立金の額の初期の設定が安く、大規模修繕工事に備えて十分に積み立てられていない場合には、値上がりリスクがある点に注意が必要です。将来的に、毎月の修繕積立金の額がアップするケースのほか、一時金を徴収するケースもあります。
修繕積立金の目安について、国土交通省では「マンション修繕積立金に関するガイドライン」で事例をもとに示しています。ただし、建築費が高騰していることから、この水準よりも多くの修繕積立金が必要となる可能性があります。
| 地上階数 | 建築延べ床面積 | 平米あたりの修繕積立金の月額(事例の2/3が含まれる幅) | 平米あたりの修繕積立金の月額(平均値) |
| 20階未満 | 5,000平米未満 | 235円~430円 | 335円 |
| 20階未満 | 5,000平米以上1万平米未満 | 170円~320円 | 252円 |
| 20階未満 | 1万平米以上2万平米未満 | 200円~330円 | 271円 |
| 20階未満 | 2万平米以上 | 190円~325円 | 255円 |
| 20階以上 | 240円~410円 | 338円 |
中古マンションの購入では内見の際に共用部分の管理状態のチェックも重要です。外壁に大きなひび割れはないか、外部階段などの鉄部にサビがないか、エントランスや共用廊下は清掃が行き届いているか、メールボックスのまわりにゴミが散乱していないか、ゴミ置き場のルールは守られているかといった点をチェックしましょう。

マンションの間取りは、家族構成に合っているか、家族のライフスタイルにあった家事動線や生活動線が確保されているか、収納は十分に設けられているかといった点をレックします。
ただし、リノベーションを前提に中古マンションを購入するケースでは、リノベーションで間取りや設備は自由に変更できるため、重視するべき要素ではありません。ただし、マンションの構造にはラーメン構造と壁式構造があり、壁式構造の物件は間取りの改変に制約があるケースがあります。また、管理規約による制約にも注意が必要です。床材の遮音性能に規定が設けられているケースが多く、水回りの位置や床材の種類の変更が禁止されている物件もあります。
マンションの防音性の面では、躯体のコンクリートの壁や床の厚み、あるいは窓のサッシやガラスの遮音性能によって変わります。
このほかには、中古マンションの築古物件の購入を検討している場合には、耐震性に関して注意が必要です。建築基準法による耐震基準は1981年6月に大幅に改正されました。1981年5月31日までの耐震基準は旧耐震基準、1981年6月1日からのものは新耐震基準と呼ばれています。築古物件を購入する際には、耐震性について確認が必要です。
関連記事/新耐震基準とは?求められる耐震性や旧耐震基準との違いを徹底解説
新築マンションや築浅の中古マンションを購入する場合には、間取りは住みやすさに直結します。家族の人数に合った必要な部屋数があるか、広さは十分にあるかチェックします。また、キッチンや洗濯機置き場、洗濯物を干すバルコニーなどを結ぶ家事動線の距離が短い方が、効率よく家事を進められます。
また、一般的に専有面積の8~10%程度の収納が必要とされています。十分な収納スペースが確保されていると、すっきりと片付けやすいです。
マンションの防音性で特に重視したいのは階下への音の響きです。コンクリートの床スラブの厚みがあるほど防音性が高いです。さらにコンクリートスラブと天井や床の間に空間のある二重天井・二重床は、音が伝わりにくいといわれています。隣の住戸との遮音性も主に戸境壁の厚みできまり、180㎜以上が目安です。
建築基準法による耐震基準は1981年6月を境に、新耐震基準と旧耐震基準に分かれていますが、建築確認が下りた日という点に注意が必要です。また、旧耐震基準に該当するマンションでも、震診断を受けて新耐震基準を満たしていることが証明されている物件もあります。
リノベーションを前提で中古マンションを購入する場合や、将来的にリノベーションを考えている場合は、構造や管理規約の確認が必要です。
マンションの構造は、建物を柱と梁で支えるラーメン構造と、壁で支える壁式構造に分けられ、壁式構造は間仕切り壁に撤去できない耐力壁が含まれていることがあります。また、水回りの移動の可否は床下の構造によります。

マンション購入でよくある失敗例として、実際にあった声をまとめました。
・隣のマンションから丸見えになることに気づかなかった。
・売買契約後にバルコニー側の目の前にマンションが立ち、眺望が遮られることがわかる。
・他の居住者のモラルの低さが気になる。
・上階の住戸からの物音に悩まされている。
都市部では、道路を挟んでマンションが向かい合わせに建てられることは珍しいことではありません。居住してから向いのマンションからの視線が気になるといった失敗を避けるためには、新築マンションの場合も、実際にどの程度の距離が離れているのか、現地で確認することが大切です。
また、現在は駐車場や低層の建物が立つ土地も、用途地域によっては将来的に中高層の建物が建設される可能性があります。用途地域を調べて、周辺環境が変化する可能性を踏まえて、購入を検討することが大切です。
居住者のモラルの面では、中古マンションを購入する場合には内見の際に、どのような人が住んでいるのかがわかります。たとえば、ゴミ出しのルールが守られていない、メールボックスの周辺にゴミが散乱しているといった物件は注意が必要です。
また、上階などからの騒音の問題は構造と居住者によります。内見の際に、上階や隣接する住戸の音が気にならないか確認しましょう。
住環境の面で、購入後に後悔したケースで多いのは、上階や隣接する住戸からの騒音の問題です。子育て世帯などで騒音によるクレームを受けた側が、購入を後悔するケースも見られます。
また、毎月の住宅ローンの返済や管理費・修繕積立金の負担が大きく後悔するケースのほか、管理費や修繕積立金の値上がりによって、支払いが困難な状況に陥るケースもあります。マンションを購入するには、余裕のある資金計画を立てることが大切です。
【立地・周辺環境】
◎最寄り駅からの距離(徒歩分数)
◎最寄り駅から勤務先・学校・ターミナル駅へのアクセス
◎周辺にある生活利便施設(スーパー・コンビニ・病院・金融機関など)
◎用途地域
◎共用部分の状態
【購入費用】
◎住宅ローンの支払い額
◎管理費・修繕積立金の金額
【管理体制】
◎管理規約・使用細則
◎管理体制(委託管理・自主管理)
◎管理員の常駐・巡回
◎管理組合の運営状況(総会の議事録など)
◎修繕積立金の積立状況
◎長期修繕計画とこれまでの修繕履歴
【間取り・構造】
◎築年数や耐震性
◎建物や床下の構造、管理規約による間取り変更の自由度
◎スラブ厚や戸境壁の厚み、天井・床の構造
◎上階や隣接する住戸の生活音
マンション購入について、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると、ライフプランを踏まえたうえで、住宅ローンの選び方や金利タイプ、借入可能額などに関するアドバイスが受けられます。
また、マンションは不動産情報のポータルサイトを利用して探す方法もありますが、不動産会社に相談すると、予算や専有面積、間取りなどの希望条件に合った物件の提案を受けられます。さらに、資金計画について相談することも可能です。

マンションを購入する際には、立地条件を重視した物件選びがおすすめです。資産価値を維持しやすい物件を購入することで、将来、住み替えを考えたときにスムーズに構想できます。
マンションの購入後は住宅ローンの返済以外にも、管理費や修繕積立金などの支払いが発生するため、無理のない資金計画を立てることが大切です。マンションの管理状況や修繕積立金の積立状況のほか、リノベーションを前提とする場合には構造なども確認しておきましょう。
グローバルベイスでは中古マンションの購入やリノベーションに関するご相談を受け付けています。マンション購入にお悩みであれば、ぜひ、「オンラインで相談する」からオンライン相談会にご参加ください。