浴室のリフォーム・リノベーションでは、在来工法の浴室にするという選択肢もありますが、特にマンションではユニットバスを用いるのが主流となっています。昨今では、ユニットバスの機能性やデザイン性が向上しています。
そこで、ユニットバスの特徴やリフォーム費用、リノベーションのポイントなどを解説したうえで、おしゃれな施工事例を紹介していきます。
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詳しくはこちら>>ユニットバスについて、まずは定義やサイズ呼称、種類など、基礎知識から紹介していきます。
ユニットバスとは、あらかじめ天井や壁、床、浴槽といったパーツを工場で製造し、現場で組み立てる浴室をいいます。多機能なものをシステムバスと呼ぶこともありますが明確な違いはなく、ユニットバスとほぼ同じ意味です。
ユニットバスというと、一人暮らし用の賃貸物件やビジネスホテルなどでみられる、トイレ・洗面台・浴槽が設けれた3点ユニットバスがイメージされやすいですが、ユニットバスの種類の一つです。洗面台と浴槽が設置されたタイプは2点ユニットバス、浴室のみのタイプは1点ユニットバスといいます。
今回取り上げていくのは、1点ユニットバスです。
従来は主流であった在来工法の浴室は、防水施工をした後、モルタルやタイルで仕上げられています。ユニットバスのパーツは規格品のため、在来工法の浴室と比較すると、デザインや仕様の自由度は低いですが、品質が安定していることがメリット。壁と床が一体化しているため、階下への水漏れのリスクが少ないことからも、マンションではユニットバスが設置されることがほとんどです。
最近では、デザイン性や機能性の高いユニットバスも展開されています。
ユニットバスは内寸によるサイズ呼称で呼ばれています。たとえば、「1616サイズ」は奥行1600mm×幅1600mm、「1618サイズ」は奥行1600mm×幅1800mmという意味です。
ユニットバスのリフォームやリノベーションを検討するときには、既存のユニットバスの内寸を測ると、設置されているユニットバスのサイズがわかります。ただし、ユニットバスの壁の厚みはメーカーや商品による違いがあるため、同じサイズのユニットバスが、必ずしも同じスペースに設置できるとは限らないという点に注意が必要です。反対に設置スペースにゆとりがある場合には、現状よりも大きいサイズのユニットバスが設置できることもあります。
また、「1坪タイプ」や「1.25坪タイプ」といった坪数による表示は、ユニットバスの床面積を示しています。
ユニットバスには設置条件などによる種類が設けられています。
ユニットバスは各メーカーから、戸建て用とマンション用のシリーズに分けて展開されています。戸建用とマンション用のユニットバスは、基本的に機能の違いはなく、主にサイズの違いによるものです。戸建てとマンションでは天井の高さや床下のふところに違いがあるため、それぞれに合った寸法で展開されています。また、戸建て用は正方形のサイズがあり、広めのサイズ展開です。
RC造の戸建てで梁がある場所に浴室を設けるケースなど、戸建て用のユニットバスが設置できないケースなでは、マンション用が用いられることもあります。反対に、マンションに戸建て用のユニットバスを設置することは基本的にありません。
また、リフォーム用のユニットバスは、既存の空間に合わせてリフォームをしやすいように配慮されているのが特徴です。既存の天井の高さに合わせたり、ドアの位置を調整できたりするほか、部材を分割することで住戸内に搬入しやすくした商品もあります。
ユニットバスを扱う大手メーカーでは、デザイン性や機能性に優れた高価格帯、一般的な中価格帯、手頃な低価格帯といった形で、価格帯の異なるシリーズを展開しています。
シリーズによって標準仕様が決められていて、選択できる壁パネルや浴槽、水栓などのパーツが異なり、選択したもの追加したオプションによって価格が変わります。在来工法の浴室のように、自由にシャワー水栓などを選べるわけではありません。
そのため、ユニットバスのリフォーム・リノベーションを行う際には、まずはメーカーとシリーズを決めた後、パーツを選択していくという流れになります。
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詳しくはこちら>>ユニットバスのリフォーム・リノベーションを行うには、ユニットバス本体の価格のほか、工事費用がかかります。
ユニットバスのリフォーム工事費用は、ユニットバスからユニットバスへの交換リフォームよりも、在来工法の浴室からユニットバスへのリフォームの方が高くなります。
ユニットバスのリフォームやリノベーションでは、既存の浴室を解体する必要があります。在来工法の浴室は、壁や床に貼られたタイルやモルタルの解体に手間がかかり、廃棄処分の費用も割高です。また、在来工法の浴室は水漏れをしていて、下地の補修が必要なケースが多く、戸建ての場合は土間打ちを行うこともあるためです。
サイズやグレードにもよりますが、ユニットバスからユニットバスへの交換リフォームの費用は50万円~140万円程度です。在来工法の浴室からユニットバスへ変える場合の費用は、65~150万円が目安になります。また、浴室の拡張や移動を伴う場合の費用は、80万円~250万円が目安です。
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詳しくはこちら>>ユニットバスはシリーズごとに決められた中からパーツを選択し、必要に応じてオプションを追加して、プランを決めていくのが基本です。予算を踏まえたうえで、ユニットバス全体のイメージや、選択できる壁面パネルや浴槽、水栓などをもとに、メーカーやシリーズを決めていきます。
ユニットバスのメーカーやシリーズを検討するときや、パーツを選ぶときなどに知っておきたい、リノベーションのポイントをまとめました。
ユニットバスの浴槽の素材として一般的なのは、FRPと人造大理、人工大理石、ホーローです。浴槽の素材によって風合いだけではなく、清掃性なども異なることを理解しておきましょう。
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)は最も普及している素材で、肌触りが滑らかでリーズナブルです。ただし、汚れがつきやすいというデメリットがあります。
人造大理石と人工大理石は混同されやすいですが、別の素材です。人造大理石は天然の大理石を砕いて樹脂で固めた半人工素材なのに対して、人工大理石はアクリル樹脂、またはポリエステル樹脂を固めた人工素材です。
人造大理石は光沢があって高級感があり、耐久性にも優れています。アクリル系人工大理石は耐候性や耐衝撃性が高く、表面が滑らかで、汚れがしみこみにくいため、手入れがしやすいです。一方、ポリエステル系人工大理石は価格が安い反面、紫外線に弱く黄ばみやすいのが難点です。
ホーローは鋼板など金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けてつくられた素材で、風合いが美しく、肌触りがよいという特徴があります。ただし、表面に傷がつくと錆びてしまいやすい点に注意が必要です。
ユニットバスの浴槽はメーカーやシリーズごとに、様々な形状のタイプが展開されています。浴槽の形状によって見た目だけではなく、使い勝手が違い、家族構成やライフスタイルによって向いているタイプは異なります。
代表的なタイプを挙げていくと、ストレート浴槽はオーソドックスなタイプで深さがあるため、肩までお湯につかって全身浴をしたい人に向いています。
ワイド浴槽は浴槽の幅が広く、1人でゆったりと入れるのはもちろん、子どもと一緒に入浴がしやすいです。ベンチがついているタイプは、半身浴をしたり、子どもを座らせたりできます。ただし、ワイド浴槽は洗い場の部分が狭くなります。また、多くの湯量を必要とするため、追い炊きに時間がかかることも留意しておきましょう。
Sライン浴槽やラウンド浴槽など、丸みを帯びたデザインで片側にベンチがついたタイプは半身浴に利用できるほか、ゆったりとつかりながらベンチ部分をフットレストにすることも可能。ベンチ部分があることで節水にもなります。
アーチ浴槽は縁の分がアーチ型になっていて、入浴をする際に縁の薄い部分を子どもや高齢者でもつかみやすいので、転倒を防げるのが特徴です。
メーカーやシリーズによっては、機能性が付加された浴槽を選ぶこともできます。
浴槽や蓋を断熱材で包むことによって保温機能がついた浴槽は、お湯の温度の低下を抑えられるため、複数人が使用し、入浴時間の間隔が空くケースに向いています。
また、ジェット噴流機能のほか、首や肩にお湯をかけて血行促進を図る機能や、酵素の泡によって保温効果を高める機能など、多彩な機能がついた浴槽が展開されています。
ユニットバスの水栓はメーカーやシリーズによって、選択できるものが異なります。最近のユニットバスは高価格帯や中価格帯のシリーズを中心に、機能性やデザイン性に優れた水栓が採用されています。
ユニットバスの水栓は、給湯器がオートタイプやフルオートタイプであれば、洗い場にシャワー用水栓を設置して、浴槽側には設置しないのが一般的です。このほかには、洗い場との兼用水栓とする方法や、洗い場用の水栓とは別に浴槽専用水栓を設ける方法もあります。
また、シャワー用水栓は、サーモスタット機能付きのシングルレバータイプが一般的です。タッチタイプの水栓は、吐水・止水の操作が簡単にできるため、高齢者や子どもも使いやすいのが魅力です。カウンターと水栓が一体化したタイプもあり、スタイリッシュなデザインが中心です。
シャワーヘッドからの湯水の面では、節水できるタイプのほか、水流を切り替えられるタイプなどがあります。シャワー水栓はスライドバーを設置するとおしゃれに見えます。
高価格帯では、ホテルなどでみられる頭上にシャワーヘッドが固定された、オーバーヘッドシャワーを設置できるシリーズもあります。オーバーヘッドシャワーは湯量が多く、シャワーで全身を温めることが可能です。
壁パネルは浴室のイメージを大きく左右するパーツです。メーカーやシリーズにもよりますが、豊富な柄・カラーから選ぶことができます。
壁パネルは無地のものや木目調や石目調、タイル調といった柄があります。壁パネルは全面を同じ柄・カラーでまとめるか、あるいは壁一面だけ違うものを選択してアクセントパネルにするか、選べるシリーズが多いです。
アクセントパネルを取り入れることでフォーカルポイントとなり、浴室をおしゃれに見せられます。
床材は排水がされやすく乾きやすいタイプが中心です。メーカーやシリーズによっては、断熱構造で冷たさを感じにくい床材や清掃性を高めた床材といった、さらに機能性に富んだものも選べます。
また、床材は数種類程度からカラーを選択できるメーカーが中心ですので、壁パネルに合わせてコーディネートできます。
従来はユニットバスの照明は、壁付けのブラケットライトが主流でした。昨今では、ダウンライトやパネル埋め込み照明、スリット照明など、演出効果が高い照明を選択できるシリーズもあります。
こうした照明を用いることで洗練された印象になるとともに、よりリラックスできる空間をつくれます。
また、調光機能や調色機能がついていると、朝と夜で光を変えたりするなど、シーンに応じた明かりを楽しめます。
ユニットバスの扉タイプは、主に開き戸(ドア)と折れ戸、引き戸の3種類があり、使い勝手の違いを考慮して選ぶことが大切です。
開き戸は開閉のためのスペースが必要となります。浴室側に開く場合は、中で人が倒れたときに開けられない場合に備えて、ドアを外せる仕様にしておく必要があります。
折れ戸は開閉時に扉の中ほどで折れるため、コンパクトなスペースで開閉ができます。ただし、開閉時に指を挟まないように注意が必要です。
引き戸は開閉のためのスペースがとられないため、浴室の中で人が倒れたときも救助しやすいことから、高齢者のいる世帯でも安心です。ただし、レール部分が汚れやすいのが難点です。引き戸は1枚引き戸のほか、2枚引き戸や3枚引き戸のタイプもあります。
介護が必要な状態で入浴の介助を行う場合は、折れ戸や引き戸が向いています。
「ガラス張りの浴室は在来工法でなければできないのでは?」と思われることがありますが、ユニットバスによってはオプションでガラス張りにすることが可能です。ユニットバスの場合、ガラス張りにできるのは洗面脱衣室に面した部分の仕切りと扉になります。
ガラス張りにすることで洗面脱衣室との一体感が生まれるとともに、明るく開放感のあるスタイリッシュな空間になります。
ただし、家族構成によっては、ガラス張りにすると、浴室を使用している人がいるときに、洗面台や洗濯機が使いづらくなることがある点に注意が必要です。ガラス張りにすると浴室が見えすぎることが気になる場合は、ドアのみをガラスのものにするのも選択肢となります。
長い時間お風呂に入ることが多い人や半身浴をする人などは、オプションでテレビやオーディオを設置することで、浴室がよりゆったりと楽しめる空間になります。
浴室は電波が届きにくいため、アンテナのケーブルを引き込むことで、安定した環境でテレビを視聴することができます。
マンションや戸建ての2階以上のフロアに設置する場合は、在来工法の浴室よりもユニットバスの方が、水漏れのリスクが低いことから向いています。しかし、柱が出っ張っているケースや天井高が高い、あるいは低いケースなどは、ユニットバスへのリフォームは難しいです。こうしたケースでは、ハーフユニットバスを活用するのも選択肢となります。
ハーフユニットバスとは、浴槽と洗い場の床、浴槽の高さまでの壁の部分のみのユニットバスです。天井と壁の上部などは在来工法の浴室のように施工します。
ハーフユニットバスを用いると、壁の上部をヒノキ張りやタイル張りにすることも可能です。水栓金具も自由に選べるなど、プランの自由度が高くなります。ただし、ハーフユニットバスの防水性能はユニットバスよりも劣ります。
ハーフユニットバスについては以下の記事で詳しく紹介しています。
→ハーフユニットバスとは?在来工法とシステムバスのいいとこ取り
ユニットバスは在来工法の浴室とは異なり、ショールームに足を運ぶことで実際の商品に近いものを体感することが可能です。メーカーのショールームには、様々なシリーズやサイズのユニットバスが展示されています。
浴槽や壁パネルの質感は、カタログやホームページの写真と実際のものでは、印象が異なることがあります。また、たとえば、実際に浴槽をまたいだり、浴槽の中に入ったりしてみると、どの形状の浴槽が自分や家族にとって使いやすいか、体感をもとに決めることが可能です。手すりの設置を検討している場合は、浴室内での動作に合わせて、取り付け箇所を検討できます。
水栓に触れてみたり、折れ戸や引き戸などは開閉してみたりするなど、操作性も確認しましょう。
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詳しくはこちら>>ユニットバスは、以前は画一的なデザインというイメージを持たれやすかったですが、最近ではデザイン性が向上しています。パーツの選び方によっては、洗面脱衣室と統一したイメージにすることも可能です。
ユニットバスでおしゃれな空間を実現したリノベーション事例を紹介していきます。
ホテルライクなラグジュアリーな雰囲気のバスルームの事例。ガラスで仕切られた洗面脱衣室とバスルームの床材が統一された、一体感のあるデザインです。海外のホテルのようなオーバーヘッドシャワーが設置されています。
一見すると在来工法の浴室のように見えますが、オーダーメイドのユニットバスを取り扱うメーカーのものです。
ユニットバスの扉のみにガラスを用いた事例です。ガラスが使われていることで、洗面脱衣室は圧迫感がなく、開放的な雰囲気が生まれています。
また、浴室も洗面脱衣室も、白を基調とし、黒をアクセントとしたカラーコーディネート。黒のドア枠が空間を引き締める役割を果たしています。
こちらの事例では、ガラスタイル柄の爽やかなアクセントパネルに、おしゃれなデザインのシャワーが映えています。オーバーヘッドシャワーもついていて、心地よいシャワータイムも楽しめるバスルームです。
浴槽の短辺側が洗面脱衣室に面しているため、間仕切り壁の上部のみがガラス張りの仕様となっています。
ユニットバスと洗面脱衣室をモノトーンでカラーコーディネートした事例です。どちらも壁は白、床はグレーで、黒がアクセントに使われている点が共通しています。ユニットバスと洗面脱衣室で仕上げ材は異なりますが、カラーが統一されているため、一体感のある空間となりました。
こちらは白で統一したシンプルなデザインのユニットバスの事例。ユニットバスの壁パネルは様々なカラーから選べますが、あえて白を選択すると、空間の広がりが感じられるともに、スタイリッシュな雰囲気になります。上部のラックがキュートな印象です。
茅ヶ崎を聖地とするバンドをイメージして、マンションの一室を波の音が聞こえてきそうな空間へリノベーションした事例です。ユニットバスもブルー系のアクセントパネルを用いることで、海の雰囲気を演出。住まい全体が一つのテーマで統一された空間となりました。
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詳しくはこちら>>ユニットバスは、在来工法の浴室ほど仕様の自由度が高くはありませんが、シリーズやパーツの選び方によって、おしゃれな空間を実現することが可能です。ユニットバスのリノベーションを行う際には、浴室と住まい全体のインテリアテイストを統一させるようにしましょう。
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